カルデアがダブルマスター体制だったら。   作:バナハロ

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一応、現状の戦況。
マルタ:マリー、アマデウス、ジャンヌ、マシュによりリタイア。
ファントム:マリー、アマデウス、ジャンヌによりリタイア。
サンソン:クー・フーリンによりリタイア。
ランスロット:沖田さんによりリタイア。
カーミラ:マリー、アマデウス、ジャンヌ、マシュによりリタイア。

主人公視点だと戦闘描写や相手を倒した時の書き方が難しい。分かりにくくてすみません。



最終決戦です!

 翌日、昼の12時。攻略戦を開始した。まず、何故か先頭で暴れまわっているのはアーチャーだ。早速、緑色のアーチャーがドラゴンを数匹率いて攻撃して来た。

 

「……殺してやる……殺してやるぞ!誰も彼も、この矢の前で散るが良い!」

 

 アーチャーが偵察しに行った時は驚いた。やっぱり、事前に見に来て正解だった。まぁ、サーヴァント一騎をこんな所に配置するのはどういうつもりなのか分からないが。

 

「マシュ、盾を構えて突撃。後ろからアマデウスが射撃とマリーが遠距離攻撃で牽制、動きを封じつつゲオルギウス、エリザベートは接近戦を仕掛けて」

 

 その命令に従って、アーチャーをあっさりと撃破した。

 直後、ロマンから通信が入った。

 

『バーサークアーチャーの消滅を確認した。同時に極大生命反応!オルレアンからファフニールが出発したらしい』

 

 あ、向こうから来ちゃうんだ。てっきり城攻略戦的な感じかと思ってたけど、まぁ良いか。

 

「おk。クー・フーリンさん、ジーク。準備は良い?」

「ああ、いつでもな」

「任せろ」

 

 さて、こちらも戦闘準備と行くか。

 

 ×××

 

 ファフニールが俺達の前に降りて来た。サーヴァントは五人。それらが地上に降りた。

 さて、ここからが本番だ。ここで間違えれば全てが終わる。最悪、カルデアのメンバー以外は捨て駒にする事も考えなくてはならない。まぁ、絶対にそんな事はさせないようにするが。

 黒ジャンヌ様は俺を見てニヤリと微笑んだ。

 

「逃げずに来たようね、変態」

「お願いだから変態はやめて」

「黙りなさい、変態」

 

 どんだけ嫌われてんだよ、俺。いや、嫌われるのも無理ないが。

 すると、ジャンヌ様が俺の前に出て言った。

 

「田中さんは変態などではありません。田中さんの選ぶ行動には、必ず理由があります」

「ジャンヌ様………」

「揉まれた本人が何言ってるのよ。それとも何?あなた、そこの変態に惚れたの?」

「っ…………」

 

 おい、そこで黙るなよジャンヌ様。まぁ、ここは俺が口を挟む時かな?

 

「まぁ、そんな世間話に来たわけじゃないんだからさ。さっさと始めようぜ?」

「そうですね。では、焼き払いなさい、ファフニール!」

 

 やはり、先制攻撃は広範囲に攻撃出来るファフニールにさせたか。それによって全員、回避方向が異なる。戦力を分散させ、一番脆い所から叩く気か?

 想定通り、ファフニールは息を大きく吸い込んだ。全体に炎を撒き散らす気だ。悪くない手だ、だが、一手遅いな。俺はニヒッと笑って空を指差した。

 

「上空注意な」

「何………?」

 

 黒ジャンヌ様が空を見上げた直後、ジークが宝具を構えて降って来た。

 

「邪悪なる竜は失墜し、世界は今落陽に至る。撃ち落とす――『幻想大剣・天魔失墜 』‼︎」

 

 ジークの宝具がファフニールの首を一撃で斬り落とした。攻撃の直前、一番隙のデカい瞬間、おそらく全生物が弱点とする首に最大火力を叩き込めば、どんな化け物でも殺せるのは明白だ。

 時間を計算して、クー・フーリンさんにジークをブン投げてもらった。

 

「ファフニール⁉︎」

 

 黒ジャンヌ様が声を漏らした直後、ファフニールは消えていった。その隙を逃さず、俺は次の行動に移らせた。

 

「全員やっちまえ!」

 

 直後、全員作戦通りに動き始めた。それは、一斉に黒ジャンヌ様に襲い掛かることだ。敵の首を取った奴の勝ちなんだ。ファフニールを殺され、狼狽えた隙と、いきなり王を狙う大胆な奇襲、そしてジークとマシュ、ジャンヌ様以外の全サーヴァントからの攻撃だ。マシュとジャンヌ様は俺と藤丸さんの護衛。

