セシリアに生まれたオリ主がなんとかして一夏を落とそうとするけど中の人が違う面々のせいでなかなか落とせないIS   作:キサラギ職員

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俺は更新止めないからよ……(例のポーズ)

この世界の山田先生おっぱい触ろうもんなら至近距離からレールガンを撃ちまくりつつ笑ってると思う


23話 実戦訓練

 

 第二アリーナにて。

 

 「ちいっ!」

 

 俺は真正面から上方へと放たれる小型ミサイルが、ぐるんと角度を変えて追尾してくるのをセンサー越しに見ていた。ASミサイル。母機からの誘導、目標決定無しでも敵を自動捕捉し、攻撃する特殊ミサイル。威力自体は少なく着弾衝撃も微々たるものだが、これに気を取られると母機に食われることになる。

 相手の高威力のレールガンが火を噴いた。着弾。シールドエネルギーが持っていかれるのと同時に、着弾箇所である右腕ががくんと後方に吹き飛ばされる。自動で姿勢制御がかかった。冷たい瞳をした山田がレーザーライフルを構えて迫っていた。

 

 「セシリア!」

 

 衝撃砲が目には見えない砲弾を速射したことで、死角である真上から降ってくるミサイルが爆発する。丁度間に入る形になった鈴音がレーザーライフルとレールガンの交互撃ちを浴びる形になった。

 今しかない!

 

 「BTミサイル、ミーティア・シャワー起動………光で押しつぶしなさい!」

 

 俺は高速起動中の山田女史その人に右手をかざした。手のひらを上に、握りつぶすようにした。いっそ指揮棒でも持とうかな。具体的なイメージを固めるのに体を使うのが案外しっくりくるんだ。ギターを弾きながらとか……はさすがに無理か。

 合計12発同時発射。これが俺の限界だ。複雑な軌道はできないし、とても相手の背後から回りこませることはできない。迎撃を想定して適当にくねくねさせるのが精一杯だ。

 山田先生が初めて表情をこわばらせた。確か元ネタだと実弾防御性能は低いはずだしな。ただし……。

 

 「甘いな」

 

 あたらなければどうということはないんだよなぁ……。

 ドヒャアと音を響かせて慣性を置いてきぼりにした後退からの、クイックブースト染みた左右の切り返しでミサイルをかわしまくる。だめだ、俺のイメージが、相手を追いかけきれない。

 

 「なんなのあのバリア! 卑怯よ卑怯!」

 「プライマルアーマー相手にその衝撃砲は少々相手が悪いようですわね!」

 

 体勢を整えた鈴音が低空から上空へ駆け上がりながら衝撃砲を速射している。山田先生は左右に機体を振ってかわそうとしているみたいだが、命中していた。ただ緑色の光が走って着弾に至っていない。

 ……ホントにあれコジマ粒子使ってないのね? 大丈夫ね? あとで全身スポンジでこすられて隔離されたりはしないよね? ねぇ技術部さん?

 山田先生のIS『シリエジオ』が動いた。レーザーライフルか? レールガンか? 特にレールガンはヤバイ。有視界においてあのレールガンは、俺の場合反応する以前に着弾しているくらい速いのだ。一応分類上レーザーライフルのスターライトmkⅢより速いというのが納得いかない。イギリス開発局め……。嬉々とした表情であんなものやこんなもの税金で作ってるくせに……。

 山田先生は―――ASミサイルを放った。甘い、かわせる! だったら! プライマルアーマーごと貫通できるスターライトmkⅢで!

 

 「このっ! あぁっ!?」

 

 俺がASミサイルに一瞬気を取られた次の瞬間レールガンが腹部に着弾していた。衝撃を完全に殺しきれるわけじゃない。競技用だってそうだ。地味に痛い。しかし女子に腹パンとは容赦ないな。などと思っているとASミサイルが着弾。俺は地面に伸びる羽目になった。

 

 「セシリア! 私一人でもやっつけてやるんだから!」

 「小娘。貴様にやれるのか?」

 「かたきは討つ! 今、ここで!」

 「やれるならな」

 「あんたって人はぁぁぁぁ!」

 

 俺が死んだみたいな会話はやめろって!

 涙目を浮かべて鈴音が突撃していく。ナギナタもとい青龍刀を連結させて、こまのように回転させながら。

 数度の撃ち合いの後に鈴音も俺と同じ方角に吹っ飛んできた。ブルータスお前もか。なぜか俺の上にのしかかる格好になった。

 なぜか見つめてくるので視線を離す。うなじの辺りがぞわぞわする。

 

 「………」

 「………」

 

 頼むなんか言ってくれ。俺は荒い吐息を吐いてのしかかったまんまの鈴音を無理矢理引き剥がすと、乱れた髪の毛を整えた。上空から山田先生がこちらを見つめてくる、その視線はさしずめ女王様だった。

 

 「山田様……」

 

 例の生徒が目から流星群を放ちながら山田先生を見つめていた。また君かぁ壊れるなあ。

 

 「ということでデモンストレーションはここまでとして、各自実習に入る。専用機体持ちと指定の生徒はグループを作ってくれ。指定された生徒はグループリーダーとなって実習を開始すること!」

