セシリアに生まれたオリ主がなんとかして一夏を落とそうとするけど中の人が違う面々のせいでなかなか落とせないIS   作:キサラギ職員

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メタルウルフカオスがHDでやれる! おめでとう!


53話 生徒会長、簪

 構え。チャージ開始。眼前で広がっていく破滅的な青い光を前に、俺は想定されるであろう反動を考えてげんなりとした顔をしていた。

 

『新装備です』

『実弾兵器はミーティア・シャワーがあるので』

『奪取され……ゲフンゲフン開発中止になったサイレント・ゼフィルスのスターブレイカーの威力を徹底的に強化しました』

 

 嬉々として語る本国技術者達の声を聞いている俺は強烈な不安を覚えた。原作も大概おかしかったが、こっちの技術者も大概おかしい。実弾武器は確かにミーティア・シャワーがあればいいといえばいいのだが、“徹底的に”の部分に不安しかなかったのだ。確かにスターライトmkⅢより威力が高く、ブルーピアスよりもっと弾速の速い銃をくれとはいったが、“こんなもの”をもってこいとは一言も言ってない。

 完成した代物を受領した俺は、それを握るよりも早く一目で理解してしまった。

 大型の銃身に平面を合わせたようなカバーがかかった物体。銃身とは軸のずれた位置にある持ち手。放熱装置の類は存在せず、銃全体が放熱するような仕組みであることがわかる。

 型式番号『X000』。

 どう見てもカラサワ(5系の)です。本当にありがとうございました。

 

「ぐぅぅぅぅっ!」

 

 発射。同時に銃全体が猛烈な勢いで暴れる。ブルー・ティアーズのアシスト機能が悲鳴を上げる。

 青い光線は一目散に飛翔していくと、目標である敵陣地中央に着弾。大爆発を起こした。それどころか弾薬庫に引火したのか、あらゆるものをなぎ倒しながら無数の爆発を生み出していく。

 ものの一発で壊滅してしまった敵陣地を見て俺は唖然とした顔をしていた。

 出力だけ見れば平均的なISならフルチャージ直撃で相手は即死。かすっても致命傷。おまけに歩兵銃と同じ弾速しかなかったスターライトmkⅢと比べて遥か数倍の弾速はあるという数値だった。

 

「これは……強力過ぎますわ……」

 

 シミュレーション終了。俺は地上に着地すると、ブルー・ティアーズをカフス型に戻した。

 

「それでも……これさえあれば威力不足を嘆くこともないでしょう」

 

 そう思う方が気が楽だ。だって徐々に強さがインフレしていく中原作セシリアができてたのにいまだにレーザーを曲げられない俺じゃお荷物もいいところだしね。

 しかし、である。俺は武器を握っていた右肩をぐるんぐるんと回した。

 

「反動が強すぎると思いますけど」

 

 肩が痛い。パワーアシスト機能が追いついていないらしい。今度改修してもらおう。俺はISスーツを着たまま表に出た。

 

 

 

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 全校集会があるらしい。全校集会か………ちょっと今はご勘弁願いたいのだが。久々に重かったので貧血になりそうで怖い。

 全校集会の目的は二つ。新しい生徒会長について。あと学園祭について。刀奈さんがいなくなって簪さんが生徒会長の段階できな臭さしかないんだが……。

 

「それでは新生徒会長からの挨拶と学園祭についての説明があります。生徒会長お願いします」

 

 生徒会長が変わったことを知らない生徒たちがざわめいている。俺だって騒ぎたいよ。

 

「………」

 

 静かにしないと殺すぞオーラをかもし出しながら腕を組んでいる山田先生がいなければざわめきはとまらなかっただろうな。ビジネススーツ。胸元をきっちり閉め、赤いルージュを引いた殺し屋じみたオーラを纏ったお方が俺たちを睨んでおられる。静粛にして差し上げろ。

 壇上に上がってきたのは原作とおりの容姿をした簪だった。

 

「おはようございます」

 

 ただし容姿以外の全てが違う。まず目つきだ。優し気な目つきは無機質を極めていて、狙撃銃のスコープを思わせる。きりりと結ばれた唇は強い力を宿していて、まるで鋼鉄製であるかのように立ち振る舞いが緊張感溢れている。

 

「あの時の……」

 

 一夏が驚嘆に息を飲むのが聞こえた。どうやらもう接触したことがあるらしい。

 

「姉の更識楯無(さらしきたてなし)に代わり、生徒会長を務めることになった更識(かんざし)です。以後、よろしくお願いします」

 

 俺はふと疑問に思ったことを口にしていた。

 

「あら? 簪の名前を名乗った……ということは………楯無の名前を継いでいない? それとも継ぐつもりはなかったけど継ぐことになって、でも今までずっと学校で簪の名前を名乗っていたから今更変えられない、とか……でしょうか」

 

