『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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レイナーレさん登場でいよいよこの章も佳境に

どうなっていくことやら・・・・

それでは本編どうぞ


第9話

「夕・・・・麻」

 

「・・・・・」

 

名を呼んでも、夕麻は何も答えなかった。ゆっくりと俺とアーシアの方へと歩み寄り、そして・・・・・俺に光の槍を突き立てた。

 

「・・・・レイナーレ。それが私の本当の名前。夕麻はあなたを殺すためだけに名乗った仮りの名よ」

 

俺に槍を突き立てながら、夕麻・・・・レイナーレは冷たい声色で告げる。

 

「レイナーレ様!?何を・・・・」

 

「・・・・少し黙っていなさいアーシア。でないとこの男を殺すわよ?」

 

「ッ!?」

 

俺を殺すと言われ、アーシアは沈黙した。

 

「それでいいのよ・・・・・まったく、せっかく殺したっていうのにまさか悪魔として転生するなんてね。あなたを殺すために色々と面倒なことをしたっていうのに・・・・・無下にするなんて酷いじゃない一誠くん」

 

「すまないとは思っているさ。だが、俺には俺の事情がある・・・・いや、事情ができてしまったんでね。こうして悪魔として甘んじて生きなければならなくなったんだ」

 

「だったらもう一度この手で殺してあげようかしら?」

 

レイナーレは槍を俺の心臓に近づける。ほんの少し突き出せば俺の心臓は貫かれるだろう。

 

「やめてくださいレイナーレ様!一誠さんを殺さないでください!」

 

「黙れと言ったのに・・・・仕方がないわね。けれどそう・・・・あなたは一誠くんが死ぬのが嫌なのね。これは好都合だわ」

 

「え?」

 

「アーシア。一誠くんを死なせたくなかったら戻ってきなさい。断れば・・・・・一誠くんを殺すわ」

 

俺の命を楯に、レイナーレはアーシアを脅す。夕麻のときには見せなかった冷酷な表情で。

 

「・・・・わかりました。行きます。だから一誠さんのことは・・・・」

 

「ええ、殺さないわ。あなたさえ来てくれれば、こんな男のことなんてどうでもいいもの」

 

レイナーレは槍を消し、アーシアを抱えながら翼を羽ばたかせて宙に舞う。

 

「アーシアに免じてこの場は見逃してあげるわ。アーシアは今日の儀式に欠かせない存在・・・・最後の願いぐらいは叶えてあげないとね」

 

儀式?儀式って一体・・・・?

 

「一応言っておくけれど、アーシアを取り戻そうだなんて思わないことね。次に会ったときは・・・・・容赦なく殺すわ」

 

「一誠さん・・・・・さようなら」

 

無感情に俺を見下ろすレイナーレと、儚げな微笑みを浮かべるアーシアがその場を去って行く。俺はそれをただ呆然と立ち尽くして見ていることしかできなかった。

 

(良かったのか相棒?あのまま行かせてしまって)

 

(・・・・・すまない、少し黙っててくれドライグ。ちょっと頭の中整理したいんだ)

 

(そうか・・・・・わかった)

 

俺の頼みを聞き入れ、ドライグは黙ってくれた。

 

(まさかここで夕麻・・・・レイナーレが出てくるとはな)

 

レイナーレの登場から俺の頭の中はぐちゃぐちゃにかき乱されていた。レイナーレに再会できたことは嬉しかった。けれど、悪魔になった俺にとって堕天使であるレイナーレは敵で、その上レイナーレはアーシアを連れ去ってしまった。

 

だけど、それでもやっぱり俺は・・・・

 

(まったく。自分を殺した相手だっていうのに、陰るどころかさらに焦がれるだなんて俺もどうかしている)

 

レイナーレに対して敵意を抱くことができなかった。自分を殺した女だというのに、自分にとって敵である堕天使だというのに、俺はレイナーレを敵だとは思えない。

 

レイナーレと再会して、自覚したのは・・・・・俺が未だにレイナーレに恋焦がれているという事実だけだった。

 

(きっと・・・・・この感情は許されないんだろうな。悪魔が堕天使に恋焦がれるだなんて・・・・・部長が知ったらなんて言われるか)

 

この感情は決して許されないもの。許されてはならないもの。だが、それでも俺は・・・・

 

(すみません部長。俺はあなたの下僕ですが・・・・それでも、譲れないものもあるんです)

 

俺は心の中で部長に謝罪する。俺が今からしようとすることは、部長の意に反するものだろう。だが、もう止められない。俺のするべきこと、したいことは揺るがない。

 

(行くのか相棒?)

