俺の青春ラブコメは間違ってなどいなかった。   作:ブレイド

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まずはプロローグ的な感じで短めです。


そして雪ノ下陽乃と葉山隼人は立ち塞がる(1)

 平塚先生は時間を作るといっていた。作るといった表現をつかった以上、事態は自分が思ったよりも悪い方向に早いスピードで進んでいるのであろう。雪ノ下の母親が関わってきた瞬間からこの事態は始まっていたのであろう。

 

 そんなことはわかりきっていたはずなのに、雪ノ下の言葉を尊重し、雪ノ下陽乃の言葉から目を背けた結果がこうなってしまった。いや、違う。俺は雪ノ下の言葉など尊重していなかった。押し付けてしまったのだ。いつかの時みたいに俺は、雪ノ下雪乃に自分の理想を押し付けてしまったのだ。雪ノ下が一人でやり遂げ、一人でその夢の理想を成し遂げる、そんな凛々しい彼女を想像し、遠目から見ること決意してしまったのだ。だがそれは間違いである。

 

 まだ間に合う。彼女がやり通したたかったものをまだ守れるチャンスがそこにある。

 学校へ着くといそいで職員室に向かった。職員室の前で待っていたのは意外な人物達が待ち受けていた。

 

「やっはろー、比企谷君」

「やぁ、比企谷」

「陽乃さんになんで葉山が?」

 

 雪ノ下陽乃はいつも通り陽気な笑みで、葉山は申し訳なさそうな顔でそこに立っている。

 

「今回、プロムが中止になったことに大きく関係してるからだ、比企谷」

 

 職員室からでてきた平塚先生の第一声はそれだった。

 

「どういうことですか。陽乃さんはともかく、どうして葉山まで関係してくるんですか?」

「うちの親と隼人の両親が手を組んでこのプロムに手を出したからだよ、比企谷君」

 

 疑問の答えを陽乃さんが答える。つまり、雪ノ下の母親と葉山の両親が協力してこのプロムの中止に賛成したってことか。なるほど、たしかにそれならこの二人がいることもうなずける。

 

「すまない、比企谷。彼女がやりたかったことをこんな形でつぶしたくはなかったのだけど」

「別に。葉山のせいじゃねえだろ。それにまだ中止が決まったわけじゃない」

 

 そうだ。こんな形で雪ノ下雪乃のやりたかったものをつぶさせてたまるか。

 

「今回の状況はかなり厳しいぞ、比企谷。雪ノ下の母親と葉山のご両親はすでに多くの保護者を味方につけている。それにPTAもだ。そんな中を一生徒である君ができることはあまりにも少ない」

 

 平塚先生が厳しい状況を伝える。考えろ、比企谷。この状況をひっくり返せる一手を。大勢の保護者が反対してる状況を、一気にプロム開催に賛成に変える状況を考えるんだ。過半数以上がプロム開催に賛成しなければ、プロム開催どちらにせよ危うい。そしてなにより、あの雪ノ下の母親が納得させることが大事なのだ。

 

「二人に、手伝ってほしいことがあります」

 

 俺は遠慮がちに、だがしかし、まっすぐ二人を見据えて言葉を綴った。

 

 

 

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「なるほどね。比企谷君なかなかえげつないこと考えるね」

 

 陽乃さんは楽しそうにニコニコとしている。葉山も神妙な顔つきで、だが重い顔している。

 

「確かにその方法なら希望があるね。それでも雀の涙程度だけど」

 

 

 陽乃さんは冷静に俺の作戦を分析する。そして

 

「それに、私は“今のままの比企谷君”じゃあ手伝えないかな」

 

 やはり一筋縄ではいかない。だがこの人の協力なしではこの作戦は実行には移せない。

 

「すまない比企谷、俺も“今のままの君”では手伝えそうにない」

「なっ」

 

 葉山の言葉は意外だった。少なくとも葉山は先ほどまで現状を残念がっていた。だから少なくとも葉山は手伝ってくれると思っていた。

 

「へー隼人まで断るのはちょっと意外。まあいいわ。比企谷君、時間をあげる。今夜までなら空けとくからそれまでに“答え”をちょうだい。じゃあまたね、比企谷君」

 

 手を振って、雪ノ下陽乃は先に校舎を後にする。

 

「俺も部活があるからいくよ、比企谷」

 

 そう言い残し葉山もこの場を去る。なにもかもが上手くいかない。一体どうして。一体どこで間違ってしまったのだろうか。そして、“今のままの俺”ではというのは。いや、比企谷八幡はその答えを知っている。むしろ俺が今まで探し求めてきたものだ。そしてその探していたものはもうとっくに見つかっている。

 

「比企谷、どうにかするにしても、まず雪ノ下に会って行ったらどうだ。雪ノ下なら生徒会室にいるはずだ」

 

 平塚先生にそう促されるが、首を横にふる。今、雪ノ下に会ってしまったら、“答え”をだしそびれてしまいそうだから。

 

「平塚先生、一日だけでいいです。なんとか中止決定を延ばしてください」

「一日だけでいいのかね?」

「はい、あの二人さえ味方につければ時間の猶予はもう少しできるはずです」

「そうか。ならなんとかしよう」

 

 

 

 “今のままの俺”でだめなのであれば今変わる必要がある。そうでなければ、いつか雪ノ下を助けると交わした約束はなくなってしまうのだから…。

 その約束を反故にしないために、おれはまず一人目の協力者候補のところへむかうのだった。

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