IS VS Build   作:シュイム

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時系列は本編11話〜12話くらい
ギャグ成分入れたのでキャラ崩壊あるかも



閑話-3 一夏と建兎の勉強会

「で、全部のISにこのパッシブ・イナーシャル・キャンセラー、PICが搭載されてるんだ。 それによって浮遊、加速、停止してるんだよ。」

 

「お、それ山田先生が何度も言ってたな。 さすがに覚えたぞ」

 

織斑先生に一夏の勉強を見るよう言われてから数日。

ようやく基本を理解できるようになり、最初と比べてかなりペースが良くなった。

 

「しかし俺がやってなさすぎとは言え、建兎は本当に詳しいよな。 男なのになんでそこまで詳しいんだよ?」

 

「い、いや、あの参考書読んでりゃ誰でもここまで行けるって。」

 

「本当かぁ? クラスの子も全然知らないことまで知ってて凄いとか言ってたぞ」

 

くっ! コイツ本当に無駄なところで鋭いな

せめて今は束姉さんと住んでたことは内緒にしておきたい

なんかポロッと言っちゃいそうだし

 

歯切れの悪い俺の態度に疑いの目を向ける一夏

周りに生徒がいないからか少しずつ自分の心臓の音が大きく聞こえてくる

なぜ何も悪いことしてないのにこんなドキドキしなきゃいけないのか

 

「調子はどうだ?」

 

と、そこに救世主(織斑先生)が現れた

右手には袋を持ち、左腕で出席簿やらファイルを持っている

会議か何かの帰りだろうか

 

「おう、建兎のおかげでいい感じだぜ千冬姉!!」

 

「織斑先生と呼べ、全く...。」

 

口では一夏を叱るもののその表情は嬉しそうだ

先生としても姉としても一夏を案じてる彼女のいつもと違う一面である

しかし俺達のノートを覗き込み、やれ書き込みが足りないだの やれきちんと理解出来てるのかだの口を酸っぱくして言ってくる。

 

これもまた先生なりの愛情表現なのだ。

 

スパァンッ!

 

「桐生、また何か変なことを考えていただろう。 なんなら後で組み手の相手になってやろうか」

 

「いえ、結構です...。」

 

ひどい、思想の自由すら奪おうというのかこの人は

目の前の一夏も同情する目で見てきた

俺達は今、強い結束で結ばれた気がする

 

「全くどいつもこいつも...。 そうだ、差し入れと言ってはなんだがこんなものを買ってきた。 遠慮せず飲め」

 

ドンッと机の上に置かれたそれはとっても見覚えがあるものだった

 

「こんなの...見たことないぞ?」

 

「たまたま見つけたのだがドラゴンゼリーとロボットゼリーと言うらしい。 どちらか好きなのを2人で分けるように」

 

一夏は見たことないゼリー飲料に興味を持ってるがそういう問題じゃない

サイズや形は普通のゼリー飲料と同じだがそうじゃない

青い龍が描かれた銀色のゼリー飲料とロボットが描かれた金がかったゼリー飲料

こんな見た目のゼリー飲料なんてひとつしかない

 

 

...どう見てもスクラッシュゼリーだ。

いやこれ飲んじゃダメだろ

 

「え、大丈夫なんですかこれ」

 

「何を疑ってる。 私も飲んでみたが味はともかくとして普通に飲めたぞ」

 

不味かったのに何故差し入れとして持ってきた?

 

「ドラゴンゼリーを飲んだ山田先生は体調不良を訴え会議を欠席したが」

 

山田先生ぇぇぇぇ!!

 

「いやなんで飲ませたんだよ!」

 

「山田先生にも労うつもりで買ったからな。 まあ今日は朝から調子が良くないと言っていたし疲れが溜まったんだろう」

 

それは絶対関係ない

 

「では何か質問があれば私に聞きに来い。 時間までには自室に戻れよ」

 

これだけ危ない物残してそのまま帰るの!?

ここまで嫌な話されて飲みたくなるわけないだろ!

 

俺の思いとは裏腹に先生は去ってしまった。

あの人マジで身体が何で出来てるのか不思議で仕方ない

 

そして残された俺たちは...

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「...どうする? これ」

 

「...少なくともドラゴンゼリーは飲みたくないぞ」

 

山田先生の二の舞になりたくないので2人とも手をつけようとしない

かと言ってクラスメイトの誰かに飲んでもらおうとか捨てようとか提案しても一夏が頷くとは思えない

 

日も傾きはじめ、そろそろ自室に戻らなければならない

とりあえずこの問題は後々に持ち越しだな

 

「...俺、トイレ行ってくるわ」

 

「...俺も行くわ」

 

途端にどっと疲れがやって来たと同時に尿意も来た

目の前の現実(ゼリー)から目を背けるように俺達は教室を後にする

 

 

────────────────────────────────────

「一夏、居るか? ....居ない。 トイレか?」

 

「きりりんも居ないね〜」

 

一夏達がトイレに行った後、箒と本音が2人の様子を見に教室にきた

2人が居ないことを確認し、2人が勉強していた所へ向かう

 

「きりりんのノートすご〜い! 今度見せてもらお〜」

 

「た、確かに... 私もこのくらい出来れば一夏と...ブツブツ」

 

各々別の感想を持ち、しかし共に好意を持つ者に対する反応をする2人

特に箒は一夏の前で素直になれない事が多い分、建兎に嫉妬してる節の様子も見られる

 

「ん? これはなんだ?」

 

ふとその時箒が2つのゼリーを見つけた

見たこともないゼリーだったがまだ冷たく、表面を露が滴っている

 

「なにそれ〜」

 

「ゼリー...だとは思うが、初めて見る。 ちょっと気になるな」

 

「私も私も〜! 喉乾いちゃった!」

 

2人ともちょうど水分を欲しており、ゼリーに対する興味も相まって箒はロボット、本音はドラゴンのゼリーを手に取る

 

「一夏達の物だと思うが...まあ後で返せば良いだろう」

 

「ちょっとだけなら大丈夫っ♪」

 

そう言って2人はゼリーを潰し、思い切り中身を飲み込む

冷たいジェル状のものが喉を勢いよく流れ、爽快感を味わった途端

 

「☆¥%○+<「〒^~!?」

 

「♪$°*×=」々|…!?」

 

えも言われぬ味が身体中に染み渡り、2人の頭を刺激。

まるで頭から何かしら溢れ出てきそうな感覚の中、2人はその場で倒れた

 

 

数分後、トイレから戻ってきた一夏達に発見され、2人は保健室へ運ばれた

寝かされた2人はうわ言で二字熟語ばかり言うようになったり、エビフライを欲しがっていた

 

翌日、山田先生に本音に箒が授業を休み、スクラッシュゼリーが販売中止になったのは言うまでもない。

 


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