リミテッド・ストラトス   作:フラワーワークス

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Ⅴ 一十三八の幸運な一日

 自室に使っている研究室のベッドの中で睡眠から覚醒した一(にのまえ)十三八(とみや)は、まどろみにもたげることなく半身を起こした。呼吸を深く確かめるように行い、胸に手を当てると脈が正常に打っている。

 

(ああ、今日も目を覚ますことができた〉

 

 ほ、と口元に笑みを浮かべ、ささやかな幸運を噛みしめた。

 

(起きられたのは自分だけ、なんてこともあったからなあ)

 

 身支度を進めながら、過ぎた日々を思い出す。合宿所のような施設で暮らした、同じ境遇の仲間たちとの共同生活。

 よく訓練で一緒になった隣席の赤髪の男の子は、人懐っこい笑顔が特徴的だったが、ある朝冷たくなったまま硬いベットの上から起きてこなかった。その隣の黒髪の男の子も、その隣の浅黒い肌の男の子も、昨夜まで語らっていたはずなのに、朝、急に電池が切れたかのようにピクリとも動かなくなった。

 ついに部屋で寝泊まりする者は自分一人になってしまって、大人たちになぜそうなったのかと尋ねると、それは運だと答えられた。

 

「僕はとても運がいいから、お前とも仲良く出来ているんだよなあ」

 

 身だしなみをを整え、首に待機状態のLSのドッグタグを下げる。トンと叩くとくすぐったがるようにゆらゆら揺れた。

 その上にジャージを羽織り、朝の外へと走り出す。日課のジョギングだ。

 よく晴れた春の朝は、冬の名残りのように寒いが空気はとても澄んでいた。次第に明るさが増す太陽は頬に温もりを感じさせる。

 

(施設の人口灯とは全然違う)

 

 屋内でいつも浴びていた明かるいだけの冷たい光と違い、お日様の明かりは生き物に活力を与えてくれる。日が登るに連れ、あたりの動物たちも動き出した。

 前方、頭の上の電線には数羽の小鳥が止まってさえずっていた。練習中なのかてんでバラバラだったが、一羽の親鳥らしい大きさの鳥がチーチチ、チーチチ、と歌うと、子供の鳥たちもそれに習うようにさえずりが纏まっていった。

 

(こういうのに感動できるって、ありがたいことだよねえ)

 

 施設の訓練生の中には、心を無くしてしまった子もたくさんいたのに、自分はこうして心を動かすことが出来ている。

 あの小鳥たちのような親子の絆というものは、自分は持っていないからこそ、よけいに尊いものに感じた。

 

(そういえば)

 

 と、十三八は小鳥たちを走り見ながら思う。

 

(僕はあの施設に入る前、一体どこに居たんだろう)

 

 ある日目覚めるといろんな男の子たちと合宿していた。お前たちはISに乗るために命を与えられたのだ、と言われ、その指示のまま訓練し、生きてきてきた。

 だから、その前のことは何も知らなかった。ひょっとすると、自分はその施設で生まれたのかも知れない。もしくは両親に捨てられたのか、保健所から任されたのか。

 

(僕にも、あんなふうに、親や兄弟がいたのかなあ)

 

 小鳥たちの止まっていた電線に近づくと、さえずりは止み、一斉に東の空へ飛び去った。十三八の走って行く方向だが、とても追いつける速さでも、高さでもなかった。

 はたと、トミーは一人立ち止まった。まだ息が切れるほど走ってはいない。疲労もない。ただ、朝の寒さが急に身に沁みたように感じたのだ。

 朝日が雲間に隠れてしまったからかもしれない。そう空を見上げると、

 

「トミーく〜ん!」

 

 と後ろから呼びかけられた。

 声の方を向くと、活発そうなボーイッシュの女の子が十三八、もといトミーのもとに走りよってくる。おはよう! と挨拶してくるのは、

 

「おはよう、お清(きよ)さん。朝から元気だね」

 

