セシリアに生まれたオリ主がなんとかして一夏を落とそうとするけど中の人が違う面々のせいでなかなか落とせないIS 作:キサラギ職員
結局、俺一人で一夏を独占ということはできなくなってしまった。
というか、一夏も一夏でちょっとは抵抗してくれ。あきらめの表情で箒に引っ張られていくのは絵的に面白すぎて追いかけながら吹き出しそうになったわ。
最初は、箒の所属している剣道部である。
入るなり胴着に防具を身につけた人物が出迎えてくれた。入っていいのだろうか。入らないほうがいいのだろうか。やる気マンマンの箒がずんずんと入っていくので、止むを得ず俺も入ってみた。
「いらっしゃいませ。剣道ぶ………占いの館にようこそ」
「今剣道部と言い掛けたようだが」
「うん。最初は剣道体験コーナーだったんだけどね? それじゃあ票取れないからね、占いの館にチェンジしたんだよね?」
「だそうだ」
おもむろに一夏が振り返ってくる。困惑顔ゲットだぜ。
「しかしねー。全然ね? お客さんこなくてねぇ? しょうがないから剣道具つけてみたわけでね?」
「部長は形から入るタイプなのだ」
箒が解説を入れてくれる。なるほど、どうやら目の前の顔もよくわからない疑問形が特徴系な人こそが部長らしい。
「じゃあ座って座って。占いでもしてみますかねぇ」
言うなり俺らは剣道場の中に通された。装飾とか、飾りとか、そんなもん知ったことかいわんばかりの殺風景。ようするに剣道場のままである。もうちょっと努力しろよ!
部長が言いつつ取り出したのはタロットであった。原作だとなんだったけな。たしか……トランプ? だったかな?
「ほぇー、キミ、いい正座してるね? 剣道部はいらない?」
「へ? あ、正座は合気道で慣れてますので……これ以上部活動を増やすわけにはいきませんから、お断りさせていただきますわ」
俺が正座をすると、部長が目ざとくこっちに声をかけてきた。これ以上部活動を増やすと分身の術を使わないといけなくなるからキャンセルだ。
「ふむ、占いか。こういうのは信じないたちだが」
ラウラが見事な胡坐をかきつつ部長のタロットカードを見つめている。正座、しないのか。ちなみに一夏も正座です。
部長はタロットを床にぶちまけると、雑にかき集めてシャッフル。いいのかこれで。いいのか? 俺たちの顔を順番に見て、ずびしと俺のことを指差してきた。
「金髪美人なキミから占うね?」
美人か。ふふふ、少し心が躍るよ。
部長が札束の一番上のカードを取り出すと、表を向けて床に置いた。
原っぱに机を置いた場面だ。左右対称の派手な服を身に着けた人物が何やら実験のようなことをしている。手品かな?
「逆位置の魔術師。うーん、キミは混迷している………キミは時に空回りしてしまうことがあるだろう…………心の中に大きな考えを持っていて、大衆をだまそうとしている?」
なんだか怪しくなってきたぞ。というか部長、カンペらしきメモ用紙の切れ端をガン見してるし。占いというより文を読み上げてるようなもんだなこりゃ。
いやまるっきり間違ってるということはないんだけどな、中身が違いますってことはみんなに話してるわけじゃないからな。
「ということで次。次は眼帯のキミ」
「よろしく頼む」
部長が次のカードを床に置いた。
コンパス? 方位磁針? みたいな絵だ。運命の輪と書いてある。
「正位置の運命の輪。うーん、キミは大きな転換点になる可能性を秘めている。それは定められた運命によるもので………みんなの結束を高めることになるだろう!」
「………」
ラウラが黙り込んでしまっている。腕を組み、何やら考え事をしているようだ。なんだろう、まず原作とは違う人生を歩んでるはずなわけだけど、この胡散臭い占いに思うことがあるのだろうか。
部長が次のカードを引くと、一夏を見た。
「これは……吊るされた男、ハングドマンだね?」
「ハングドマン!!」
「? 何かあったかい?」
「い、いえなんでもありませんわ」
イカンイカン。うっかり反応してしまったぞ。だってハングドマンっていうと主任のACのことだし……。
「キミは……大きな試練が待ち受けていることだろう。きっとね? その試練に打ち克つか、あきらめるかはキミ次第だ。とまあ、昨日ネットで漁ってきた方法で占ってみたんだけどどうかな?」
「全くわからん」
「だろうなぁ? カンペ見ながらだからね」
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次である。
時間が押しているので、ラウラの場合は映画部は飛ばしてダンボール愛好会になった。
教室に入ってみてわかった。なんて手の込んだ部屋だと!
