アクセル・ワールド ジ・オリジネーション   作:グランクラン

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アクセル・ワールドの二次創作になります。基本的に原作の雰囲気を壊さないように作りたいと思います。物語は『ブレイン・バースト』が配布されたところから始まります。幼いグリーン・グランデやブルー・ナイトをお楽しみください。



緑青の円舞曲その一

 グリーン・グランデは自分のレギオン『グレート・ウォール』の領地内に存在するエネミーをひたすら狩っているといると、後ろからボクサータイプのアバターである『アイアン・バウンド』が小走りで駆け寄ってくる。

「グリーン・グランデ。これを見てください!」

「………」

 グリーン・グランデはアイアン・バウンドの表示する映像には空を飛ぶ銀色の細身のアバターが映っていた。感想すら一言も発しないグリーン・グランデは再びエネミーを狩るために足を一歩前に出す。

「グリーン・グランデはこういうことに興味がないですよね」

 後ろから他の部下が疑問を持つ。

「グリーン・グランデ様に友達っているんですかね?」

「失礼だろ!」

 アイアン・バウンドは後ろに立っていた部下に怒鳴り声を上げた。グリーン・グランデは足を止め、アイアン・バウンドは焦っているとグリーン・グランデは口を開いた。

「……いた」

「「「え?」」」

 それ以上を語ることは無くグリーン・グランデはそのまま奥へと歩いていく。グリーン・グランデは他のアバターがいないことを確認すると、一つの画像を表示する。表示された画像にはグリーン・グランデ以外に青の王『ブルー・ナイト』と灰色に近い青色の軍福姿の二本の変形剣を背負った者が移っていた。グリーン・グランデのアバターも今みたいに分厚くなく、まだレベルが低いということが分かる。

「……オラージュ・システマ。

 ……ブルー・ナイト」

 懐かしく思う友人と弟を想うグリーン・グランデは昔を思い出す。

 ブレイン・バーストを手に入れた頃から思い出す。

 

 量子接続通信端末であるニューロリンカーと呼ばれる首周りに装着する端末の実現により仮想現実や拡張現実が容易に実現できるようになったのは2030年であり、それ以降爆発的な勢いで進んで行き、ついにニューロリンカーは国民一人につき一台と言われていた。

 

 ランドセルを背負った小学一年生になったばかりの『緑伊 剣刈』は自身が暮らす大きな家を出ていく。自身の家が大きいという自覚は無かったが、周囲の家を比べていくうちに自分の家は大きい方なのだと気が付いた。

 気が付いたのは小学校に上がるころだった。幼稚園の頃はそんなことなど考えもせずしかし、確かに孤立していった。

「緑伊君は何を考えているのかわかりませんね」

 そういっていたのは幼稚園の先生だった。

 いつも一人で黙っている緑伊は周囲に溶け込めることは無かった。周囲の人間に興味が無いわけではなかったが、喋るのが得意ではなかった。だから黙っていた。そうしていくうちに周囲から離れるようになった。

 めんどくさかったのではない。打ち解けられないことを引け目に感じたら最後だと感じていた。

「あの子はあまり喋るのが得意では無いんですよ」

 そんな母親の言葉に戸惑う幼稚園の先生は今まで通りの対応で終わってしまった。

 緑伊はいつの日か一人っきりで過ごすようになった。一人で遊び、一人で帰っていく。

 それでも弟の『緑伊 剣次』は兄になついていた。

「お兄ちゃん!」

 そんな風になついてくる弟を剣刈は可愛がっていた。

 そして……緑伊 剣刈は2039年4月、小学校に入学してニューロリンカーのアプリケーション『ブレインバースト2039』を偶然手に入れた。

 

「?『ブレインバースト2039』?」

 説明文を簡単に言ってしまえば以下の通りだった。

1.配布されたのは東京都心在住の小学一年生100人に配布された。

2.配布してから2年間はコピーは自由だということ。

3.『ブレインバースト2039』のコピーは原則一人一回、一人一つのみ(ただし、2が有効な場合はコピー自体は自由)。

4.アプリの起動コマンドは『バーストリンク』と叫ぶこと。

 上記の四つだった。

 それだけではなんのアプリなのかすら分からなかった緑伊は不気味なアプリを使用する気が無かった。

 配布されたその日は入学式となっていた。

 

