IS VS Build   作:シュイム

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受験期なのに4話投稿とか我ながら頭おかしい。
しかし、コメントやお気に入りして下さる皆さんの期待は裏切れない!

では、第3話! 続きをどうぞ!


第3話 ゼロから証言する

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心臓が止まるかと思った。

まさか束博士だけでなくマスターまで気づくとは思わなかった。

 

「...何者ってどういうこと?」

 

「言葉通りの意味だ。 お前は少なくとも普通の小学生じゃない。 気付いてないと思ってるかもしれないが、俺の技術書読んでるの知ってるからな。」

 

「...!!」

 

「束ちゃんが来た時、お前驚いてたよな? 全く知らない人のはずなのになんであんな反応したんだ?」

 

「それは...」

 

やばいやばいやばい。どんどんあっちのペースに持ってかれてる

束博士は何も言わずにじっとこっち見てるし。

マスターがここまで鋭いなんて。

なんて考えてる間にも質問は続く

 

「最後に。こないだの事件についてだ。 お前はあの事件が起こってる最中、驚くでも怖がるでもなく、ただ平然と見てた。世界中がパニックになったってのに小学生があんな態度はおかしいだろ。 そもそもここまでの話を理解できてる時点で普通じゃないと思ったが。」

 

...侮ってた。見くびってた。

ただでさえ忙しく、少ない時間でしか俺と触れ合えなかったはずのマスターがその少ない時間でここまで見抜くなんて。

驚くのと同時にそこまで俺を気にかけてくれてたのかと嬉しさもあった。

...マスターの親バカが移ったかな。

 

「...」

 

「どうなんだ? 答えろ、建兎」

 

言葉とは裏腹にマスターの瞳は凄く真っ直ぐだった。

疑ってるのではない、純粋に俺を見ている。

そんなマスター、いや父さんの気持ちに折れた。

 

「...うん、分かった。 義父さん達の考えは合ってる。話すよ。全部」

 

そうして俺は父さんと束さんに全てを話した。

俺が転生者で神様から生き返らしてもらったこと。

幼児の頃から前世の記憶があったこと。

束さんやこの世界の人々を詳しく知ってること。

そして...この世界の未来を知ってること。

 

義父さんに束さんは何も言わずに俺の顔を見て一言一言噛み締めるように聞いていた。

話し終わって、辺りは静かになる。

 

「...これが俺の全て。 ごめん、騙してて。」

 

「けんくん...」

 

「建兎、それは全て本当なんだな?」

 

「...うん、俺はこの世界の人間じゃない。本当は居たらいけないイレギュラーなんだ「違う!!」...!」

 

突然父さんが大声を上げるので俺も束博士もビックリした。

というのも父さんは今まで俺に対して怒ったことはあっても、怒鳴った事は無かったからだ。

束さんも普段の父さんからは想像もつかなかっただろう

父さんの表情はさっきとうって変わり、怒り一色になっていた。

 

「お前がイレギュラー? ふざけるな!! お前がどんな秘密抱えて、血が繋がってなかろうと、何年も掛けて俺が育ててきた大事な息子だ!! お前はその事も否定する気か!!」

 

「違う...違う!! 俺は!! 」

 

「いいか、お前は確かに転生してこの世界に来たかもしれん。だが、今更お前がどうしようとこの世界で生きてきた、過去は無くなったことになんかならない!! もしそれでも今お前がイレギュラーだと言う者がいるなら、俺がぶっ飛ばす! それがお前自身でもだ!!」

 

普段の陽気な雰囲気なんて影もない、熱く力強い言葉だった。

すると、いきなり束博士が抱きついて頭を撫でてきた。

 

「え!? あの、ちょっと!?」

 

「...けんくん、束さんはまだけんくんをあんまり知らない。だから束さんがこんなこと言っても信用できないと思うけど、束さんはけんくんを信用してる。そーさんと同じ気持ちだし、全部知ってて束さんを拒絶しなかったけんくんも大好きだよ? だから...」

束さん達はけんくんと一緒にいるよ

 

その言葉で遂に涙が出てきてしまった。

ずっとずっと心のどこかでこの気持ちをぶつけたかったのかもしれない。

心のどこかでその言葉を言ってくれるのを待ってたのかもしれない。

 

俺はただただ束博士、いや束姉さんの胸で泣きじゃくった。

結局男は何歳になったって母性には敵わないって事がよーく分かった。

父さんも何も言わずに俺の背中に手を回し、さすってくれた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ぐすっ、うぅっ、ふぅ。」

 

「落ち着いた?」 「落ち着いたか?」

 

「うん、ありがとう。2人とも、こんな変な話聞いてくれて。」

 

「ううん! 束さんもけんくんの心の底の気持ちが知ること出来てちょー嬉しいよ!」

 

「ああ、俺もお前が事実を隠してた事に怒りなんかしないよ。これでようやく親子の絆が深まったってことだ。」

 

「え、親子の絆なんか元々あったの?」

 

「嘘だろお前! このタイミングでそんな事言うか!?」

 

「あーそうだね。 そーくんは親って感じじゃないかも。親戚のおじさんかな?」

 

「束ちゃんまでそんな事言うのかよ!!」

 

「「「ぷっ」」」

 

そして、俺たちはおかしくなり笑いあう。

やっぱりシリアスよりもコントみたいな雰囲気が似合っているな。

 

「はーあ、けどありがとうね。束姉さん。俺、吹っ切れた気がするよ」

 

「!!!??!?、け、けんくん! もっかい!もっかい今の!!」

 

「え? 吹っ切れた気がするって...」

 

「その前!!!」

 

「え? えっとぉ... 束姉さん...?」

 

「!!!!!」

 

うおお、束姉さんが凄い嬉しそうな顔してるわ。

そんなに嬉しかったのか。

 

「いよっしゃーーー!! 束姉さん貰ったぜーーぃ!!

