IS VS Build   作:シュイム

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今回ちょっと一夏にアンチ入ってるかもしれません。


第24話 優しさのボーダーライン

「ええとね、一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握してないからだよ」

 

「そ、そうなのか? 一応分かってるつもりだったんだが...」

 

「うーん、知識はあるけどそれが生かせてないって感じかな。一夏のISは近接武器だけだからもっとよく把握しないといけないよ。さっきの僕との試合みたいに間合いを詰められずに負けちゃったり瞬時加速も一夏の場合直線的だから予測で攻撃できちゃったりするから。」

 

「直線的か...。 ちなみに向きとか変えようとしたらどうなるんだ?」

 

「無理して変えようとしたら空気抵抗とかで機体に負荷がかかって最悪骨折しちゃうよ?」

 

「よし、やめとこう。」

 

今日は土曜日。

前の世界なら学校は休みだったがIS学園では違う。

午前に理論学習、午後の自由時間を利用してアリーナでの実習をよく生徒は行っている。

 

現に俺達もそうしており一夏はシャルルの分かりやすいレクチャーを受け、箒と鈴は羨ましそうに2人を見ながら練習してる。

というかさっきからそのせいで集中出来ていない。

ちなみに俺はセシリアとだ。

 

白式は零落白夜に容量を使いすぎて他の武器が使えない。

そのため実際に銃を使うのは一夏は初めてだったりする。

慣れない武器に苦戦しながらもシャルルの指示通り試し撃ちを続けている。

 

そんな中で俺はシャルルに注目していた。

今のところ、一夏の話以外は原作乖離が起きている感じはしない。

専用機も「ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ」だし、今話している内容を聞く限り性能は原作と変わっていないと分かる。

だがまだ結論を出すのは早い。アイツが敵になるか味方になるか分からない内は目を光らせておこう。

 

そんなことを考えていると奴さんはやってきた。

 

「ねえ、ちょっとアレ...」

 

「ウソっ、ドイツの第三世代型だ」

 

「まだ本国でのトライアル段階だって聞いてたけど...」

 

シャルルと一緒に転校してきたラウラである。

彼女もまた話題となっており皆が注目する。

 

「おい」

 

「...なんだよ」

 

「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。私と戦え」

 

「専用機持ち」を「ライダー」に変えたら完全に浅倉じゃん。ビルドのコブラ枠はスタークで十分なんだが。

 

「イヤだ。理由がねえよ」

 

「貴様にはなくとも私にはある」

 

前にも言ったが彼女は織斑先生を心酔している。

それがなぜ一夏を恨んでいる事になるかと言うと第2回モンド・グロッソが理由だ。

あの時一夏が攫われたことを知った織斑先生は試合を棄権し一夏救出に向かった。

彼女の強さをよく知る者達は大会二連覇を期待してただけにまさかの不戦敗に驚愕。

そして一夏の誘拐されたルートを知っていたドイツ軍関係者への借りを返すために織斑先生はドイツ軍の部隊での教官に任命され、そこでラウラと出会った。

 

そこで彼女は織斑先生に救われ、尊敬するようになる。それから織斑先生の経歴に泥を塗った一夏に恨みを持つようになったのだ。

俺に対してはまあ、恐らく織斑先生が助ける前に攫われた一夏をビルドに助けられた云々とかでムカつくって事だろうな。

 

はっきり言って俺と一夏にとってあの事件はあまり思い出したくない出来事である。

一夏自身も姉に迷惑をかけたと(先生本人は気にしてないが)責任を感じており、俺ももっと他に方法があったのではと後悔しているからだ。

 

しかしラウラはそんな事知るわけもないので

 

「ふん。ならばーー戦わざるを得ないようにしてやる!」

 

瞬間ラウラは自身のISを戦闘状態にシフト、左肩の砲台から実弾を一夏に向かって発射。

 

ゴガギンッ!