 

(ああ。俺の行動がどんな惨事を引き起こすのかはわからないけど、それでも行くよ。それが他の誰でもない・・・・()の願いだから)

 

(そうか・・・・なら好きにするといい。俺はただ、お前の行く末を見守るだけだ)

 

(ありがとう。相棒)

 

考えるのはここまでだ。俺の行く末を見守ってくれるドライグに礼を告げ、俺は歩みだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、こんばんは一誠くん」

 

「・・・・こんばんは」

 

教会に向かう途中、木場と小猫の二人と出くわした。

 

「・・・・・二人してこんなところにいるってことは、俺の行動は部長に筒抜けってことか」

 

「うん。使い魔を通して見ていたからね」

 

「一誠先輩・・・・本当に教会に行くつもりですか?」

 

「ああ。そのつもりだ。部長の意に反することになるだろうが・・・・それでも俺は行く」

 

「そんなにあのシスターを助けたいんですか?」

 

小猫が俺に尋ねてくる。

 

「・・・・それもある。だけどそれだけじゃない」

 

「え?」

 

「アーシアのことはもちろん助ける。だけど、それだけが理由じゃない・・・・・それ以上の理由ができてしまった。多分俺にとって何よりも優先するべき理由が。だから俺は、何があっても教会に行かなきゃならない。二人が俺の邪魔をするって言うなら押し通るまでだ」

 

俺は左手に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を展開し、構えを取る。二人の実力を正確に把握しているわけではないが、赤龍帝の籠手の力を使えばおそらく・・・・

 

「勘違いしないで一誠くん。僕たちは君を止めに来たんじゃない。君の助けになりに来たんだ」

 

「・・・・は?」

 

木場の予想外の一言に、俺は思わず気の抜けた声を出してしまった。

 

「・・・・部長は呆れていましたが、それでも一誠先輩のことを心配していました。いくら一誠先輩が強くても単独で教会に乗り込むのは危険。だから私達がフォローするようにって言われました」

 

二人は俺を止めるためじゃなくて、俺を助けるために来てくれた・・・・?しかも部長に言われてって・・・・

 

「・・・・どうやら俺は良い主に恵まれたようだな」

 

「そうだね。そんな部長に報いるためにも、君はまだ死ぬべきじゃない」

 

「もとから一人でも死ぬつもりはなかったが・・・・・まあ、地獄(教会)への道連れができたのは素直に嬉しいかな」

 

「今ルビがおかしいところがあったような気がします」

 

小猫、そういうメタいことはあまり言うものじゃないぞ。

 

「ともかく、二人共ありがとう。心強いよ」

 

「お礼なんていらないよ。仲間のことがほうっておけないのは当然のことだし・・・・何より、個人的には堕天使や神父は好きじゃないんだ。憎いほどにね」

 

一瞬、木場の表情が殺意がこもった。どうやら木場には木場の事情があるようだ。

 

「と、そうだ。部長から一つ伝言があったんだ」

 

「伝言?」

 

「これから私たちが向かう教会は私たちにとって敵地です。危険ではありますが・・・・敵地だからこそ、兵士(ポーン)である一誠先輩が仕える力があります」

 

敵地だからこそ使える力。悪魔の駒(イーヴィル・ピース)はチェスを基にしてるから・・・・

 

「・・・・プロモーションか」

 

「察しがいいね。その通りだよ。敵地に入ることで、ポーンは(キング)以外の駒に変化することができる。そして変化した駒の力を振るうことができるんだ」

 

「なるほど・・・・つまり、プロモーションを使えってことか」

 

これはいいことを聞いたな。使える力は大いに越したことはない。存分に利用させてもらおう。

 

「さて、行こうか一誠くん。君の背中は僕たちが守る。だから・・・・」

 

「一誠先輩は思う存分突き進んでください」

 

「ああ・・・・頼りにしてるよ」

 

木場と小猫を伴い、俺は再び教会へ歩み始めた。

 

 




絶対に止められると思ったから報告しないで教会に乗り込もうとする一誠さんですが、結局原作と同じように木場さんと小猫さんも同行することになりました

次回はいよいよ教会に乗り込みます

果たしてどうなることやら・・・・・・

それでは次回もまたお楽しみに
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