というわけで本編どうぞ
「いい加減にしなさいライザー!以前にも言ったように私はあなたとは結婚しないわ!」
部室内に部長の怒声が響き渡る。その声色から部長がどれだけライザーとの結婚を嫌がっているのかがよくわかった。それ故にだろう・・・・・ライザーをグレモリー姓で呼んでしまった俺が反省のため正座させられているのは。
うん・・・・・まあなんというか今は大変申し訳ない気持ちで一杯でございます。
「そうは言うが、グレモリーの御家事情は相当切羽詰っているんだろう?だったら素直に受け入れたほうが身のためだと思うが?」
「それはわかっているわ!けれど次期当主が私である以上、私の相手は私が決めるわ!」
まあ望まない縁談だなんて当事者からすれば溜まったものではないだろうな。人生を他人に狂わされるようなものだし。
「そもそも、皆急ぎすぎなのよ!私が人間界の大学を出るまでは自由にさせてくれるって約束だったのにこんな・・・・・」
「しかし、君も知っているとおり今はかつて永華を誇った純血種・・・・七十二柱の悪魔がどんどん潰えてしまっている。転生悪魔という新しい血が必要なのも否定はしないが、同じくらい純血種を守り、存続させることも大事だ。俺と君の縁談は重要性、理解できるだろう?」
「それは・・・・・・」
口をつぐみ、言葉が出ない部長。ライザーの言っていることは正しい。どれだけ転生悪魔を増やそうが、純血種が潰えてしまったら悪魔という種にとっては致命的だ。
まあ、だからといってやはり本人の意思を無視するというのはどうかと思うが・・・・・そう思うのは、俺が元々人間だからだろうか。
「・・・・家は潰させないわ。婿養子だって迎え入れる」
「そうか。だったら俺と・・・・」
「けれど、あなたとは結婚しないわ。私は私が望む相手と結婚する。古い家柄の悪魔にだってそれぐらいの自由は許されるはずよ」
婿養子は迎えるものの、あくまでもライザーと結婚する必要はないと言い張る部長。ここまで頑なだと若干ライザーに同情するな。そんなに嫌いなのか?
「・・・・リアス、俺もフェニックス家の看板を背負った悪魔なんだよ。この名に泥を塗るわけには行かない」
先程までの軽薄さを感じさせない・・・・神妙なお面持ちで、重たい声色でライザーは部長に言う。
「俺は君のためにわざわざ出向いたが、俺は人間界が好きではない。この世界の炎と風はあまりにも汚すぎる。炎と風を司る悪魔としては耐え難いんだよ!こんなところに出向いたからには・・・・君の下僕を全て焼き尽くしてでも君を冥界に連れて行かせて・・・・」
「そこまでです」
ライザーの言葉が最後まで紡がれる前に・・・・俺はライザーの眼前に拳を突き出した。
「なんのつもりだ?」
「申し訳ありませんライザー様。下級悪魔の分際で拳を突きつけるなど不敬だということはわかっているのですが、私の仲間・・・・リアス様の眷属を燃やすなどと言われては黙ってはいられません。そうなってしまってはリアス様が悲しまれるので」
「なるほど、リアスのためか。不敬ではあるがその忠誠心は認めてやろう。だが・・・・・」
ライザーが指を鳴らす。それと同時にフェニックス家の魔法陣が展開し、俺の周囲に10人を超える女性が現れた。女性のほとんどが俺に対して武器を突きつけ足り手をかざしたりと攻撃態勢をとっている。
「忠誠心なら俺の眷属たちも負けてはいないさ。お前が俺に仇をなすというなら、こいつらがお前を粛清する」
「だからなんですか?ライザー様がリアス様に仇なすというなら、俺は彼女たちをねじ伏せてでもあなたを潰すだけです」
「それをリアスが望むと思っているのか?」
「さあ?わかりませんよ。俺はただ、俺の忠義を尽くすだけなので。誰を傷つけ、誰に恨まれようとも・・・・主に咎められ、見限られようともね」
それが俺の生きる目的だ。俺の忠義に信頼や信用などいらない。たとえ咎められ、見限られようともただ忠を尽くす・・・・・それが俺の生き方だから。
「お二人共、そこまでです」
睨み合う俺とライザーをたしなめるようにルキフグスさんが言葉を発した。
「これ以上やるのでしたら私も黙って見過ごすことはできません。私はサーゼクス様の名誉のためにも遠慮などしないつもりです」
ゾクリ・・・・と、俺の背筋に悪寒が走る。それはライザーも同じようで、顔を引きつらせていた。
(ほう、この女強いな。今のお前では相手にならないかもしれないな)
ドライグの言うとおりだろう。全力を出したとしても、今の俺では彼女には勝てない。彼女はそれだけのものを秘めている。
「最強の
