セシリアに生まれたオリ主がなんとかして一夏を落とそうとするけど中の人が違う面々のせいでなかなか落とせないIS   作:キサラギ職員

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45話 夜の散歩

 そして、夜。

 オルコット家に来たからには無論ディナーを召し上がっていただくのが道理というものだし、当然のことなのだ。家付きのシェフ腕利きのフランス料理を。

 イギリス料理じゃないのかとか一夏が言おうとしたので俺が口封じしておいた。いいだろ! イギリス料理じゃなくてもさ! でもやっぱ日本食最高!!

 

 

 というのはさておき、夜どのような部屋で眠るのかということになったが、ここは腐っても名家のお屋敷である。客人一人一人に部屋を宛がうくらいは問題ない。本音を言おうとすると一夏と同じベッドで就寝したかったが、いくらなんでも親の前でやるわけにはいかんのだよ。

 俺が夜訪れたのはシャルロットの部屋である。ちなみに学園で一人メイド候補を見つけたのでスカウトしたいんだけれど、と俺が言うと両親共に反対はしなかった。だけど俺としてはシャルには父親と仲直りか、最後に話ぐらいしてほしいんだよね。遺伝子的生物的に繋がっているから父親を名乗れるなんて理論を翳すつもりはないけれど、どうにか、なんて思うのが俺が甘いからなのかもしれない。

 俺がノックすると、中からどうぞーという返事が返ってきた。

 

 「シャルロット、よろしくって?」

 「どうぞー」

 

 俺が中に入るとシャツにホットパンツという活動的な格好をしたシャルがベッドの上で胡坐をかいて座っていた。夢中で端末をいじっている。またか、と俺は思いつつ、その隣に腰掛けた。

 シャルロットは父親から与えられた機体が―――すなわちMK.Ⅱが技術者によって復元されても、使おうとしなかった。ラファールを自力で改良しようと頑張っている。これがカミーユとかアムロとかだったら自力でやれちゃったんじゃないかと思うけれど、ごく普通の女学生であるシャルには荷が重い。ここで手を貸すわけにもいかないし、シャル自身もそれを望んでいないだろう。

 

 「例の雇われるという件ですけれど、父と母の承諾は得ましたわ」

 「ほんと?」

 

 シャルが端末から目を離して俺を見つめてきた。

 

 「卒業後お屋敷に匿うことも約束いたしますし、もし他の職業をお望みということでした援助もいたします。けれどね、約束して。お父上と話をして相手の思っていること、望んでいることをきちんと理解して……」

 「あんな奴!」

 

 シャルが俺から目を逸らすと、ベッドから足を下ろして貧乏ゆすりをし始めた。いじけてるなあ。俺は背後からシャルを腕に抱えると、髪の毛に顔をくっつけてみた。

 

 「僕をほったらかしにしておいて戻ってくるなりパイロットをやれとか抜かしたあいつと話す口なんてない!」

 「それでもあなたのお父上なの。和解しろとも言いません。決着を付けろなんて。話をして、相手の考えていることを少しでもいい、わかった上で決別なさい。それがわたくしの条件ですわ」

 「…………」

 

 シャルロットの頭を撫でていると、貧乏ゆすりが収まってきた。うつむいて自分の指の爪をしきりに弄くってはいたが。

 

 「――――……セシリアはお母さんみたいなことを言うんだね。お母さんを思い出した」

 

 まあね。伊達に子育てパパやってただけじゃありませんよ。こっちの体だとまだ母親になるには早すぎるけどね。肉体はともかく、立場とか、社会的地位とか。なれるよ! なれるけど! 学生にして妊娠はリスクが高すぎる。世間体もよろしくないのが現状なのだ。

 俺は綺麗な二の足をベッドからぶらつかせて遊ぶシャルロットの肩に手を置いた。

 

 「母親になるにはわたくしは若すぎますわ。立場の違う人間からの知恵、とでも言っておきましょうか」

 「………うん。わかった。話はしてみる」

 「おやすみなさい。いい夢を」

 

 こちらを向いてきた思春期っ子の額にキスを落とすと、俺は腰を上げて部屋を出た。やましい意味はないよ。挨拶だし。

 俺は扉を出て、廊下を歩き始めた。前方に腕を組み目を閉じて壁に体重を預けているラウラがいた。格好は女性用のパジャマであるものの、腰には拳銃がぶら下がっているし、胸元のベルトにはナイフシースがついている。口から覗いているのはタバコかと思いきや、棒飴の棒の部分だった。からころ転がしながら舐めている。