 同級生の相川清香(きよか)。トミーの隣席の布仏本音と仲がよく、その繋がりで親しくなった子だ。

 

「あはは、そのお清さんって、なんだか女将さんみたいな古風な呼び方だなあ」

「ああ、ゴメン。別の呼び名の方が良かった?」

「ん〜ん、せっかくトミーくんが付けてくれたんだからい~の。独特のセンスを感じる、ってやつ?」

「気を遣わなくてもいいからね。言い出しっぺは本音、もとい本ちゃんなんたから」

「トミー君が呼び名を考えて、ってフリだったもんね。大丈夫。トミーくんからの呼ばれ方、結構気に入ってるから」

 

 それは良かった、とトミーは清香のジョギングに足並みを揃えた。トミーの方が上背はあるが、清香の方が足が早い。

 

「お清さん、ハンドボール部に入ったんだってね。このジョギングも朝練なの?」

「ん〜ん、単なる趣味。私、身体を動かすの好きだから」

「それでこんなに走るペースが早いんだ。そんなに運動出来るんなら、ISにも直ぐに乗りこなせそうだね」

「どうかなあ。セシリアさんとか、あんまりスポーツに熱心そうじゃなくても適性高いでしょ? 私もあんなふうに飛べたらなって思ってるんだけど、まだぎこちなくってさあ」

「セシリアの飛び方は綺麗だもんね。お清さんも、直に空を走れるようになるよ」

「早くそうなりたいなあ」

 

 空を見上げながらぐんぐん走っていると、ところでさあ、と、清香が面白そうに訪ねた。

 

「トミーくんがセシリアさんに惹かれたのって、飛び方が綺麗なことも関係あるの?」

「……なんの話?」

「付き合ってる疑惑のおはなし〜」

「昨夜のクラス代表決定記念パーティーでも話したけど、別に僕とセシリアは付き合ってないよ」

「うん、聞いてる。でも、トミーくんがそう言ったときのセシリアさんの表情知ってる?」

「なんかジト目だったね。もっと早く釈明して貰いたかったんだと思うよ」

「あ、そう捉えちゃったか。ちょっと脈アリだったかもとか、思ったりしないの?」

「ほぼ女性しかいない環境で疑惑を持たれちゃうのって、セシリアは正直嫌だったと思うよ」

「たは〜、トミーくんは冷めてるなあ〜」

 

 そうかなあ、とトミーは首を傾げた。

 

「じゃあお清さんは、もし男子校に一人で入学したとしても、恋愛したいと思う?」

「うわ、それはキツイ。っていうか怖い」

「でしょう? 解って貰えて何よりだよ」

「んん〜、でも、もし好きな人ができたらどうなっちゃうかなあ。やっぱり、学校の外かどこかで一緒に居たいって思うんじゃないかな?」

「それは……、そうかも、しれないね」

「でしょ? 結局、好きな人が出来ちゃったら冷静になんていられないよ」

 

 だから、と清香はトミーの鼻先に人差し指を向けた。

 

「トミーくんも周りを気にして自分の気持ちを抑える必要ないと思うな。別にガツガツしろってことじゃなくて、変に縮こまらないでもっとオープンでも良いってこと」

「僕は今でも充分伸び伸びやってるよ」

「そうなの?」

「うん。いい仲間達に出会えたからね」

 

 清香の目を見ながらトミーはそう言った。

 自分の過去はともかく、今はとても恵まれていると思っている。目の前にいる少女も含めて、ここに来て良い出会いがたくさんあった。

 それはとても幸運なことだろう。

 

「そっか……。うん、トミーくんがそう思っているなら良いけどね! んじゃ、ラスト、校門まで競争しよ!」

「いいね。それじゃあ、ヨーイ……」

 

 ドン、と二人で疾走していった。

 朝日は明るくあたりを照らし、寒さが次第に和らいでいく。

 先に校門に着いたのは、ぶっちぎりで清香だった。

 