「あたしは入学式に行けないけど、剣刈は大丈夫?少し遅くなっちゃうけど私も何とか行こうか?」

 母親が気を利かせたその言葉に緑伊は首を横に振りそのまま玄関口から外へと出ていく。入学式当日、緑伊の母親は仕事を作ってしまい入学式に参加できそうになかった。心配した母親は無理に切り上げようとしていた。そんな母親に気を遣った緑伊は玄関に佇む母親の方を向く。その母親の後ろに弟の剣次が隠れていた。

「……大丈夫、一人で帰れる」

「ならいいけど……何かあったらメールなり、連絡を入れるのよ」

「……はい」

「お兄ちゃん!行ってらっしゃい!」

 ほとんど無言に近い彼の声に母親は心配を隠しきれず、緑伊は自分の肩にギリギリ付かないぐらいの黒髪を軽くなびかせて駆け出す。その間に剣次は剣刈に手を振る。兄もそんな弟に向けて手を振り返す

 学校への通り道の途中小さな路地の奥を軽く見つめると、幼稚園児のような男の子が小学一年生と思わしき男子二人にいじめられている姿を目撃してしまった。

「……僕が突っ込んで行っても」

 緑伊は自分に守れるだけの力が無いことが最も恐ろしく、そして嫌いだった。自分がイケメンだと思っているわけではないが、幼い頃よりかっこいいと言われ続けた緑伊が最も自分を嫌っている部分だった。

 

『かっこいい自分なんていらない。僕がほしいのは誰かを守れる自分なんだ』

 

 それが幼稚園の頃より彼が思い描いていた自分だった。

 眼前の光景に自分の足を進ませようとするが、しかしそれより早く割って入ったのは幼稚園児の幼馴染と思わしく男の子だった。

「ハルゥゥ!」

「タクゥ……」

 小学生は大人を連れてきたタクと呼ばれた男の子にひるんでしまう。大人たちが小学生を叱っている間に幼稚園児の二人はその場から逃げていく。

 緑伊はその姿を確認すると安心してその場から移動していく。

「……何安心しているんだ、僕は」

 安心している姿に気が付いてしまうと、足を止めてしまう。

 情けない自分に嫌気がさしていく緑伊は学校へと再び向かっていく。

 

 学校の授業にもニューロリンカーが使用するようになると今の学生のほとんどだった。

 剣刈がニューロリンカーを付けたのは育児の省略だった。

 両親が共働きで家にいないどころか二本にすらいないことが多かった両親は育児の省略するためにニューロリンカーを付けていた。

 幼稚園の頃からニューロリンカーを装着していた為扱いには比較的慣れていた緑伊はいつでも弟に扱い方を教えたり、直してあげたりと色々つくしていた。

「おにちゃん!ニューロリンカーを直して」

「……いいよ」

 そんなやり取りをいくらしたのか緑伊は既に覚えていない。

 

「次、緑伊剣刈君」

 学校の女教師が緑伊の名を呼び、彼は立ち上がると重い口を開いた。

「……緑伊剣刈です。

 ……好きなことは……特に無いです。

 ……これからよろしくお願いします」

 緑伊がそのまま着席すると女教師は次の生徒に自己紹介を移す。すると、周囲のクラスメイトがボソボソと話し出す声が緑伊に聞こえてしまった。

「なんか、おっさん臭い奴だな」

「だな。怖いし」

「無口ってぽくて私はいいけどね」

「かっこいいし」

 女子は好印象を、男子は恐怖と共に嫌がられていた。『いつもの事』として気にしない緑伊はいつも通りの無表情で無口を貫く。それでも、少しだけ心の傷を開いてしまう。

 自己紹介が終わるとその日は学校は終ってしまう。お昼前に終わってしまった緑伊は一人で下駄箱から上履きから外靴へと変え下駄箱から中庭を通って校門へと歩いていく。ほとんどの生徒は家族と一緒に帰ろうとしていたり、家族間で話し合っていたりとにぎやかだった。

