ネロ達が戻ってきて、俺は解放された。ステンノ様とあと何処から出て来たのかタマモキャットとエリザベートから敵の本拠地を教わった。ネロの伯父がやって来たから、サクッとブッ殺して今は城にいる。
で、なんで僕は城の修練場的な場所でネロと沖田さんに正座させられているのでしょうか。
「………あの、何?二人とも」
「今回の件でハッキリしました」
「はっ?」
「マスターには少しでも戦闘力を持っていただきます」
「な、なんでだよ!」
「当たり前だ!」
ネロが少し怒った口調で口を挟んで来た。
「あんなあっさりと人質に取られおって!古き神がたまたま良い神だったから良かったものの、情けないにも程があるぞ!」
「そうです!しかも簡単に魅了されて………!これから、もしあの様な事があった場合に足手まといになります!」
「ええ………で、でも今回は仕方なくない?魅了されちゃったんだから………」
「「仕方なくない‼︎」」
なんでですかいダイビング、なんて言ったら怒られかねないから黙ってよう。
「とにかく、貴様はこれから心身ともに鍛えさせてもらう!良いな?」
「えっ、いやいや。戦争中に修行したってそんな意味なくね?それより、せっかく敵の本拠地教えてもらったんだから、攻略方法を考えないと………」
「それは立花に任せておる」
えっ、いやまぁ洞窟から帰って来たのはあの人の指揮で帰ってこれたんだろうし、大丈夫だとは思うけど………。
「とにかく、ビシバシ行くぞ!とりあえず、余も皇帝陛下として指揮を取る必要があるため、基本的には沖田にしごいてもらう」
「はい。ネロさんに空き時間があれば交代していただきます」
「いやいやいやいや!その間、俺と沖田さんはどうすんだよ⁉︎」
「戦線から外れてもらうぞ」
「バカ言うな!ネロ達だけで勝てるのかよ⁉︎」
「ふっ、任せておけ。聞けばあのジャンヌオルタとやらは女がてらに兵をまとめ上げた事があるそうではないか。他にもマシュ達もおる、戦力的には心配はない」
「き、清姫!清姫に修行つけてもらう!」
「清姫さんは武器使わないのでダメです」
「じゃあクー・フーリンさん!槍使うじゃん!」
「クー・フーリン殿も挙手しておったが『男だし、1週間くらい何も食わせなくても平気だよな?』とか言ってたが?」
あの人はあの人でサイコパスだったのか………‼︎
「では、ネロさん。今日は私に任せて下さい」
「うむ。とりあえず、半殺しにしても構わん」
「はい」
うわぁ……この二人が最悪の形で仲良くなりやがった………!しかも、俺の意見なんて聞くつもりないし………どうしよう。………いや、人質にされてる間に考えていた今後の予定を実施すればワンチャンある。諦めるのはまだ早い!
「ネロ、待った」
「なんだ?」
「1つだけ考えてた事があるんだけど」
「だからなんだ?」
「今回のガリア戦で敵に俺達の総戦力を知られていた可能性があるから、召喚だけしておきたいなー……って」
「………ふむ?」
ネロは「どうする?」みたいな感じで沖田さんを見た。
「良いのではないですか?どうせしごくのですし」
「………お主がそう言うのなら良いだろう。では、行くとしようか」
よっしゃ!これで心優しい天使様みたいな人(具体的にはジャンヌ様みたいな人)がくれば、この脳筋馬鹿二人のしごきから解放される。
後は、俺の運命力に賭けるしかない。頼むぜ。
「じゃ、藤丸さんとマシュ呼んで」
大丈夫、こう見えてゲームのガチャ運は良いんだ俺。人類が滅ぶ前も、単発でナルメア姉さん出たし。
×××
そんなわけで沖田さん、藤丸さん、マシュと召喚サークルを設置した場所に向かった。
もう夜遅いが、そこは俺の懐中電灯のおかげで暗がりの中に光を照らして進めている。
「………聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来い聖女来」
「マスター、この人どうしたのですか?」
「マシュ、私に聞かないで。その人がおかしいのはいつもの事」
馬鹿野郎。こっちは真剣なんだ。命が掛かってるからな。今回ばかりは下心はない。まじめにジャンヌ様に来て欲しい。いや、まぁ下心がないとは言えんが(矛盾)。
いや、ジャンヌ様とまではいかなくても聖人に来て欲しい。ゲオルギウスとかでも良いよね。いや、まぁでも強いていうなら女の人の方が良いや。
「マスターはどんな方を望んでいますか?」
「聖女来い」
「私?私は特にそういうのはないかなー。強いて言うなら、ちゃんと言うこと聞いてくれそうな人かな。マシュは?」
「聖女来い」
「私は……特に希望はありません。ただ、バランスを考えるならキャスターやアーチャーといった遠距離攻撃の行える方、でしょうか?」
「聖女来い」
「あー……なるほどね。マシュはちゃんも考えてるね」
「聖女来い」
「いえいえ、私なんて………お、沖田さんはどんな方ですか?」
「聖女来い」
「私はー……土方さんですかね。あの人なら、このダメマスターを何とかしてくれそうですし」
