リミテッド・ストラトス   作:フラワーワークス

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Extra.ある豪奢な建物の会議室にて

「まったく、バカンス中でしたのに急に呼び出されるなんていい迷惑ザマス!」

 

「ええ。コチラも次のコンペに向けた追い込みで忙しいのですが」

 

「ISにまつわる緊急案件とあらば、参集も致し方ないでしょう」

 

「ま、常任メンバーとしての面子もあるしな」

 

 

 

「静粛に。これより議長の名のもとに会議を始める」

 

 

 

「議題については、あらかじめ聞き及んでおりますが……」

 

「IS学園がまた襲撃されただと?」

 

「資料を見たが、生徒が失踪したなど前代未聞だぞ! それも二人!」

 

「しかも、闘技場のピットが大破したなんて」

 

「間違いございませんか、織斑先生」

 

 

 

「お手元にある報告書に記載された通りです」

 

 

 

「これは由々しき事」

 

「トーナメントが無事に済んだのはなによりですが……」

 

「悠長に構えてはいられないザマス!」

 

「下手人は、資料によりますと亡国機業となっておりますが」

 

「お待ちください。出所がオールドファッションというのが解せません」

 

「ごもっともです」

 

「反体制的な組織の甘言に違いありません!」

 

「むしろ、自分たちの犯行をカモフラージュするためとか?」

 

「まあ、お待ちください。テロリストにはISを扱う者がいるとのこと。つまり、我らと同じ女性が所属しているのでは」

 

「なんてこと! オールドファッションにかどわかされたに違いないザマス!」

 

「ごもっともです」

 

「……どう思いますかな、賛助殿」

 

 

 

「はあ……、わ、わたくしめ、ですか?」

 

 

 

「本会議の中で唯一の男性としての意見を伺いたい」

 

「どーせアンタもオールドファッションに一枚噛んでんだろ?」

 

「にしても、また頭髪が薄くなったのじゃありませんか?」

 

「さらにより太って」

 

「失踪した生徒は君の娘が含まれているのだぞ! シャキッとしないか!」

 

「音に聞こえた有力議員の名声も落ちますわ。ああ、失礼。元・有力議員でしたわね」

 

「静粛に。賛助殿、お考えや如何に」

 

 

 

「は、はあ。では、僭越ながら。……オールドファッションの言は欺瞞ではないと思います。これまでと同じであるなら、無視を決め込んでIS関連の失態に手を叩いて喜んでいたでしょうから。ですので、変化の兆しがあるのではないでしょうか」

 

 

 

「ほおら! やっぱり野郎は野郎ザマス! 悪びれもせず庇い立てをするだなんて!」

 

「しかし、確かに注意喚起を促すのは異例と言えるな。ハゲデブ賛助の言うことも一理ある」

 

「冷静に言いつつ辛辣ですわね……」

 

「私はハゲとデブが嫌いだ」

 

「ごもっともでぶ」

 

「ん?」

 

「……わ、わたくしを見るんじゃないザマス! わたくしは単にふくよかなだけザマス!」

 

「な、何も申しておりませんわっ」

 

「オールドファッションの動きが違うのは、LS乗りが在学しているからでは?」

 

「む……」

 

「副委員長、続けて」

 

「いえ、確かに賛助殿のおっしゃるとおり、昨今のオールドファッションは動きが鈍い。我らへのあてつけが減り、むしろ奴らの関連組織と思しきものから便宜を図られることすらある。ちょうど、LS乗りが表に出てきたときと同じ時期だ」

 

「そういえば、確かに」

 

「資料によりますと、今回の学園襲撃事件において、LS乗りは過分な働きを示したとか」

 

「間違いございませんか、織斑先生?」

 

 

 

「はい。リミテッド・ストラトスのパイロット、一(にのまえ)十三八(とみや)の働きにより、事態を抑えられました」

 

 

 

「ふぅん……」

 

「オールドファッションからの警告文と、LS乗りの働きか」

 

「LSとオールドファッションがグルであるのは確定的にも明らかと言えます」

 

「ごもっともです」

 

「それでは信用するというのか! そもそも亡国機業の危険性は周知の事実。いかにオールドファッションが本件でポイントを稼いだからといって、反体制組織であることに変わりはない!」

 

「どう思われますか、賛助殿」

 

 

 

「はあ、……呉越同舟、とは相成りませぬか?」

 

 

 

「まかりならん!」

 

「いや、勝手に決めんなよ、大将」

 

「今回の件ばかりで決めるのも、軽々に過ぎますが」

 

「とりあえず、その、とみや君、だったかな? その子を在校させておけばオールドファッションも大人しくなるし、亡国機業対応もしてくれそうだし、今のままでいいんじゃないかな?」

 

「まあ、仮想敵組織が大人しくなるなら、やぶさかでもないか」

 

「ふん! 運の良い坊やザマス!」

 

「わたくしとしても、異論はございませんわ」

 

 

 

「ごもっとも、ではありません」

 

 

 

「!?」

 

「!?」

 

 

 

「皆様、それでは落としどころが困ったことになりますわ。織斑先生をはじめ、IS学園、及び学園を運営する我らの失態ということになりますもの。わたくし達の綺麗なお顔にドロを塗られるなんて、考えたくもありません」

 

 

 

「で、ではどうお考えなのですか?」

 

 

 

「スケープゴートを。幸いLSは世間的な嫌われ者。彼の動きが悪かったからこのような事態になったとすれば、我らの面目も立ちましょう?」

 

 

 

「…………」

 

 

 

「あら、織斑先生は不服かしら? いえ、そうでしょうね。教師として、教え子を気に掛けるのは真っ当なことですわ」

 

 

 

「しかし、その、とみや君を犠牲にすることによって、学園の名誉を守り、ひいては在校する生徒や教員たちの立場も守る、ということだね?」

 

「オイオイ、話聞いてたのかよ、姫様? それじゃあオールドファッションがまた何しでかすかわからないぜ?」

 

 

 

「なにも退学させよという訳ではありません。ほとぼりが冷めるまで、休学ということにしておけばよろしいでしょう」

 

 

 

「なるほど……」

 

「それなら、穏便にすませられそうだ」

 

「バカとハサミは使いよう、ってやつですわね」

 

「織斑先生、そして賛助殿、異論はございますかな?」

 

 

 

「…………いえ」

「はあ、……特には」

 

 

 

「結構。では、IS委員会臨時議案についてはそのように決定する。さて、次の議案に移る。エクスカリバーについてだが……」

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