IS VS Build   作:シュイム

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この回は元々投稿していた話でしたが削除、再アップしました。
詳しくは活動報告に載っています。
勝手なことをしてしまい、本当にすみませんでした。


第19話 放たれる輝きとデストロイヤー

「なんだあいつは!?」

 

「山田先生! 生徒に避難勧告を!」

 

「...!!ダメです! 扉がハッキングされたのか全てロックされています!」

 

「ならば織斑と凰に撤退命令を! 至急教師達に制圧に向かわせる!」

 

「は、はい! 織斑くん! 凰さん! 聞こえますか!? 今すぐーー」

 

ピット内が喧しくなる中、俺は周りとは全く別の事で驚いていた。

な...なんで!?なんで美空が!?

石動美空と言えば本家『ビルド』ではマスターこと石動惣一に助けられ、スマッシュの成分を浄化し新たなフルボトルを生み出せる謎のヒロインであった。

そんな彼女がなぜ亡国機業(ファントムタスク)側に!?それともファウストでもいるのか!?

 

そんなこんなでいるとアリーナ内は大混乱。

ドアが開かない中、先程から謎のISのビームによる攻撃で大変なことになっていた。

 

一方、山田先生の命令に背き自分達でなんとかしようとしている2人。

 

「なんだお前...。何が目的だ!」

 

「知らないし。あたしはただ命令されてるだけだし。」

 

「ふざけんじゃないわよ!」

 

鈴と一夏は美空を問い詰めるものらりくらりと返される。

痺れを切らして彼女に衝撃砲を放つもゴーレムによって防がれる。

ゴーレムは少し仰け反るだけで大したダメージは無いようだ。

 

ゴーレムは3体。

それらが美空を守るように周りに配置され、一夏達から攻撃を受けるたび回転、ビーム兵器で迎撃。

と言った動きだ。

 

美空がいる以上原作知識なんて意味ないし何が目的で来たのかも分からない。

とりあえず俺は箒達と共に避難をさせる事にした。

 

「織斑先生、俺は避難を促してきます! その為に最悪ドアを破壊することになりますがいいですか!?」

 

「っ! ...ああ、今は非常事態だ。私が責任を持つ。頼んだ。」

 

「わ、私達も行く!」

 

そう言ってピットを出てドアに向かう。

ドアの前では開けようと必死に制御を試みる先輩や多くの生徒が泣いたり喚いたりしていた。

とは言え、前回の事故の教訓を得た人たちは必死に声を上げて他の生徒を落ち着かせていたため、マシだった。

この状況では本当に助かる。

 

『ハリネズミ!!』

『ダァイヤモンド!』

 

『アー ユー、レディィ!?』

 

「変身!」

 

俺は『ハリネズミモンドフォーム』に変身し、ドリルクラッシャーを生成。

そこにハリネズミフルボトルを装填。

 

『レディ、ゴー!!』

 

『皆、ドアから離れて!』

 

注意を促し扉の前へ立ち、ダイヤモンドボディの力で扉をダイヤに変え、少しひびを入れる。

 

『ボルテック、ブレェェイク!!』

 

『イェェーイ!!』

 

『はぁぁぁ、ハアっ!』

 

トリガーを引き、けたたましい音声と共にドリルが回転。

ひび割れた所に突き立て穴を広げ、どんどん破壊していき綺麗に扉の部分だけ穴が空いた。

 

『よし、皆落ち着いて脱出して! 出来る限り固まって行動するように!』

 

その言葉を皮切りに皆が動き出す。

2、3人が手を繋ぎ本音や相川さん達は誘導をしていた。

 

さて。俺は織斑先生に連絡を取る。

 

『織斑先生、俺も一夏達の援護に向かいます。遮断シールドも破壊することになりますが...その...』

 

『...ああ、分かった。下手にたくさん援護に向かわせるよりはお前に任せた方が良いだろう。シールドの破壊も許可する。』

 

『了解です。』

 

よし、許可は降りた。生徒達は引き続き彼女達に任せてさっさと俺も一夏達の援護に

『一夏ぁっ!!』

...!? この声まさか!

 

『男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!』

 

マジか、もうかよ!

幾ら何でも早いだろ、観客席側から見てもまだ一体も倒せてないし美空はもう既に飽きたような顔してるし、ってこれは元からか。

 

と、同時にゴーレムの一体が箒の声のした方へ向き、レーザーを撃たんと構える。

まずい、このままじゃ箒が撃たれる!!