 回避不能完全無欠絶対確殺の完璧戦術だ。直後、敵の白髪ランサーと青い帽子のセイバーが黒ジャンヌ様のバックアップに回った。

 だが、それでも二騎だ。止められても攻撃は当たる………!そう思った直後だ。

 

「! 全員退がれ‼︎」

「ジャンヌ、お退がり下さい!『螺湮城教本』‼︎」

 

 後ろの敵のキャスターの攻撃が飛んで来た。いち早く気付いた俺の指示で、何とか全員後ろに飛び退いた。

 敵のサーヴァント達も回避し、何とか体制を立て直した。

 

「チィッ、もう少しだったのに……‼︎」

「沖田さん、右‼︎」

 

 沖田さんの右隣から、青いノースリーブの和服を着たセイバーに襲いかかられていた。

 

「!クッ……‼︎」

 

 沖田さんのカバーをジャンヌ様が何とかしてくれた。

 

「サーヴァント達、そしてワイバーン!前に出なさい!戦闘を開始します‼︎」

 

 黒ジャンヌ様の指示で、セイバー二騎とランサー、無数のワイバーン達は前に出た。ファフニールは倒したが、まだ気は抜けない。

 

「ジル、城に戻り新たにサーヴァントを召喚します。付いて来なさい」

「畏まりました」

 

 アレがジルかよ。キャスターだったのか。っていうか、ここで逃すわけにはいかない。これ以上、サーヴァントを召喚されるのは面倒だ。

 それに、ここが良い機会かもしれない。

 

「藤丸さん。ジャンヌ様、マシュ、エリザベート、マリーを連れて奴らを追って。ここのサーヴァントは俺達が片付ける」

「! 大丈夫なの?」

「大丈夫。ていうか、そっちがさっさと終わらせれば、こっちは勝つ必要すらないんだけどな」

「分かった。すぐに終わらせて来る」

 

 俺の指示に従って、藤丸さんはそのメンバーを連れて黒ジャンヌ様とジルを追って走った。

 続いて、残ってるメンバーに声を掛けた。

 

「清姫!ワイバーンを相手しろ!一匹につき10秒も時間を掛けるな!」

「了解しました!」

「クー・フーリンさん!ゲオルギウスとランサーをやって!ジークはアマデウスと組んでセイバーを叩け!」

 

 その指示に全員従い、応戦し始めた。

 さて、ここからが鬼門だ。俺と沖田さんは目の前の着物のセイバーと相対した。

 

「さて、沖田さん。踏ん張り所だ」

「ええ、分かっています」

 

 相手は着物、つまり日本のセイバーだろう。何者だか知らないが、沖田さん的には相手にとって不足なし、という感じだろう。

 

「それよりマスター、良いんですか?」

「何が?」

「この勝負が終わると、ジャンヌさんと話す機会はなくなってしまいますが」

「……………」

 

 俺は俯いた。そう言われると少し痛いんだけどな。ていうか、沖田さんに気付かれるとは思わなかった。

 

「……良いから、集中しろ」

「…………わかりました」

 

 沖田さんは刀を抜いて着物のサーヴァントと向かい合った。

 

「あなた達が私の敵で良いの?」

 

 おお、なんか軽い感じで声をかけて来たぞ。何、狂化されてないの?

 

「ああ、まぁお手柔らかに頼むよ」

「それは無理ね。なんでかわからないけど、私すごく今、人を斬りたいの」

 

 気の所為だった。全然トチ狂ってた。

 で、目の前の女の人は自己紹介を始めた。

 

「一応、名乗っておくね。私は宮本武蔵」

「「宮本ぉ⁉︎」」

 

 マジかよ!あの有名な⁉︎

 

「「サイン下さい!」」

 

 俺と沖田さんは二人して色紙とペンを差し出した。

 

「って、なんでお前も欲しがってんだよ⁉︎」

「いや、マスターこそ!これから斬る敵ですよ⁉︎」

「いやいやいや、こっちがビックリだわ。あんたら二人とも同じだわ」

「あっ、あのっ、読みました。巌流島の決闘」

「いやいやいや、知らないから」

「あのっ、生前からファンでした!」

「ああそう……とにかくサインは嫌」

 

 ちぇー、けちんぼ。

 仕方ない、戦うかー。沖田さんも戦闘スイッチが入ったようで、俺の前に手を差し出して前に出た。

 

