セシリアに生まれたオリ主がなんとかして一夏を落とそうとするけど中の人が違う面々のせいでなかなか落とせないIS   作:キサラギ職員

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短め


幕間 The Secret Adversary

「零式月光剣………どう思う?」

 

 恐らく、この地球上でもっともセキュリティの高い領域にその二人の人物はいた。各国が秘密裏に張っている通信傍受網を模した、各国企業が裏で作り上げた通信傍受システムにアクセスできる数少ない二人だった。

 

「あいつがISを作り上げた際に保険として作り上げていたプログラムと言ったところかしら」

 

 女が画面に映りこんでいる物体を見つめながら言った。

 零式月光剣。それは、二人の人物が企んでいた計画における数少ない例外(イレギュラー)と言ったところだった。解析することは、できなかった。現代の技術からは遠く離れた未来の技術で構築されており、どのような物体でできているかさえわからない。ISはかろうじて理解の範疇にあると言えるが、零式月光剣なるものは理解の範疇を超えていた。

 

「しばらく泳がせておくべきだろう。下手に手を出すと何が起こるかわからない。必要があれば実働部隊に回収させればいい。それもだめならばあの新入り組織に血を流してでも破壊させればいい」

「そうね」

 

 男がそういうと、画面上にピックアップされている何名かの実働部隊の情報をタップした。実力は折り紙つきな数名の顔写真が浮かび上がる。その中には修学旅行襲撃にかかわったメンバーが含まれていた。

 画面が移り変わった。大型のロケットが次々と空に打ち上げられていく様子だった。IS打ち上げ特に早急に衛星軌道上に打ち上げる際に使用される重力アンカーではなく、古典的なロケットが使われていた。ロケット達は重力を振り切り、衛星軌道上もしくはそれよりも低空へと、自律型兵器を放っていた。環太平洋経済企業連合による試作攻撃型迎撃衛星『アサルトセル』。それは学園防衛の為に運用されているはずが、その限度を超えた異常な数が投入され、地球の空を占拠しつつあった。やがて、地球上の空は意識を持たない無人兵器によって覆い尽くされるだろう。

 画面が再び変わった。南米、ジャングル。Jというコードネームが表示されている。地下施設と思しき画像や、四本足の亀のような兵器が徘徊している様子が映し出されていた。

 

「既に一帯の買収と、人払いは済んでいる。部隊の選定と襲撃及び接収に向けての手はずを整えているわ」

 

 女が言うと、戦力データを引っ張り出した。レビアタン、スーパーシミター、ガーディアンなどの名前が並ぶ。IS戦力も同様に並んでいた。いずれもが国際社会において登録されていないものばかりだった。

 

「そうか」

「月面上の固体は現在活動休止状態。回収するのであれば早い方がいいわね」

「自己修復は完了しているはずだ、なぜ動かん?」

「さあ。我々の知らない理法で動いているんじゃないの? そんなこと、わかるわけがない。“アレ”は本来何かを破壊するために設計されている。この地球には、敵がいないと思っているのかもしれない。だからこそ“比較的”攻撃力のない固体を偵察にだしているのかもしれない。いずれにせよ」

 

 女は言うと、衛星軌道上に新たに建設されている人工衛星のデータに目を通しながらため息を吐いた。

 

「最大の脅威であるあの女が消えた今、我々の計画は最終段階に進んだと言ってもいいわ」

 

 女がモニタを消した。次の画像が現れる。精一杯可愛く写ろうとしているが恥ずかしくて頬が赤くなっている金髪の少女が映し出された。

 

「気になるのはこの小娘だ。どこで、パルヴァライザーについて知った。イギリス軍がこの情報を掴んでいるということはないはずだが」

 

 男が言うと、女がすぐに答えた。

 

「楯無……いや刀奈(かたな)とつながっているのかもしれない。そもそもこの女、不自然な行動をとっている。オルコット家の乗っ取りが不成功に終わったのも、この小娘がやった悪戯のせいに他ならない。オルコット家如きどうでもいいと言えばそれまでだが……注意しておくに越したことはないわ」

 

 かつて楯無だった少女は、現在行方を暗ましていた。そのため生徒会長はその妹簪が務めることになっていた。

 

「我々の知らない情報網があるようには思えない。所詮、ただの小娘だ。それに、万が一計画に支障が出るようなことになっても、切り札は既にある」

「そうね」

 

 二人の間に浮かんでいた空間投影モニタが消滅し、照明の無機質なホワイトが顔を映し出した。

 女の顔が照らされ、明らかになった。

 

 その顔は、千冬とよく似ていた。

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