素直に引き下がるライザー。最強の女王・・・・・見立て通り、ルキフグスさんの力は絶大というわけか。
「どうやら話し合いで解決するのは不可能なようですね。ならば、最終手段を取るしかありません」
「最終手段?」
「お嬢様が御自身の意思を通したいというなら、『レーティング・ゲーム』で決着をつけるのはいかがでしょうか?」
レーティング・ゲーム・・・・確か、実戦を想定した下僕を使う戦闘ゲームだったっけか。成人していない悪魔には参加権はないはずだが・・・・・
「成人していないお嬢様は公式のゲームには参加できませんが、非公式のゲームならば話は別です。過去に何度も行われていますし、その多くは・・・・」
「身内同士、または御家同士のいがみ合い・・・・・つまりお父様方は私が拒否することも考慮していたということね。一体どこまで私の生き方を弄れば気が済むのかしら・・・・」
自分の意思に関係なしに次から次へと決められていくことに部長は納得がいかないといったようにご立腹だ。だが、レーティング・ゲームが最終手段として用意されているとなってはもはや選択肢はない。
「いいわ、こんな好機二度と訪れないでしょうし、ゲームで決着をつけましょうライザー」
高々と宣言する部長。まあ、部長ならそうするよな。
「いいのか?俺は公式戦を何度も経験している。勝ち星の方が多いんだが・・・・それでもやるのか?」
「もちろんよ。私と、私の眷属があなたを消し飛ばしてやるわ」
「いいだろう。ならリアスが勝ったら好きにすればいい。だが、俺が勝ったら即結婚してもらうぞ」
勝てば自由、負ければ結婚・・・・シンプルでわかりやすいな。要は勝てばいいだけなんだし。
「お二人の意思はこのグレイフィアが確認致しました。両家の立会人としてゲームは私が仕切らせてもらいますがよろしいですね?」
「ええ」
「ああ」
「では、両家には私からお伝えしておきます」
これであとには引けなくなったな。このゲーム、部長のためにも勝つしかない。となると、俺も本気を出さなければならないかもしれないな。
そう考えると、ある意味ちょうどいい機会だ。悪魔になってから本気で戦うことはなかったから・・・・・これで今の俺の全力がわかるかもしれない。
「聞くがリアス、ここに居る連中がお前の眷属なんだよな?」
「・・・・ひとりここにはいないけれど、ゲームに出るメンバーはこれで全員よ。だとしたらどうなの?」
「話にならないな。数も質もこちらの方が上。相手になりそうなのは君の女王と・・・・俺に牙を向いたそいつぐらいだ」
ライザーは俺と朱乃先輩に視線を向けながら言う。どうやら俺はライザーの目にかなう程度には認められているようだ。
いや、それよりも気になるのはここにいないっていう部長の眷属のことだ。ゲームには出せないようだが・・・・一体何者なんだ?
「十日やろう。それだけ時間があれば君ならばなんとかできるだろう」
「私にハンデをくれるというの?」
「感情論で勝てるほどレーティング・ゲームは甘くない。下僕の力をいかに引き出すかに王の資質が問われるんだ。才能があっても活用できずに落ちていった連中を俺は何度も目にしている」
「・・・・わかったわ」
ふむ・・・・・やはり一筋縄ではいきそうにないな。ゲームを経験しているだけあって、ライザーの言葉には重みがある。なにより、ライザーがどれだけゲームに真摯に向き合っているかが伺える。
(第一印象は軽薄な男だったが・・・・・こいつは立派な誇り高い悪魔だ。こういった面には素直に尊敬できる)
「おい、お前」
ライザーへの評価を心内で高めていると、そのライザーが俺に声を掛けてきた。
「なんでしょうかライザー様?」
「このゲーム、俺の勝ちは揺るがないだろうがお前には興味がある。俺の眷属に囲まれながらも怯まずに俺に拳を突き出し、敵意を向けるなんてそうそうできることじゃない。ゲームではせいぜい俺を楽しませてみろ」
「・・・・それは無理な相談ですね」
「なに?」
「ゲームに勝つのは我が主リアス様です。そのために俺は尽力する・・・・・そうなってしまっては、ライザー様は楽しめないでしょう?」
ニヤリと口角を上げながら、俺はライザーを挑発した。
「はっ、言ってろ・・・・またなリアス。次はゲームで会おう」
部長を一瞥し、魔法陣を展開したライザーは眷属たちを連れて冥界へと帰っていく。
こうして、部長の結婚をかけた
一誠さん、ライザーさんの眷属が全員女性であることにはノータッチ。原作と違ってハーレム願望皆無だから仕方ないといえば仕方ないけど・・・・・
それでは次回もまたお楽しみに!