『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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今回はレイナーレさんを殺した犯人が判明し、そして・・・・

どのような展開になるかはその目でお確かめを

それでは本編どうぞ


第12話

「まさか悪魔などに絆され、挙句に愛してしまうとは」

 

レイナーレを失い、失意の底に叩きつけられた俺の耳に男の声が聞こえてくる。声のする方へと視線を向けると・・・・そこにはかつて俺に襲い掛かってきた堕天使ドーナシークの姿があった。

 

「ここ数日様子がおかしいから念のため儀式の様子を見に来てみたが・・・・・正解だったようだな。儀式は始まっていない上に、悪魔なんぞにうつつを抜かすとは愚かとしか言えない」

 

ドーナシークは侮蔑の篭った目で俺の腕の中で死に絶えるレイナーレを見やる。そんなドーナシークを目にして、俺の中でフツフツと感情がこみ上げてくるのを感じる。

 

「レイナーレ、せいぜい地獄の底で悪魔を愛してしまったことを後悔しろ。なに、安心するがいい。計画は私が引き継ぎいであげよう」

 

「・・・・無理だな」

 

「ん?」

 

「その計画とやらが何かは知らないがそれを引き継ぐことなんてお前にはできない。お前はここで・・・・・俺が殺す」

 

レイナーレを床に横たわらせ、俺はドーナシークを睨む。湧き上がる感情が抑えられない。こいつを殺さなければ・・・・・到底収まりそうにない。

 

「私を殺す?それはこちらのセリフだ。グレモリーの眷属とことを構えるのは気が引けるが、貴様は計画の邪魔となる。あの時は思わず手を抜いてしまったが・・・・喜ぶといい。全力をもって貴様もレイナーレと同じ所へ送ってやろう!」

 

ドーナシークは光の槍を作り出し、俺の方へ放ってくる。

 

「・・・・・昇格(プロモーション)戦車(ルーク)』」

 

ドーナシークが槍を放つと同時に、俺は戦車にプロモーションする。そして・・・・・放たれた槍を、右手で掴み取った。

 

「昇格!?貴様、兵士(ポーン)か!いや、だがそれでも光の槍を素手で掴み取るなど無事ですむはずが・・・・・」

 

ああ、そうだな。いくら防御力に特化している戦車に昇格したからって、悪魔である俺にとって光は有害でしかない。掴んでいる右手は痛いし、燃えるように熱い。だが・・・・それがどうした?この程度の熱さどうってことない。こんなものより湧き上がるこの感情・・・・憎悪と殺意はもっと熱い。

 

俺の思考が、心が、細胞すべてがドーナシークを殺せと熱く滾っている。この熱をはドーナシークを殺すまでは抑まりそうにない。

 

(ドライグ)

 

(ああ、存分に使うがいいさ。俺の力をもって・・・・奴を殺すがいい)

 

「こい・・・・赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)

 

『Boost!!』

 

右手で光の槍を砕くと同時に、俺は神器(セイクリッド・ギア)・・・・赤龍帝の籠手を出現させ、力を高める。

 

「それは・・・龍の手(トゥワイス・クリティカル)?いや、その赤は・・・・まさか赤龍帝の籠手!?馬鹿な!こんなガキが神滅具(ロンギヌス)の所持者だというのか!?」

 

赤龍帝の籠手を目にしたドーナシークの表情が驚愕と恐怖に染まった。そんなドーナシークに、俺は歩み迫っていく。

 

「さあ・・・・・覚悟は出来たか?」

 

「ま、待て!来るな!私が悪かった!謝る!だから許してくれ!」

 

赤龍帝の籠手を持つ俺相手では分が悪いと判断したのか、ドーナシークは俺に許しをこう。だが、そんなことをしても無駄だ。ドーナシーク・・・・貴様の行く末は、レイナーレを殺したその瞬間に決まったんだ。

 

『Boost!!』

 

赤龍帝の籠手がさらに俺の力を高める。もっとだ・・・・もっともっと・・・・もっと力を。

 

「そ、そうだ!その女は貴様にくれてやろう!もちろん儀式も行わない!だから・・・だからどうか!」

 

「アーシアをくれてやるだと?馬鹿なことを。アーシアのことは貴様を殺してから助ければいい。貴様を殺せば儀式もなにもないしな」

 

どうやらドーナシークは恐怖のあまり冷静な思考を失ってしまっているようだ。もっと恐ればいい。もっとおののけばいい。自分のしてしまったことを後悔するがいい。

 

