セシリアに生まれたオリ主がなんとかして一夏を落とそうとするけど中の人が違う面々のせいでなかなか落とせないIS   作:キサラギ職員

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12話 颯爽たる箒

 4月も下旬になった頃だろうか。

 一夏に負けたことで俺の評価は――。

 

 『一夏君って強いんだね!』

 『男の子なのに強いってすごいよねー』

 

 という一夏の思わぬ大活躍に持っていかれて、存在感が薄くなった程度だった。

 男がISに乗れるという衝撃。しかも圧倒的な強さを持っていたということが影響しているらしい。

 

 「シッ!」

 「このくらい!」

 

 俺は一夏に稽古をつけてもらっていた。今回は、稽古の初回だった。アリーナがなかなか開かなかったのだ。

 一夏のIS『ダークレイヴン』は近接特化といいつつ、ISのシールドを一撃で貫通し絶対防御を作動させる威力を誇るビーム光波を放つことができる。救いと言えば、ブレードの出力を爆発的に一点に集中させてビームを構築している都合上、“振るう”動作がなければ放てないことだろうか。

 とは言っても、二振り持っているわけで、タイミングをずらしながら放つことも十分可能だ。

 俺がスラスタを全開にして距離をとろうとすると、一夏は気持ちの悪いまでに鋭いジグザグ機動を取りつつ接近してきた。

 俺はストライクガンナーによって得た膨大な推力を元に下がりつつ、新装備へと意識を集中した。

 

 「お行きなさい、BTミサイルたち!」

 

 背面部バインダーの発射ポッドが開閉すると―――どう見てもキュベレイのお尻の射出装置―――合計12発のミサイルが一夏へと向かって射出された。

 目を閉じる。閉じても、ハイパーセンサーが送り込んでくる情報に澱みはない。

 ストライクガンナー(ビットスラスター化キットのみ)が本国から送られてきた。これはBT兵器をスラスターとして使う本末転倒ゲフンゲフン独特な装備で、その代わりにBTミサイル『ミーティア・シャワー』が装備されるようになった。どちらかといえばこちらの方が扱いやすいのは確かなんだがなぁ……。

 

 「動きが単調だな」

 「ぐっ……」

 

 ミサイルである以上、敵に突っ込ませないと話にならない。近接信管を使っても、そもそも相手が近接信管の間合いにさえ入ってくれないから困る。

 

 「やらせてもらう」

 

 ダークレイヴンがぶれた。ように見えた。ハイパーセンサーは全周囲をモニタリングする便利な機械だが、操縦者が人間である以上、その処理能力は人間の性能に依存する。

 一夏が俺の放ったミサイルを悉くかわしながら肉薄してきた。真正面から飛び込んでくる。腹部を狙って突っ込ませたが――。

 

 「追尾が間に合わないですって!?」

 

 当たらない。右へ、左へ、空中で側転するような機動も折り交えて、全て避けられる。

 速過ぎる。推力ではこちらの方が上位なはず。一夏は、俺が一夏がどう動くかを予想しているのを逆に予想して、俺の想像できない機動を取っているらしい。チートかよ。これだから主人公ってのは。

 

 「このぉっ! 乱れ撃ちますわ!」

 

 俺はスターライトmkⅢをフルオートで撃ちまくった。この際狙撃は抜きだ。低威力の弾をばら撒いて命中を祈るしかない。

 ちなみにストライクガンナーのビットスラスタ化キット以外の装備は、いまだ開発中らしい。そりゃそうだ。本来はもうちょっと未来で装備される予定のもので、しかもお蔵入りしかけていたBTミサイルを先に開発しちまったんだから。

 

 「………」

 

 当たらない! ひらりひらりと、最小限の動きでいなされている!

 一夏が腕を構えた。ビーム光波が来る! 俺は右へ機体をスライドさせて、一発目を回避した。

 

 「きゃあああっ!!」

 

 そして続く第二発目が一拍タイミングをずらして発射されたことで見事に撃墜判定を食らった。

 ディレイまぜるのやめろって! まるであのゲーム最初のボスの一拍遅れショルダーアタックみたいだぁ。

 

 「常に同じタイミングで放つとは限らない。ミサイルを有効に使わせろ」

 

 グレンキャノン?

 ちょっと待ってくれ、頼むよ一夏。

 

 「おいぼんやりとしすぎだぞ。次に備えてシステムをリセットしてくれ」

 「え、ええ、そのつもりですわ。一息吐かせてくださいな……っはぁっ、はぁっ」

 

 俺は息ゼイゼイだった。ISとて体を動かすわけだし。一夏が汗ひとつかかず平然と滞空しているのを見つつ、前のめりになって息を整えようとしていた。

 イケメンっていいよな。汗をかいてもカッコイイし、汗をかかなくてもかっこいいし、何もしなくてもカッコイイ。ずるい。

 俺は呼吸を整えている暇に視界に映っているモニタを操作して、シミュレーションモードの設定を初期に切り替えた。いちいち破損させてたら本国から大目玉食らってしまうし。模擬刀とかペイント弾でもいいんだけど、やっぱり実戦の緊張感って必要よな。

 ぶっちゃけ一夏とまじかに接することができるというのもある。合法的に。理屈もつけられるし。

 その時電流走る―――! うそですハイパーセンサーです。

 ゲートを開けて入ってきたのはほかでもない、仮面だった。

 

 「―――……あえて言わせて貰おう―――篠ノ之箒であると!」

 

 お呼びじゃないです先生!

