「はい、あ~ん♪」
目の前にいる彼女が、肉じゃがのジャガイモをラブラブな夫婦がやるようにお互いに食べさせあう例の行為をし始める。
男なら受けとる義務があると、思いっきりジャガイモを頬張る。
味の染みたジャガイモからは肉からでた出汁と肉じゃが特有の甘味のある汁が舌の上にこぼれだす。
「どう・・・かな?」
自分の料理に失敗がないか気にするようにそわそわとしながら訪ねてくる彼女-鈴仙・優曇華院・イナバ 長いから俺はうーちゃんとよんでいる-はその動きすらもがいとおしい。
「勿論美味しいよ。うーちゃん♪」
俺がうーちゃんと呼ぶたびに赤く頬を染めるがその頬を染めた姿もまた美しく写る。
そんな風に周りに青汁が飲みたくなるほどのあまあまな空間を演出し続けながらも朝食は続く。
そもそもの出会いは簡単なことだ、竹林で竹の子狩りをしていてふと気づけば迷ってしまった。
しかし、そこに偶然通りかかったのがうーちゃんだった。
「ご無事ですか?」 「えぇ!?一人でわざわざ迷いの竹林に竹の子狩り!?」 「あれ足を怪我してますね。応急処置しますよ?」
などとよくしてもらった。
それからも幾度となく彼女と偶然会った。
里の外へ釣りにいった帰り、薬売り中の彼女と休憩したりと仲を深めていき、家が燃えた時などは一緒に住まないかといってくれたしそのお陰で今同棲をしている。
どうせ家族もいなかったし、悪くない。
そしてこのまま、告白をして結婚へとしようと思っていた。
竹林のとある場所で彼を見つけた。
あぁ、彼が来てくれた!
能力で手繰り寄せてよかったわ・・・ちょうどよく迷ってくれたわ。
さぁ、鈴仙!ここが勇気の使いどころよ!
今日も彼とあった偶然って怖いわね♪
歩いていれば自然と彼と出会う、犬が棒に当たるよりも回数が多い気がするわ・・・・
彼には妻がいるの!?
そんな、私が一番じゃなくちゃいけないのに!
私は実行する。
私は彼の一番じゃないといけないのだから!
昨日の晩、火事が起きた。
【偶然】近くにいた私は【頑張った】が彼【だけしか】助けることはできなかった。
でも、彼は私のもとへ来てくれる!
こんなに嬉しいことはない、彼が私のとなりで寝ているのだから!
これで私がイチバンよ!
これからは出来る限りの彼イチバンじゃなくてはいけない。
流石にお友だちでイチバン仲が良いとかや女性にできないことは無理だけど、出来る限りのことで彼のイチバンを手に入れたいの!
そのために手段は選ばないわ・・・・
「ねぇ、えーりん?」
黒く長い髪を手入れしている従者に主は声をかける。
「最近の鈴仙はどうなの?」
自分の従者兼教育係兼主治医に尋ねる。
しかし鏡に写る従者は首を横に降る。
「そう、まだあの人間に入れ込んでるのね・・・」
鏡に写る教育係はゆっくりと口を開く。
「いかがいたしましょう?」
その目は鈴仙の処遇ではなく、男の処遇をたずねている。
「そのままでいいわ。 家を燃やし子供と妻を奪った女とラブラブになっているあと正気に戻った姿が知りたいもの」
鏡に写る主治医は告げる。
「もってもあと十年でしょう。あの子は逃がさないように万策を尽くしていますから」
そう言って主治医は鈴仙が持っていっていた麻薬を服の中に仕舞う。
「可哀想に・・・ねぇえーりん?」
鏡に写る従者は頷いた。