「聖女来い」
「そんなこと言ってさー。洞窟の中では田中さんのこと心配してた癖に」
「聖女来い」
「なっ、何を言ってるんですか立花さん⁉︎そんな事ありません!」
「聖女来い」
「そういえば、いつも以上にイライラしてるように見えましたね」
「聖女来い」
「まっ、マシュさんまで………!で、でもそれを言ったらネロさんだってそうでした!」
「聖女来い」
「つまり二人はライバル?」
「聖女来い」
「ちっ、違いますから!てか、本人を前にしてやめて下さい!」
「聖女来い」
「……………」
「聖女来い」
何か女子達が話してる中、俺はひたすら念じていた。ふと静かになったのを感じ、三人を見ると喧しそうな人を見る目で見ていた。
「………なんだよ」
「「「喧しい」」」
本当に喧しかったようだ。
召喚サークルに到着し、いざ召喚開始。まずは藤丸さんからだ。
キィィィンっとサークルが回転し、サーヴァントが姿を表す。
「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。ここに参上つかまつった」
「ふおおおお!」
直後、藤丸さんから興奮したような声が聞こえ、俺も沖田さんも思わずビクッと肩を震わせた。
「えっ、何?」
「イケメンさん!すごいカッコ良い!しかも知ってる人!」
ああ、藤丸さんも女の子だし、そういうの気になるのか。まぁ、俺も可愛い女の子出たら嬉しいし、そういうもんだよな。
「お主が私のマスターか?よろしく頼む」
「うん!よろしく!佐々木さん、で良いのかな?」
「好きに呼んでくれて構わない」
しかし、アサシンか……。また近距離職………。どこまで脳筋なんだよ………。いや、アサシンは脳筋とは言わないか。
若干呆れてると、冷たい空気が流れるのを感じた。ふとそっちを見ると、マシュがものっそい形相で佐々木小次郎を睨んでるのが見えた。………おい、もしかしてそれ嫉妬か?お前女じゃないの?
いや、ヤバいな。藤丸さんのパーティにまとまりが無くなる。とにかく、ここは落ち着かせないと。
「ま、マシュ。落ち着いて。初めての男性だから嬉しいんだよ」
「マダオ(まるでダメな男)は黙ってて下さい」
「……………」
うん、黙って召喚しよう。同じように召喚した。
「サーヴァント・アーチャー。召喚に応じ参上した」
………誰だ?白髪で色黒で赤い服の人。アーチャーって言ってんのに剣二本持ってるし。どっかで見たことあるんだけどな……。特にその双剣。
「………えっと、誰?」
「君が俺のマスターか?」
「あ、うん。田中正臣です。こっちは俺のサーヴァントの沖田さん」
「沖田総司、クラスはセイバーです」
「そうか。俺はエミヤだ。よろしく頼む」
エミヤ………?聞いたことねえな。まぁ、アーチャーだし喜んどくか。
………でも、その、なんだ。すっごい厳しそうな人だな。これ、もしかして今の俺的にはハズレを引いたんじゃ………。
「えっと、エミヤさん」
「呼び捨てで構わんよ」
「いやいや、そんなゴリマッチョを呼び捨てになんか出来ないから」
「マスターなのだろう?なら、もう少し威厳を持て」
「威厳を持つのと偉そうにするのは違うでしょ」
「………まぁ良い」
「それよりさ、アーチャーだよね?なんで弓持ってないの?」
「持っているさ。俺は武器を作る事が出来る。………こうしてな」
すると、エミヤさんの手元に黒い弓が現れた。おいおい、この人マジかよ。なんでもありか?
「………ふむ、なるほど」
「他に質問は?」
「あと二つほど良いですか?」
「構わん」
「その能力って武器以外も作れんの?」
「作れる」
「じゃあ、今からテレビとSw○tchを作ってもらえないでしょうか⁉︎」
直後、ガツンッと後ろから沖田さんに殴られた。
「バカなこと言ってないで帰りますよ」
「待て待て待て待て!この能力があればこれから俺は一々、カルデアから荷物を持ってくる必要がなくなるんだぞ⁉︎大事なことだろうが!」
「………すみません、エミヤさん。この人、バカなんです」
「いや、構わん。俺が来たからには、これからバカなことは言わせん」
………えっ、今なんて?
「さて、では帰るぞ。まずはマスター、貴様には色々と教育してやらんとな」
「えっ、凶悪?」
「教育だ。今の会話で大体分かった」
「おい!何言ってんだ!沖田さん!俺の今までの功績を教育してやれ!」
「助かります、エミヤさん。私もこの男にはもうイライラしてて……」
「あれぇ⁉︎沖田さぁん⁉︎」
「ところでエミヤさん、あなたの能力で竹刀や木刀も作れますか?」
「ああ、いける」
「やりましたね、マスター!これで怪我しても死にはしませんよ!」
「おいやめろ!てか何?この人来なかったら死を覚悟した修行をするつもりだったの?」
「よし、では帰るぞマスター」
「待て待てお願い待って!」
助けを求めて藤丸さんとマシュと佐々木小次郎を見たが、三人揃って合掌された。
___________結論、ゲームのガチャ運とリアルのガチャ運は関係ない。