シュウ「マサキが女体化すれば私もホモ呼ばわりされなくなるのでは?」マサキ「ふざけんな」シュウ「本気です」   作:久保サカナ

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Zシリーズ成分も入れたいと思ったので…

一応、原作にも名前だけは出てた人?です



BGM 「勇者」(YOASOBI)


閑話 「勇者」と旅をした「誰か」の話

 

 

今よりもずっとずっと…遥か昔の話。

 

ラ・ギアスと呼ばれる世界、まるで御伽話の様な英雄譚(サーガ)、精霊に愛された勇者の物語。

 

私こと◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️にとっても長過ぎた『真戦』の終わり、切り出した一節。

 

かつて、このラ・ギアスに影を落とした邪悪を討ち果たし封印した勇者ランドールと共に歩んだ私にとっては短い旅の記憶。

 

 

 

私が目を覚ました時、上を見上げたら空が存在せずに大地が続いていた。

 

私が倒れていたのは何処かの草原であった、しかし草原は遙か彼方まで続き、山地の裾野を取り囲んでいるのが見て取れる、そしてその山地は延々と伸び、雲の中へと消えていた。

 

曲面の内側に張り付くように広がる地表はスペースコロニーの様にも見えたが、スペースコロニーにこんな自然は無いという事が理解出来る。

 

中天で燦々と輝く太陽を見上げながら、私は「自分が何者なのかわからない…俗に言う記憶喪失」だという事がなんとなくわかった………名前はウィ…ウィルという単語が思い浮かんだ、よし、名前を聞かれたらウィルと名乗ろう。

 

とりあえず、私は自分の事を知っている人間がいないか探すために少し歩いたところに見えた都市らしきものの方向に向かうのであった。

 

 

 

都市の側まで来るとやや離れた平野に1人の少年と1人の男が居るのを見つけた、翡翠を思わせる翠の髪と瞳を持つ溌剌とした少年はひたすらに剣を素振りしていた、それを年配の男が見守っているのだ。

 

彼らに話しかけようとした私であったが、急に私の腹が音を立てて鳴ってしまったのだ、不覚。

 

しかし、警戒を見せていた男とは打って変わって少年は破顔一笑、持って来ていたランチボックスからホットドッグを取り出すと私に差し出して来て「なんだおっさん、腹が減っているのなら分けてやるよ」と言ってくれた、かたじけない。

 

 

 

記憶を失くす前も取り戻した後もあんなに美味く感じた食べ物は初めてだった、まさしくあれは平和の味である。

 

このしまらなくてふっと笑ってしまう様な出会いこそが私と後のラ・ギアス救世の勇者、剣神ランドールとその師匠、四つ目のダイムとの出会いであった。

 

 

 

その後、私は記憶喪失でどうしてここにいるのかここが何処なのかもわからないと正直に打ち明けると2人は「しょうがねぇなぁ」と説明してくれた。

 

ここは地球と呼ばれる星の位相がズレた内部空間にある地底世界ラ・ギアス、そして私が倒れていたのはラングラン共和国の地方都市ゲレーンだという。

 

 

 

「すまない…どれも聞いた事が無い」

 

「そっか、それにしてもおっさんスゲェガタイが良いな!軍人か何かだったのか?」

 

「それがわからないから困っているんだろうランドール、私も元軍人だが貴方の身体のつくりや立ち振る舞いは戦う者のそれだ…少し調べてみる必要があるかもしれんな」

 

 

 

そうして、私はしばらくランドール………は未成年だったためダイムの家で面倒を見て貰える事になった。

 

もちろんタダ飯食らいは心情的にごめんだったため直ぐに職を探したが、私はどうやら常人ならざる怪力の持ち主だった様で工事現場や建築現場を転々として家賃を稼いだ。

 

木材はおろか鉄骨ですらまるで藁の様に軽々と持てたのだ、1日で家を建ててみせた事もあった。

 

そうした仕事と並行して行っていたのは、ダイムが弟子にとっていた少年少女達と共に行う鍛錬であった………ダイム曰く「戦う者であるならば、鍛錬すれば思い出すかもしれない。それに貴方程の逸材を放って置くのは惜しい」だそうだ。

 