「……いいな」

 ぼそりとつぶやく緑伊は人込みを避けながら歩いていく。

 

 『うらやましい』、『いいな』、それが緑伊の本音だった。

 

 小学校のローカルネットワークから外のネットワークに切り替わると突然にアプリケーションがインストールされた。

「?……『ブレイン・バースト2039』?」

 アプリを開くと簡単に説明文を読みそのままアプリを閉じてしまう。

「……気味悪いな」

 校門をそそくさと出ていく緑伊はまっすぐに家に帰らずにレトロゲームショップに駆け込んでいく。階段を上っていき二階にある怪しげなドアを開ける。

「いらっしゃ……また剣刈君か……君、こういうところに来るもんじゃないよ」

「……はいはい」

 緑伊は店長からの言葉に適当に答える。

 狭い空間にびっしりと並べられている古いゲームを眺めていると、緑伊は対戦と書かれた棚の前で止まってしまう。

「いらっしゃい」

 店長はレジからそんな声を出しているのに反応した緑伊は出入り口の方を向いていると、出入り口の方から自分より少しだけ背の高いランドセルを背負っている男の子が隣に並ぶ。男の子は緑伊の後ろを通り隣のRPGの棚の前で立ち止まる。悩みながら手を右へと左へとフラフラと選んでいく。二人はほとんど同時にソフトを選び取り、全く同時にソフトをレジへと持っていく。

「店長、これください」

「……店長、これください」

 緑伊は男子と目が合うとお互いに譲り合おうとしない姿に緑伊のほうが折れてしまう。

「……先にどうぞ」

「じゃあ!店長、これくれ!」

 店長は「はいはい」と適当にうなずくと手早く会計をすませ男子はそのまま小走りで外へと出ていく。

「……ねぇ。

 ……あれ誰?」

「?確か新宿区の子だったかな?」

 店長の言葉を受けて首を大きくかしげる。

「……新宿区ってここからそれなりに離れてない?

 ……ここは世田谷区だよ」

「父親がここの常連なんだよ!確か君と同級生だったはずだよ。今年から小学一年生だったはず。まあ、ここに一人で来るものじゃないけどね。君もだけど」

「……これくれ」

 自分が攻められていると判断した緑伊はソフトを差し出し、手っ取り早く会計を済ませてしまう。

「まあ、君たちに今更一人で来るなとは言わないが、こういうところは一人で来るものじゃないぞ」

 何も言わずに駆け足で飛び出していくと、軽自動車の前で中年男性が運転席から先ほどの男の子が外から話しかけていた。

「あ、お前さっきの!?」

「……お前ではない。

 ……緑伊剣刈、お前は?」

「青井輝介だ。よろしく」

 青井から差し出される右手の意味を図りかねていた緑伊に青井はまるで当たり前のように笑顔で疑問に答える。

「握手だよ。握手ぐらいしようぜ。同じ趣味みたいだし、父さんにも仲良くしろって言われたしな!」

 自分の右手を見ながら握手することをためらっていると、我慢できずにいた青井は強引に緑伊の右手を握りしめ握手する。

「……っあ」

「よろしく」

「……よろしく」

 少しだけ照れながら握手をする緑伊はようやく青井の顔をながめる。元気そうな顔つきをしている男の子は野球帽が良く似合っていた。

 

 その夜、緑伊は怖い夢を見ていた。

 目の前で誰かがいじめられているのに動けずにいる自分がいた。今朝の男の子がいじめられているのに動けないどころか後ろから大人たちが助けられる無い自分にがっかりする自分の親と学校の先生。そしてクラスメイトの声が緑伊を苦しめる。

「……助けたいよ!

 ……でも、でも……僕だってほしいよ!

