ぼっちの俺と人気な彼女   作:鬱ケロ

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こんにちは鬱ケロです。

やったね!一日二回投稿!こんなの滅多にしないです。
今回の話は時間がかなり飛んでます。
だって主人公ぼっちだよ!?ぼっちの日常とか同じことの繰り返しで書くことなくなっちゃうよ!作者の日常がそうなんだから!

そんなわけなのでいきなり三月です。それでは、どうぞ!



ぼっちの俺と卒業式

 三月。

 地面に目を向ければ、冬の間に降り積もった雪はほとんどが溶け、雪のあった場所からは若い草の芽が生え始めている。

 上を見れば桜の木があり、枝には桜の蕾がたくさんついている。

 今年は例年より寒かったが、今のままで行けば来年度の入学式がある一ヶ月後には綺麗に咲いているかもしれない。

 俺はそんなことを考えながらぼうっとしていたが、なんとなく、うちの学校の昇降口を見る。

 そこでは、多くの三年生が泣いており、一年、二年からも数人泣いている姿が視界に入る。

 その中には神無の姿も見受けられた。……と、言うよりも見える範囲の中で一番泣いているのが神無なんだけど。あいつどんだけ涙もろいんだよ!

 んん!まぁ気を取り直して。どうして今日先輩達や同年の奴らがそんなことになっているのか。まぁ、答えを言ってしまうと、今日我が校で卒業式が行われたからだ。

 三年生達は卒業した者の八割が大学への進学。そのうちの六割が県外の大学に行くそうだ。そうなってしまえば早々会うことなど出来ないだろう。だから彼等、彼女等は別れてしまうことを悲しみ涙を流しているのだろう。

 しかし今までも何回か言っている通り、俺はぼっちだ。そんな俺にはもちろん先輩達との関わりも無かった。

 だからこそ、俺にとってはこの卒業式というイベントは、ただいつもよりも少し早く下校することが出来るからラッキー、くらいの認識でしかないのだ。

 

「……そういうわけで、さっさと帰りたいんですが?」

「まぁ、そう言うなって。少しくらい良いだろ?」

 

 俺はいつの間にか隣に立っていた倉持先生にそう言うが、先生は俺を帰そうとしない。

 ……いや、本当に早く帰りたいんですが。帰って昨日借りたDVDを見たいんですが。

 俺がそんな思いを込めて先生を見つめると、先生は苦笑いを浮かべる。

 

「そんな目で見るなよ。だいたい、せっかくの卒業式なんだぞ?なにか言っておきたい先輩とかいないのかよ?」

「はっ!馬鹿らしい。別に俺が卒業するわけじゃないし、なにか言いたいと思うほど三年の先輩達と関わりなんてなかったよ」

 

 

 俺は入学してから起こった事や、俺自身が部活に入らなかったこともあり、先輩達と関わることが全くと言って良いほど無かった。

 だから、俺にとって先輩達はそこらですれ違うどうでもいい他人でしかなく、この卒業式はその程度で片付けられてしまうのだ。

 俺のそんな気持ちが伝わったのか、先生はため息を一つ吐いた。

 

「昔はもっと可愛げあったんだがなぁ。今はこんな冷めた人間になっちまいやがって」

「人は良くも悪くも変わる生き物ですよ。ただ、俺の場合あまり良い方に変わらなかっただけで」

 

 ……俺だって今のまま、他人に興味を持たないままじゃダメだったことはわかってる。けれど、一度その考えが、行動が体に染み付いてしまうとなかなか変えることは出来ない。

 それに……、

 

「……変わった後、今の自分が親しくしていた相手に拒否されるのが怖い、とか思ってるのか?」

「……」

 

 突然先生が放った言葉に俺は声には出さないが内心驚いていた。

 しかし、それも仕方がないと思う。それが全てという訳ではないが、俺が不安に思っていた事の一つをピンポイントで当ててきたのだ。驚くなという方が無理がある。

 俺はそんな驚きを顔に出さないようにしながら先生の方を見ると、先生の瞳は悲しそうに俺を写していた。

 先生はそんな目で俺を見ていたが、しばらくして空を見上げる。俺もそれにつられて空を見ると、雲がまばらに浮かんでいた。

 そんな空を見ていると先生が口を開いた。

 

「別に、気にする事ないんじゃねぇかなぁ」

「……」

「生きてれば拒否されることなんてたくさんある。理不尽な理由で拒否されることだってな。それが親しい奴なら尚更だ」

 

 ……でもな。先生はそこで言葉を区切ると俺の顔を見つめてきた。

 

「そうやって拒否して、拒否されて、そのことについて話し合って、それでたまに喧嘩して。そうやって人は前に進んで行くし、相手のことを理解していくんじゃねぇかと、俺は思うぞ」

 

 そんな、普段言わないような言葉を、これまた普段しないような真剣な顔で言う先生の姿は、『俺ガイル』に出てくるあの少し残念な、しかし生徒のことをちゃんと思ってくれている先生と重なって見えた。

 

「なんだか、平塚先生みたいだな」

 

 俺は気付けばそんなことを口にしていた。

 俺のその言葉を聞き先生は笑顔を浮かべる。

 

「お!まじか!そりゃあ嬉しいな。なにせあの人は……」

 

 俺の先生としてのお手本みたいな人の一人だから。

 先生は尊敬している人を見ているかのような目でそう言った。

 その姿を見て、先ほど言われたことを思い出しながら、改めて先輩達がいる方に視線を向ける。

 そこには先ほどと変わらぬ光景があった。しかし、泣いている中で笑顔を浮かべて楽しそうに話をしている人達もいる。

 ……その光景を見て、俺は少し、羨ましく思った。

 

「……あいつがいれば変われるさ。お前なら」

 

 先生から呟いた言葉に俺は改めて先生の方を向く。

 しかし先生は自分で言ったことに気づいていないのか、なにも言わずに俺ではなく昇降口の方を見ている。

 その視線の先には、未だに泣いている神無の姿があった。

 




自分も平塚先生みたいな先生の生徒になりたかった。

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それではまた次回です!
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