 

 「お呼びじゃなくてもやってくる。私は執念深い女だ!」

 

 おかしいぞ俺の思考を読んできた気がするぞ……? 全裸空間じゃないよねここ?

 ………おお……もう……せっっっかくアリーナを二人で占領できるぜ! と思ったのに、あーもーめちゃくちゃだよ。

 

 「篠ノ之箒さん……乱入してくるとは、とんでもない方ね。今私は一夏さんにISを教えていただいておりますの。よそで特訓なさったら?」

 

 俺は苛立ちを隠さず腰に手をやって箒を見下ろしながら言った。せっかく一夏といちゃつけるというのに。あと、一夏のダークレイヴンが背負ってる古風な西洋剣のような装備を確認したいというのに。

 

 ―――零式月光剣。その剣が、俺は無性に気になっていた。

 

 すると何を思ったのか箒はISを展開し始めた。光の粒子が体にまとわりつき、結実する。次の瞬間IS『打鉄』らしき機体をまとった箒がいた。

 

 「あれは………打鉄?」

 

 打鉄……なんだろうか? 打鉄から非固定浮遊部位(アンロックユニット)と装甲を剥ぎ取って、徹底的に細身にしたような――ぶっちゃけフラッグ系むしろスサノオによく似ている――それが、俺の目の前に飛んできた。

 

 『戦闘待機状態のISを感知。操縦者 篠ノ之箒。ISネーム『  』 該当データなし。コアネットワーク検索中……該当あり。『打鉄』試作型IS 第一世代型『心鉄』。戦闘タイプ不明。特殊装備有り』

 

 「第一世代ですって?」

 

 第一世代というと、兵器としての完成を目指した機体で、かの有名な白騎士もここに属する。といってもこの世界白騎士がいないようなんだが。千冬さんがミサイルを叩き落したのは間違ってない。白い悪魔事件と呼ぶべきかね。話がそれた。要するにジェット戦闘機で言うとベトナムあたりで活躍していた連中のようなもんで、間違っても現役で使える機体のはずがない。

 そのはずだが……グラハムはフラッグでガンダムと渡り合ってんだよなぁ……嫌な予感しかしない。

 箒がIS心鉄のブレードを二振り抜いた。

 

 「許可はとっていると言った! セシリア・オルコット。一夏と久々に戦いたくなったのでな。退場していただきたい」

 「強引な方ですのね。お断りしますわ」

 「いいんじゃないか?」

 

 静観を決め込んでいた一夏が口を挟んだ。俺たちのすぐ横に来て静止する。

 

 「俺とばかり戦っていたところで戦い方が偏るだけだぞ。俺は近接がメインで、箒も近接がメインだろうが、俺と箒の太刀筋は違う。違う戦い方を取り入れるべきじゃないか」

 「望むところだと言わせてもらおう、セシリア・オルコット!」

 

 男女同士の間に入るな! とはいえこいつも女。なんと言い返すべきか。一夏の言っていることは正論だ。戦いに強くなりたいならば、いろいろな相手と戦うべきだからだ。ぶっちゃけ一夏と仲良くなれるなら、それでいいんだけどね。

 俺はふわりと髪の毛を手で流してみせると、スターライトmkⅢを構えなおした。

 ここはびしっと決めてやる。優雅に! 美しく! 可愛く! しなやかに! ……しなやか? したたかに!

 

 「ふふふ………いいでしょう。一夏さんの言うことでしたら、喜んでお相手して差し上げますわ。新装備があるんですもの。負けるはずがありませんわ」

 

 ……やっちまったああああ! つい調子に乗って大口を叩いてしまった。フラグがでかすぎる。

 俺はえへんと胸を逸らしてえばってみるも、冷や汗たらったら。口元に笑みを乗せてみたけど、プルプルが止まらない。ついさっき負けたばっかですやん。

 

 「第三世代型……ブルー・ティアーズか………相手にとって不足なし! どれほどの機体性能差であろうとも、この私篠ノ之箒と心鉄が道理を無理でこじ開ける!」

 

 箒が二振りの刀を左右に垂らし構えた。口元はきゅっと結ばれていて、ISスーツに包まれた胸元を凛々しく張っていた。

 ちくしょうかっこいいな。女だけど惚れそうだ。好きな男の前だからだろうか、箒の頬は紅色に染まっていた。俺が男なら一発で落ちてる。

 だけどこっちにもプライドってもんがあるし、そっちが道理を無理でこじ開けるならば、こっちは無理をしてでも道理を通してやる。

 

 「一夏さん!」

 「ああ」

 「この戦いに勝ったら……わたくしと付き合っていただくというのは!!」

 「いいぞ。……別に勝たなくても買い物くらいならいつでも付き合ってやる」

 

 あれ? あれれ? 一夏は機体をまとったままアリーナの端っこへと飛んでいく最中だった。

 くそが! こっちの一夏も鈍いのかよ! この朴念仁!

 

 「くっくっく……らしいな一夏よ」

 「笑わないでくださいまし!」

 

 シミュレーションモード再起動。状況セット。

 俺は口元を押さえて笑う箒に顔を真っ赤にしながら怒鳴ると、スターライトmkⅢを構えスコープを覗いた。




オーガニックで有機的な執筆意欲が萎える前に書き上げようと、お前は! そういうのか!(富野風
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