セシリアに生まれたオリ主がなんとかして一夏を落とそうとするけど中の人が違う面々のせいでなかなか落とせないIS   作:キサラギ職員

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20話 希望の未来にレディーゴーできればいいな

 俺は病院着を身に着けてベッドにいた。俺の横の椅子には鈴音がいた。りんごとか剥いてくれそうな位置にいるよな、とどうでもいいことを考えていた。

 

 「はい、あーん」

 「……鈴音さん、わたくしは別に病人ではありませんわ」

 「せっかく作ったのに食べてくれないの? 食べ物粗末にするとバチが当たるよ」

 

 あの後俺は病室に担ぎ込まれたらしい。一夏が起き上がろうとしているパルヴァライザーに『零式月光剣』をぶつけようとしているのを止めようとして接近して、なんでもISが強制解除されたらしい。ログを確認してみると月光剣が炸裂したときにシステムにエラーが走り搭乗者保護の為強制排除されていた。絶対防御が作動した覚えもないのに、だ。あの剣は単なるオーバードウェポンというわけではないらしい。コジマ粒子っぽい色を放っていたので念のため調べたが、有害物質は検出されなかった。

 あの戦いでパルヴァライザーは自爆し、原型を留めなかった。稀代の天才篠ノ之束は謎の勢力からの攻撃を受けて撤退し姿を晦ました。それが俺の知る限りの状況だった。あと、一夏だが一時気を失っただけでケロリとした顔で退院したらしい。頑丈すぎるだろ。

 意識を失ったというのはIS側から意図しない情報の逆流があったとのことで、過労にも近い形で意識が飛んでしまったらしい。数日は安静にして休んでいなさいと言われたので病室のベッドでロックを聴きながらのんびりしていると、小鍋を持った鈴音がやってきたのだ。

 医者の診断では特に薬も必要ないし、のんびりしていればいいとのことで食事の制限もかかっていなかった。ただし病院食。一番量の多い普通食に近いの。そのはずなのに量がね……何を食ってもいいのだが……ここは病室。お菓子をもりもり持ち込むのも人目があるし、何より……。

 

 「あーん」

 

 食事摂ってるぅ? とかなんとかいいつつ入院生活の昼の時間になると鈴音がやってくるのだ。貴重な昼休みを潰してまで来ているらしい。鍋入りお粥もわざわざ作っているのだろう。料理屋の娘だけあってこれがまた美味いのだ。

 ただそれをレンゲで掬ってふーふーして俺の口に入れようとするのは勘弁してください。目覚めてしまいそうなので!

 元男が女の体に産まれなおして女性に恋をしたと仮定すると、自分はどっちの性別であるべきなのかがよくわからなくなる。考えようによっては一夏への恋慕もホモだしなあ。これもうわかんねぇな。いかんぞ同性愛は非生産的な? うるせぇ知るか。

 俺は仕方が無いといった顔でレンゲの中身を口に入れた。ほどよい温度の卵粥。掬っては食べて掬っては食べて。もとい食べさせられて。おいしい。おいしいんだけど、睫の長い綺麗な目でこちらをがっつり見てくる鈴音のせいで集中できない。

 

 「ご馳走様。美味しかったわ」

 

 俺がハンカチで口を拭いつつ礼を言うと、鈴音は心底嬉しそうに顔を綻ばせながら鍋を袋に入れていた。

 

 「お粗末さまでした! また来るから。お粥以外も作れるけどご希望は?」

 「今日で退院なのでそこまで気を使っていただかなくても大丈夫です……わ」

 

 ぐうううううう……。

 

 「………」

 「………」

 

 あちゃー………鳴っちゃった。お腹なっちゃった。こらえてたんだけど鳴っちゃった。だってお粥じゃぜんぜん足んないんだもん! 病院のご飯妙に少ないし! 育ち盛りなんだよ俺! 微妙にまだ背と胸伸びてるし! 病室でがっつり食ってるのが見られるのが嫌で我慢してたんだよ! 食堂病院着で行くわけにもいかんし! お菓子買うにしても隠し切れないし! だから自室が最高なんだよ!

 俺は羞恥心の余り顔を覆って布団の中にもぐりこむことにした。やめろ見るんじゃない。

 

 「んふっ! んふふふふふ! 女の子だってお腹減るもんね。恥ずかしいことじゃないし」

 「~~~~~~~~!!」

 

 恥ずかしい。いや一夏の前で鳴らなかっただけ幸いと考えよう。俺は前向きなんだ。

 俺は布団から顔を出すと鈴音の顔を睨み付けた。

 

 「中華鍋一杯のホイコーローにスープつけて山盛りチャーハンを所望しますわ!」

 

 退院したらヤケ食いだ。決めたぞ。

 

 「ひょっとしてセッシーって大食い? そんな量食べられるのかなぁ。食べ残しちゃいそう。ウチの国的にはそっちのが正解だけど」

 「誰がセッシーですか、わたくしはセシリアですっ! お腹が空いているのだから仕方が無いでしょうっ!! 今なら鉄板だって食べられますわ!」

 