 

 「ごきげんよう、ラウラさん」

 「……」

 

 ラウラは表情一つ変えなかった。

 ラウラ・ボーデヴィッヒ。スネークっぽいけど、謎が多いんだよなあ。スネークとすると愛国者を止めるために動いていると見るのが妥当だけど、愛国者のあの字もないわけで。肝心のREXもレドームを壊す側じゃなくて、自分で運転する側になってるし。まあ4とかだと運転してたけどさ。付き合いと交流のある原作メンバーの中でも特に謎が多い人物だと思っている。

 

 「ご夕食はいかがでしたか? たくさん召し上がられていたようですけれど」

 「おいしくいただいた。野戦食と比べると天と地の差があるな。缶詰とレーションと水だけの食事では味気ないということがよくわかった。感謝する」

 

 きゅぽんと可愛らしい音を立てて棒飴を取り、ちゅるりと舌を覗かせて唇を湿らす扇情的な仕草に思わずドキリとさせられる。

 

 「………チェルシー・ブランケットに気をつけろ」

 

 ラウラが眼帯のはまっていない側の目を見開いて俺を見据えてきた。心臓がどきんと跳ねる。

 

 「奴はセシリア、お前の気がつかないところでこそこそとやっているぞ。気をつけろ」

 「妹さんのことで裏切るとでも?」

 

 俺は思わず妹について俺が問いかけるとラウラがほうと自分の顎に触れながら顔を寄せてきた。

 

 「その情報を知っているとは………パルヴァライザーにしても、一介の貴族令嬢が知っていていいことじゃあない。どこで知った?」

 

 原作を読みましたし、プレイもしました。地底と火星なら任せといてください! とはいえない空気である。

 情報網がないわけじゃない。父と母は俺を通してIS産業にもつながりを持っているから、そっちから情報もらってきました、で通すしかない。相手が遺伝子強化(ジーンセラピー)を受けたエリート中のエリートならば、腕力で対抗するわけにもいかないしね。

 俺は窓から外を見上げつつ時間を稼ぐと、振り返らずに口を開いた。

 

 「お父様とお母様はIS産業にパイプを持っておりますので。わたくし自身も軍におりましたから、ある程度は。ラウラさんこそ、なぜそのようなことを知っているのでしょう?」

 「ドイツ軍は……いや、国連からの任務であるとだけ伝えておこう。安心しろ。取って食ったりはしないとも。ン、一夏は食ってしまいたいくらいだが」

 「一夏さんはわたくしのものです!」

 「はっはっは! その意気だ坊主」

 「坊主じゃありませんわ!」

 

 俺が肩をいきらせるとラウラは笑いながら歩いていった。

 

 「戦うことでしか自分を表現できない小娘の戯言と思って聞き流してくれ。私は害なす存在ではない。いずれわかると信じている」

 

 ラウラは飴をガリガリ噛み砕くと別の飴玉を取り出して咥え始めた。タバコはダメだけど飴はいいってか。まあ葉巻とか咥えてこられても反応に困るけどね。

 その背中に俺は何を思ったのか腰に手をあてて声を張り上げてしまった。

 

 「ラウラさん!」

 「ラウラでかまわんよ」

 「歯磨きをしてから寝なさい!」

 

 ラウラが振り返るとバツの悪そうな顔をして俺のほうに歩み寄ってきた。パチっと音を立てて眼帯をはずして金色の瞳を露出させてくる。なんだ? どういうんだ? あ、オッドアイってかっこいいな、とか場違いなことを考える。

 ラウラは背伸びをすると、おもむろに飴玉を俺の口にねじ込んだ。まさかの間接キスである。

 

 「オタコンみたいなことを言うやつだな。プレゼントをくれてやる」

 「むぐっ!?」

 「おやすみお嬢様!」

 

 俺が目を白黒させているうちにラウラはどこかに行ってしまっていた。あのお転婆娘め! 俺は飴をからころしながら夜の散歩を楽しんでから眠りについた。




次回こそ遊び回になるはず。
エロ書いてる場合やなかったんや! 書きたいけど、こう……(ろくろ)
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