 

「...こんな狭い所でいきなり戦闘を始めようとするなんて、ドイツの人は沸点が随分低いんだね。ビールだけじゃなくて頭もホットなのかな?」

 

「貴様... フランスの第二世代型ごときが私の前に立ちふさがるな!」

 

「未だに量産化の目処が立たないドイツの第三世代型よりは動けるだろうからね」

 

しかしそれをシャルルがインターセプト。

自らも武器を構えて威嚇、一触即発の雰囲気になる。

 

しかしその静寂を破ったのは

 

『そこの生徒! 何をやっている! 学年とクラス、出席番号を言え!』

 

騒ぎを聞きつけた担当教師の声だった。

 

「...ふん、今日は引こう。 桐生建兎、貴様もいつか叩き潰す。」

 

そう言ってラウラはさっさとずらかる。

あくまでさっきの俺への恨みの理由は推測だけどもしそうだとして逆恨みが過ぎる気がする。

 

「一夏、大丈夫?」

 

「あ、ああ。 助かった。」

 

「今日はもうあがろっか。 そろそろアリーナが閉まるし。」

 

「おう。そうだな。」

 

...あ、もう。終わりか。

新しいボトルの調子試してたから夢中になってたわ。

さて、今日は簪と話があるんだけどちょっとその前に...

 

「ふぅ、ではわたくし達もそろそろお開きとしましょうか。 桐生さんも彼女には気をつけてくださいましね。」

 

「オルコットさん、ちょっと待った。」

 

「はい?」

 

「ボーデヴィッヒさんの事なんだけど、もしオルコットさんが襲われたらその時は....」

 

来たる脅威は避けるべし。

セシリアにとある話をしておいて今日の実習は終わった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

「...いちいち気にかけてくるの。 お節介もしてくるからめんどくさくて」

 

「そう! そうなんだ! 最近は無かったが私に声もかけず一人で突っ走る事が多々あった! それこそ何度呆れたことか...」

 

ここは整備室。

この間簪が1組を訪れた際に箒にも冷たく接してしまったことを謝罪。

それ以来仲良くなり、今は姉に対する愚痴話に花を咲かせていた。

 

「私なんて影から監視されたりもしてーー」

 

「私なぞ監視どころか心を読まれたりするぞ!? 本当に人間なのかあの人は!」

 

「...お互い姉に好かれてるね」

 

「...ああ、ウザさを感じるほどにな」

 

恐らく2人の姉はどこかでこれを聞いてるし愛する妹の容赦のない言葉に打ちひしがれているだろう。

 

「...でも、私も私なんだよね...。」

 

「...?」

 

「お姉ちゃんに負けたくない、周りを見返したい。 そう思っているけど、心のどこかでそれを否定してる自分もいる気がする...。 本当はもっと素直になりたい、のかなって。」

 

「....」

 

「...箒は、どう? あのお姉さんの事は嫌い...?」

 

「わ、私...は「ごめん! 簪、遅くなった!」!!」

 

「はあ...はあ...。 あれ? 2人とも何か話してた?」

 

「い、いいいや! 何でもない! では、私はこれで、失礼する!」

 

突如現れた建兎に2人は驚き、箒はそのまま走って帰ってしまった。

何も知らなかったとは言え、簪は建兎を思わずジト目で睨んでしまう。

 

「....」

 

「えっと、何か、すみません...」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

一方その頃、箒は

 

「私は姉さんの事が、嫌い...なのか?」

 

簪の先程の質問が胸に刺さる。

正直に言えば好きではない。

好きな人である一夏や家族と離れ離れになってしまったのは姉の作り出したISのせいであり、小学生の頃から何度も何度も転校を繰り返し、心が休まる時など無かった。

 

しかし、自分は都合の良い時だけ姉の名を使うことがある。

常に自分は一夏への思いで何とか保ててこられた。

そんな一夏を取られたくなくて、一夏と一緒に居たくてつい、と。

 

思えばとても情けない。

私は「篠ノ之束の妹」じゃない、他の誰でもない「篠ノ之箒(一人の人間)」でありたい。

そんな思いだった癖にこの有様だ。

一夏に会えない鬱憤を剣道の対戦相手にぶつけていたあの頃と何一つ変わっていない。

 

謎のISが襲ってきた時も力が無いからと言い訳して結果的に一夏達に迷惑をかけてしまった。

しかも、そんな事をしでかしておいて罰は大した事がなかった。

ここでも「篠ノ之束の妹」という肩書きが味方をしてくれたのだ。

その事を姉さんはどう思うだろう。

 

「...姉さん。」

 

あなたは今も、私を見ていてくれているのですか? 大切な妹だと思ってくれているのですか? こんな、身勝手な私を...

