セシリアに生まれたオリ主がなんとかして一夏を落とそうとするけど中の人が違う面々のせいでなかなか落とせないIS 作:キサラギ職員
Q.進展どうありそう?
A.ないです
Q.新キャラありそう?
A.ないです
Q.新装備ありそう?
A.ない ありますあります
「なんですって!?」
ガコン!
火花が散ると同時に、一夏のIS『ダークレイヴン』がスターライトmkⅢの射撃を掻い潜った。
そのはずが、漆黒の機体はまるではじかれたように横に機動していた。くそっ、どんな手品を使いやがった? 『踊り』みたいな動きをしたぞ!?
「
何かがあるはずだ。ダークレイヴン特有の機能か? だめだわからない。初見で見抜けっつったって難しすぎるだろ!
「シッ!」
「きゃあっ!?」
一夏が距離をあっという間につめていた。対応する間を与えて貰えなかった。息を吐くと同時に、左のMURAKUMOが炸裂し、宙を抉り取る。シールド貫通。ブルー・ティアーズの装甲が破壊され散った。
俺は咄嗟にビットに命じ、包囲するようにイメージをくみ上げた。逃げながら動かせるのかって? 動かすだけならな。射撃を交えたりするのは無理無理無理絶対無理。ニュータイプとかいう人たちの方がおかしいんだ。
「迎撃! 弾幕! ビット達弾幕を張りなさい!!」
俺はろくすっぽ狙いもつけずに思考を通じてレーザービットを全て稼動させると、相手が浮いている地点へと雨あられとレーザーを降らせてやった。ついでにめくら撃ちのスターライトmkⅢのレーザーもくれてやる。
右へ、左へ、ゆらりゆらりと一夏の機体が弾幕をかわし続けている。
動くなよ。動くと狙いがつけらんないんだから! 動かなかったらキスしてあげるから! 糞AIM
「遅い」
一夏が呟くと、背面部スラスタ装置から火を噴いた。ハイブーストか。仮にあの機体がアーマードコア基準ならば、エネルギー残量に限界があるはず。ほかの武器を搭載していないということは消費量は最小限。ここはとにかく動かせて、削っていくしかないと判断した。
撃ちまくる。俺はビットを機動させることも忘れてとにかく撃たせた。
あたらないんだよこれが。紙一重でかわしやがる。俺が予測射撃をろくにできないと瞬時に見抜いたらしく、一筆書きで悠々と動き続けている。言うならばこっちはタンクで相手は軽量のブレード機。懐にいかに潜り込んで致命傷を与えるかが鍵なんだろう。装甲からしてエネルギー系武器には弱いと見た。スターライトmkⅢならば即死も夢じゃない。
「このっ、当たれ、当たれ!」
俺はスターライトmkⅢのスコープを覗き込んだ。一夏と目が合った。その瞳が瞬間的に消えうせる。
「ぐ、がはっ……ッ」
鈍い衝撃。
ハイパーセンサーには、一夏が眼前に迫っているということが表示されていた。何が起こったのかわからなかった。ガアンッ、という重苦しい音と共に一夏の顔が視界一杯に広がっていた。かっこいい。固く結ばれた唇が見えた。こんちくしょうキスの一つくらいさせろ。
一夏が右のブレードを振りぬいていた。バリアー貫通。続いて、“リロード”を完了していた左が炸裂、スラスターのいくつかが持っていかれる。止めと言わんばかりに膝を腹部に叩き込まれる。シールドエネルギーの実に四割が吹っ飛んでいた。
「こう近付けば四方からの攻撃は無理だな、セシリア!」
俺がシャアかよ! 情けない奴なのは否定しないけどさ!