鍛錬は驚くほど身体に馴染んだ………ダイムが開祖となる流派・無窮流であるがまさしく「人を育てる流派」であった。

 

私はやはり記憶を失う前は戦う者であったらしく、拳の一振り、蹴りの一撃、全てに「懐かしさ」を感じたのだ。

 

そうやって私ことウィルはゲレーンで平和に生きる、筈であった。

 

 

 

ある日、突如として隣国が圧倒的な兵力をもって侵略、ラングラン軍を率いていたランドールの父親は戦死、戦火はゲレーンにまで及んだ。

 

そこで、敵の特殊部隊とランドール達が交戦した結果、ダイムの弟子のひとりにして後のランドールの妻であるフェリーヌが敵国に攫われてしまった。

 

今でも、ふと思う時がある。

 

あの時、私が◼️◼️◼️の力を取り戻していれば、記憶を失う前の様に戦えていればランドールの子孫に呪いを残す事は無かったのではないか。

 

そして、その場合は剣神ランドールという存在は生まれ無かっただろう、という結論に落ち着く。

 

 

 

そして、フェリーヌを取り戻しに行く後の救世の勇者こと剣神ランドールの始まりの旅路はあの日始まった。

 

私の中では100分の1にも満たない、ほんの少しの旅路、それは私を確かに変えたのだ。

 

 

 

苦しい旅であった/楽しい旅であった、戦火の中、ひたすらに徐々に蘇って行く記憶………真戦の中で培った拳をひたすらに奮った。

 

◼️◼️◼️に比べれば………比べるのも烏滸がましい敵であったが、当時の私にとっては強敵であった。

 

だが、そんな中で皆の中心になり、いつしかリーダーになったのはランドールだ。

 

彼は生まれながらにして魔法を使え、精霊サイフィスの声を聞き力を奮う………正の無限力に選ばれし根源接続者である。

 

しかし、それ以上にその真っ直ぐで優しい理想論者なところに皆惹かれたのだ、まさしく勇気ある者………勇者の称号が誰よりも相応しい。

 

 

 

ある時、力を取り戻した私は、自らの身を白銀の鳳に変化させて背にランドールを乗せて空を翔けていた。

 

私達の力はたとえ◼️◼️◼️の暴虐に対抗するために生み出された力であったとしても生物の在り方を歪め、その尊厳を犯す忌まわしい力、それを私は己自身に使用したのだ。

 

ヴォルクルス教団が街一つの犠牲で顕現させた破壊神サーヴァ・ヴォルクルスを討つべく私はランドールと共に戦った。

 

サイフィスと精霊憑依(ポゼッション)したランドールが魔法剣を振るうと文字通り「その剣は嵐を呼び、大地を裂いた」、全盛期の私達◼️◼️◼️に匹敵する力だ。

 

私も負けじと◼️◼️力を行使してヴォルクルスの肉体を雷で刃で光弾で撃ち、体当たりをお見舞いしてやった。

 

そして、激闘の末にヴォルクルスを討ち取ったのだ………この時の変化した私の姿は「神鳥ディシュナス」として後世に伝わる事となる。

 

 

 

………ランドールがアストラル界にシフトして誰かと逢瀬を重ねていた事には気付いていた、しかしその人物はきっとランドールを想う人なのだろうと思って止めなかったが。

 

今では殴ってでも止めるべきだと悔やんでいるが、ランドールを傷つけたことは許さんぞヨーテンナイ………!!

 

仲間のひとり、バイスの一世一代の大魔術によりアストラル界にシフトした私達はヴォルクルス教団の預言者ヨーテンナイ、三邪神を相手に激闘の末に勝利した。

 

未練がましくランドールを引き止めるヨーテンナイの手からランドールを引き上げて救い、私達は現実世界へと凱旋したのである。

 

 

 

そして、戦乱の世は終わり、ゲインは新しく神聖ラングラン王国を興した。

 

ランドールはフェリーヌとトスナを妻に迎えて、旅路の中で培った魔法剣を「神祇無窮流」という流派にして子孫や弟子に伝えて行った。

 

「神祇無窮流」の中には私がランドールに教えた体術も「空拳術」として盛り込まれていた。

 

 

 

