俺の青春ラブコメは間違ってなどいなかった。   作:ブレイド

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俺、このシリーズ書き終わったら一色いろはとの甘々の新しいシリーズ書くんだ…(フラグ


一色いろはは“本物”をとりこぼす

「おっそいー先輩」

 

 奉仕部の部室の前で待っていた二つの人影。そのうちの一つがいつものあざとい声で近寄ってくる。

 

「すまんすまん、今部室開けるから。城廻先輩も、お持たせして申し訳ないっす」

「いいよいいよ、私たちも今きたとこだから」

 

 部室の鍵を開ける。扉をあけるとそこには誰もいない。もしかしたら、部室に誰もいない光景を見るのは初めてかもしれない。誰もいない部室、なぜかその光景をみると寂しさを覚える。遅かれ早かれこの部室が空になって、奉仕部がなくなることはわかりきっている。ただ、この誰もいなくなってしまっている部室が心に突き刺さる。

 

「先輩、どうかしたんですか?」

「いや、なんでもない」

 

 部室へと足を踏み入る。続けて一色と城廻先輩も部室へと入る。この三人で部室に入るのは妙な光景である。

 

「それで比企谷君、私達が呼び出されたのって?」

「平塚先生から少しは聞いてますよね?作戦のこと」

 

 一色と城廻先輩はうなずく。

 

「これから話すのは()()()の作戦とこの作戦の()()です」

 

 

 

 

 

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「数には数を…作戦ですか?」

「そうだ雪ノ下」

 

生徒会室で平塚先生は今回のプロムのイベント中止の打開案としてそんな作戦名を口にする。

 

「随分単純な作戦ですね。生徒からプロム開催の賛成署名を集めて保護者会に提出するというのはあまりにも安直ではありませんか?」

「確かにな。だが、向こうが中止に追い込んだのも保護者の多くを味方につけたからだ。ならばこちらも数で対抗するしかあるまい」

 

 確かにその通りだ。向こうが数で推してきた以上。どちらにせよこちらも少数ではいられない。できる限り多くの味方をつけておく必要はある。

 

「それで具体的な中止決定を覆せる必要数はいくらだと思いますか?」

「君らしくないな、雪ノ下。その程度の計算、君のなかではもうとっくにでているだろう」

「………全校生徒の過半数、いえ、3分の2以上ぐらいでしょうか」

「その通りだ。できればそれどころかほとんどの生徒の賛成がほしいといっても過言ではない」

 

 厳しすぎる数字だ。残り三日でそれだけの数を集めるの無謀にも等しい。一色さんに頼んで校内放送で呼びかけたところで4分の1も署名は集まらないだろう。

 

「今城廻と一色が署名を集めるために校内中をかけめぐっている。これで署名も多少は集まるだろう」

 

 あの二人だけでは署名の数はたりない。もっと協力者がいる。

 

「わかりました。私のほうでも協力者のほうできる限り探してみます」

 

 生徒会をあとにしようとする。後ろから声がかかる

 

「こちらのほうで既に葉山隼人は味方にしてある。安心したまえ」

 

 意外な人物が出てきた。彼の両親はこのプロムに反対していると聞いていた。立場上、こちらの味方にはつけないと思っていた。

 

「先生、あの約束は守っていただけてますよね?」

 

 本来味方につけることが難しい葉山君を巻き込んでしまえる人物に心当たりがある。この事態を知られたくない人物がいる。この事態を知られてしまえば、彼はきっと見届けることをやめてしまうから。

 

「ん?比企谷に黙っておくという件か?もちろんまだ黙っているが、遅かれ早かれ署名活動を始めてしまえば感づかれてしまうぞ」

「その程度なら構いません。プロム開催に賛成署名を集めることはそこまで不自然じゃありませんし、こちらの内部事情さえ知られてさえなければいいです」

 

 

 

 

 彼を巻き込むわけにはいかない。巻き込んでしまえば私は結局彼から離れられなくなってしまう。それでは今までと変わらない。変わらなければいけないのだ。“彼”にいつまでも依存してしまうわけにはいかないのだから…。

 

 

 

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「これが当日の作戦です。根回しはすんでますが、それでも正直上手くいく可能性は低いです」

 

 城廻先輩と一色に説明し終わる。

 

「わかった、それじゃあ私達は表向きの作戦に全力を注げばいいんだね?」

「はい、お願いします。どっちにしてもこの作戦は、表向きも成功しないと意味を成しえません」

「君は変わったね、昔と」

「え?」

「君のことだから、もっと最低な作戦がでてくると思ったよ」

 

 城廻先輩は、皮肉めいて微笑みながらそう言う。

 

「わかった、それじゃあ3年生のほうは任せて。できる限り多くの署名集めてみせるよ」

「お願いします」

 

城廻先輩は席を席を立ちこの場あとにしようとする。だが、いつものあざとい後輩はその場を動かない。

 

「ごめんなさい、城廻先輩。先行ってもらっていいですか?私、先輩にまだちょっと話があるんで」

 

 一色からはいつものあざとさを感じない。むしろ真剣な顔つきである。

 

「うん、わかった。じゃあ行ってくるね」

 

 城廻先輩はその場をあとにする。残された俺と一色には沈黙が漂う。先に言葉を切り出したのは一色だった。

 

「先輩」

 

その言葉は重く、だけどまっすぐに、

 

「これって先輩が“本物”を手に入れるためにやってることですか?」

 

 痛いとこをついてくる。恥ずかしくなってくる。恥ずかしくて死んでしまいそうになる。

 

「ま、まあそんな感じだ」

 

噓をついてもしょうがない。あの日の会話を一色に聞かれてしまってる以上隠す必要もない。それになにより、一色も“本物”がほしくなったといっていたから。

 

「このイベントの先に先輩のほしかった“本物”があるんですね」

 

 一色はさみし気な顔をする。そして聞き取れない小さな声で

 

「私のほしかった“本物”はまた遠くなってしまいました」

「え?なんだって?」

「いいえ、なんでもありませんよ」

 

 どこかの難聴主人公でもあるまいのに、一色の言葉を聞き取れなかった。最後の一色の顔はいつものあざとい後輩の顔に戻っていた。

 

「それじゃあ一色も署名の件頼む」

「はーい」

 

 一色もその場をあとにしようと席を立つ。ただ、ただなんとく、このまま一色を行かせるのは忍びなくて

 

「一色」

「はい?」

 

 立ち去ろうとする足をとめる。

 

「ありがとな」

 

 その言葉を聞いた一色は一瞬少し驚いたような顔して、そしていつもの調子で

 

「なんですかもしかしてちょっといつもと違う優しい言葉をかけて私のこと口説こうとしてます?ちょっと遅すぎなのでごめんなさい」

 

 最後にニコっとあざとく笑顔でそう返し、後輩はその場をあとにするのだった。

 少しいつもと違ったような断り文句をしたのは俺の気のせいだったのであろうか…。

 

 

 

 

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 遅すぎたのだ。私が欲しかった“本物”は目の前にあったのに。私も“本物”が欲しくなったから、“本物”を手にするためにあの日一歩踏み出して告白した。見つけた“本物”に向かいだすために。でも私は結局みすみす“本物”を逃してしまったのだ。

 

「あーあ」

 

 自然と声がこぼれる。涙が流れているのがわかる。

 

 

 ………そう、遅すぎたのだ、私は。

 

 

 

 

 

 

 

 




 10月は多忙の不定期更新となります、申し訳ありません。必ず完走としたいと思っていますので、更新が遅くなっても頑張りたいと思います。
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