『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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どうも、shin-Ex-です

この作品は私としては初となる原作主人公への憑依転生ものとなります

超不定期更新になるかもしれませぬが何卒宜しくお願いします

それでは本編どうぞ


プロローグ

 

 

「死んでくれないかな?」

 

デートの終わり間際に、俺は彼女・・・・天野夕麻にそう告げられた。彼女は背に黒い翼を生やし、手には光る槍を手にしている。

 

夕麻が人間でないことには気がついていた。俺の中にいる相棒に夕麻が堕天使だということは聞かされていたから。だから堕天使である夕麻が俺と付き合っているのには何か目的があるんじゃないかと思ってたし、そのおかげで夕麻に告げられた言葉には驚きはしたが同時に納得もできた。

 

故に俺は・・・・・

 

「うん、いいよ。俺を殺して」

 

俺は彼女の願いを聞き入れることにした。別に死ぬことが怖くないわけじゃない。既に一度経験しているが、それでもやはり死ぬのは怖い。

 

だけど、それでも抵抗するつもりはない。俺はこの死を受け入れる。俺は本来存在するべき者ではないのだから。

 

(すまない、俺はここまでのようだ。お前の頼み、聞けそうにない)

 

(ふっ、残念だが構わんさ。お前の人生、お前の好きに終わらせるがいい)

 

俺が自分の中にいる相棒に謝罪すると、相棒は簡単に許してくれた。俺と白の戦いを楽しみにしていたというのに、受け入れてくれた。物分りのいい・・・・・俺には過ぎた相棒だと思った。

 

「・・・・あなたと過ごした日々は楽しかったわ」

 

俺が平然と死を受け入れたためか、表情を驚愕に染める夕麻だったが、それもほんの数瞬だった。手にした槍を俺に突き立て、どこか物憂げな表情で俺に告げる。

 

そして・・・・・手にした槍が放たれた。

 

「ぐぅっ!?」

 

放たれた槍は、俺の心臓を穿つ。あまりの激痛に意識が朦朧としてくる。

 

「・・・・・ごめんなさい。本当に・・・・・ごめんなさい」

 

朧げな意識の中ではあるが、俺ははっきりと見た。泣いている夕麻の顔を。望んで俺を殺したのに、辛そうな表情をしている俺の彼女を。

 

「あやまる・・・・必要は・・・・ない」

 

痛みの中、どうにか力を振り絞って俺は夕麻に告げる。これ以上泣いて欲しくなくて言ったのに、夕麻の表情はさらに悲痛に歪む。ああ・・・・俺ってやつはロクデナシだな。

 

「さようなら兵藤一誠くん」

 

別れの言葉を残し、黒い翼を羽ばたかせて夕麻はその場から去っていった。

 

「ここで・・・・終わり・・・か」

 

重たい体を引きずるように動かして、近くの気に背を預けるようにもたれ掛かりながらこれまでの、この世界での人生を振り返る。

 

17年前に俺は兵藤一誠としてこの世界に生まれ落ちた。特別裕福ではないが優しい両親がいて、ちょっと男勝りでたくましい女の子の幼馴染がいて、小中高ではそこそこ友達がいて、勉強はまあまあできて、運動神経も悪くはなかった。

 

10歳の時に自分の中の赤い龍、ドライグと初めて話をした。何度も話をして今では大切な相棒になって、いつか宿敵である白を倒すと約束して、強くなるために鍛えまくった。

 

充実していたと思う。幸せな人生だっとと思う。それでも・・・・・俺は疎外感を感じていた。俺は孤独感を感じていた。理由はわかっている。俺は『兵藤一誠』として生まれるはずではない存在・・・・本来ここにいるはずのない存在だったからだ。

 

それがわかっていたから、俺はこの死を受け入れた。俺がここで死ねば、俺という異物がいなくなり、この世界は正しい形に戻ると思ったから。だからこの死に後悔などない。ないはずなのだが・・・・

 

(せめて父さんと母さんと話がしたかったな。友達にも・・・お世話になった人たちにも・・・・せめて一言だけ・・・・)

 

ああ、なにが後悔などないだ。あるじゃないか・・・・後悔。これでいいと思っていたのに俺というやつは・・・・

 

「我ながら・・・・・女々しいな」

 

その一言を最後に、意識が遠のくのを感じた。どうやら終わりが訪れたようだ。

 

意識が消えていく・・・・・兵藤一誠という存在が・・・・消えていく

 

さよなら・・・・愛しき世界

 

「あなたね、私を呼んだのは」

 

女の人の・・・・声?

 

「へえ、面白いことになってるじゃない。いいわ。あなたの命、私が拾ってあげる。だからその命、私のために使いなさい」

 

意識を失う間際、俺の目に真紅が映った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・見慣れた天井だ」

 

(この状況で冗談を言えるとは余裕だな)

 

目を覚ました俺が発した第一声に、相棒が呆れたような声色でツッコミを入れてくる。

 

(ドライグ・・・・一体どうなっている?俺は確か死んだはずだが?)

