あと前話は再アップされて話が少し変わっているのでまだ見てない人は目を通しておいて下さい。
「織斑先生、解析結果が出ました。」
ここは学園の地下にあるごく少数しか入れない関係者以外立ち入り禁止の部屋。
建兎によって破壊された謎のISはここに運び込まれ、解析がされていた。
そして数時間後、結果の報告のため山田先生が千冬へ報告する。
解析している間、千冬はずっと謎のISの映像を冷たい目で眺めていた。
「ああ、どうだった?」
「あれは元々ラファールだったものが何者かによって全く別のISへと書き換えられていました。織斑君の言っていた通り無人機でコアも登録されたものかどうかも...」
「...そうか、ご苦労だった。」
千冬には1つ心当たりがあった。
それが唯一かつ可能性があった案だったが、どうやらその望みは薄そうだ。
束ならばわざわざ作りかえるなどせずとも無人機は生み出せてしまうはず。ただ襲撃するためだけにそんな回りくどい事をするとは思えなかったのだ。
それにあの少女。
何か桐生と因縁があったようだが...。桐生は奴のことは知らないという。
ただ、あいつは何か隠している。聞いた所で答えてくるとは思えないが...。
千冬は再び映像に目を戻す。
山田先生も千冬同様今回のことについて全く分からず謎は深まるばかりだった。
今回のこの事件。一体誰が何のために引き起こしたのか...。
千冬Side out
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???Side
ここは人里離れたとある拠点。
そこの取調室のような所に美空と数人の女が居た。
「じゃあ、詳細を教えてもらえるかしら?」
美空の前に座るのは長い金髪の美しい妙齢の女性、スコール・ミューゼルとその後ろに立つ橙の髪で腕を組みながら笑う女性、オータムと織斑千冬と瓜二つの少女、Mこと織斑マドカである。ちなみに彼女はゲームは得意な方だ。
ここは数十年前から秘密裏に活動していたテロリスト集団、『亡国機業』である。
「...あたしはまず織斑一夏とピンクっぽい機体に乗ったツインテールの女と戦ってて圧倒してた。そこにビルドと青い機体に乗った金髪の女が現れて、最初は押してたのに途中から姿を変えたビルドにやられた...。確か茶色と水色で出来ていた奴だったと思う。」
「なるほど...。中国とイギリスの第三世代機、『甲龍』と『ブルー・ティアーズ』、そして『白式』には通用した、と。でも、まだまだ改善の余地はありそうね。」
「ふっ、出不精で他人任せに戦うお前には荷が重かったみたいだな。」
オータムの嘲笑に美空は怒る。
「っ! うるさい! あんな形態があるなんて知らなかったんだ!」
「そんなもの理由にならん。ビルドが勝利し、お前が敗北した。ただそれだけだ。」
マドカの正論に何も言えない美空。
そこにスコールが口を開く。
「よしなさい、2人とも。」
「というか、なんであたしが送り込まれたの!? あたしじゃなくても良かったでしょ!?」
「そうね...。あまり詳しくは言えないけど改造したISの試運転と...保険ってところかしら。」
「ほ、保険?」
「まあでもとりあえず専用機のデータの確保と
「おいスコール!次の戦闘はいつなんだ!?今度はアタシに行かせろよ!」
「落ち着いて、オータム。最初からあなたを送り込むつもりよ。まあその戦闘自体しない可能性だってあるけど。」
「よしっ!ようやくアイツと戦えるんだな! どんなものか御手並み拝見させてもらおうか、ビルド!」
最後の言葉が聞こえてなかったのかオータムは叫びながらうずうずしている。
そんな光景にスコールは苦笑、マドカと美空は呆れている。
(さて、と。)
スコールは懐から建兎の写真を取り出す。
(この子は何としてもこちらに引き込みたいわね。力もそうだけど彼には何か秘密がある...。カワイイ顔もしてるし、独占したくなっちゃう)
そう思い、これからの戦いに1人笑みを浮かべるのであった...。
亡国機業Side out
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建兎Side
「じゃあ、やっぱりアレは束姉さんの作った奴じゃないの?」
『うん、確かにアレは束さんの作ったゴーレムと似てるけどけんくんの特訓の為に作ったの以外は知らないから...。きっとその美空って子がやったんだろーね。』
事件のあった夜、俺は自室で束姉さんと連絡を取り合っていた。
束姉さんはどうやらこの事が起きたのは知っていたが連絡しようにも俺のビルドフォンがハッキングされて出来なかったとのこと。
そのため、彼女が前世のビルドに出ていた主要人物であることや彼女が何かしらの組織に加担しているかもしれない事を話した。