ほーきちゃんも呼んでくれなくなったから落ち込んでたらけんくんから呼ばれるなんて!! これからもその呼び方でお願いね♪」

 

「あ、はい。」

 

「おい、建兎! 俺には!? 俺にはないのか!?」

 

「え、じゃあ父さんって...」

 

「うぉっしゃーーー!! 遂に父さんキターーー!!

いっつも義が付いてたがようやく! ようやく真の父になれた!! これからもその呼び方で頼むぞ♪」

 

大の高校生と大人が小学生からの呼び名で騒ぐなうるさい

はぁ、これから呼び方変えた方がいいかな...

 

「そうだ、俺たちの事も何か聞きたいことあるか? お前、大抵知ってるかもしれないが」

 

「あー、じゃあなんで父さんは「イヤッフゥゥゥ!」うるさい!!束姉さんの「イヤッホォォォ!」だからうるせぇ!味方、というかサポートしてあげたの? 正直、あんまりメリットは無いよね?」

 

そう、この事についてだ。

もし束姉さんの論文が完璧だったとしてもいち高校生のために私財を投げ打ってまで援助してあげる事が父さんにとっていい事だとは思えない。

見ず知らずの人のしかも世界各国の科学者が相手にしなかったものに対して

 

「あー、それはな。 俺が宇宙に行ける全く新しい機械作りたくて科学者になったって前教えたろ? まあ結局出来なかったんだけどな。 そこに束ちゃんが来た。」

束姉さんの方を見る。あ、ドヤってる

 

「正直すげえ嫉妬したよ。悔しかったし、こんなにも歳違う子に先に実現されちゃったからな。」

 

頭をかきながら、苦笑して言う。

 

「けど、やっぱり時代を作ってくのはいつでも子供の夢だからな。 俺たち大人はその子供達の夢を未来の現実にするため、少しでもその子達に力を貸してやるべきだって思うんだよ。 だからこそ、俺はお前のいう、突飛もない話にノったんだ。」

 

そう、だったのか。

父さんにあったのは本当に優しさでも情でもなくて、自分の夢を束姉さんに託そうとしてたんだ。

本当に強いのは人の思いってことだな。

 

「そーくんのおかげで束さんは他人が全部全部石ころって訳じゃないって思ったんだよ。 もちろん石ころ並に役に立たない奴だっているけど、そーくんやけんくん、少なくとも束さんの事を篠ノ之束(天災)じゃなくて束さん(しのののたばね)として見てくれる人はお気に入りの人以外もいるって分かった。 だから束さんが丸くなったのは半分はけんくんのおかげだね♪」

 

そこまでハッキリ言われるとなんか...照れるな

 

「お!? けんくんが照れてる! イェーーーイ!! 今日は最高だぜぇぇい!」

 

「建兎の照れ顔だと!? これは是非ともカメラに収めねば!!」

 

...。

今自分の顔がどうなってるのか自分でも分かんないけど目の前の二人を見る限りとんでもない顔なんだと思う。

 

「あ、ち、違うんだよ。けんくん。 けんくんが可愛かったからつい、ね...?」

 

「そ、そうだぞ、建兎。 お前は昔から感情の起伏が少なかったからこういう珍しい事もあるもんだーって思って...」

 

「...。」

 

 

数分後

 

 

天災兎と親バカマスターから数個のたんこぶ、たんこぶからは真っ白な煙が上がり、両者ともノックアウトしていた。

 

「そういや父さん」

 

「なん...だ...息子よ」

 

もう既にグロッキーに到達しているがその中でも返答しようとする惣一には感服する束であった

 

「あそこまで気づいてて何で俺が自分の過去について聞いた時顔しかめてたの?」

 

「あーっと...それはだな。」

 

バツの悪い顔をし、ゆっくりと立ち上がり奥の部屋へ行ったかと思えば

 

「こんなものがお前のベビーカーに入っててだな」

 

そう言って渡されたのは1枚の何の変哲もない紙だった

開けてみると

 

『無事に着きましたか? あなたはこれから「桐生 建兎」として生きていって貰います。 この世界についてはあなたの方がお詳しいと思うのでおまかせします。 ビルドドライバー、フルボトルはベビーカーに入れておきました。 では良い人生を 神より』

 

...なんじゃこりゃ

 

「その、最初それ読んだ時捨てた奴のイタズラだとおもったんだけど...

建兎の様子見ててひょっとしてって思ったんだ。だからその...」

 

「ありゃりゃ、 こんな用意までして、驚きだねーけんくん。 ...けんくん?」

 

なーにをやっとるんだあの神はぁぁぁ!!

こんなのバレて当然じゃねーか! 俺の10年近くの苦労返せ!!

てかこれじゃあ父さんが鋭かったのかこれ読んで知ったのか分からんし!!

...後で問いただす必要があるな

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

その頃、森では...

 

 

「へっくしょい! うーん、誰か噂してるんでしょうか。それとも風邪かなぁ」

 

神は少し常識がズレていたようだ...

天然なのかもしれない

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 




長ったらしくてすみません! しかし、今回の話は構想が消えない内にどうしても早めにやっておきたかったし、個人的に重要な回だったので!
では次回! ビルドに変身します!

Next→第4話 建兎のアイデンティティー

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