『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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今回でこの章は終わりになります

ただ、一誠さんの視点はなく、一誠さん以外の4人の方の独白のようなものになっておりますのでご容赦を

それでは本編どうぞ


第25話

一誠の活躍により、私はライザーとの結婚を回避することができた。今回破談になったからとまた婚約の話が来るかもしれないけれど・・・・・それでも、今回私は一誠に助けられた。一誠は私の眷属なのだからあの尽力は当然のことなどとは思わない。私への忠義を尽くしてくれた一誠には感謝してもしきれなかった。

 

だからこそ私は・・・・・兵藤一誠という一人の男の虜となってしまった。

 

不死身の力を持つフェニックス家のライザーを、一誠は正々堂々正面から力でねじ伏せてしまった。あの力強い姿を目の前で魅せられてしまっては、ましてやそれが自分のために振るわれているとなれば女として惹かれてしまうのはきっと仕方のないことだろう。私は・・・・・一誠のことを、女として好きになってしまった。

 

けれど・・・・・私は知っている。この感情は許されてはならないものだということを。この好意は抱いてはならないものだということを。

 

一誠は目の前で愛する女を・・・・堕天使レイナーレを殺されてしまっている。その苦しみ、その絶望は私では計り知れないほど辛いものだろう。そして、それ故に・・・・一誠の中で、レイナーレへの愛は永遠のものになってしまっているかもしれない。きっと一誠は永遠にレイナーレを愛し続け・・・・永遠にその愛に縛られ続ける。そんな一誠が私に好意を抱くことなど未来永劫訪れるはずがない。

 

だけど、それでもいい。それでも構わない。一誠からの愛が得られないのならば・・・・せめて私は一誠を幸せにしてみせる。それを私ができる忠義を尽くしてくれる愛する男への報いとしよう。

 

一誠。私の可愛い、愛しい下僕

 

私はあなたを幸せに・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

圧倒的とも言える一誠くんの強さに僕は嫉妬した。ライザー・フェニックスとのレーティング・ゲームは僕たちリアス・グレモリー眷属に軍配が上がった。だが、僕はそれを僕たちの勝利とは認められなかった。

 

敵方の最強の眷属である女王(クイーン)ユーベルーナと(キング)ライザー・フェニックス。その二人は一誠くんが自身の力だけで倒してしまった。二人の撃破に対して、僕たちの功はまたくといっていいほど何もない。それが僕にとって悔しかった。そして何より、もっと悔しかったのは・・・・・・一誠くんが僕たちに足並みを揃えて、自らの力を律してしまっていたことだった。

 

一誠くんがはじめからあの鎧を纏っていたのなら、きっとたったひとりでライザーの眷属たちを全員倒してしまっていただろう。それこそ、策を労することなくだ。あれはそう断言するに足る強力な力だと思った。けれど、一誠くんは土壇場まであの力を使わなかった。あの力のことを僕たちににも話してくれなかった。理由はきっと・・・・部長のために強くなろうと、戦おうと息巻いていた僕たちを気遣ったが故にだろう。つまり、僕たちが彼を弱くしてしまっていたのだ。

 

悔しい。悔しい悔しい悔しい。こんなのではダメだ。こんな弱い僕ではダメだ。

 

もっと強くならなければならない。強くならなければ僕は、僕は・・・・・・

 

強くなりたい。彼のように。一誠くんのように

 

あんな力を・・・・僕は・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はあのレーティングゲームで本当の『力』と言うものを目の当たりにした。

 

私はお兄様の眷属としてリアス様の結婚をかけたレーティング・ゲームに参加した。といっても、私は形だけの眷属だったから戦いには参加せず、高みの見物をしてお兄様が勝利するのを待っていただけなのだけれども。しかし、私の予想に反してお兄様は負けた。あの殿方・・・・・今代の赤龍帝、兵藤一誠様の手によって。

 

彼がユーベルーナと戦っていたとき、恥ずかしながら私は腰を抜かしてしまっていた。彼の強さがあまりにも苛烈で、凄まじく・・・・・恐ろしかったから。そう、この時まではそうだった。一誠様がお兄様を打倒したあの瞬間を目の当たりにして私は・・・・・私の中で、感情が湧き上がった。

 

それは、お兄様の敗北に対する妹としての悲しみではない。縁談が破談になってしまったことに対するフェニックス家としての失意でもない。あの時私が抱いた感情は・・・・・一つの駒としての歓喜だった。

