セシリアに生まれたオリ主がなんとかして一夏を落とそうとするけど中の人が違う面々のせいでなかなか落とせないIS   作:キサラギ職員

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みんな投票にいこうね 私は行きました


31話 Metal Fighter

 「……」

 

 「ね、せっしー?」

 

 本音が恐る恐ると言った風に俺に聞いてきた。あの、ダークレイヴンが装備している武器『零式月光剣』は一見すると王族貴族か何かが使うような豪勢な武器に見える。エメラルドグリーン色の透き通った半透明の刃。黄金と銅をあしらった柄と(ガード)。根元にはルビー色の宝石。ハイパーセンサーでよく観察してみると、一見―――ぶっちゃけフロムソフトウェア伝統のムーンライトソードそっくりなんだが、半透明な刃には無数の回路のようなものが走っているし、宝石は内部で妙な光が渦巻いているし、(つば)からはエメラルドグリーンの光が出ていたりと、剣っぽく仕上げた何かほかの装置にも見える。外見はともかくコア・ネットワークを通じた解析を行ってもエラーしか出てこない。

 

 「おりむーの様子がおかしいような気がしない?」

 「ええ、たしかに」

 

 本音の言うとおり、一夏は虚ろな瞳でこちらを見つめてきてはいるものの、敵意が感じられなかった。というのに壱式月光剣(ブレード)を自然体で構えて腰を落としている。

 

 「せっしー!」

 

 本音が俺を突き飛ばすと、ロングソードを地面に突き立てて丸盾で体を覆うような防御姿勢を取った。次の瞬間数万度にも達する青白いプラズマ炎が交差するように振るわれていた。ガシュッ、という小気味いい爆音が鼓膜を揺らす。一夏がくるりと踊るように身を翻し本音を蹴り飛ばしていた(ブーストチャージ)

 

 「きゃあっ!?」

 

 可愛らしい声を上げて地面をバウンドしながら本音が弾き飛んでいく。

 俺は咄嗟に本能的にスターライトmk.Ⅲを構えなおし、そして不気味な速度で死角を取ろうとする一夏の無機質な瞳を発見した。ブレードのリロードタイムにはまだ早い。だが、格闘はできる。重厚なつくりの脚部が炸裂するよりも一拍早く残り少ないスラスタを使い、飛び下がる。

 

 「しまった! やりますわね!」

 

 壱式月光剣が振り向きざまに振るわれて、ビーム光波が俺の頭上を抜けていった。あぶなかった。かすったらその段階で終わりだ。もっとも第二発目の光波で銃身が半分になってしまったが。残る武器はインターセプターのみ。データ領域から再呼び込み。実に2mに達する長大なこの武器だが、一夏のブレードの射程はそれを優に上回る。強力なレーザーを短距離で収束させ、大気と重金属を瞬間的にプラズマ化して吹きつけている、らしい。詳しくはしらないが、レーザーはともかくプラズマ炎が厄介なのだ。

 近接の鬼相手に鈍重な機体で接近戦を挑むことは、すなわち死を意味する。殺しにはこないだろうが。

 俺は思考を一時的に止めると、本音の元に後退した。

 

 「くぅ………これ以上の機動はエネルギー切れで強制的に停止してしまいますわ……!」

 

 エネルギー残量が危険領域に入っている。飛ぶのもつらい状態だ。一発蹴りを貰っただけで負けが確定するくらいには消耗している。装甲もない。俺が駆けつけている間に本音は体勢を整えていた。

 

 「せっしーこれ使って!」

 

 本音がほーいと口で言いながらアサルトライフルを投げ渡してきたので、受け取った。安全装置を解除。マガジンを取り弾数を確かめると差し込みなおす。

 

 「私射撃が苦手なんだよねぇ。あたんないんだもん! てっぽーって難しいよね! せっしーのがじょーず……来たッ!」

 

 本音がにこーっと口元を綻ばせながら突然叫んだ。横合いから殴りつけるようにして、低空を舐めるコースで光波が飛んできた。本音の丸盾がそれを遮るも耐久限界を迎えたか砕け散る。続く第二発目でエネルギー残量が丸ごと消し飛び、機体の装甲が剥がれ落ちて四散した。

 俺はアサルトライフルを撃ったが、ネクストばりに左右上下に機体を振りまくる漆黒の機体を捕捉しきれない。

 

 『不明なユニットが接続されました』

 

 コア・ネットワークを通じたシステム音声が漏れ聞こえてきた。

 IS『ダークレイヴン』を纏った一夏がブレードを収納すると、背後の特大剣を握った。剣から迸るエメラルドグリーンの光が会場を神々しいまでに照らす。

 

 『システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください』

 

 そして、俺のブルー・ティアーズに異変が起こった。

 

 『システムに深刻なエラーが発生 詳細不明 強制解除……強制解除……強制解除……』

 

 「何……? 一体全体何がどうなったというのですか、ブルー・ティアーズ!」

 

 俺は突然エラーを吐いて停止したブルー・ティアーズに乗ったまま身動きが取れなくなってしまった。バイクだろうが車だろうが持ち上げられる怪力を発揮するはずのパワードスーツは、もはやただの重りになっていた。

 なんとか力んで動こうとしてみるも、びくともしなかった。焦って横を見てみると装甲の大部分を失った本音の打鉄も同様に仁王立ちのまま動けない様子だった。

 

 「わーん! せっしー打鉄が壊れちゃったよ~!」

 

 嘘泣きとかじゃなくガチでわんわん涙を流して泣く本音ちゃん。動けたら目元擦ってることだろうけど、動けないせいでマネキンのように立ったまま泣いている。かくいう俺も動けないから立ったままなんだけどね。

 一夏が光り輝く剣を握ったまま俺の前に来た。

 

 「痛っ! 一夏さん? 一夏さん………? あの……」

 

 蹴られた。置物と化したブルー・ティアーズは仰向けに倒れた。機能が完全に死んでいるらしく衝撃がモロに来て頭がくらくらする。俺はエラーを吐いて処理落ちというか、こちらの操作を受け付けないOSの情報にこんな一文を見つけた。

 

 『絶対防御システム オフライン』

 

 ……え?