俺は壁を伝って箒の声に困惑している生徒を飛び越え全速力で放送室に駆け出した。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

一夏Side

 

「はあ、はあ。 なんで攻撃が効かないのよこいつ!」

 

鈴が目の前のISに怒ってる。

かく言う俺もさっきからチャンスとばかりに踏み込んでもロクに攻撃が当たらず迎撃されて手詰まりだった。

俺も鈴も試合中だったしエネルギーはもうあと少ない。

 

くそっ!こんな状況でどうすれば!?

 

「そう言えばさ。」

 

唐突に女が口を開く。

その時IS達の動きも止まる。

まさか、この子がこいつらを動かしているのか?

 

「ビルド知らない?あたしそいつに用があるんだった。」

 

「はっ!知ってても言うわけない、でしょ!!」

 

鈴は好機とばかりに女に龍砲を放つがISに再び遮られる。

さっきまで動きを完全に停止していたISが咄嗟に回転して女を守っていたということは...やっぱりこの子がこいつらを動かしているのか!

 

「そ、まあいいけどね。探せばすぐ見つかるだろうし。」

 

攻撃されているというのに涼しい顔で話す女。

なんで建兎に用があるんだ? 一体こいつは何のためにーーー

 

『一夏ぁっ!!』

 

!?な、何だ!? 急にでかい音が!

これには鈴や女も顔をしかめ、困惑する。

音がした方へ向くと箒が審判とナレーターを気絶させてこちらに怒ってるような焦ってるような顔を向けていた。

何やってんだよあいつ...

 

『男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!』

 

「「....」」

 

俺達はしばし呆然としていた。

気がついたらISの一体が箒に向けてレーザーを撃とうとしていた。

 

「! 箒、逃げーー!」

 

「もう遅いよ。」

 

箒に声をかけようとしたが無情にもレーザーは発射され、放送室は爆発。

認めたくない光景に俺は言葉を失った。

 

「箒ぃぃぃぃ!」

 

「っ! あんた、絶対許さないわ!」

 

怒りの表情と共に鈴は青龍刀を構えて特攻する。

...落ち込んでる場合じゃねぇ。

俺は今すぐこいつを!ぶっ飛ばす!!

 

「はぁぁぁ!!」

 

「無駄だって。」

 

無人機と分かってる俺は零落白夜を起動。

ISを一体叩き切った。これには鈴と女も驚く。

 

「!?」

 

「い、一夏!あんた何やって!人を...」

 

「鈴、こいつらは中に人はいない!遠慮なく行くぞ!」

 

そう言って鈴に促すが元々少なかったエネルギーが底をつき、白式が解除されてしまう。

 

「な!?」

 

「一夏!」

 

「人が居ないのに気付いたのは驚いたけど...これでおしまいね」

 

女の無情な言葉を投げかけISが俺に向かって突撃してきた。鈴は俺の元へ駆けつけるが間に合わない。

俺は死を覚悟し目を瞑る。が、途端に銃声が聴こえ俺に拳が届くことは無かった。

 

「...好き勝手やってくれたな」

 

恐る恐る目を開けるとISは眼前で拳を止め、鈴と女は一点を見ている。

その方向へ目を向けるとそこには銃を構えた建兎(ビルド)が立っていた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

ふう、なんとか間に合ったな。

箒は俺がハリネズミで刺した鉄くずなどを即席の壁にした後、レーザーが届く直前で抱き寄せてダイヤモンドボディで直撃を免れながら耐えたため無事だった。

しかし、迫り来るレーザーへの恐怖からかその瞬間に気絶してしまったようだ。

3人を安全な場所へ移動させ、俺は今度こそ援護に向かう。

遮断シールドがレベル4?だったかな?

だがダイヤモンドに変換してしまえば俺には関係ない。

 

もう既に避難は終わっているため、先程の扉と同じ要領でシールドを破壊。

中に入ると白式が解除された一夏がゴーレムに狙われていた。

俺は咄嗟にガンモードで牽制。ゴーレムは動きを止め、こちらを向く。

さて、とりあえず俺は奴らをボコボコにしないと気が済まない。

 

「...好き勝手やってくれたな」

 

少なくとも美空以外はスクラップにしてやる。

それだけ生徒達が傷つけられた事が許せなかった。

 

「あ、ビルドじゃん。あんたに用があったんだけどさ、一緒に来てくれない?」

 

美空はそんな事を言うが俺は無視する。

面倒臭がりなのは変わらないが本編『ビルド』より少しアグレッシブだ。

こっちの美空はそんな印象を受ける。

 

『桐生くん、落ち着いてください!』

 

「桐生さん!わたくしも手伝います!」

 

すると空けた穴からセシリアがブルー・ティアーズを纏って出てくる。

二人の声に俺は少し冷静になる。

そうだ、今は一夏を保護する事が最優先だ。

自分のことばっか気にしてたら、いけない!