記憶を取り戻した私はランドールや皆から離れた、私は皆と同じ時間を生きられない、皆にやがて置いていかれる、そうでなくとも年を取らない私の姿は奇異の目で見られる事が理解出来てしまったからだ。

 

大体、5、60年だっただろうか………ひとりの旅に出た。

 

しかし、ある時、ランドールから手紙が届いた、手紙には一言「最期に会いたい」。

 

私が慌ててランドールの家に着いた時にはランドールはベッドに横たわりじっと宙を見つめていた。

 

 

 

「来てくれたか、ウィル」

 

「ああ………もう長くはないんだな、ランドール」

 

「サイフィスの声が近いんだ、だからお前には俺の知る全てを話しておきたい、ウィル、いや…次元将ウィルパーシャ」

 

 

 

ランドールはこの世界に於いて誰も知らない筈の私の真名をピタリと当てて来た、ランドールから語られたのはこの世界…実験室のフラスコの在り方についてや、他のフラスコの事や、それを観測する上位者、そして、我ら次元将の戦いとやがてこの世界にも現れる…鋼の勇者たちと云う、我らフラスコの住人達には想像を絶するものであった。

 

 

 

「Zの名を冠するフラスコの戦いは、御使いが斃され、多元世界が新生することで終結したぜ」

 

「そうか………もう、御使いに苦しめられるモノはいないのだな………ヴァイシュラバ、ヴィルダーク、そしてドゥリタラー………終わったよ」

 

「御使いのような存在は早々現れないだろう、最も、フラスコの世界の創造主次第だがな」

 

「………」

 

 

 

私はランドールに「何故、私にこの話をする気になった?」と問いかけた、するとランドールは「これだけ大きな秘密を生涯抱えてたんだ、誰かに話したかったんだよ、俺たちの中で1番丈夫で力持ちのお前にな!」と言って笑うのだ。

 

私も釣られて笑ってしまう、それから、私達はたわいの無い話を幾つかした。

 

 

 

次の日、ランドールは精霊界にサイフィスに連れられて旅立って行った。

 

 

 

ランドールの葬儀には彼の家族に子孫や弟子、仲間達、そして王族すらも参加した。

 

私も多少は奇異の目で見られはしたが、皆、ランドールを悼んでいたのだ、その中で弟分が先に逝った事を嘆くゲインに私は話しかける。

 

 

 

「決めた、私はランドールを未来に連れて行く。今回こそは嫉妬深い風(サイフィス)にさらわれてしまったが、ランドールが誰の記憶から消えてしまっても私だけは覚えている。未来でランドールの手を今度は私が取るんだ」

 

 

 

私は頰を伝う涙を拭わずに仲間達に聞こえる声ではっきりとそう宣言した。

 

 

 

そして、5000年後、地上にて。

 

街角のモニター、世界中継にはかつての私を模した、ランドールを誰よりも愛したサイフィスに祝福されし風の魔装機神サイバスターが究極ロボヴァルシオンを倒した光景が映されている。

 

サイバスターの伸ばした手をヴァルシオンが取った光景をモニターを見上げる人々はまるで神話の光景を見る様な目で見つめていた。

 

だが、私にとっては………

 

 

 

「君はやっぱり手を伸ばすんだな、ランドール。あの時、私にそうした様に」

 

 

 

私はホットドッグを頬張りながら雑踏に姿を消した、目指すはかつてランドールが私に警句と共に伝えた最後の審判者の眠る冥王の島だ。

 

 

 





というわけでランドールに魂を焼かれたクソデカ感情リレーション持ち次元将ウィルパーシャおじさんです、好物はホットドッグ。

5000年間、ランドールとランドールの守った世界を未来に連れて行く為に地上とラ・ギアスを行ったり来たりして色々と動いていました。

ヴォルクルス教団のみならず百邪とかバラルもしばいて回っていたかもしれません。


基本的には表に出ずに影で動くタイプです、インターミッションで色々やってるタイプ。

一応、イェーガー姉弟とも真戦時代に面識があります。


元ネタはもちろんフリーレンです、とは言ってもヴァイシュラバやヴィルダーク並みのゴリゴリマッチョおじさんですが。

なお、記憶喪失になった事でアホセル並みに人格が変化しており他の次元将が見たら「誰だお前(困惑)」です。


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