 ◆

 

「生徒会に?」

「そ〜。お昼休み、なんとか代わりに行ってもらえないかな〜?」

 

 教室、朝のホームルームが始まる前に、トミーは隣の本音から頭を下げられた。

 聞けば、本音は生徒会の書記を任せられているらしい。今回は用事があって行けないから、トミーに代役になって欲しいそうだ。

 

「別に構わないけど、本ちゃん生徒会に入ったんだ。一年生なのに偉いね」

「ちょっとしたコネがあっただけだよ〜。それにお仕事あんまりやってないから偉くなんてないのだ〜」

「いや、それはちょっとどうなんだろう……。別に僕が代わりに行かなくても大丈夫じゃない?」

「そう言わずに〜。出席人数が一定数揃わないといけない〜、とか、生徒会の決まりがあるかもしれないし〜」

「あるかも、って確認はしていないんだ。でも、確かに有り得そうな話だけど」

「でしょ〜? じゃあ〜、よろしくお願い〜……」

「ちょっとお待ちなって頂けます?」

 

 本音が押し切ろうとした間際、セシリアが間に割ってきた。眉をひそめた表情から、話の流れに批判的なようだ。

 

「布仏さん、大切な生徒会の役割を、役職のない一般の生徒に代わって頂くというのは如何なものでしょう。もし代役を建てるのでしたら、生徒会に近い方、例えばクラス代表の一夏さんが適任ではなくて?」

 

 次にトミーに視線を向け、

 

「貴方も、簡単に人のお願いを請け負いすぎです。今朝は相川さんのジョギングにわざわざ付き合ってあげたとか。もっと主体性というのを持つべきですわ」

「あ、いや、別にお清さんとは今朝たまたま一緒になっただけで。っていうか何で知ってるの?」

「相川さんが先程、楽・し・そ・う・に、貴方と一緒に走られたと仰ってましたので」

「笑顔で強調されると怖いのだけど……」

「別によろしいのですよ? あだ名で呼び合うほどの間柄なのですから・ね」

 

 あれ〜、と本音がちゃちゃを入れた。

 

「セッシ〜、何でそんなにご機嫌ナナメなの〜?」

「不機嫌ではありません」

「自分はトミーにあだ名を付けて貰えていないから〜、とか」

「思っていません」

「じゃあ〜、付き合ってる疑惑を晴らされたから〜、とか」

「余計なお世話です!」

 

 とにかく、と本音の話を遮って、

 

「生徒会の代役は別を当たること。よろしいですね」

「え〜」

「え〜、ではありません!」

「まあまあ、セシリア」

 

 何ですの、とセシリアは相変わらず不機嫌そうにトミーを見た。

 

「他ならぬ本ちゃんの頼みなんだから、僕としても断りたくないよ。もしセシリアが言うように生徒会に近い人の方がよかったって向こうで言われたら、今度からそうするからさ」

「おお〜、トミー愛してる〜」

「ゲンキンな愛だなあ」

 

 ムス、とふくれっ面なセシリアは、では、と前口上を置いて、

 

「私もトミーさんにお付き合いしますわ」

「へっ」

「微妙な反応ですのね。私が一緒ではご迷惑でしたか?」

「いや、そうじゃないけど……」

「ぶ〜、セッシ〜には頼んでないよ〜」

「私も頼まれておりません。トミーさんの付き添いという形です。大切な生徒会のお話ですし、構いませんわね?」

 

 しょうがないな〜、と本音は不承不承頷いた。

 トミーは不思議そうにセシリアを見ると、何か目配せをしているのに気がついた。その意図を計りかね、どうしたの、と口に出そうとしたところで、担任の織斑先生が到着し、この場はお流れとなった。

 

 ◆

 

「一緒に来てくれてありがとう。でも、わざわざ付き添いだなんて、何か生徒会に思うところでもあったの?」

 