 ……誰かを助けられる力を!」

 そう叫ぶと男か女かが分からないような声が聞こえてきた。

『それが君の願いか?』

 その声が夢から現実へと切り替えるきっかけとなり、ガバッっと勢いよく起き上がり汗が顎先からベットの薄いシミになっている。額の汗を腕で拭う。

「……夢?」

(怖い夢?不気味な夢?)

 何を見ていたのか既に覚えていないが、全身の汗が夢の恐怖を緑伊に伝えていた。

「……学校に行かなくちゃ」

 服を着替え、朝食を食べ、歯を磨いて、玄関から出ていく。

 

 密林が広がるステージでは大きな衝撃音が広がると、青い騎士姿の『ブルー・ナイト』という名前のアバターが大きな剣を振り下ろしていた。対戦相手の黄色いアバターはそのまま負けてしまう。ブルー・ナイトは対戦相手から視線を外すと、その瞬間に相手アバターから黒い何かが離れていく。

 世界は元の場所に戻っていく。

「これ……すげぇ……」

 ブルー・ナイトこと青井 輝介は感動しながら手に入れた力に有頂天になっていた。目の前にある『ブレイン・バースト2039』のアプリケーションの使い方を理解していた。彼もまた学校へと足を進めていく。

 

 学校に辿り着き、授業を受け、給食の時でさえもいつも一人だった。

 周囲も少しづつだがグループが出来始める中、緑伊だけは孤立していた。それすらもいつもの事だったため、気にしなかった。しかし、仮想デスクトップの端に『新着メール』と書かれた表示をタッチする。

「件名:頼み事

 本文:帰りに仕事先にお弁当を持ってきてくれ」

 宛名は父親だった。メールが得意ではない父親らしい簡単な内容だった。

(そういえばリビングの上にお弁当が置いてあった。お母さんがもって……いけないよね。確か、朝早くから用事があって帰ってこないはずだし……)

 自分がもっていくしかないという事実にため息を吐く。

 前半で終わる学校に小走りで家まで帰り、リビングの上に置いてあった弁当を持ち出し、地下鉄の電車に乗り込む中突然に空間が青色に染まっていく。

 

 電車が壊れていくと、外の光景も壊れているビル群。視線を上へと向けると『グリーン・グランデ』と『レッド・ライダー』、そしてその上に横長のバーと二つのバーの間に『1800』の数字が表示されると、目の前に『FIGHT』という文字が表示される。

「……何だ?これ」

 光景に驚いていると目の前のガラス窓に移る自分の姿にさらに驚く。目の前のガラスには緑色の分厚い装甲を着こんだ小学生には見えない背丈のアバターが移っていた。

「……これが僕?なんでこんなことに」

 自分の姿に驚きながらペタペタと触って確かめる。触った感触が確かにあり、右腕を動かせば確かに動き、左腕を動かせば左腕が動く。

「……対戦ゲームか?

 ……この横長のバーがHPゲージと見る。

 ……じゃあ、グリーン・グランデが僕の名前っぽいな」

『ガン!!』

 すると左側頭部に衝撃と共に痛みが走る。左側頭部を必死で押さえ、痛みで苦しむ。

「!!……!?」

 痛みで声すら発せられずにいると、今度は右足に衝撃と痛みが走った。瞬間的にここにいることの危険性を覚えた。

「……逃げないと」

 左足の痛みから左足を引きずりながら壊れた電車の奥へと進んで行く。グリーン・グランデの左側を何かが通過する。そして、グリーン・グランデはHPバーがかすかにだが減っていることに気が付いた。

「……対戦格闘ゲーム。

 ……ということはこの攻撃は相手の攻撃?

 ……遠距離攻撃ということは……この状況がまずい。

 ……相手の姿は見えず、あちらから一方的に攻撃されるのはまずい」

 グリーン・グランデは座席の陰に隠れると一息つきながら自分の置かれている状況を冷静に整理する。

(まずは、これは対戦格闘ゲームだと考えていい。問題は現実の地形をそのまま表現しているかのようなこのフィールドだ。電車も止まっている。でも、この場所は厄介だ。遠距離攻撃能力に直線の場所は一方的に攻撃されるだけだ。近づくのも、逃げるのも広く隠れる場所に逃げなければ)

 止まった電車の窓の中で割れた場所を探し出すとそこから逃げ出そうとするが腰辺りで引っかかってしまったことに気が付く。グリーン・グランデは自分のアバターをよく確認していなかった。体の大きいアバターで、肩周りはうまく出ることができたが、腰回りで完全に引っかかってしまった。

「……!!