 

「鈴、俺がそいつらを止めてる間一夏を連れて退避してくれ!セシリアは俺と鈴のカバーを頼む!」

 

「了解!」 「分かりましたわ!」

 

俺はゴーレムへとジャンプし、ドリルクラッシャーを打ち付けながら、ハリネズミで拘束。

その瞬間にビットでセシリアは他のゴーレムの動きを止めるためビットとレーザーによる援護射撃、鈴は一夏を支えて脱出する。

 

生憎ゴーレムの動きは原作と先程からの映像でよく見てたから理解している。

俺はゴーレムの回転やレーザーを躱し、拘束したゴーレムの体を徐々にダイヤモンドに変え優勢になる。

 

「へぇ〜、そんなことも出来るんだ。」

 

「...」

 

「そんな事言ってられるのも今の内ですわ! 行きなさい、ブルー・ティアーズ!」

 

こいつ、自分の守り役(ゴーレム)がピンチなのになんで楽観的で居られるんだ?

疑問を持ちながらもゴーレムの装甲にトゲを刺し、破壊していく。

セシリアの無駄のない援護も相まって一体に集中出来るのが幸いだ。

 

「...でもさ、こっちは()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

美空が指を鳴らすと2体のゴーレムと破壊されたゴーレムの破片が一体化。

一体の分厚い装甲のゴーレムとなった。

 

「な!? 合体した!?」

 

「まさか、まだ強くなりますの!?」

 

「どうする?二人共」

 

ち、これが狙いだったのか!

俺達は同じように合体ゴーレムへと立ち向かうが装甲が固すぎてブルー・ティアーズのミサイルやドリルを使ってもトゲで刺してもダメージがいかない。パンチやキックも同様で、その上素早いためセシリアの精密射撃も間に合わず、ダイヤモンド化も出来ない。

 

『だったら!』

 

「タァンク!!」

 

『アー ユー、レディィ!?』

 

『ビルドアップ!』

 

『ハリネズミタンクフォーム』になり、装甲を削るように蹴りを入れ、ガリガリと音を立てながら装甲から火花が散る。

時間は掛かるが先程より効いている!これなら!

と、思った矢先美空は笑みを浮かべる。

 

「ああ、あとこんな事も。」

 

「え!? きゃああ!!」

 

すると合体ゴーレムから何とゴーレム一体が分離されセシリアへと突撃。飛び出した勢いでとんでもない速さになっている。

インターセプターも回避も間に合わず、回転をモロに喰らったセシリアは吹き飛ばされ壁に激突、気絶してしまう。

 

「セシリア!!」

 

「よそ見してる暇あるの?」

 

っ! しまった!!

振り向くと合体ゴーレムがレーザーを発射。

俺は直撃を許し、変身解除されてしまった。

 

「ぐはっ!...はっ、ああっ!」

 

『オルコットさん、桐生くん! 大丈夫ですか!?』

 

「もう眠いし疲れたし、ビルド連れてさっさと帰ろ。」

 

そう言ってゴーレムに俺を捕まえさせようとする。

抵抗しようにも俺はダメージで動けない、万事休すか...!

 

『建兎っ!!』

 

!! この声、鈴!?

 

『そのままやられるなんてあたしは絶対許さないから! あんたが全力で一夏とぶつかれって言ったのよ!? ならあんたもやってみなさい!!』

 

いや、なんか色々違うんだけど。

勝手に都合よく解釈しすぎだろ。全く...。

でも、ま。ここまで言われて立たないわけに行くか!!

 

俺は自分の頬を強く打ち、立ち上がる。

ビルドドライバーやフルボトルをを拾い上げ、腰に巻き付ける。

 

「何言ってんのかよく分かんないし、あんたも往生際悪いし。」

 

「ああ、俺は最後までクライマックスだからな。」

 

「もっと何言ってんのか分かんないし...。でももう勝てないって分かってるでしょ?」

 

「いや、違うね。 ...さあ、実験を始めようか。」

 

俺の左手に茶色のフルボトル、右手には水色のフルボトルがある。

これは賭けだ。もしかしたら効かないかもしれない、なんて言ってられないけどな!