 昼休み、手短に昼食を済ませた二人は足早に廊下を歩いていた。先を行くセシリアの歩みが早いためだ。

 

「どことなく、違和感を覚えたからです」

「違和感?」

「IS学園では、生徒会長が好きに生徒会役員を選ぶことが出来るそうです。恐らく布仏さんもそれで一年生ながら選出されたのでしょう」

「そういえば、コネがあるんだって本ちゃん言ってたね」

「ええ。であるなら、布仏さんは生徒会長から息のかかった生徒と言えなくもありません。とすれば、今回トミーさんを代役に選んだのは何か裏があるのではと思ったのです」

「う〜ん、そんなに穿った話かなあ」

「貴方は不用心すぎですわ。一夏さんと並ぶ希少な男性IS操縦者ですもの、良きにつけ悪きにつけ注目されて然るべきです。その点、一夏さんはクラス代表になりましたから、立場もありますし表立っておかしなアプローチをされにくいでしょう」

「ひょっとして、セシリアがクラス代表辞退したのってそこまで見越してたの?」

「一夏さんがクラス代表に相応しいと思ったのは本当です。諦めない姿勢や、誰かを守りたいという想いは賞賛に値します。でも、もしそう思わなかったとしたら、貴方をクラス代表に推していたでしょうね」

 

 顔だけ振り返るセシリアの表情は柔らかい。彼女がクラス代表決定戦で全勝していたにも関わらず、代表を辞退した事に後悔は無いようだ。

 それは、別の言い方をすれば、彼女に認められたということだろうか。こうして自分のことを案じてくれていることも。先日友達になって欲しいと手を差し出されたことより、そのほうが嬉しいと思った。

 

「ありがとう、セシリア」

「べ、別に、貴方が危なっかしくて放っておけなかっただけですわ。さ、着きましたわよ」

 

 生徒会室の前で足を止めた。背の高い両開きの立派なドアだ。立札が無ければ学園長室か何かと見間違えたかもしれない。

 自然と、生唾を飲んで一つ息を着いた。

 ノックは三回。重くて固い音が扉の分厚いことを示していた。どうぞ、という中からの声も小さく低い。

 

「いらっしゃ〜い」

 

 が、中の人物の声は明るくて高かった。

 

「失礼します。布仏本音の代役で来ました、一十三八といいます。それと」

「セシリア・オルコットと申します。この度は十三八さんの付き添いで参りました」

「話は本音から聞いているわ。十三八くんだけ呼ぶと言ってたのだけど、特別にセシリアちゃんも許可しましょう」

 

 内側にはねた青い髪の生徒会長は、社長デスクのような会長机の上に腰を預けて言った。

 

「生徒会長の更識楯無よ。あなたたちのクラス代表決定戦、見てたわよ。イギリス代表候補生と、リミテッド・ストラトスの操縦者さん」

 

 天晴、という文字が開かれた扇子の上で踊った。

 明るく、しかしどこか値踏みしているような視線は、捉え所の無い表情で演技なのか素なのか掴みづらい。

 セシリアは視線を動かすと、

 

「……失礼ですが、生徒会長以外には誰もいらっしゃらないのですね。はじめからトミーさんを呼ぶつもりだったのではないですか?」

「そんな怖い顔をしないでよセシリアちゃん。私がLS操縦者を直々に呼んだというのを、マズイと見る人もいるってことよ。そうね、まだるっこしいのは無しにして、単刀直入に言うわ」

 

 更識の顔付きが真面目なものに変わる。

 

「生徒会に入りなさい、一十三八くん。それがあなたのためよ」

「……えっと、理由をお教え願いますか?」

「そうね、それを伝える前に聞きたいのだけど、IS学園屋外アリーナの天井バリアについて、何か知ってる?」

 

 トミーは首を傾げ、セシリアは眉間にシワを寄せた。

 