 原作では刀奈は楯無の名前を名乗っていた。更識という組織の長は代々その名前を継ぐからだ。刀奈が学園にいないこと、簪が生徒会長になっていること、簪と名乗っていること……。イレギュラーな事態が発生したことを意味している。十中八九臨海学校でのアレが利いてるんだろうな、とは思う。なんて裏事情を知っているのはこの学園だと少数下手すれば誰も知らないレベルの秘密なので、独り言もほどほどにしないとな。

 

 生徒の反応と言えば、『会長はどうしたんだろう』とか、『簪さんが?』とか、納得半分困惑半分といったところだった。

 

「学園祭について説明します。毎年恒例となっている各部活ごとの催しものに対して投票を行い、上位組に対し助成金を出すことになっていますが」

 

 簪が一夏を正面から見据えた。ずるいぞ。

 

「一位の部活動には、織斑一夏を強制的に入部させることとします。世界唯一の男性操縦者を独占する権利。各国研究機関。軍産企業。それらとつながる絶好の機会です。皆様にとっても悪い話ではないのでは?」

 

 簪はそう締めくくるとウェアラブルグラスを指でクイと持ち上げた。

 おお………この頭に来る言い回しはまさしくアーマード・コア世界の住民だ……。たぶんね。確証はないんだけど。原作姉も似たような内容を言ってたけど、言い回しひとつでここまで嫌みったらしく大人の事情をにおわせることができるのか。

 俺は、ざわめく周囲を尻目に、さあ放課後の特別ホームルームがどうなるかと考えていた。

 

 

 

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 あそこまで陰謀とか策略とか計算を感じさせるものいいをされたというのに、クラスはと言えばホワイトボードに欲望丸出しの内容を書いていた。

・ホストクラブ

・ツイスターゲーム

・ポッキーゲェェム

・王様ゲーム      etcetc...

 

「………」

 

 クラス代表である織斑一夏その人はホワイトボードを見て硬直していた。

 これは……わかった。俺は次の展開を先読みしていた。おそらく、書いてある内容の意味がわかっていない!

 

「全てだ! 全て執り行おう!!!!」

 

 いつにもましてテンションの高い箒がガタンと椅子を蹴飛ばしながら立ち上がる。

 

「ずるいですわ! じゃなくて一夏さんが困っているでしょうに!」

 

 俺が反射的に立ち上がる。箒と目が合う。

 

「ポッキーゲーム………? とはいったい、どんな競技なのか教えて頂けませんか、山田先生」

 

 俺たちが目線で鎬を削っている間に、部屋の隅で我慢せず足を組み目を瞑って腕まで組んでいる山田先生その人に一夏が爆弾を投下した。

 

「……………………は?」

「なんでもありません」

 

 山田先生もとい山田さまは目を閉じたまま厳かに口を開いた。

 殺すぞと言わんばかりのは?にあの一夏でさえたじろいだ。さすがオリジナルリンクスだぜ。

 

「やはりここは織斑一夏と篠ノ之箒の結婚式予行演習をやるべきである! 私、篠ノ之箒はそう宣言した!」

「何を馬鹿なことを言っているのかしら……!」

 

「で、ポッキーゲームとは……」

「えーっとね、その、ポッキーってお菓子を両サイドから食べていって……」

 

 俺と箒が視線で戦っている間、シャルロットが一夏に助け舟を出してくれる。ポッキー代わりのボールペンで動きをやってみせる。咥えてないよ。てか本当に知らなかったのかよポッキーゲーム。

 内容を聞いたらしい一夏が頭を抱えていた。

 

「よくわからんがこういう時はメイド喫茶をやるんじゃないのか? お化け屋敷も定番らしいが」

 

 ラウラが携帯端末をぺちぺちしながら言った。何かを調べているのか、メールをしているのか? なんとなくだがこの世界のラウラの所属する部隊は間違った日本知識を植えつけられてない気がする。なんとなく。眼鏡をかけた技術者がいそうな気がする。

 

「一夏くんのメイド姿!? エプロンだけの!? 水着もセットで!?」

「執事でしょ」

「あぁ~いいっすねぇ!」

「どっちもそそるってそれ一番言われてるから」

「恥じらいっていいよね……」

「一夏くん性転換しろ」

「メイド服の手配をつけなきゃ……!」

「てかマジでやるの? やっちゃうよ? やっちゃうよ!?」

 

 一気に盛り上がるクラスの女子達。腐ってるのがいるが、俺は心が広いので気にしない。

 しかし、一夏の執事姿かあ……。

 ふふ……ドS執事に調教されるお嬢様というのも……ふふ……うふふ。

 “そういうこと”のときだけ立場が逆転して……うふふふ。

 

「せっしー涎涎!」

「はっ!?」

 

 シャルロットが小声で教えてくれてあわてて我に返る。ふーやばかった。口元をそれとなく拭いつつ、俺は胸を張って宣言した。

 

「メイド喫茶をやるからには服装はイギリスから取り寄せて準備をさせて頂きますわ! ……執事服も!」

 

 俺が言うや否やクラスが異議なしと唱えた。

 こうして、一年一組の出し物はご奉仕喫茶に決定したのだった。

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