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

簪Side

 

「じゃあテキトーにくつろいでって」

 

「う、うん。」

 

今、私は建兎の部屋..もとい織斑先生の部屋に居ます。

あれ以来建兎とは仲良く話せているけどいきなり彼の部屋に入るなんてドキドキが止まらない...。

まあその気持ちの半分くらいは織斑先生も住んでる部屋だからってことなんだけど

 

「建兎...」

 

「うん?」

 

「えっと、大丈夫なの? 私が男の子の部屋に入って。 織斑先生に怒られたり、しない?」

 

「あー、大丈夫大丈夫。 ちゃんと許可はとったから。」

 

「...そ、そう。」

 

それなら良かった。

女尊男卑の連中に襲われたりハニートラップを仕掛けられたりって危険もあるからこういうことってダメな気がするんだけど... 信用してもらえてるって事なのかな...?

 

「んじゃ、お茶入れてくるよ」

 

「あ、お気づかいなく。」

 

彼はそのままキッチンへ向かった。

私は何となくそわそわしてしまって彼を待っているとカタカタと小さく揺れてる変な箱を見つけた。

厳重にロックされて張り紙には『開けるな危険!』と書いてあった。

 

...開けるなって言われると開けたくなるんだよね。

私はシステムをハッキングしてロックを解除した。

思ってたより簡単なシステムだったので楽に開けられた。

そしてそれを開こうとした瞬間ーー

 

「簪、ダメだ!」

 

「!?」

 

後ろから建兎の声が。

しかしもう開けきってしまっていたので、中にあったものが勢いよく飛び出してきた。

 

『キシャー!』

 

「簪、離れろ! そいつは危険だ!」

 

「え? え?」

 

突然のことに動くことが出来ず、目の前のモノと目が合う。

それは小さなトカゲ?で、空を飛んでいた。

オモチャみたいだけどこんなの見たことない。

建兎のなんだろうか?

 

「...あれ? 襲わない?」

 

「え?」

 

『キシャー! キシャー!』

 

するとトカゲは私に寄ってきて、思わず避けてしまうが絡んできた。

私の周りをゆっくりと飛び、頭をスリスリしてくる。

あ、こうしてみると可愛い...かも。

 

「...建兎、この子は?」

 

「えーっと... クローズドラゴン、なんだけど。 そいつ襲ってこないな... いつもは誰にでも襲ってくるのに...。」

 

聞けばこの子はとんでもない暴れん坊で誰にも懐かず、建兎はおろか織斑先生でも捕まえるのに手を焼いたらしい。

あと建兎がこの部屋に移ることになったのもこの子のせいらしい。

説明してる時も私に近づいたからか建兎を襲っていたし、口から青い火も吐いていた。

 

「あっつう...。 でもまさかそこまで懐くなんてなあ...。あんなに苦労してたのが嘘みたいだ。」

 

「...ねえ、建兎。この子、私で預かっても...いい?」

 

「え!? で、でもそれは!」

 

「お願い! なんだかこの子私から離れようとしないし、近づいたら襲いかかってくるんでしょ?」

 

「まあ、確かにそうだけど...。」

 

「...ダメ?」

 

思わず建兎の手を取って覗き込むようにお願いしたら建兎がちょっと赤くなる。

 

「...わ、分かった! 分かった! 簪に預けるよ! でも何かあったら絶対俺に言えよ!?」

 

「! ありがとう!」

 

思わず飛び上がって喜んでしまう。

心無しかこの子も嬉しそう。

...でも「この子」はダメだよね。「クローズドラゴン」も長いし。

うーん...