 

シャカシャカシャカシャカ

シャカシャカシャカシャカ

 

『ゴリラ!!』

『ダァイヤモンド!』

 

『ベストマッチ!!』

 

『アー ユー、レディィ!?』

 

「変身!!」

 

『輝きのデストロイヤァァ...!ゴリラ、モォンド...! イェェェイ...!』

 

新たなるビルドのベストマッチ。『ゴリラモンドフォーム』

茶色いボディと水色に輝くボディ。

右の剛腕と左の角張った腕。

ゴリラのパワーとダイヤモンドの硬さ。

それらが組み合わさったパワー重視のフォームである。

 

「懲りないね...。やっちゃって。」

 

先程と同じく合体ゴーレムに襲わせるが俺は拳をいとも簡単に受け止める。

 

「な、何で!?」

 

『ふぅ、良かった。耐えられるか分かんなかったから、な!』

 

そして押し返す。

ゴーレムはたじろぎ2、3歩下がる。

そのまま俺はゴーレムを攻撃。どんどん装甲が凹み、レーザーはダイヤモンドに変え、逆にゴーレムにはじき返す。

 

「っ! なら分離させて!」

 

『無駄だよ。』

 

ゴーレムの合体を解除して数で攻めてくるもほとんど同じである。

こちらは相手の回転を受け止められるパワー、レーザーを変換できる能力の前では数が増えたところで装甲が薄くなり、弱体化しただけに過ぎない。

 

「そん、な...」

 

美空は初めてまともな表情を見せ、落胆する。

正直ここまでと思ってなかったのだろう。

一夏達を余裕で相手にしていたゴーレム達がどんどんやられ、奥の手である合体化すらまともに効いていないのだ。

脚が故障したゴーレムを思いっきり殴り破壊。残り一体となった。

 

「っ! まだ!終わってないし!」

 

だが美空は諦めず再びゴーレムを合体させる。

最初のより幾分か装甲は減ったがまだまだ大きい。

合体ゴーレムは装甲が所々剥がれながらそのまま突撃してくる。

...よし、これを使うか。

 

『勝利の法則は、決まった。』

 

『レディ、ゴー!!』

 

俺は突撃してくるゴーレムに向かって走り出し、落ちている装甲をダイヤモンドに変え、ゴーレムにぶつける角度を瞬時に計算、足に当てる。

するとゴーレムはバランスを崩し、前かがみに倒れるので俺は倒れてくるそいつの肩に乗り、大ジャンプ。

右腕に力を込めて中心部分に脳天割り!!

 

『ボルテック、フィニィィッシュ!!』

 

『イェェーイ!!』

 

『はぁぁ、ハァッ!!』

 

するとゴーレムは大爆発を起こし、動かなくなる。

これで、完全勝利だ。

 

「...任務、失敗。けどこのままじゃ終わらないし。」

 

『あ、おい!』

 

くっ、ゴーレムに夢中で油断した。ISを纏って逃げる美空を捕えられなかった。

 

『桐生、ご苦労だった。少ししたらそちらに教師陣が向かう。お前はオルコットを連れてピットに戻れ。』

 

『...了解です。』

 

織斑先生からの言葉に俺は変な返答をしてしまう。

そうだ。セシリアは大丈夫か? 見た感じ絶対防御が発動してたから無事だとは思うけど...。

それに、美空...。あいつはなんでここに?

 

俺は少し考え事をしながらピットへと戻る。

ピットでは山田先生や一夏、鈴が心配した顔で駆けつけてきた。

一抹の不安を残しながら、クラス代表戦並びに謎のIS襲撃事件は幕を閉じた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

美空Side

 

「...任務は失敗した。 っ! うるさいな、分かってるよ!」

 

IS学園から逃走して少し経ち、今あたしは報告をしていた。

元々はビルド、桐生建兎を捕らえて連れてくるっていうわざわざあたしが行く必要も無いくらい、簡単な仕事だったはずなんだ。

あたしの能力で全く新しいISに変えたんだからすぐに済むと思ってた。それなのに!

 

「...桐生...建兎!」

 

悔しかった。

今まで研究材料として扱われてきたあたしは引き取られた所であらゆるミッションをこなしてきた。

あたしを拾ってくれたお姉ちゃんの家とは真逆にそこはロクな奴がいなかった。けど今はあそこしかあたしの居場所が無いから仕方なかったんだ。

お姉ちゃんとは離れ離れになったけどお姉ちゃんとお母さんとの思い出を支えに頑張ってきたんだ。

それなのにアイツのせいで失敗し、あのうるさい女の小言で最悪の気分だ。

 

「...もう、今日は寝よう。」

 

あたしは諦めてさっさと帰ることにした。

桐生建兎(ビルド)への復讐を誓いながら...




原作1巻を終わらせました。
ようやくのゴリラモンドフォーム登場です。
この作品を読んでくださっている方が違和感を感じることなくするための勝手な行動でした。
これからはこんな事のないよう気をつけますので、また次回もよろしくお願いします。

Next→第20話 更けるナイト、謎めくローグ

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