『レーザーや回転する機能は似てたけど明らかに合体とかは出来なかったからね。ていうか束さんでも合体できるIS作るのに結構かかるし。あの子を守ってた所からさしずめ『ガーディアン』と言ったところかな?』
「え、合体ってそんなすぐに出来ないの?」
『うん。ISにはそれぞれ意識みたいなのがあるし、複数のコアがあるからって複数のIS分のエネルギーを賄える訳じゃないし。そもそも合体させること前提で作られているならまだしもね。』
「だったらあの子についての情報は何か無い?」
『うーん、良くわかんないんだよね〜。生まれや名前はもちろん、年はパッと見15、6歳だろうってくらいだけど..。少なくとも襲撃してきて経歴も掴めないってことは
「そっか...。分かった、こっちもまた何かあったら連絡する。あ、あと父さんは?」
『あー、そーさんはね...。『いって! 痛てぇ!踏んじまって悪かったって! だから噛み付くなよ! っあ! 建兎と電話中か!? おい、こいつは何なんだ!? いきなり家に現れたと思えば襲いかかってk イデデデ! 』...ていうわけ。 けんくん、このトカゲみたいなの何か知ってる?』
「トカゲ? ...あ。もしかしてクローズドラゴン...?」
『え、何それ。ビルドにペット居たの? というかこっちはそーさんばっか襲ってて大変なんだけど。』
「あー、分かった。そいつもこっちに送ってきて。多分俺なら大丈夫だし。」
『ん、りょーかい! そーさんもよろしくって!ついでに新しいボトルも送るね!じゃあ、けんくん、バイバ〜イ!』
「うん、じゃあね。」
まさか家にフルボトルだけじゃなくてクローズドラゴンまで来てるとは思わなんだ。
すまないな父さん。しばし耐えてくれ。
...しかし分からない。
美空がこの世界に居たのは龍我や父さんのこともあるからおかしくはない。
問題は美空が敵側にいて、ISのシステムに干渉出来ることだ。
美空は普通の人間じゃないって束姉さんも言ってたから仮に試験体として、美空の居た研究所かどっかから亡国機業かなんかの組織に連れてかれた。とか?
それに原作みたく特別な能力が宿ってる。ISに干渉して改造することが出来るだけでも厄介な上にもし亡国機業の奴らの専用機が大幅に改造されていたら原作乖離どころじゃないし、ビルドがあっても対応し切れるかどうかも分からない。
...ビルドに対する影響力がある恐れも孕んでるしな。
コンコンっ
なんて事を考えているとドアが鳴った。
開けると楯無さんが。
「やっほー、調子はどう?桐生くん。」
「はあ...、まあ普通ですかね。気になることは多々ありますけど」
「でしょうね。少しお話させてもらっていい?」
俺が了承すると楯無さんは部屋に入り、椅子に座る。
お茶やお菓子を出し、話を進める。
「で、桐生くん。彼女については何か知らない?」
いきなり核心ついてくんなこの人...。
まあ俺に用があったって話を聞けばそう思っても仕方ないんだがな。
とは言っても「前世の時にテレビに出てたキャラなんです。」なんて言うわけもない。
「...知らなくはないですが話せないです。あまり詳しくもないので」
「詳しくなくてもいいから知りたいんだけどな〜、教えてくれたらお姉さんサービスするのに〜。」
「じゃあどこまでなら知ってるんですか?」
「そうね...。彼女は普通の人間ではないこと、何かしらの裏稼業にいること、ISを改造できること、あなたと何かしら因縁があること、かしらね。」
「ほとんど知ってんじゃないですか...。」
相変わらず凄い情報収集力だこと。
「まあこんなのは朝飯前よ。とは言っても本当に知らなかったみたいね。はあ〜、何か掴めると思ったのにな〜。」
「いや、でも何で裏稼業に居るって分かったんですか?」
「あー前にも言ったと思うけど私達「更識」は裏の世界にも通じててね。自然とそういう情報も集まってくるのよ。ちなみに今1番濃い線いってるのは『亡国機業』に所属している、かしらね。」
やはり...。楯無さんも同じ考えなようだ。
IS学園のシールドは前に事故が起きたばかりでなんとも言いがたいがとても強固なものであり、普通は簡単に壊されたりなどしない。
それを容易く行ったということはそれなりの力を持っていると考えるのは当然。
真っ先に亡国が挙がるのもうなずける。
「あれ? 桐生くん、もしかして君も同じ考えなの? ということは亡国機業について何か知ってるんじゃ...」
しまった
「あ、あーっと、ちなみにあの時楯無さんは何してたんですか?」
上手くごまかせず変な受け答えになってしまい、楯無さんは怪しげにこちらを見てくる。