 

「『クーちゃん』...」

 

「え?」

 

「そう! クーちゃん! 君はこれからクーちゃんだよ!」

 

『キシャー! キシャー!』

 

困惑する建兎を横に私はクーちゃんを抱きしめる。

えへへ、これからよろしくね。クーちゃん...♪

 

 

簪Side out

―――――――――――――――――――――――――――――――――

建兎Side

 

はあ、何だったんだクーちゃんって...。

まあクローズドラゴンが暴れずに居てくれたら万々歳なんだけどな。

簪ならばああいうのでも大切に扱ってくれるだろう。

 

簪の去った後の自分の部屋で俺は一人横になっていた。

もう夜に差し掛かる頃なので部屋に明かりを付けている。

織斑先生はまだ帰ってきておらず、静かな一時を過ごしていた。

...多分そろそろかな。

 

ドンドンッ!

 

「け、建兎! いるか!?」

 

来た

ドアを開けると走って疲れたような焦ったような顔をした一夏が。

 

「どうした?」

 

「頼む! ちょっと来てくれ!」

 

「...了解」

 

一夏に引っ張られ、部屋に入るとそこには

 

「...なんで建兎も?」

 

ジャージを着て、少し呆れたような顔をしたシャルルが。

アニメとかだと目に見えて女だと分かったはずだがあまりその様子は見られない。

 

「一夏に呼ばれたからな」

 

「建兎もシャルルを()()してくれ!」

 

...は? 説得?

 

「だから一夏...。 僕は助けて欲しい訳じゃないって」

 

「でも! 俺達にだって何か出来ることくらい...!」

 

「ちょっと待て待て、何がどうした?」

 

「...はあ。建兎にも一応話しておくね。実はーー」

 

ため息交じりにシャルルは自身の過去を明かす。

自分は愛人の子として生まれ、実の母と血の繋がらない妹と過ごしていた。

しかし、数年前に母が他界。

デュノア社に引き取られ、自分達2人は義母に叩かれ無理やりISに関する仕事をされたらしい。

そして父親が妹を別の金持ちの家に売り、自分は一夏と俺のISのデータを取らせるためにIS学園へ入学させたようだ。

 

「...で、僕は元は女なんだよ。 今はこんな体だけどね。」

 

「いや、それは知ってたけど。」

 

「知ってたのかよ!」

 

「じゃあなんで一夏にバレたんだよ?」

 

「...えっと、その元々女だったからか、その、アレが無かったから」

 

「一夏お前...どこまで見たんだよ...」

 

本格的に一夏と接したくなくなってきたんだが。

 

「い、いや! 悪かったよ! それは!」

 

「はあ...。 じゃあなんで女だった体がそうなったんだよ」

 

「...覚えてないんだ。」

 

「は?」

 

「僕には引き取られた時の間にブツっと記憶が途切れてる部分があって、多分その時...かな。」

 

...なんだそれ。とてもじゃないが本当の事とは思えないぞ。

でもシャルルの顔は何かを諦めたような顔ではない。

本当にあった事をただ淡々と話しているだけ。って感じがする。

 

「こんなことになったけど、2人にはその、黙っててほしいんだ。 僕はこの任務は失敗出来ないから。」

 

「!! 何でだよ! 親にそんな事強いられて、なんでそのまま受け入れられるんだよ!」

 

「...一夏」

 

熱くなる一夏を制止するがこいつは止まらない。

親に捨てられた自分と重ね合わせているから余計に感情移入してしまっているのだ。

 

「シャルルは、シャルルは何とかしたいって思わないのかよ!」

 

「一夏に僕の気持ちなんて分からないよ!!」

 

シャルルは突如大声で叫ぶ。

さすがの一夏もたじろぎ、黙ってしまう。

 

「...ごめん、でも僕は大丈夫だから。 2人には気持ち悪いかもしれないけど今まで通り振舞ってほしい。」

 

「シャルル、でも... っ!」

 

「...(フルフル)」

 

恐らく今は話がちゃんと出来ないだろう。

一夏の肩に手を乗せてシャルルを一人にするように促す。

 

