これは他愛もない昔々のお話。
越後(今の新潟県)の上にある佐渡島に何の力もない一人の青年がおりました。
その男はけして幸せではありませんでした。
しかし毎日コツコツと幸せと信頼はては人生をも積み上げていました。
あるとき青年がいつもと変わらず畑で仕事をしていると畑の隅に見たことのない女性が立っていました。
青年の住む村は小さく住んでいる住民は全員覚えています。
しかし畑の隅にいる女性はこの村にはいない女性、不思議がって男が話しかけます。
「見ない顔だがどこの村娘だ?」
「儂はどこの村娘でもない、佐渡の二ッ岩・・・二ッ岩マミゾウじゃ」
「それでその二ッ岩様はどんな御用で?」
「態度が投げやりじゃのう・・・これでも大妖怪じゃぞ」
「実感なんてわかないからな」
「まぁよい、実はのう儂は、おぬしの働きぶりを毎日見ておったが、その真面目な働きぶりを見て儂はぬしを気に入ったじゃ・・・だからのう一つ取引でもしないかのう?」
青年は面白そうだと話を聞くことにした。
「少しの間この畑の一部を貸してくれるだけで良い。無論金は払う」
青年は悪くないなと思いそれを受けた。
青年が頷くとマミゾウは懐から20銭程出して青年へ投げる
「ほれ、契約金じゃ。それで温泉にでも行って来い」
「それは俺が臭いとでも言いたいのか?」
「そうは言っておらんじゃろう?」
「ならそういうことにしよう・・・そういえば狸は葉っぱを金にするとか聞いたな」
「儂はそんな無粋な真似はせんよ」
「そうか」
まぁ最近行ってみたいところもあったため青年は温泉に行くことにした。
~一刻半後~
青年がマミゾウから貰った金で温泉へと行ってきたとき畑は大きく変わっていた。
マミゾウに貸した畑の一部のみ季節関係なく作物は奇麗に実り、色とりどりの野菜や米などがまとめて横に置かれている。
呆然とする青年にマミゾウはどうじゃすごいできじゃろ?という顔をしてこちらにやってきた。
「どうやったんだ・・・これ」
狸は少し笑うと言いました。
「なに簡単なことじゃよ、狸の秘術を使ってみたんじゃよ」
「た・・狸の秘術そんなものあるのか?」
「そうじゃ、狸様とでも名前付けて儂を祭るといいことがあるかもしれんぞ」
そう言いってカラカラ笑いながら狸は消えました。
そして余談ではあるがそれから青年は狸を祭るようになりました。
するとどういうことか三年に一度いつの間にかマミゾウのやった狸の秘術とやらが起き大量の野菜ができているのです。