後悔しながら・・・・・・死んでしまえばいい。

 

『Boost!!』

 

これで3段階、俺の力は高まった。それとほぼ同時に、俺は歩みを止める。目の前にはその場に立ち尽くすドーナシークがいる。逃げずに棒立ちになってしまっているのは、恐怖で竦んで動けなくなってしまったからだろうか・・・・まあなんでもいい。逃げなかったのなら都合がいい。

 

「ドーナシーク・・・・最期に言い残すことはあるか?」

 

「た、助け・・・て。死にたく・・・・ない」

 

ガクガクと震えながら、命乞いをするドーナシーク。叶うはずのない命乞いを。

 

「そうか・・・・・じゃあ死ね」

 

『Explosion!!』

 

高まった力を解放し、左手でドーナシークの胸部を殴りつける。

 

ドゴンッ!!

 

拳を振り切った余波で、壁や天井、近くにあった機材がひび割れ、壊れる。そして拳を直接その身に受けたドーナシークは・・・・下半身を残し、上半身は消滅していた。

 

「せいぜい地獄で・・・・・懺悔することだな」

 

下半身だけになったドーナシークを一瞥し、俺は赤龍帝の籠手を解除する。そして、床に横たわるレイナーレの下に歩み寄り、レイナーレの手を掴む。

 

「レイナーレ・・・・・ごめん。傍にいたのに・・・・俺は・・・・」

 

ドーナシークを殺したことで、俺の中の憎悪と殺意の熱は収まった。収まったあとに訪れたのは・・・・冷たい失意と絶望だった。

 

もっと俺が周囲に注意を払っていれば・・・・・ドーナシークに気がついてさえいれば

 

いや、それ以前に・・・・俺なんかのことを愛さなければ・・・レイナーレは今も・・・・・

 

「俺の・・・・せいだ」

 

俺が存在しなければ、レイナーレは死ぬことはなかった。俺が『兵藤一誠』として生まれさえしなければ・・・・レイナーレが死ぬことはなかった。

 

「なんで・・・・どうして俺は・・・・どうして俺が・・・・」

 

俺は本来『兵藤一誠』として生まれてくるはずのない存在だった。本当の『兵藤一誠』を押しのけて生まれてしまった異端(イレギュラー)だ。そしてそんな俺が存在してしまったが故に・・・・そんな俺を愛してしまったが故にレイナーレは・・・・・

 

「ご・・・・めん。ごめん・・・・レイナーレ」

 

本当の『兵藤一誠』であったのなら、レイナーレは愛することはなかったかもしれない。あるいは出会ってさえいなかったのかもしれない。出会うこともなく・・・・・レイナーレはこんなふうに死ぬことはなかったのかもしれない。

 

俺がいたから・・・・・

 

俺のせいで・・・・・

 

俺が・・・・・

 

ドーナシークじゃない。レイナーレを殺したのは・・・・・俺だ。

 

「う・・・ああ・・・・あああぁぁ・・・」

 

涙が溢れてくる。失意と絶望が抑えられない。今まで以上の孤独感に、疎外感に・・・・罪悪感に苛まれる。

 

改めて自覚した・・・俺は『兵藤一誠』として生まれるべきではなかった

 

俺は・・・・・『兵藤一誠』として存在するべきではなかった

 

俺は・・・・・・俺は・・・・・

 

この世界に・・・・・居てはならなかったんだ

 

「うう・・・・・うあああぁぁぁぁぁ!!」

 

消えない・・・・・消えない消えない

 

失意が消えない

 

絶望が消えない

 

孤独感が消えない

 

疎外感が消えない

 

罪悪感が消えない

 

何より・・・・・俺自身への憎悪が消えない

 

ああ・・・・もういいや

 

消えなくたっていい・・・・消える必要はない

 

どうか・・・どうか・・・・

 

どうか・・・・一生俺を苦しめろ

 

『兵藤一誠』として生まれてしまった罪深い俺に・・・・

 

どうか・・・・消えない罰を与え続けてくれ

 

どうか・・・・どうか・・・・永遠に

 

 




この一誠さんは憑依転生しているものの、原作に関しては何も知らないのでもちろん原作でのレイナーレさんがどうなったのかも知りません

なので、自分のせいでレイナーレさんは死んだと疑っていません・・・・これから一生、永遠と自責の念にとらわれるかもしれません

それでは次回もまたお楽しみに
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