 セッシー言うな。

 すると鈴音がベッドに腰掛けて布団越しに撫でてきた。

 

 「よしよし腹ペコな子にはご飯をあげようね。今度作ったげるからね。料理屋の娘の腕前を見てなさい!」

 「もう出て行ってください……」

 「ふっふっふ……」

 

 なにやら怪しい笑い声を上げながら鈴音が出て行く。中華料理得意そうだよなあ。酢豚とか。考えるだけでお腹が空いてきた。

 俺は布団に包まったまま目を閉じた。

 

 いろいろとあったが、ひとまず決着はついたのだ。

 しばらくのんびりしてみるのもいいだろう。それくらいの働きはしたつもりでいるんだから。

 

 

 

---------------

 

 

 

 

 「というわけでお前と織斑は別室に入ることになる。よかったな」

 「うおおおおおおおお!」

 「第一男女が同じ部屋に住まうこと自体おかしい。ええいしがみつくなばか者が」

 「うおおおおおおおおおおおお! 私と一夏は二人で一つ! 一人が火で二人揃って炎というのに!」

 「うるさいぞ。大声を出すな暑苦しい。貴様死にたいのか? 私に触れるなと言ったはずだが………」

 

 退院後。俺は廊下で死刑宣告を言い渡されガンバスターにでも乗ってそうなセリフを吐く箒と、無表情ながらどこかほっとしている一夏に遭遇した。箒はあろうことか霞もとい山田先生の足にしがみついている。山田先生は箒を引き剥がすと、ハイヒールで足蹴にし始めた。道行く女子生徒数名がどこかうらやましそうな目で見ていた。そんなことしなくていいから(良心)。

 そうか、確か引越しになるんだったな。毎日縛りプレイ(ガチ)をされている箒と、する側の一夏。あの一夏であれば間違いは起こるまいと確信してはいるが、強力なライバルが別室行きと言うのは嬉しい情報だった。

 山田先生があきれ顔で立ち去っていく。さすがオリジナルのリンクス。歩く姿は核弾頭のような威圧感がある。

 四つんばいで落ち込んでいた箒がゆらりと立ち上がった。俺と一夏はその様子を固唾を呑んで見守っていた。

 

 「来月に学年別個人トーナメントがある……」

 「ああ、そうだな」

 「私が優勝したら結婚してくれ! とは言わないが。君は堅い! 順序を踏みたいというならば是非もなし。交際をしていただきたい!!」

 「………」

 

 一夏、無言である。もはや扱いなれたと言わんばかりにあくまで無言で箒を見つめている。触れ得ざる者、という単語が脳裏をよぎったが、黒い鳥ことイレギュラーは決して死なないわけじゃない。歴代主人公死亡してるとしか思えない作品とかあったしね。特攻兵器の群れにさらされ死ぬしかないままエンディングとか。触れ得ざる者は寿命で死ぬのかも怪しい。

 そんなことはどうでもいい。この状態を指咥えて待っているほど俺は冷めた女ではない。横合いから一夏の顔を覗き込んだ。相変わらずのかっこよさである。携帯端末の待ち受けと同じ顔がそこにいた。別に隠し撮りしたわけじゃないぞ。本当だぞ。

 

 「篠ノ之さん。一夏さんが困っていますわ」

 「いいだろう」

 「ええっ!?」

 

 一夏がそんなことを言い始めた。俺は慌てて二人の顔を交互に見た。

 

 「俺が勝つ」

 「望むところだ……不肖篠ノ之箒、運命を切り開く!」

 

 箒がガッツポーズをしてみせた。瞳が轟々と燃えている。仮面で隠しきれない口がにっこりとした笑みを作っていた。その前向きさ加減、イエスだね。俺も見習うとしよう。

 

 「お待ちなさい!」

 

 俺は腰に手をやり胸を張った。おっぱいの体積には自信がある。箒と比べても劣らないボリューム感を見せ付けてやる。一夏は胸ではなく顔を見てきた。興味がないのか、あるいは本当に男性好きなのか? いや、そんなことはないと俺は信じている。

 

 「一夏さん!」

 「………おう」

 

 あっ、原作一夏っぽい受け答えだ。

 一夏が首を傾げた。その仕草がたまらなく母性を掻き立てる。

 俺は指を突きつけた。

 

 「わたくしも優勝したらお付き合いをしていただきまふ!」

 「まふ?」

 「まふ?」

 「…………ます!」

 

 

 

 

 

 かみました。




これにて原作第一巻は終了でございます。次は軽くまとめと設定でも投稿して第二巻にはいっていきたいなあ……

毎日更新のペースが落ちるかもしれないけどご容赦を。
感想は毎秒機関砲の如く投稿して?(はーと)


Q.シャルとラウラどうなってるの?
A.素敵なことさ

Q.生徒会長どうなってるの?
A.素敵なことさ
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