 ……引っかかった!」

 ジタバタしながらなんとか抜け出そうとする。

 レッド・ライダーはジタバタしているグリーン・グランデの姿を見ると笑っていて照準が合わなくなる。

「ぷくく……ありえねぇだろ」

 腕を両腕を左右の窓枠を押さえると左右に広げようとする。しかし、もろかった窓枠はバキッと言う音を立てて壊れてしまい、その衝撃で外に逃げ出すことに成功し、慌てて近くのドアの奥へと進んで行く。

「おっと、マジかよ」

 レッド・ライダーが驚いている間に逃げていくグリーン・グランデに再び銃口を向ける。

 ドアを開けた瞬間にグリーン・グランデの右肩に衝撃と痛みが走り、細長い廊下に転がり込む。後ろを確認しながら立ち上がると、電車のドアに隠れるように真っ赤な姿の西部劇に登場しそうなガンマンを彷彿させるアバターが六連装二挺拳銃に弾をリロードしているところだった。

「……あれがレッド・ライダー」

 廊下の曲がり角に隠れていると、レッド・ライダーの声が初めて聞こえてきた。

「どうしたんだ?隠れているばかりじゃ勝てないぜ?デカブツさん」

 デカブツという言葉に少しだけ反応する。

(好きでこんなデカブツになっているわけじゃない)

「……好きで隠れているわけじゃない。

 ……そもそも、隠れて遠距離からバカスカと撃つ奴に言われたくない」

 お互いに幼い声を発しながらも一生懸命に大人ぶるグリーン・グランデにレッド・ライダーは意外に事実を提示する。

「お前、まさかルールを見てないのか?だったら教えてやる、俺はお前と同じ小学一年生なんだぜ?」

「……!?

 ……どういうことだ?」

「お前にも昨日『ブレイン・バースト』っていうアプリが無料配布されたはずだ。これはそのゲームだよ。対戦格闘ゲーム『ブレイン・バースト』。現実の地形をそのまま利用した遭遇戦って書かれてたかな?」

 グリーン・グランデは怪しんでみていなかった昨日のアプリが事の発端だということにこの時点でようやく気が付いた。小学生とは思えないほどの落ちつた言動に完全に騙された。

「まあ、役に入るってやつだよ。こういうのは役に入りきらないと面白くないだろ?まあ、お前さんは『僕』というより『我』の一人称があってるな」

 自分の言動を聞かれていた事への恥ずかしさを覚える。

 グリーン・グランデの独り言を一字一句きっちり聞いていたレッド・ライダーのアドバイスにすらならない発言に乗っかることにした。

「……我が推測するに、貴様の攻撃はその二挺拳銃だと見た」

「っお!さっそく使ってくれんの?そうでなくちゃな。まあ、あんたの推測通りだよ」

 会話をしている間にグリーン・グランデは自分のメニューを開き攻撃方法を調べた。

(通常攻撃技のパンチとキック。それに攻撃を跳ね返す『反射≪リファレクト≫』と必殺技で今まで受けた必殺技をそのまま相手に与える技『必殺返し≪リベンジャー≫』だけか)

 グリーングランデは気持ちを固めると勢いよく飛び出していくと、胸の前でクロスに手を置きレッド・ライダーに向けて突っ込んでいく姿をレッド・ライダーは少しだけ驚きながらも拳銃の引き金をグランデの頭めがけて引く。グランデの両手が頭に移動して小さくつぶやく。

「……反射≪リファレクト≫」

 クロスさせた腕を弾が当たったところで大きく放つ。反射された弾はレッド・ライダーの左腕に直撃する。

「痛ってぇ!反射させられんの!?反則だろ!」

 グリーン・グランデはそのまま突っ込もうとするが、レッド・ライダーの攻撃が二つグランデの右肩と左足に直撃する。グランデはこけそうになりながら柱の陰に隠れてしまう。

「……一回反射した後にクールタイムがあるのか」

 よく見ると直撃した右肩がひび割れ始めている。ひび割れた場所を触ろうとすると視線がそのまま上へと移動する。グリーン・グランデは自分のHPを確認すると、すでに半分切りそうなところにまで来ていた。

(これ以上長引くと……それに、対戦ゲームで負けるなんて絶対……絶対嫌だ!)