教室に入ってみると、どこかの船の中の一室を模しているような部屋と化していた。壁には鉄パイプが走り、配電盤があり、電灯があり、非常時用の消火栓には斧まで付随しているコリようだった。
だが入ってすぐに違和感に気がついた。一夏が屈み込むと驚愕の表情で床を指で擦る。
「まさかこの床は……」
「ダンボールだ」
「あ、あのロッカーはどうなんですの?」
「ダンボールだ」
箒が立てかけてあった箒を手にとった。ややこしいな。
ラウラがドヤ顔で言う。
「ダンボールだ」
箒が箒を神妙な顔つきで見ている。
「一夏、箒だぞ、箒」
「あぁ、そうだな」
「箒を持ってみないか」
「いや、箒を持ってどうするんだ、箒」
「箒を持つ箒か……どう思う?」
「どうとは……?」
「ああ、もう、箒さん箒を持って何をしてるんですの!」
埒が明かないと、俺は箒から箒をぶんどると元の位置に戻した。
『そう、我らダンボール愛好会!!!』
「ひええっ!?」
「なんだと!?」
「やるな!」
ガタン。あちこちの扉という扉が開き、ロッカーが開き、排気口が開くと、軍服姿の少女たちが一斉に出現したではないか。
「ぼくだんぼー………るまん」
なんかどこかで聞いた気の抜けたような声(太陽の匂いがしそうな)が響いてきたので振り返ると、ダンボール装甲の著作権ギリギリな物体Xが立っていた。
「なんなんだこれは」
「ダンボールを愛する同志の集いだ。坊主、お前もこないか? いいぞダンボールは。潜入にはもってこいの物質だ。あらゆる場所にあるため目立つことがなく、調達しやすく、衝撃にも強い。古今東西あらゆる工作員がダンボールに助けられてきたという」
熱弁するラウラさん。もうね、完全に語り口調がスネークなんだよね。
愛好会メンバーがラウラの背後に集合して敬礼してるのが地味に怖い。
「い、いや、遠慮しておく」
「そうか、それは残念だな……」
一夏が若干引いている。レア顔ゲットだな!
「ぼくだんぼー……るまん!」
「本音さんは何をしてらっしゃますの!!」
だんぼーるまんが絡んでくるので頭を引っこ抜いた。驚嘆顔をした本音が入っていた。何やってるんだキミは……。
「あぁ~だんぼーるまんの頭が~取れてちからがで~な~い~」
「また新しく焼いて貰いなさい! もう」
すぽんとかぶせる。
よし、次こそ俺の部活紹介だぞ!!
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「普通だな」
一夏が言う。
「普通だ」
箒が腕を組んで言うと、
「普通すぎるな」
ラウラが頷きながら言った。
「普通で何が悪いんですのっ! 普通でいいでしょう普通で!」
テニス部である。一応俺がメインで活動している。合気道とか水泳とか登山もやってるけど、メインはテニスである。
テニス部ではごく当たり前のことしかやっていない。初心者向けに軽くサーブをやらせてあげることだ。経験者からしたら物足りないかもしれないが、テニスで一番目立ってわかりやすいのが何かと言えばサーブだと思う。某漫画でもサーブは必殺技みたいな扱いになってるしな!
ちなみになぜかラウラと箒がくっついてきている。帰っていいのに。
「テニスのご経験がある方には違うメニューを用意しておりますが……」
「いやない」
「私もないぞ」
「篠ノ之箒一生の不覚……!」
全員ないらしい。これはチャンスだ。俺は部員に箒とラウラを押し付けて、一夏の指導をすることにした。
『お前を見ているぞ』
箒が自分の目を指で指してから、俺のほうを指差してきた。
べー、だ。舌を覗かせて指をぴろぴろして追い払う。
「それでどうすればいい?」
「えー、まずこうして……」
指導の時間は、手取り足取りだったとだけ言っておこう。
一夏はおっぱいがそんなに好きじゃないのかな。反応薄かったな。
次回、シンデレラと化した女たちが血で血を洗う戦いを繰り広げる。
飛び交う銃弾。襲い掛かる女達。
ラウラ「アパーム! 弾持ってこい!!」
セシリア「主は我が岩、我が城なり、我が砦、我を救う者なり、主は我が盾、我がより頼む者なり……」