『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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今回は一誠さんの戦闘力の一端が見られます

まあ本当にほんの一端にすぎませんが

それでは本編どうぞ


旧校舎のディアボロス
第1話


 

俺が悪魔に転生してからかれこれ一週間。俺の日常生活は日の出ている朝昼が辛いということを除けば驚く程に変化はなかった。いつも通り学校に通い、いつも通り授業を受け、いつもどおり食事をしていつも通り就寝する。そんな何の変哲のない生活を送っている。

 

いずれ俺を悪魔に転生させたリアス・グレモリーが接触してくると思っていたが今のところそんなことはなかった。向こうは向こうで考えがあってのことなのだろうが、正直俺としては状況が一歩も進まないからたまったものではない。こちらから接触しようと思ったが、関係としては向こうが主で俺が下僕なので下手なこともできない。

 

そんなこんなでモヤモヤしながら一週間の時が経ったのだが・・・・今日になってようやく変化が訪れる。

 

「これは数奇なものだ。このような場所で貴様のような存在と出くわすとはな」

 

学校からの帰宅途中、変なおっさんに絡まれた。妙に嫌な感じのするおっさんだが、同時におっさんの気配に夕麻と似通ったものを感じた。

 

(ドライグ、コイツは・・・・・)

 

(ああ、先日お前を殺した女と同じ堕天使だ)

 

ドライグに確認をとってみると、やはりこのおっさんは堕天使だったようだ。主である悪魔よりも先に堕天使と接触することになるとはコイツの言うとおり数奇なものだ。

 

「お前の属している主の名を言え。それともお前ははぐれか?」

 

黒い翼を出しながら、おっさんは尋ねてくる。殺気も向けてきているので、返答しだいでは俺を始末しようという腹づもりだろう。

 

「・・・・・・答える義理はないな」

 

俺はおっさんの問いかけに短くそう答えた。下手に教えればリアス・グレモリーに不利益が生じるかもしれないと思ったからだ。

 

「生意気だな。だが、主の気配もないとなるとやはりはぐれか?だったら殺してしまっても問題あるまい」

 

おっさんは好戦的な笑みを浮かべながら光の槍を手にする。

 

(どうする相棒?おとなしく殺されるか?)

 

(冗談。こんなやつに殺される義理なんてないよ)

 

(以前はおとなしく殺されたのにか?)

 

(あの時と今では立場と状況が違う。今の俺はリアス・グレモリーの下僕だ。主の許可無く勝手に死ぬなど許されないだろ。なによりあの時は恋人の頼みだから聞き入れたに過ぎないしな)

 

もしかしたらこのおっさんは夕麻の仲間なのかもしれない。だが、それでも縁もゆかりもないこんな奴に殺されるのはまっぴらゴメンだ。幸い本屋によって帰宅が遅くなったおかげで日は暮れてるしここは・・・・・・正当防衛の名のもとに返り討ちにあってもらおう。

 

「死ね」

 

おっさんの手から槍が放たれる。俺はそれを体をそらすことで回避した。

 

「なにっ!?」

 

俺が回避したことにおっさんは驚いていたようだが、正直あんな遅いの躱すのなんて造作もない。アレで殺せると思っていたのなら俺の事甘く見すぎだ。

 

「くっ、少しはやるようだな。だが次はこうはいかんぞ!」

 

おっさんは新たに槍を作り、俺に放とうと腕を振りかぶる。俺は槍が放たれる前におっさんに近づき、腹に蹴りを食らわせてやった。

 

「ごはっ!?」

 

蹴りを喰らったおっさんは数メートルほど吹っ飛んで地面に仰向けに倒れる。正直そこまで力を込めたつもりはなかったのだが、どうやら悪魔に転生したことで俺の身体能力は想像以上に向上していたらしい。

 

というか・・・・

 

(なあドライグ。もしかしなくてもこいつ弱い?)

 

(そうだな。おそらく低級な堕天使なのだろう。たとえ本気を出してこようとも、今のお前の敵ではない。俺の力を使うまでもないだろう)

 

やっぱりそうか。悪魔としての初戦闘だからそれなりの心構えで挑んだのだが拍子抜けだな。けどまあそれならそれでいい。弱いなら弱いで軽くのして終わらせるか。

 

「良くも俺を足蹴に・・・・許さん!ひと思いに楽にしてやろうと思ったが、惨たらしく殺してやる!」

 

俺に蹴られたのがそんなに屈辱だったのか、おっさんは表情を怒りに歪めながら怒号を放つ。うるさいからとっとと黙らせようともう一発蹴りを食らわせようとしたその瞬間・・・・それを遮るものが現れた。