 レッド・ライダーは左腕を押さえながらコソコソ隠れていきながら前に進んで行く。グリーングランデは意を決して前へと突き進んでいく。レッド・ライダーは反射のダメージはHPの三分の一を削られていた。

「くそ……結構痛いじゃねぇか。グリーン・グランデか……緑は防御よりということか……」

 レッド・ライダーの必殺技ケージが急激な速度で減っていくと、グリーン・グランデはレッド・ライダーが必殺技を放とうとする事を理解する。

(どうする?避けるか?避けられるか?

 ……無理だ。グリーングランデは回避力が高いキャラじゃない気がする。動き遅いし。だったらイチかバチかで受けるしかない、受け切った後が勝負だ)

 レッド・ライダーは二挺拳銃をグリーングランデに向かって構えると、グリーン・グランデは防ぐように腰を一旦落とす。

「まさか……俺の必殺技を受けるつもりか?だったら遠慮しないぜ!!さぁ!行くぜ!!『全弾開放≪フル・バースト≫』」

 二つの拳銃から合計12発の銃弾がグリーン・グランデを襲う。グリーン・グランデは地面を叩き砂埃を作って自分の姿を消す。しかし、銃弾はグリーン・グランデに直撃する。大きな爆発音とともに大きな爆発が起きる。

「無駄だぜ。この球は当たった瞬間に爆発しちまうからな。連鎖的に爆発しちまうとさすがのお前さんでも……!?おいおい……冗談だろ?どんだけ堅いんだよ」

 爆発の中からグリーン・グランデが腰を低くしてクラウチングスタートの態勢を整える。グリーン・グランデはそのままレッド・ライダーに向かってタックルを決める。

「……必殺返し≪リベンジャー≫」

 タックルの衝撃がレッド・ライダーのHPを一割を切ろうとする。レッド・ライダーは何とか起き上がり拳銃の引き金を引こうとするがしかし、引く前でタイムアップになってしまう。互いのHPを確認すると、ぎりぎりでグリーン・グランデが勝っていた。

 レッド・ライダーは悔しそうに体を地面に預けジタバタ暴れ回る。

「クッソー!!お前……格ゲーなれしてんな」

「……相性が良かっただけ」

「だな……負けたよ」

 レッド・ライダーの差し出した握手に一瞬だけ抵抗するが、しかし、青井との握手を思い出したグリーン・グランデは意を決して握手に応じる。

「また戦ってくれ」

「ああ……」

 その瞬間現実に引き戻されると緑伊は時間を確認するが時間は全く経っていなかった。その瞬間緑伊は最初の説明にあったコマンドを唱える。

「……バースト・リンク!」

 その瞬間に周囲は青色で染まってしまうと、時間が止まったように感じられた。電車の移動も、人の動きも完全に止まっているように見えた。目の前のマッチングリストには色々な人の名前が書かれており、そしてブレイン・バーストのメニューを確認し、説明書を見るとこの世界をようやく理解した。

「……この世界は加速している」

 緑伊は加速世界を知ってしまった。

 その瞬間より始まるのはグリーン・グランデとある存在との戦いの物語。

 加速世界の闇との戦いの始まり。

 そして彼が寡黙になるまでの物語。




どうだってでしょうか。面白いと言っていただけたら幸いです!基本的に不定期更新になります。別の作品と一緒に書いているためにこちらは遅くなると思うのでよろしく尾根が押します。次回のタイトルは『緑青の円舞曲その二』になります。
楽しみにしていてください!
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