 俺は、無表情で零式月光剣を振りかぶる一夏を見ていた。

 そうか、ここで俺は死ぬのか。絶対防御とて言うほど絶対ではないというのに、その防御も無しに特大剣を受けようものなら体はミンチよりもひでぇことになる。まあ、それもいいかなという自分がいた。こんなところで死ぬのも癪だが、この男の手にかかるなら……。

 

 「いかん!」

 

 山田先生がISを起動させてピットから飛び出してきた。ところが、空中で支えを失ったかのように地面に落ちて動かなくなった。他の教員や生徒たちがISで救助に向かおうとしているのに、まるで見えない膜に飛び込んだように墜落していく。

 ISが無効化されている? となると、この場の誰も一夏の凶行を止められない。

 

 「せっしー!!」

 

 本音がこちらを見て叫んだ。らしくないぞ。のほほんとしていてくれよな。太陽の加護あれだ、友よ。

 

 「本音さん。申し訳ありません……」

 

 俺は一夏を見、そして、

 

 

 

 

 

 

 

 「OK!!!!!!  Let's Party!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 閉じていたピットの扉が内側から爆発して何かが飛び出してくるのを見た。

 それは背面部のスラスタを数度瞬かせると空中で前転を決めつつずしりと着地した。生身を晒すような透明な防弾カウル。屈強な脚部。特徴的な一ツ目型の頭部装甲装置を備え、背中には二つの大型コンテナを抱えていた。右手にはガトリングガン。左手には大口径のグレネードランチャー。

 エクステンデッド・オペレーション・シーカーがそこにいた。というかもう言わせてほしい。どこの大統領? 前面カウルがぱかっと開くとISスーツに身を包んだ更識 楯無が出てきた。そうか、女性大統領の時代なのか。

 

 「だめよ一夏君! 女性へのアプローチがなっちゃいないわ! ここは生徒会長である更識楯無(さらしき たてなし)が預からせてもらうわ!」

 

 そっち? ねぇそっちなの? そこ気になるトコなの?

 前面カウルを開けて身を乗り出しどこから取り出したのか拡声器を片手に叫ぶ我等が生徒会長。ボリューミーなセミロングに艶やかな絹肌。女性として均整の取れた体付き。猫のような、狐のような、独特な賢しい雰囲気の少女がそこにいた。

 剣を振り上げたまま固まっている虚ろな瞳の一夏は聞いてるのか聞いてないのかわからない。意識がないんじゃないかな?

 そもそも、ISとEOSのキルレシオは1000対1とも2000対1とも言われている。使い手が乗れば、もはや数ではどうにもならないくらいに差は広がる。

 

 「わお! 速いのねぇ……フフ、速いのも早いのも好きよ、私。さあ! 侍のワザをごらんあれ!」

 

 というはずなのに、音速に迫る速度で斬りかかる一夏の零式月光剣を真剣白刃取りして腹に蹴りをブチ込むEOSの姿があった。一夏が吹き飛ばされる。

 そうか、つまりISは無力化されるが、他のものは無力化されないのか。だからEOSが動けるのか。なるほどね。

 どっから突っ込めばいいのかわからないが、一夏が機体を起こし再び零式月光剣を構え、そして、楯無が武器をコンテナに収納すると、全長5mはあろうかというコンクリートの柱にバーニアをつけたような武器を取り出して握った。あのコンテナは四次元ポケットか何か? 明らかに体積以上のもの出てきたんだけど。

 

 「Hooooooooo!!!!」

 

 超ハイテンションの可愛らしいボイスが会場を舐める。

 バーニア付き柱が膨大な火を噴き加速したかと思えば、一夏を正面から捉え、会場に展開されているシールドごと貫通して場外ホームランを放った。

 うわ、ひっでぇ……大丈夫かな、死んでないかな……。

 

 「Yayyyyy!!!!  今シーズンは頂きね!!」

 

 カウルがかぱっと開くと、扇子で口を隠して笑う楯無がいた。扇子には『当選確実』と書いてあった。

 そりゃ俺だって投票するわこんなん。

 

 

 結局、学園中のIS全てが機能不全に陥ってしまい、大会は中止になった。

 こんな形で終わるとは思わなかったが、命あっただけ物だねと思いたいね。




Q.EOSじゃないよねこれ
A.EOSだよ。それ以外の何に見えるのさ

Q.柱? あっ……
A.その辺で拾ったんじゃない?


次回予告
「束……何を考えている……」

「僕はただあなたに父親をやってほしかっただけなんだよ! どうしてそれがわからない!」

「ここは会長の私にお任せあれ♪」
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