 

(ああ。お前は間違いなく死んだ。だが、その後すぐに転生した。悪魔としてな)

 

悪魔として転生?そういえば窓から指す日の光が突き刺さるように痛く感じるが・・・・どうやらそれは俺が悪魔に転生してしまったかららしい。

 

(てことは、意識を失う前に見たあの紅は・・・リアス・グレモリーか)

 

(ああ。あの女はお前が死ぬ直前に現れておまえを悪魔として転生させた。これでお前は晴れてリアス・グレモリーの下僕となったわけだ)

 

(下僕か・・・・あのまま死んでたほうが幸せだったような気がするな)

 

悪魔の下僕とか、面倒なことになるに決まってる。俺の今後の人生絶対にロクなモノにならない。

 

それに・・・・・

 

(夕麻の願い、叶えそびれちまったな)

 

(自分を殺した女の心配とは、随分な紳士だな)

 

(そんなんじゃないさ。ただ、夕麻がどう思っていたかは知らないが、俺はあいつのこと普通に好きだったからさ。ひとつぐらい願いを叶えてやりたいと思っただけだ)

 

(人間の感性はよくわからんな)

 

(人間、というより俺の感性がおかしいんだと思うがな。それに、今はもう人間じゃなくて悪魔だ)

 

(それは自虐か?)

 

(かもな)

 

実際のところは違うけどな。自分がおかしいってことも、悪魔だってことも事実として受け入れて納得しているから自虐とは多分違う。

 

(これからどうするつもりだ?)

 

(俺が望む望まないに関係なく、転生させられたんだ。その義理を果たすためにリアス・グレモリーに従うさ)

 

(悪魔の飼い犬になってもいいということか?)

 

(まあとりあえずはな。リアス・グレモリーに悪魔に転生させてくれて一つだけいいこともあったし)

 

(いいことだと?)

 

(ああ。悪魔ってのは人間よりも身体能力は高いんだよな?魔力ってのも備わってるようだし。それだけの力があれば、白いのを倒しやすくなるだろ?それがいいことさ)

 

相棒との約束、白の龍と倒すこと。悪魔になったことでその確率は間違いなく上がった。それは俺にとっては良いことと言えるだろう。

 

(くくくっ・・・・今代の相棒は本当に頼もしいな)

 

(そう言ってもらえてなによりだよ)

 

「一誠、起きてるの?降りてらっしゃい」

 

一階の方から母さんの声が聞こえてくる。時計を見ると、普段ならもう起きて朝食を摂っている時間だった。

 

(呼んでいるぞ。早く行け)

 

(わかってるよ)

 

ベットから起き上がった俺は、気怠げな体を動かして一階のリビングへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう父さん、母さん」

 

リビングについた俺は、椅子に座っていた父さんと母さんに朝の挨拶をする。机の上には出来上がったばかりであろう暖かそうな朝食が用意されていた。

 

「おはよう一誠。今日は珍しく遅かったな」

 

「もしかして体調が悪いの?」

 

「いや、そんなことない。ちょっと寝坊しちゃっただけだよ」

 

俺の身を案じてくれる父さんと母さんに、俺はそう返事を返す。本当は悪魔になった影響で体調的にはあまりよろしくないのだが、流石にそれを言うわけにはいかない。

 

『兵藤一誠』の父親と母親。二人は世間一般的にいい両親と評して間違いのない人たちだと思う。二人共俺のことをしっかりと育ててくれているし、今のように些細なことでも案じてくれている。二人共、俺のことを愛してくれているんだと確かに実感することができた。

 

だが、それでも俺は、そんな両親に対して申し訳なさを感じてしまっている。俺は『兵藤一誠』として生まれてきたが、俺は本来『兵藤一誠』ではないはずの存在だ。俺は何かの間違いで生まれてきた本来の『兵藤一誠』を押しのけて存在してしまっている者。厳密に言えば、俺はこの二人の子供ではないのだろう。常に感じている疎外感や孤独感がその証拠だ。

 

『兵藤一誠』であるはずのない俺を育ててくれた父さんと母さん。このことを告げたところで馬鹿なことを言っているとしか思われないだろうが、それはきっと間違いなく事実だ。俺はこの人たちに償いたくても償えない罪を犯してしまっている。

 

償いようのない罪を背負ってしまい、俺はこの人たちにどうすればいいのかわからなかった。そう、昨日のあの時・・・・死ぬ瞬間までは。

 

今はこの人たちに対してしなければならないことが、言わなければならないことができた。言ったとことでどうこうなるものではないけれど・・・・・・それでも言わなければならないこと。

 

「父さん、母さん。ありがとう」

 

案じてくれたことに、育ててくれたことに、愛してくれたことに感謝の念を込めて、俺は二人に伝える。二人共突然のことに訳がわからないといったようにキョトンとしているがそれでいい。その意味はわからなくてもいい。

 

これはただ、俺があなたたちに送る一方通行のお礼なのだから。




この時点で既に一誠さんは原作イッセーさんよりもだいぶ強い上にドライグとも接触済みです。今後どうなるかは見てのお楽しみ

そして夕麻ちゃんの様子が・・・・?

それでは次回もまたお楽しみに



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