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それでは三話目です。どうぞ!
清水と教室で話し、多分俺が何かをやらかしてしまった次の日の朝。
俺はいつも通りにまだ誰もいない教室で本を読んでいた。……別にぼっちだからじゃねぇし。本が好きだからだし。
それに、俺は朝のこの時間が気に入っているのだ。普段は騒々しい奴らがいない空間。聞こえる音といえば本のページをめくる時の紙の音。そして鳥のさえずり。しかも俺の席は窓際なので外の景色も堪能できる。ずっとこんな空間にいられたらと何回思ったことか。
しかし今日はいつもと違い全く本の内容が入ってこない。
昨日からなにをしていても、放課後のことをつい思い出してしまう。
「……はぁ」
本を閉じ、ため息を吐く。
俺は一体どこで間違えたのだろう?あんな偉そうなことを言ったからだろうか?それともやはり扉をいきなり閉めたことをやはり怒って?そんなことばかり考えてしまう。……女々しい!女々しいよ俺!だからお前はぼっちなんだよ!
脳内で自虐したりするもののやはり気分は晴れない。
そんな中、俺はふと思った。
……最近向こうから話しかけてきた程度の関係なのに俺はどうしてこんなにも考えているのだろう。
あの女を鬱陶しく感じていた筈なのに。まさか清水と話すのを俺は楽しく思っていたのだろうか?
そんなことを思ったが、すぐさまその考えを否定した。……なぜならあいつと俺は全く違う存在なのだから。
「あー、馬鹿らしい」
きっと一時の気の迷いだろう。俺はそう結論付けて再び本を開こうとした。
そんな時だった。
「何が馬鹿らしいの?」
突然聞こえた声に俺は本を開こうとした手を止め、声のした方を見る。
「おはよ。音無くん」
「……おう」
そこにいたのはこちらに笑顔を向ける清水だった。
突然のことに驚いていると、清水はこちらに近づいてきた。
「ねぇ、隣いい?」
「あ、あぁ」
よかった。そう言って清水は俺の隣に座る。
……やばい!何を話せばいい!?いや、まずは謝ればいいのか?いや、でも何を謝ればいいのかわかっていないのに謝るのも……。
そんな風にパニックを起こし始める俺の脳内。もうどうすればいいんだよ!?
「ねぇ、音無くん」
俺が混乱する中で清水の声がしっかりと聞こえた。
その声につられて俺は清水の方を見る。
すると清水も俺の方を見ていた。……まっすぐな目で。
そんな目を見ていると、俺は不思議と落ち着いてきた。
「昨日は突然帰ってごめんね」
清水からの謝罪に俺は内心驚いていた。だってそうだろう?俺は今まで自分が何かしてしまったと思ってたんだ。それに今までこちらが謝ることはあっても、誰かに謝られることなんてほとんど無かった。だからこそ、その謝罪に驚いて俺は何も言うことができなかった。
俺が何も言えないでいると、清水は悲しそうな顔をしながら自虐的な笑みを浮かべる。
「……やっぱり怒ってるよね?あんな風に突然笑い出したと思ったら、さっさと帰っちゃって。意味わかんない女って思うよね」
「別に怒ってない。それに、意味わかんない女と思うことなんて今まで何回もありすぎて、今更?って感じだぞ」
普段見ていた清水からは想像できないほどにマイナスなことを言うので、俺はつい思ったことをそのまま口に出してしまった。
しまったと思いながら清水の方を見ると、驚いた顔をしてこちらを見ている。
まずいと思い謝ろうとしたが、向こうが先に口を開く。
「わ、私って意味わかんない女って思われてたの?」
若干その声が震えている気がするが、清水は自身を指差してそう聞いてきた。どうやら本人はそう思われているとは思っていなかったらしい。
ここは自分が言ってしまったことなので、なんとかフォローしなくては。
「い、いや、言葉の綾っていうかさ。今まで全く接点無かったのにいきなり話しかけてくるやつがいたらそう思っちゃうだろ?」
その言葉を聞いて清水は涙目になる。
やばい。フォローしようと思ったのに全くフォローになってない。さらに追い討ちかけるようなこと言ってる気がする。
「……接点が無い。もしかして、いやもしかしなくても覚えられてないよね。この反応」
小声で言ってはいるが隣なのでしっかり聞こえてしまう。え?接点あるの?全く覚えてないんだが。
俺が必死に記憶を探っていると隣から大きな咳払いが聞こえた。
「と、とにかく。昨日は本当にごめんね」
強引にさっきの空気に戻そうとしているようだが、もう空気的に無理だと思うぞ、清水。
まぁ、向こうはちゃんとしたいんだろう。だからここはその気持ちを汲んでやろうと思う。
「別に気にしなくていい。昨日は俺も悪いところがあったからさ」
そう言うと清水は笑顔を見せる。
「よかったぁ。今回のことで今までみたいに話せなくなったらどうしようかと思ったよぉ」
ん?今こいつはなんて言った?
「え?お前これからも話しかけてくるわけ?」
「え?そうだけど?」
「え?」
「え?」
え?何当然のように言ってんの?こっちがえ?って言いたいんだけど。と言うか実際言っちゃってるんだけど。
「いやいや、お前は学校の人気者なんだぞ?そんな奴がぼっちの俺と話すとかおかしく無いか?」
「そっちの方がおかしく無い?人気者とかぼっちとか関係ないじゃん」
え?俺がおかしいの?ぼっちの奴と人気者が普通に話すとか二次元の中だけじゃないの?
「だ、第一、お前が俺と話すメリットがないだろ」
俺が苦し紛れにそう言うと清水は呆れたような、少し怒ったような顔でこちらを見てきた。
「メリットとかデメリットとか関係ないよ。私が音無くんと話したいから話してるの。それとも、メリットがないと話しちゃダメなの?」
「い、いや。それは」
清水の勢いに俺は何も言えなくなってしまう。
清水の言っていることは正しい。メリットやデメリットで話すか話さないかを決めるなんて間違っているんだろう。いや、間違っている。
だからこそ、俺は自分の言ったことに酷い嫌悪を覚えた。俺はいつから損得で物事を考えるようになってしまったのだろうか?
「私はこれからも音無くんと話したいよ。ダメ、かな?」
そう言って不安げにこちらを見てくる清水を見て俺は思った。
あぁ、確かに学校一の人気者になるわけだわ。
頭が良くて、顔も良い。そして性格も良いとくれば本当に完璧じゃないか。しかもこんな顔を素でやるのだから困ったものである。
そんなことを考えて俺は笑う。こうして笑ったのは久しぶりな気がするな。
「いや、周りに誰もいなければ、お前と話すのも良いかもな」
俺はそう言って彼女の言葉を肯定する。
清水はその言葉にしばらくポカンとした後、嬉しそうに微笑んだ。
「それじゃあ、私は自分席に戻るね。そろそろ誰か来るだろうしさ」
「あぁ。そうしてくれ」
そうして清水は席を立ち、自分の席に向かう。
すると突然振り返ってこちらを見て口を開いた。
「これからよろしくね。
突然のことに驚いたがすぐに俺は微笑んだ。
「あぁ、よろしくな。清水」
「そこは
呆れ顔でそう言う
「無茶言うな」
いきなり声に出すとかぼっちの俺にはハードル高すぎるって。
そんなこんなでぼっちの俺と人気者の彼女のちょっとした秘密ができたのだった。
今回は少し真面目にしたから次回はふざけたい。
読んでくれてありがとうございました。