 

圧倒的なまでのあの強さ、あの力。一誠様は間違いなく覇道を歩むお方なのだと思った。そんな彼の覇道の一歩になるかもしれないお兄様との戦いを目にして、私の心は堪えようのない歓喜が溢れ出した。

 

そう、彼なのだ。兵藤一誠様こそが、私が望んでいた殿方。悉くを力で制する覇の道を歩む絶対強者。私は・・・・あの方の駒となりたい。駒となってあの方の覇道を近くで見てみたい。駒となってあの方の覇道の礎のひとつになりたい。

 

その衝動が抑えられなかった。私はすぐにお母様とお兄様に話を通して、お兄様の眷属からお母様の眷属になった。お母様はレーティングゲームをしない。だから・・・・うまくすれば、いずれ上級悪魔になるであろう一誠様の眷属になることができる。そうすれば私は一誠様と、一誠様の覇道にこの身を委ねることができる。

 

一誠様。私の偉大なる赤き龍帝様

 

どうか早く上級悪魔になってくださいな

 

そして私を御身の傍に・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リアスがレーティングゲームに勝利した。それは私にとって喜ばしいことであった。魔王『ルシファー』となり、家名を継げなくなった身としては、グレモリーの将来に関わることに下手に口出ししてはいけないとわかってはいたけれど・・・・それでも、妹が望まない結婚に身を通してしまうのは兄として嫌だった。だからこそ、このレーティングゲームの結果は私にとって満足のいくものだったと言えるだろう・・・・父上や母上にはこんなこと言えないけれども。

 

しかし・・・・・しかしだ。結果はともかくとして、ゲームの内容についてはいくらか考えさせられるものがあった。いや、ゲームの内容にではない・・・・・リアスの兵士(ポーン)、兵藤一誠くんにだ。

 

彼のことはリアスに聞いている。今代の赤龍帝であり、そして・・・・・目の前で愛するものを亡くしてしまった哀れな子だということを。死んでしまった堕天使の子に関して、グリゴリに連絡をとったのは私だからリアスから委細は聞いていたが・・・私は彼に起きた悲劇を他人ごとのようには思えなかった。

 

私も彼と同じだった。敵対勢力の女性に恋に落ち、愛してしまった。ただ、私はグレイフィアと結ばれたが・・・・・彼は私と違って死別してしまった。あるいは私も彼を同じようにグレイフィアを失ってしまっていたかもしれないと考えると・・・・恐ろしくて恐ろしくてたまらなかった。そう考えてしまうからこそ、私は彼のことを気にかけていた。

 

彼は今どんな気持ちで生きているのだろうか?辛くはないのだろうか?苦しくはないのだろうか?愛する者が死んでしまった世界で生きるのが・・・・・恐ろしくないのだろうか?ただただ、私は彼のことが心配になった。魔王として、一人の悪魔に過度に注目しすぎるのは良くないかもしれないが・・・・・それでも私は心配でたまらなかった。

 

なにより、そんな彼がリアスの眷属であることも私の心配に拍車をかけているといってもいいかもしれない。リアスは愛情深いが、言い換えれば自分の眷属には甘いところがある。それが彼にとってプラスの影響になるとは限らない。現に彼は・・・・・あのレーティングゲームを見ていてわかった。彼はリアスに忠義を抱いていても、敬意を抱いていないと。彼の忠義にリアス個人に対する想いはほとんど存在していないと。それに私は気がついてしまった。

 

リアス、そして兵藤一誠くん。君たちはもしかしたら良き主従関係を結べていないのかもしれない。いずれはそれが原因で決定的な亀裂が生じてしまうかもしれない。

 

だからこそ私は願おう

 

兄として妹の

 

魔王として一人の悪魔の

 

二人の未来に・・・・・陰りがないことを

 

私は・・・・・願おう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで、リアスさん、木場さん、レイヴェルさん、サーゼクスさんの四方の独白でこの章の締めとさせていただきます

4人とも色々と一誠さんのことを思っていますが・・・・・サーゼクスさん以外の3人は自分にとって都合のいいように一誠さんのことを見ているという共通点があります。まあ、サーゼクスさんも一誠さんに関してちゃんと理解できているわけではないですが

次回からは私の気が変わらなければ原作3巻の内容に入ります。ここでは一誠さんの未来に関わる(かもしれない)キーパーソンとなる(かもしれない)方が出ますのでお楽しみに

それではこれにて失礼します
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