護衛艦みらいがMI作戦に参加している頃…。横須賀でお留守番の艦娘のみらいはキスカ撤退作戦で負傷した梅津艦長の元にお見舞いに来ていた。
「…そうか。MI作戦は成功したか。あれだけの作戦に関わらず犠牲者を出さずに攻略するとは。角松も艦長としての自覚が出てきたようだな。」
手術から1ヶ月が経ち、安静にしていた梅津艦長もベットから自力で起き上がれるようになり、車イスなら病院内を看護師付き添いの下で移動が可能になっていた。だが、やはり船乗りという性…。船に乗っている方が生き生きする。そのため、梅津艦長の病室は柏木の手配で海が見える個室に移されていた。梅津とみらいが談笑していると…。
カタ…。カタカタカタ…。
と、机の上の湯飲みが小刻みに揺れ始めた…。
「おや、地震かな?」
と、梅津が呟く。小刻みな揺れは30秒ほどで収まった。気になった梅津がテレビをつけると画面の上に[地震速報]が出る。
「千葉東方沖か…。」
「この辺りは震度2みたいですね。」
テレビには各地の地震の震度が表示されていた。ここ横須賀市は震度2。最大震度は3だった。
「地震といえば…。みらいさんは東日本大震災をご存じかね?」
「私がタイムスリップした後に起きた大地震ですよね…。」
「ああ、あの日…。私は横須賀地方総監部で開かれていた艦長会議に参加していた。」
と、梅津は東日本大震災の事をみらいに話始めた…。
2011年3月11日1446
梅津達、海上自衛隊横須賀地方総監部に所属する護衛艦隊の定例会議が基地内部の会議室で開かれていた。
「えー。次回の演習内容についてですが…。」
と、司会が演習内容について話そうとしたその時。
ブー!ブー!ブー!
突如、室内にいた全員の携帯が鳴り響く。一瞬どよめく会議室。すると…。
「地震発生!地震発生!総員防護体制を取れ!」
と、放送が流れる。皆が慌てて机の下に潜ろうとしたとたん。
グラッ…。
大きな揺れが横須賀地方総監部を襲った。緊急地震速報が鳴り響き、揺れが襲うなか放送が…。
「宮城県北部で地震!最大震度は、震度7!繰り返す最大震度は震度7!」
放送する隊員が叫ぶ。机にしがみつきながら梅津はこう思った…。
(横須賀でこの揺れだ。…これは津波が来る!)
3分近くの間揺れたあと、揺れが収まったのを確認して机の下から出る。机の上のお茶がこぼれて資料はびしょ濡れだ。
「皆、無事か?怪我はないか?」
と、艦隊司令が尋ねる。お互いの安否を確認していると…。
「気象庁より入電!岩手県 宮城県 福島県沿岸に大津波警報! その他北海道から九州地方沿岸まで津波警報発令! 」
と、館内に放送が流れる。すると、艦隊司令が…。
「会議中止!各艦、出航用意!」
と、叫ぶ。各艦の艦長達は資料を慌てて片付けるがその様子を見た梅津が叫んだ…。
「資料はいい。各艦長は艦へ戻り出航せよ!」
梅津の言葉にハッとなり、各艦長らが駆け足で部屋から出ていく。梅津は若手の艦長が出ていくのを見届けて最後に会議室を出ていく。ふと、艦隊司令から声を掛けられる。
「梅津さん。指揮ありがとう。」
「なぁに。構いませんよ。それより、これは長丁場になりますよ。」
と、一言話して梅津は走って護衛艦みらいに向かっていった。
1455 護衛艦みらい デッキ
「艦長!お待ちしてました。」
と、門番の隊員から声をかけられる。
「うむ。ご苦労。全員戻ったか?」
「あと、残り5名でございます。」
「了解。1510には出航したい。」
「了解しました。」
護衛艦みらいが停泊していたのは正門の奥、3隻ならんで停泊できる場所の一番埠頭側だ。その為、隣の2隻の乗組員が通路として みらい の甲板を走り抜けていく。若手の艦長らの護衛艦の一部は既に動き始めていた。
1500 みらい艦橋
「艦長。お待ちしてました。」
艦橋で出迎えたのは角松だった。角松とは阪神淡路大震災の時に知り合い、2年前の艦隊配置でこの護衛艦みらい配属となった。
「副長。地震のことは知っているな。」
「ハッ!宮城県沖合で地震。東北地方太平洋側に大津波警報が出ています。」
「揺れたか?」
「ええ、艦に乗っていても揺れを感じました。」
その言葉を聞いて梅津は…。
「わかった。この地震。かなりの長丁場になるぞ。覚悟しといた方がいい。」
と、呟いた。
1630 千葉県房総半島沖
津浪被害から逃れるために外洋に出た横須賀の護衛艦達。そこへ菅内閣総理大臣から全自衛隊に災害派遣要請が出た。既に東北地方沿岸部では津波で甚大な被害が出ている。護衛艦みらいは最大出力で津波を乗り越えながら北へ向かう。
今回から書き始めたジパング×艦これの外伝~あの日を忘れない~ この話はご覧の通り、2011年3月11日に発生した東日本大震災の話をモデルにしています。実際の自衛隊の行動とは異なる描写もあると思いますが、あの日を忘れないようにと思い…書き始めました。原作はジパングの阪神淡路大震災を描いた外伝です。それを元に311として書きました。過激な描写が多くなると思いますが、あの日を忘れないようによろしくお願いいたします。