「...少しその態度は気になるけどまあいいわ。あの時はいつでも出撃できるように備えてたんだけど君が居たから代わりにあのISの情報収集やシールドの制御してたの。これが出来たのは既に本音ちゃん達が避難指示をやってくれてたからだけどね。」
「そうなんですか...。」
ふふん、と言った顔で言う楯無さん。
この人はやはり凄い。
直接あのISと戦った訳では無いが、あの状況の中冷静に出来ることを見つけ裏方として生徒や先生のために先を見据えて行動した。
生徒会長並びに国家代表と言うだけはある。
「凄い、ですね、楯無さんは。戦うだけじゃなくて色々と出来るし生徒会長とはいえ皆のためにそこまでやるなんて。」
「あら、珍しいわね。桐生くんが褒めてくれるなんて。よしよし、お姉さんも褒めてあげる!」
そう言って頭を撫でてくる楯無さん。
彼女はからかう目的でしたのだろうがとても心地よい。
最近はトラブル続きだったしせっかくだからと彼女に身体を預け、抱きしめられながらしてもらおうとしたら突然辞めてしまった。
「あっ...。」
「き、桐生くん!?どうしたの!?」
「あ、えーっともう一回して欲しいんです、が...。」
「え!? あ、ああ!いいわよ!」
身体を預け、背中に手をまわされながら再度撫でてもらう。
なんだろう、とても優しくて暖かくなる。思わず顔がほころんでしまう程だ。本音もこんな気持ちだったのかな?束姉さん同様やっぱり甘えられる年上はいいもんだ。
「〜♪」
「!!」
と、少しして楯無さんはやめてしまった。
まだやってほしかったが流石にダメか。
「ありがとうございました。」
「あっ、う、うん。」
心なしか挙動不審になる楯無さん。
それに顔もほんのり紅くなり、俯き出した。え?ちょっと待って?まさか?
「あの、楯無さん?」
「へっ!? な、何!?」
「いや、どうかしたのかなって」
「べ、別にどうもしないわよ!? あ、ああ!あと時間取ってごめんね!お茶とお菓子もありがとう!」
「はあ、どうも...。あ、あと楯無さん。」
「な、何かしら。」
「その、また、お願いしてもいいですかね?」
「!!?!?」
立っている楯無さんに対して見上げるようにお願いする。
楯無さんからしたら上目遣いになるが果たして...ってもう既に顔が真っ赤になってるわ。
「え、ええ!!い、いいいいわよ!?いつでも、お姉さんに任せなさい!じゃ、じゃあお邪魔しました〜!!」
テンパりすぎて言葉がおかしくなってる。
扇子のチョイスも何故か『檀黎斗神』だし。
そしてそのまますごい勢いで立ち去ってしまった。
...これはもしや、フラグを建ててしまったか...?
あんまり気持ちがいいもんでつい...。はあ、また悩みの種が...。
残された部屋で俺はポツンと1人で、新たに追加されたこれからの楯無さんとの関わりについてまた頭を悩ませることになった。
建兎Side out
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楯無Side
「はあっ、はあっ、はあーっ!」
今私は寮の廊下を走っている。
話を聞きに行った『2人目』であり、恩人の男の子の元から逃げてきたのだ。
とても息を乱れさせ、顔もとても紅くなっていると自分でも分かるほど。しかしそれは走ったからじゃない。先ほど目の前で起きた光景が頭から離れずとてもモヤモヤしてるからだ。
廊下の端に辿り着き、心臓を手で抑えると
ドクンッドクンッドクンッドクンッ
と普段よりも速く鼓動している。
これも恐らく走ったからじゃないだろう。
「はあ...、一体、何で?」
『2人目』であり恩人と言うのは彼は『2人目』の男性IS操縦者であり、子供の頃私と簪ちゃん、並びに従者である虚ちゃん達を助けてくれた恩人ということだ。
彼は良くも悪くも目立っていた。
頭が良く運動も出来てイケメンで優しい。これが私の聞いた子達の評価だ。中には『1人目』であり
このように女尊男卑じゃない子達からはとても評判は良かった。
けどその反面、彼は過去や生い立ちなど素性が知れなかった。
暗部の一族である更識家の情報網を持ってしても分からず、先程の様子からも彼にはまだ誰にも話していないだろう秘密を抱えていることが分かる。
ただ少なくとも悪い人ではないということは前の接触の時から分かっていた。それにからかいがいのあるかわいい子っていうことも。
だから今日も情報を得るついでにいっぱいからかってあげようと思って頭を撫でたら...まさかそのまま身体を預けてくるなんて...。
それにあの笑顔...。
普段のキリッとした真面目な顔やクラスメイトと談笑して笑っている顔とは違う完全に緩んで気持ちよさそうにした顔。
そんな顔を見て私は不覚にもドキッとさせられた。普段から冷たく返してた彼がこんな表情するなんて、と。ギャップって奴なのかな?
