セシリアに生まれたオリ主がなんとかして一夏を落とそうとするけど中の人が違う面々のせいでなかなか落とせないIS 作:キサラギ職員
「きゃああっ!」
悲鳴など上げるまい。という理想的な絵は未完成になりましたとさ。
パルスキャノンの猛連射が襲いかかってくる。もうこれマシンガンだよな!
俺は、PICとストライクガンナー・スラスターを吹かす。左右に踊るようにかわしながらX……だー! めんどくせぇ! カラサワをチャージ!
「あっ、くぅぅっ!?」
垂直ミサイルがポッドから発射すると、偏向して襲い掛かってくる。かと思えばX字状のビーム光波が俺の回避先を読んで飛んできた。あわてて空中でつんのめったところへ、表情の伺えない簪が飛び込んできた。
両腕のビームサーベルが怪しい光を宿していた。俺は咄嗟に後退しようとして、もう間に合わないことを悟ってしまった。
デデデデストローイ ナインボー
脳内で鳴り響くBGMとなつかしのゲーム画面が走馬灯のように―――。
「……」
無言で空中でロールして俺の横を抜けて離脱していく簪機。横合いから殴りつけるように、一夏のダークレイヴンの月光が残像を残して振りぬかれる。
ガシュッ! 特徴的な作動音がアリーナに反響した。
「動けセシリア!」
「動いておりますけども! あなた方が速過ぎるだけじゃなくって!」
言われて俺は言い返した。動いてるんだけど、相手の方が恐らくスラスタ出力で勝っている。となると俺のアドバンテージは相手よりも射程と弾速そして威力に優れるカラサワと―――ミーティア・シャワー!
「ファンネル!」
BT兵器だろって? うるせぇ。
俺の意思に従ってミーティア・シャワー合計六発が起動。ポッドからキュベレイよろしく発進した。そしてそれを直線的な軌道で突っ込ませる。時間さえ稼げればいい。マクロス的な誘導はしなくていい。
「………」
簪は回避すらしなかった。機体表層で安定還流しているコジマ粒子?がミサイルをシールド直撃前に炸裂させてしまう。だが時間は稼げた。
真下から地を蹴って月光を振りかぶる一夏。俺は、一夏が仕留め損なうことを想定して、フルチャージに入りつつあるカラサワを向けた。
「チッ」
「……」
簪機が炸裂した。緑色の粒子が全方位に向かって大爆発を起こしたのだ。風に煽られる木の葉のように吹き飛ばされる一夏。
「アサルトアーマーに……なんですって!? イクシードオービット!?」
簪機の肩部バインダーが起動すると、複数機の追従型オービット・キャノンを展開した。雨あられと放たれるパルスを、俺は後退しながら回避しようとして、見事に数発を貰う。
なんでもありかよ! そういうの俺も欲しいな! 聞いてるかイギリス開発部! 回転する空中ホビンとか計画してる場合じゃねーぞ!!
ちなみにこのカラサワ、遠距離用スコープと近距離用のスコープがついている。切り替え可能にしてくれたのは、俺の戦いがどっちかと言うと近距離に近いあたりを考慮してくれたんだろうなと思うが、肝心の武器が玄人向けなのはやめて欲しい。
スコープを近距離用に切り替え。フルチャージに入り、破滅的なまでの青い光を帯びた銃身を簪機に照準する。
敵の肩のバインダーが稼動して、アンテナ型のパーツを屹立させた。
「消えた……」
「ステルス……!」
簪の姿が消えた。
一夏が月光を振りぬき空ぶったことに眉間に皺を寄せながらも残心を取る。
俺は、その差動装置に覚えがあった。サイレントラインのあれっぽいな。あっちは透明になったりはしないし、まあ今回カラサワ持ってるのは俺の方なんだけどな!
ハイパーセンサー、検知できず。ハイパーセンサー"ブリリアント・クリアランス"なら大気の流れを検出して――のような真似事もできるが、生憎ラボにある。通常の可視光線はもちろんあらゆる電波で検出できないなら――。
俺はフルチャージ状態を維持したままのカラサワを周囲に構えつつ、緩やかに一夏のそばに接近した。
「一夏さんっ! ここは一度着地してお互いの――」
「そんな悠長なことをしている暇はないはずだ」
「ですけどここは慎重にならなければなりませんわ!」
首を振る一夏。ガンガンいこうぜ思考の彼をどう説得するか。完全にステルス状態ということは不意打ちをするつもりだろうから、対応できるように背中合わせを――というつもりだったのに。
攻撃が止んだってことは、ステルスを維持したままの攻撃はできないということの裏返しでもある。
なんて考えている俺に対し、一夏が表情を変えた。レア顔ゲットだ! ……いや待て。俺の顔というより後ろを向いてるような……?