 

 千冬先生が手でメガホンを作り叫んでいた。専用機持ち……俺、一夏、箒、鈴音、シャルロ……シャルル、ラウラ、かな。

 俺はグループの生徒たちがどっと集まってくるのを見ていた。名前を知らない生徒、まだ覚えていない生徒もいるが………よし全員だな。ちらりと視線を別のところにやる。こういう時ハイパーセンサーって便利だ。音もついでに拾ってくれるし。

 

 「織斑君よろしくねー」

 「ああ。近接しか教えられないが」

 

 教えるのが得意ではないらしい一夏が複雑そうな顔をしている場面。レア顔が見れてよかった。保存しておくか。

 

 「(ファン)さんよろしくね。織斑君とどんなカンケイなの?」

 「友達よ。想像してるみたいな関係じゃありませんよーだ」

 

 こっちみんな。

 

 「デュノアくん! わかんないことあったら教えてあげるね!」

 「……はぁ、感謝はしますけど」

 

 シャルが周囲を女子に囲まれていた。けだるそうに俯いていた。

 ……やっぱりかあ。左手に実体盾、右手にビームライフル、頭部装甲には独特なV字型アンテナ。ランドセルとでもいうべきバックパックにスラスタユニット。二基のビームサーベル。ハイパーバズーカ。MS少女とかってプロジェクトのガンダムMK.Ⅱによく似ていた。色は白赤黄色黒。エゥーゴ仕様。そしてそれを身に着けているということは、宇宙世紀でもっとも高いNT能力を持つというあの青年に間違いない。

 確かに境遇はちょっと似てるかもしれない。もしかしてガチで男なのかもしれんな。名前については触れないほうがよさそうだ。殴られるとその後勝てなくなるらしいから。

 

 「ラウラと気軽に呼んでくれていいぞ。実技をいきなり覚えようとするなよ。それよりもまずは基本的なことを思い出せ」

 

 開始の合図もないのに既に教えにかかっているラウラ。堂々たる態度であれこれ説明している。頼りがいのある雰囲気に生徒たちがうんうんと嬉しそうに頷いている。

 機体は……シュヴァルツェア・レーゲン、か? 右に大型レールカノン。肩にレーダードーム。バルカン砲らしき武器を抱えている。実体装甲でごてごてに固めた大型ISがそこにいた。シュヴァルツェア・レーゲンっぽいけどどこか違うような気がする。見覚えがあるような気もする。なんだ?

 

 「箒さんってやっぱり一夏くんと……!?」

 「フッ。愛さ、愛。私と一夏は一心同体」

 

 黄色い歓声。仮面をかぶった箒が生徒と話し込んでいる。仮面は相変わらずである。いつもと同じすぎていっそ安心する。

 さて俺は、自分が教えることになる生徒たちをぐるりと見回した。

 

 「はじめましての方もいるようですし挨拶させていただきますわ。イギリス代表候補生、セシリア・オルコットと申しますわ。以後お見知りおきを」

 

 優雅に行こう。俺はふわふわのブロンド髪を後ろに流しつつ、胸元に指先を触れて言った。

 

 「はいはーい! 質問がありまーす!」

 

 なにかなモブ子君。首を傾げた。

 

 「はい?」

 「一夏くんのこと好きなんですかー?」

 「ひええっ!?」

 

 ばかな、どこで情報が漏洩しているのだ!? 俺は思わず奇声を上げつつ仰け反ってしまった。

 いかん、危ない危ない……イギリス淑女は慌てない! 表情をきりっとしたものに切り替えつつ、首を振る。

 

 「一夏さんは恋焦がれる殿方というわけではなくて、尊敬する同級生ですわ。ほかに他意はありません」

 「えーうそだー。校内新聞で抱きついてるの見たよ」

 「あっそうそう告白するんだって?」

 「いいなーうらやましいなー。彼氏募集中って新聞に書いてもらおうかな」

 「連絡先知ってたら教えてよ」

 

 あの黛とやらはシメあげなくてはならないようだ。そんなことインタビューで言った覚えはないぞ!

 俺は思わず額まで真っ赤にしつつ声を張り上げた。

 

 「だからそんな関係じゃないと言っているでしょうっ! あなた方に連絡先を教えると思いかしら!」

 

 あっ。

 生徒の人ががっと肩を抱えてきた。やめてください。

 

 「連絡先知ってたんだ……ふーん……へー………」

 

 助けて一夏! 俺は回線を開くと一夏へのプライベート・チャネルで助太刀を求めた。

 

 『一夏さん助けてくださいな! こっちを見て首を振ってください!』

 『………何をしたんだお前は』

 

 一夏があきれたような口調でこちらを向く。女子生徒の視線が突き刺さる。

 一夏が手を振り、ぎこちない笑顔を浮かべたかと思えば、首を振ってきた。え、なにその顔は。やめろよ録画タイミング逃しただろが。

 

 「きゃああああああ―――っ!」

 

 なぜか大盛り上がりになった。

 どうしてこうなった。

 俺は遠のきかけた意識を元通りにするべく、訓練機を誰かに取りにいかせようと視線を巡らせた。


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