「………マスター、下がって下さい」

「言われなくても下がるっつーの」

 

 二人は剣を構えた。この二人の戦いで俺に出来る事はない。剣は素人だし、精々応援するくらいだろう。

 剣を構えたまま動かない二人。静かに風が吹いた。二人の間に、風に吹かれて宙を舞う葉が流れた。その直後だ。二人の姿が消え、いつの間にかお互いの左胸……つまり、心臓に突き込んでいた。

 そして、お互いに左胸を回避させていた。空を切るお互いの刀。宮本武蔵が真横にある沖田さんの剣を横に拳で弾くと、沖田さんの首に向かって刀を振った。

 体勢を崩された沖田さんはその刀をしゃがんで回避すると、顔面に蹴りが飛んで来て、それを左腕でガードしながら退がり、距離をとった。

 その沖田さんの顔面に宮本武蔵は再び突きを入れた。それを半回転しながら回避しつつ、宮本武蔵の首を斬りつけた。それを突き込んだ刀を無理矢理自分の首元に戻してガードした。

 振り回した剣で今度は斜め下から斬り上げたが、それもガードされて刀を地面に抑えられ、刀を踏まれて固定された。

 

「っ!」

 

 で、顔面に突きが飛んで来た。沖田さんは刀を持っていない方の手で腰の鞘を抜き、首を横に捻って回避しつつ刀を握る宮本武蔵の手を殴り上げた。

 宮本武蔵はそれを読んでいたように、刀を踏んでる脚を軸にして沖田さんの顔面に廻し蹴りを見舞った。

 沖田さんはその蹴りを額で受け止め、踏まれてる刀を無理矢理引き抜いて宮本武蔵の身体に斬りかかった。宮本武蔵は刀を自分の胸元に戻して沖田さんの刀を弾き、上から沖田さんの脳天から真っ二つにするかのように刀を振り下ろした。

 その攻撃を若干、バランスを崩しながらもバックステップで回避すると、それを読んでいたかのように下から斬り上げられ、自分の体の前に刀を構えてガードした。

 

「……っぅりゃあッ‼︎」

「っ⁉︎」

 

 宮本武蔵はガードされながらも無理矢理刀を振り抜いた。直後、刀を折られる事はなかったものの、沖田さんの身体はフワッと浮いた。オイオイ、マジかよ。腕力の打撃だけで人の身体が浮いたぞ。

 空中になれば流石に沖田さんは身動き取れず、宮本武蔵の廻し蹴りをモロに食らって、沖田さんは俺の横に転がって来た。

 その隙を逃さず、宮本武蔵は刀を振り上げて飛び掛かって来た。

 

「ぅっ………!」

「ヤバッ……‼︎」

 

 頭を打ったのか、反応出来ていない沖田さんの身体を抱き抱えて、俺はギリギリ回避した。

 

「………っぶねぇ……!とんでもねぇな、あいつ……!流石、宮本武蔵」

「何褒めてるんですか……!あの人とんでもないです」

「お前も褒めてんじゃねぇか」

「このままじゃ殺されるって言ってるんです」

 

 分かってるよ、んなことは。

 俺は沖田さんを起こして耳元で言った。

 

「沖田さん、よく聞け」

「なんですか。それどころじゃないんですけど」

「………奴は沖田さんの心臓や首を狙って来てる」

「…………へっ?」

「つまり、確実に沖田さんを殺せる場所を狙ってるって事だよ。それに合わせてカウンターは狙えないか?」

「……………」

「なんだよ」

「見えてるんですか?私達の剣速」

「そりゃ見えてるけど」

「………………」

「なんだよ」

「い、いえ。カウンターですか?難しいと思います。彼女の剣はそんな簡単にカウンター取れる速さと力強さではありません」

「…………なるほど。なら、こういうのはどうだ?」

 

 俺は沖田さんの耳元で作戦を伝えた。すると、納得したのか沖田さんは「なるほど……」と呟いて頷いた。

 

「………わかりました。やってみます」

 

 そう言って刀を握り直して宮本武蔵を睨んだ。俺は戦場を見回した。他のサーヴァントは既に倒し、ワイバーンの相手をしている。そのワイバーン達も数は減ってきていた。

 

「ジーク、アマデウス、ゲオルギウスはマシュ達の援護に向かって。クー・フーリンさんと清姫は引き続きドラゴンの相手を」

 

 その命令に全員返事をして行動し始めた。

 それと共に、沖田さんと宮本武蔵の戦闘は再開した。

 

 


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