「……本来でしたら、アリーナ上空にはバリアが展開され、内外の移動が出来なくなるハズ。しかも外から突入されようものなら、観客席はシールドで守られるようになっている。しかし、私達のクラス代表決定戦では上空のバリアが張られておりませんでした。私も後から知った話ですが……」

「何故だと思う?」

「まさか、僕、いや、LSに関係が?」

「そうよ。IS学園側はLSが勝利を掴まないよう、空を開放したの。特にセシリアさんは勝てるようにね。一夏くんは男性だからどうでも良かったみたいだけど」

「そうまでして、なぜLSを嫌うようなマネをするのです?」

「本当に嫌いな人がいるのよ。もし男性が乗るLSが、女性の乗るISに勝利してみなさい、世の中の常識が脅かされることになるわ。それを良しとしない連中が、この学園の管理側にもいるって訳」

「なんて勝手な……! トミーさんはあんなに矜持を持った戦いをいたしましたのに」

「その辺については少し見直されているみたいだけど、微々たるものよ。でも、だからって私はあなたが、この学園の生徒が変な危害を受けるのを黙って見逃すつもりは無いの。私はこの学園の生徒会長だから、ね」

「それで、僕が生徒会にいたほうが、更識さんからは守りやすい、と」

「そ。一夏くんも男性操縦者という点で目をつけられているけど、彼はクラス代表という生徒会に近い立場だから目が届きやすいわ。でも、あなたはそうじゃないでしょう? どう? あなたにとって、悪い話では無いと思うのだけど」

 

 確かにそうだ、とトミーは思った。

 自分の預かり知らぬところで自分を快く思わない人がいる。しかも裏で手を回して嫌がらせもしている。それを良しとしない、という楯無の話はとても頼もしく聞こえた。

 しかし、

 

「せっかくですけど、ご遠慮いたします」

「あら、知らないお姉さんのお誘いは不信に思っちゃった?」

「いえ、そうじゃないです。楯無さんが僕のことを案じてくれるのは嬉しいですよ。でも」

 

 セシリアを一瞥して、

 

「僕の近くにも、僕のことに気を遣ってくれる優しい友達がいます。だから、この先何があっても、きっと大丈夫です」

 

 今こうして、一緒についてきてくれる世話好きの友人がいる。こんなに頼もしい人が身近に居るのだから、わざわざ生徒会長の手を煩わせることは無い。

 それに、自分の事くらい自分で対処したいという、ちょっとした男の子的な考えもあった。

 

「あら〜、なるほどね〜。お姉さん、余計なことをしちゃったかしら。ゴメンナサイね、セシリアちゃん♪」

「そ、そ、そうですわねっ。生徒自身の自主性を尊重するのも、生徒会長の務めかと思いますわっ」

「上ずってる上ずってる♫」

「喉の調子が悪いだけですっ!」

 

 そういうことにしておきましょうか、と楯無はケラケラ笑った。口元を隠す扇子には青春と書かれている。トミーには文字のチョイスが解りかねた。

 

「それなら安心だわ。正直、十三八くんが女の子だらけの環境に馴染めているか心配だったのもあるから」

「幸運にも一夏という同士もいますから、それなりにやっていますよ」

「よろしい。それじゃあ、人間関係を良くやっているあなたに、一つ野暮用をお願いできるかしら」

「何なりと」

 

 楯無は一枚の紙を差し出した。簡単なプロフィールのようだ。添付されている写真には、元気そうなツインテールの女の子が写っている。

 

「実は今日の放課後、転校生がここに到着することになってるの。クラスは一年二組、名前は凰鈴音。中国の代表候補生よ。学園に不慣れな彼女の案内をしてもらいたいの」

「あら、中国の代表候補生、ですか」

 

 セシリアは不敵な笑みを浮かべた。

 

「構いませんよ。同級生ですし、僕みたいに早く学園に馴染んで貰いたいですからね」

「ふふん♪ 頼もしい後輩が出来て嬉しいわ。それじゃあ、よろしく頼むわね」

 

 楯無の扇子には謝謝と記されていた。

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