センサーに反応。警告表示が出た。
「セシリア後ろに!」
「え? きゃあっ!!」
一瞬俺の顔を見てぎょっとしているのかと思った。背後を見ていると悟ったのは、ブレードの炸裂音とともに俺がアリーナの壁目掛けて吹っ飛んだところあたりでだ。
俺は腕を使って上体を起こすと、額の汗を拭った。
「いたた………危なかったですわ……致命傷で済みましたわね。あれ?」
致命傷でってそれほとんど死んでね?
シールド残量80。スラスタ不調。カラサワのチャージを維持するだけで精一杯というところ。むしろ弾みでぶっ放さなかった俺を褒めて欲しい。
「よくもセシリアを!」
「力を持ちすぎたものは全てを壊す。織斑一夏。お前もそのひとつだ」
だから俺が死んだみたいな会話はやめろって!
俺はフルチャージを維持しているカラサワを構えなおした。二人が盛んにブレードをぶつけ合っている上空を正確に狙撃するため、両足を踏ん張って立つ。
「狙い撃ちますわ!!」
俺は、ちょうどブレードのリロードタイムを稼ぐために後退に入っている一夏目掛けてパルスキャノンを速射している簪を狙い、
「あっ」
待っていましたと言わんばかりにイグニッションブーストをかけて前進した一夏にカラサワのフルチャージをブチ込んだ。
ワンダウン!
これはあれだ。貴様は祖国を裏切ったってやつだ。
「………あは、あはははは」
………まじかよおお!!
笑うしかない俺の目の前で機能停止に追い込まれたダークレイヴンが墜落した。濛々と上がる砂煙の中で一夏はピクリとも動かない。
笑う俺の頭上から垂直ミサイルが降ってきた。対応すらしようとしない俺はものの見事に爆発に巻き込まれ地面でヤムチャみたいなポーズをとるハメになるのだった。
-------------
「一夏さんごめんなさぁぁぁい!」
年を食ってくると涙腺がね……というほど年は言ってないけどまさかの誤射でイレギュラーを落とすってどういうことなんですかね……。
泣いてないよ。これは心の汗なんだ。
俺をじっと見てくる一夏は、どことなく疲れた顔をしていた。ごめんね。マジでごめんなさい。
「コンビネーション訓練という話だったが、俺たちのコンビネーションには問題があるようだな」
おっしゃるとおりです。これでもある程度一夏に稽古をつけてもらってきたから、それなりにコンビネーションはできると思ったんだけどなあ。思えば稽古はやってたけど二人一組で動くことは頭になかったわけで。
悔し涙というか申し訳涙を流す俺を見て何を思ったのか、一夏が俺の頭に手を伸ばして撫で始めた。
「こうするといいと聞いたことがある」
「あう……」
母親に頭を撫でられるとはまた違うベクトルの撫でだと俺は思った。撫では撫ででも頭に愛がついてる。
最高かよ……いいよもっとしてくれ。
俺が目を潤ませながら一夏の手をつかんで頬にやろうとしたが、すっと手を引かれてしまう。いけず。
「連携力強化は今後の課題だ。そこで、比較的連携力があるメンバーを集めて訓練をする必要性がある」
「その通りですわね」
いつになくシリアスな顔をする主人公君。俺はふむんと頷いた。名残惜しいがね。
恐らくだが、パルヴァライザーや亡国機業の襲撃を想定しているのだと思う。いくら自分が強くても物量攻めでもされた日にはどうしようもないからなあ。イレギュラーを封じ込める数少ない作戦といえば、別のイレギュラーをぶつけるか絶望的な物量で押しつぶすことなわけで。そういう意味では連携力を強化するのは理にかなっている。まして誤射しちまった俺である。ノウという選択肢はなかった。
「………ところで」
急に話題を変えてきたか。なんだろうと俺は首を傾げる。
「はい?」
「例のご奉仕喫茶とやらは……一体全体、何なんだ? 教えてくれ」
「まあ……そうですわね、喫茶店ですわ要するに。一夏さんは燕尾服を着ていただきます。ウェイトレスをやっていただくだけなので、さほど難しいことではありませんことよ」
「ウェイトレスか……ということはセシリアは……ウェイトレスの格好になるのか?」
「ウェイトレスというよりもメイド服になる予定ですわ」
俺が説明をすると納得したのか頷いてくる。準備期間はあまり残されていないから気合を入れていかないとな。
なお、後になって俺のこの発言は実は間違っていたことが判明するのであった。