 

「そこまでよ。これ以上の狼藉は私が許さないわ」

 

現れたのは真紅の髪の女性・・・・・俺の主であるリアス・グレモリーであった。

 

「真紅の髪・・・・グレモリー家の者か?」

 

「リアス・グレモリーよ。ごきげんよう堕ちた天使さん」

 

忌々しげな表情で問いかけるおっさんに対して、リアス・グレモリーは余裕そうに微笑みを浮かべながらそう返す。このやりとりだけで核の違いが伺えるな。

 

「その子は私の下僕なの。ちょっかいをかけるというなら容赦しないわよ?」

 

「その少年はそちらの眷属だったか。これは申し訳ないことをした。だが、下僕の放し飼いは感心しないな。私のようなものが散歩がてらに狩ってしまうかもしれんぞ?」

 

こいつ自分の槍躱された挙句蹴り喰らっておいてなんでこんなに偉そうな態度取れるんだ?本気を出せば俺ぐらい余裕で殺せるとでも思ってるのか?自意識過剰も大概にしておけよ。

 

「ご忠告痛み入るわ。お礼に私からも一つ忠告しておくわ。この町は私の管轄なの。この町で私に仇をなそうというなら相応の対応をとらせてもらうわ」

 

「その言葉、そっくり返そう。我が名はドーナシーク。再びまみえないことを願おう」

 

堕天使のおっさん、ドーナシークは聞いてもいない名前を名乗って、黒い翼を羽ばたかせながらその場をあとにした。

 

(なんというか・・・小物感満載な堕天使だったな)

 

(それについては同意する。だが、堕天使が皆ああいう小物とは限らない。中には今のお前では敵わないような強者もいるからな)

 

俺では敵わないか・・・・・ならせいぜいそういう奴と戦うことがないように祈っておこう。

 

「大丈夫?怪我は・・・・・無いようね」

 

ドーナシークの姿が完全に見えなくなり、リアス・グレモリーは俺の方に視線を向けながら言ってくる。

 

ここで俺はあることを閃いた。一週間もの間放置してくれたのだから、ちょっとしたお礼をしてやろう。

 

「はい。ご心配していただきありがとうございますマイマスター」

 

俺はリアス・グレモリーの前に膝まづきながら返事を返す。

 

「あら?その対応からして、あなた自分が置かれている状況を理解しているのかしら?」

 

「ええ、理解していますよマイマスター。自分がどのような存在なのか、マイマスターが俺に何をしたのか」

 

「そ、そう。それならいくらか説明を省けそうね。もっとも、どうしてあなたがそれを平然と受け入れ、理解することができたのかが気になるけれど」

 

「それについて知りたければ俺から説明いたしますよマイマスター。聞きたいですかマイマスター?」

 

頭を上げ、リアス・グレモリーの顔を見ながら言う。リアス・グレモリーの表情は苦虫を噛み潰したような何とも言えないものとなっている。

 

「あ、あの・・・・いいかしら?」

 

「なんですかマイマスター?」

 

「その『マイマスター』っていうのやめてくれないかしら?あんまり連呼されると恥ずかしいのだけれど・・・・」

 

「何をおっしゃるのですかマイマスター?マイマスターは俺の主なのだからこう呼ぶのは当然のことでしょうマイマスター。恥ずかしがることなど何もありませんよマイマスター」

 

微笑みを浮かべながら言うと、リアス・グレモリーは表情をヒクつかせていた。

 

「・・・・ねえ、あなたもしかして何か怒ってる?」

 

「怒ってる?そんなことありませんよマイマスター。別に転生させておいて一週間も放置してたことを根に持ってるだなんてことありませんよマイマスター。俺は全く全然これっぽっちも気にしてませんよマイマスター。なので気に病むことはありませんよマイマスター」

 

「ごめんなさい。謝るからもう許してください」

 

深々と頭を下げるリアス・グレモリー。その姿を見て、一週間放置されて溜まった怒りがいくらか解消されたのを感じた。

 

(相棒・・・・・これはいくらなんでも酷いと思うぞ?)

 

(何を言ってるんだドライグ?原因を作ったのは向こうなんだからこれぐらいの当然だろ。むしろ生ぬるいぐらいだと思うし)

 

(・・・・・大した男だよお前は)

 

二天龍の一角を呆れさせたか・・・・・確かに俺は大した男なのかもしれないな。だいぶ自意識過剰だけども。

 

 

 

 




『マイマスター』の件のとき、朧は結構早口でまくし立てるように言っていました。そりゃリアスさんからしたらたまったものではないでしょう

それでは次回もまたお楽しみに
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