お願いしてくるから再び撫でてあげたらまた身体を預けてきて凄く嬉しそうだった。桐生くんの甘えてくる姿に可愛らしさを覚えてしまい、思わずうろたえてしまった。
そして最後の上目遣い...。あれは反則でしょ!!
頬を少し赤らめて小動物が餌をお願いしてくるみたいな顔して...!それが狙ってやった訳じゃなさそうなのが腹立たしい!
それでもう私は耐えられなかった。
呂律が回らなくなり、思わず走り出してしまった。
何なんだろう、これ。 恋、なのかな?
今までしたこともする機会もなかったから...こんな事でこんなになってる私ってもしかしてチョロい...?
で、でも、桐生くんは私に「お願い」をしてきた。単純に後輩が困ったことがあって先輩に相談するみたいに。
そう、そうよ!あれはその、違うわ!決してそういうものではないのよ!
不純異性交遊とか、そういう目的で桐生くんは言ったわけじゃないわ!
そう思うと少しずつ落ち着いてきた。
そう、これで良いのよ。私は先輩として後輩のお願いを聞く。今までやってきたことじゃない。それがちょっと、その、えっと、ボディータッチが含まれてるだけよ!
少し心がチクリとしながらも私はまた自分の部屋へ向かうため歩き出す。さて、戻ったら次は事件の情報収集に残ってる資料に目を通して...はあ、抜け出しちゃったこともあるしまた虚ちゃんにドヤされるわね。
何かと事件が続いてるからそろそろ桐生くんには生徒会での活動もしてもらおうかしら。
でもいきなりは厳しいかしらね...。ま、でも教えてあげれば大丈夫でしょ。またその時にでも...
『楯無さん。この書類、これでいいですか?』
『どれどれ...。うん、大丈夫よ。』
『やった!ありがとうございます!...じゃあその、いつものを...』
『また〜?しょうがないわね〜。はい、おいで』
『えへへ〜、またこれで頑張れます!』
『こんなのでいいならいつでもやってあげるわよ。』
『...本当ですね?』
『え...?』
『俺...これからも、楯無さんに頭撫でてほしいです!』
『ちょ、ちょっと、桐生くん!?』
『楯無さん。俺生徒会役員として頑張ります!だから、楯無さんにいつでも褒めてもらえるように...俺と...「付き合ってもらう!!」』
「ひょわあああ!?」
ドアの前から突如聴こえた声に変な声が出る。
「き、桐生くん!!そ、そんな!ダメよおおお!!」
私は妄想していた時から出ていたであろう鼻血が止まらないまま、羞恥心に耐えきれず自分でも驚くぐらいの速さで再び逃げるように走り出す。
そして生徒会室に着く頃にはとんでもない貧血で虚ちゃんにとても心配されてしまった...。はあ、これから桐生くんの顔ちゃんと見られるかしら...。
楯無Side out
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そして楯無が走り去っていく頃皆が一斉に部屋から出てくる中、とある一人が不機嫌そうな顔をしていた。
黄色い着ぐるみを着た赤髪の女の子、布仏本音である。
「さっきの何だったんだろ〜」
「トーナメントで優勝したらどうとか〜って」
「ていうか変な叫び声したけど大丈夫なのかしら」
女子生徒達は口々に先程の声について話し合うが本音はそんな事は気にしておらず、
「む〜、きりりんめ〜今度はたっちゃんなの?また他の子とばっかり〜...。ふんだ!明日口聞いてあげないもん!」
皆がまだ喋り続けている間、一足先にぷくーっと頬を膨らませて自分の部屋に帰ってしまった。
こうして「美空の襲撃」、「美空の能力」、「楯無さんとの接し方」に加え、「本音の不機嫌になる頻度の高さ」も建兎の頭を悩ませる要因の一つとなった。
今話で先にも話していたように一旦ssの更新がストップします。
とても微妙なタイミングで終わらせてしまうのは忍びないですがご了承ください。
もしかしたら何かしら投稿するかもしれませんが
ではまた3月まで!
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