なるほどいまのでわかった。一夏はブレードを振り回す反動と、ブレードが『展開』する構造を利用して機体の重心をずらしているのだ。MURAKUMOの構造はいうならばガンダムエクシアの右手実体剣のようなもの。格納されているそれを叩きつけるように振るう。しかし、それを咄嗟に思いついて実戦に投入するなど、正気の沙汰じゃない。
「くっ……!」
ビットを呼ぼうにも、近すぎた。一夏が大声を張り上げてわざわざ教えてくれる。俺の腕前じゃ自滅がいいところだ。質量を持った残像のせいで自滅したラフレシアみたいなことになっちまう。名シーンだよな。問題があるとすれば俺が鉄仮面側ってことくらいで。
俺は咄嗟にスターライトmkⅢを鈍器として振り回した。
「こんのぉっ!」
「チッ」
右薙ぎ左薙ぎ、空中で一回転しつつ蹴りを見舞う。原作セシリアからすればありえない戦法だろうな。
あっ、そうだ。今度開発の連中に銃剣をつけてもらおう。イギリスお得意の銃剣突撃をっと、そんな悠長なことを考えてる場合じゃない。
なお一夏はあっさり後退した。アリーナ壁面を背にするようにして。
「ところがぎっちょん! ……ですわ!」
いけねぇつい男言葉が迸ってしまった。
後退してくれたならば好機だ。俺は収納してあったもう一つの武装を展開するべくイメージを固めながら、浮遊中のビットに命令を下すために左手をかざした。
「お行きなさいブルー・ティアーズたち!」
『起動端末 トラックナンバー1-4 自爆処理……』
こうなればビットを質量弾としてぶつけるほかに選択肢が無かった。一夏の動きは狂ったように鋭くて、ビットを操りながら銃撃戦は不可能に近かった。
ビットが一斉に首をもたげ、鋭角に機動しながら一夏へと飛び掛っていく。目標が一体のみ。相手がおあつらえ向きに止まっている。様子を見ているのか? あとは自爆させるだけ。四基同時操作しつつ武装の呼び出し。頭が狂いそうだ。徹夜後に酒を飲んだみたいだ。
一夏は怪訝そうに顔を歪めながら何かを呟いていた。
ビットが次々にIS『ダークレイヴン』へと殺到し、自爆する。濛々と上がる爆煙の最中にブルー・ティアーズで唯一まともに俺が使いこなせる自動誘導式のミサイルビットを起動。
「ターゲットロックオン、発射!」
俺が左手を強く水平に振るった次の瞬間、スカート状アーマーのバインダーからビットが起動、ミサイルを二発吐き出した。
『やったか!?』
山田先生がそういったのがハイパーセンサーの無駄に高性能な集音マイク越しに聞こえた。あのさぁ……。
「……展開終了。インターセプター……あなたの性能にかけてみましょう」
俺はスターライトmkⅢを格納し、新しい武装を握っていた。開発局にもっといい武器を寄越せと言った所、これが送られてきたのだ。身の丈どころかスターライトmkⅢさえ上回る長さと肉厚な剣身。俺はその“インターセプター”をIS特有の怪力で風斬り音を鳴らしながら響かせると右足を前に両足を開いて、剣の切っ先を一夏へと向けた。剣身途中のレーザー装置から青い閃光が走り、剣の切れ味を倍増させる。
あの立ち方構え方だ。カメラさんがいれば斜めの角度から撮影してくれるあれだ。いいじゃんこれくらい。かっこいいじゃん。
立ち方はともかく武器は俺の仕業じゃない。試作品の中でもお蔵入りのでもいいから送れと言ったらディスティニーガンダムが持ってるアレそっくりな奴が送られてきたんだ。都合がいいといえば都合がいい。小細工無しで振り回せる。
この展開からして
スラスタ全開。俺は全速力で一夏がいるであろう煙の中へと飛び込んだ。
爆発で足は止めた。あとは、寄って斬るだけだ!
「一刀―――――両断!!」
俺はニュータイプではないし、超能力なんてものはない。生理的悪寒というか、動物的直感が俺に囁いたのだ。よけろと。
『警告 敵ISより高エネルギー反応 近接格闘兵器確認―――』
俺が咄嗟にPICを全開にして空中に踏みとどまった次の瞬間、空中を青白いビーム光波が切り裂いた。
「ひあっ!?」
絹を裂くような声って表現あるけど、俺の悲鳴はまさにそれだった。
煙が晴れた。そこには機体形状はそのままに――よく細部を見るとジャンクパーツのようだった箇所が元通りになっている――両手に見覚えのあるブレードを装着したダークレイヴンがいた。ほかに違うところといえば、背中に剣にしてはでかすぎる何かを背負っていることだろうか。背中のは光学センサーでは見えない。腕のなら見えた。ハイパーセンサーで拡大。ブレードに文字が刻まれている。
―――壱式月光剣。
俺は武器を構えるのも忘れて一夏の顔を指差して叫んでいた。
「ちょ、ちょっとお待ちなさいⅤ系の形じゃなくて初代とかあのあたりの形状ってどういうことですの!?」
おう世界観違うのにシリーズでクロスオーバーするのやめろや。初代系の相手を即死させる系のはやめろ。お願いしますなんでもしますから!
「………」
一夏が何も言わずブレードを振りかぶったのを見て、俺は―――。
Q.インターセプターならインターセプトしろよ
A.近づけばインターセプトだから(暴論)