「...シャルル、俺達は一旦メシ取りに出てくる。 その間少しだけでも一夏の言った事ちゃんと考えてみな」

 

そう言って出ていく俺達2人。

シャルルは俺の言葉に返答せず、俯くだけだった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

部屋を出て廊下に出る俺達。

しかしそこでも話は終わらなかった。

 

「建兎、お前はどうなんだ? アイツを、シャルルを救いたくないのか?」

 

「そりゃ救いたいさ。けど、アイツ自身が何とかしたいって思ってない限りどうしようもない。 」

 

「っ! そんな事ないだろ! ここの特記事項二十一だってあるし、その間どうにか「例えば」…?」

 

「小学生が宿題出来なくて困ってたらお前はその子の代わりに全部解いてやるか? 違うよな? せいぜい見てやるか教えるくらいだろ?」

 

「そ、そりゃそうだろうけど。 それは今の事とレベルが違うだろ!」

 

「ああ、小学生の宿題だったらお前一人でもどうにか出来るかもしれない。でもこれは国家が絡んだ重大な事だ。俺らだけじゃどうにも出来ない。」

 

「うっ、で、でも。」

 

「仮に俺達でどうにか出来たとして宿題はその子が解けるようになって理解出来なきゃ意味がない。後でどうにかしようとそのまま放置してたってより面倒になるだけだ。 そこら辺は今回の事と似てるんじゃないか?」

 

「それは...」

 

「100%救える方法が無いのに聞こえの良い言葉を掛けて親身になってやるだけじゃ『優しい』とは言わねえぞ」

 

俺の言葉に項垂れる一夏。

あ、やべ。簡単な例え話するつもりが言い過ぎたかも。

 

「けど、まあお前のそのシャルルを何としても助けたいって気持ちや他の人達に迷惑を掛けたくないって気持ちは良いことだとは思うぞ。」

 

「!」

 

「ただ俺達はまだまだ大人に助けてもらわなきゃならない子供だ。 ちゃんと大人を頼って確実にシャルルを助けられる方が良いだろ?」

 

「...ああ」

 

「俺達にはちゃんと信頼出来る、頼りになる大人だってちゃんと居るだろ? 感情的になって狭い視野で物事を見たって空回りするだけだ。 少し冷静に、な。」

 

「ふぅ...。 お前の言う通りだな。 ふんっ!」

 

一夏は自らの頬を強く叩く。

ようやくエンジンかかったかな

 

「俺も千冬姉に話してみるよ。建兎も何かあったら俺に言ってくれ。俺も、力になりたいんだ!」

 

「ふっ、了解!」

 

よし、これでこそ一夏だ。

バカだけど真っ直ぐ。さすが主人公だ。

 

「んじゃ、俺は束博士と生徒会長とに連絡取ってみるわ。 とりあえず今は飯だな。」

 

「え!? 建兎って束さんと面識あったのか!?」

 

一夏のツッコミが廊下に響く。

いちいちリアクション大きすぎだろ...。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

シャルルSide

 

はあ、酷いこと言っちゃったな。

2人は僕のこと助けようとしてたのに。

 

残された部屋で先程の出来事にシャルルは自己嫌悪していた。

自分が思わず言ってしまった言葉で特に一夏を突っ返してしまった。

 

「何とかしたいのは、僕の方だよ...」

 

建兎の言ってた事は分かる。

けど、今僕はどうしても達成させたい事があるんだ。

そのためには2人や皆を騙さなくちゃいけない。

心は痛む。でも、元々嫌だったこの体を利用すれば出来るはず。

 

そうしてシャルルはポケットから写真を取り出す。

そこには髪の長い女性と小さな女の子が2人。

一方は女性と同じ金髪で、もう一方は黒髪の子であった。

 

フランスの代表候補になって、堂々とまた会いに行くんだ。

待っててね、美空...。




このストーリー展開で良いのか不安を感じながら投稿。
ちゃんと考えながら書いてるから大丈夫だとは思うけど...
ではまた次回。

Next→第25話 青と黄と交差するブラック

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