『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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新刊&スラッシュドッグのおかげで少しだけモチベが上がったので比較的早く投稿できた・・・・・

まあ、短いですが

それでは本編どうぞ


第28話

「行くわよ一誠!」

 

「はい」

 

カキン、と金属特有を響かせて、部長のバットによって鋭い打球が放たれる。俺はその打球を軌道を読み、ダイビングキャッチすることなくボールをグローブでキャッチした。

 

現在、俺達オカ研メンバーは旧校舎の裏手で野球の練習をしていた。来週、駒王学園では球技大会があり、その部活動対抗戦のための特訓を行っているのだ。どうにも俺の主様はこの手のイベントが好きなタイプのようで、かなり張り切っている。まあ、オカ研は俺含めて全員悪魔なのでスポーツでそうそう負けることなんてないと思うが。仮に負ける可能性があるとしたら、同じく全員が悪魔のチームぐらいだろ。

 

「さすがは一誠ね。今のを容易くキャッチするなんて」

 

「まあこれくらいは余裕ですよ」

 

こういった動体視力と軌道予測は先頭でも活用できるからある程度は鍛えてきたからな。たとえ人間だった頃でもおそらく容易にキャッチすることができただろう。

 

「いくわよ祐斗!」

 

俺の時と同じように、次に部長は木場の方へと打球を飛ばす。いつものあいつなら平然とキャッチするのだが・・・・・ボールは木場ぼけっとしていた木場の頭に当たり、そのまま地面に落としてしまった。

 

「祐斗どうしたの?最近ボケっとしていることが多いわよ?」

 

「すみません・・・・・」

 

らしくない木場にリアスが声を掛けるが、それでも木場は心ここにあらずといった様子だ。

 

その原因はおそらく先日、俺のアルバムの中の写真に映っていた聖剣だろう。あれを見たときの木場は様子がおかしかった。ひどく暗く冷たい目をしていて・・・・・・そんな木場を見て、俺はなぜかドーナシークを殺した時の自分の事を思い出してしまった。

 

(やっぱりあれは・・・・・・憎悪なのか?)

 

木場は聖剣に対して何らかの思い入れがあり、それが憎悪につながっているのかもしれない。だとしたら、その憎悪をどうにしかしなければ木場は・・・・・・・・

 

「一誠、もう一度行くわよ」

 

「はい」

 

俺はまた部長の打球をキャッチしようとグローブを構える。

 

木場のことは・・・・・・ひとまず心の片隅に押し込めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一誠、今日も部活か?」

 

「ああ。球技大会のために練習をな」

 

「オカルト研究部なのに随分とまあ体育会系だな・・・・・」

 

ある日の昼休み、俺は昼食を食べながら松田と元浜と談笑していた。

 

「そのあたりは部長がな。こういう行事には張り切るタイプみたいなんだ」

 

「あのお姉さまのリアス先輩がか・・・・・少し意外だな」

 

「だがそのギャップがいい!」

 

「わかる!」

 

「何を馬鹿言ってるんだお前らは・・・・・・」

 

松田と元浜の発言に、思わず頭を抱えそうになる。まあ思春期の男児なんてこれぐらいが普通なのかもしれないが。

 

(逆にお前は歳不相応すぎると思うぞ相棒?)

 

(そこはしょうがないだろ。精神年齢的には前世引き継いでるんだからさ)

 

正直、未だにこうして高校生やってることに違和感を覚えることがあるしな・・・・・我ながら面倒な設定をしているものだ。

 

「ところで一誠、いい加減俺たちは気になってしょうがないんだが・・・・・・誰が本命なんだ?」

 

「は?本命ってなんだよ?」

 

「決まってるだろ!オカルト研究部の綺麗どころの誰を狙ってるかってことだよ!」

 

「お姉様な先輩のリアス先輩と姫島先輩。癒し系同級生のアーシアちゃん。マスコット後輩搭城小猫ちゃん・・・・・お前は一体誰狙いなんだ?」

 

やたらと熱の入った感じで尋ねてくる松田と元浜。確かにあれだけの美少女たちが集まっている中にいるのだからそれを聞かれるのは仕方がないとは思うが・・・・・

 

「あいにくと誰狙いでもないよ。皆女性として魅力的ではあると思うが、付きたいたいとかそういうことは思ったことはないし、今後そういうことを思うこともない」

 

「なんだよ、あれだけの美少女に囲まれておいて随分と枯れたやつだな・・・・・・そんなんじゃホモ疑惑がかけられるぞ?ただでさえ一部じゃ木場と噂になってるんだぞお前?」

 

「ちょっと待て今聞き捨てならないこと言ったよなお前?」

 

松田の一言に、俺は思わず自分の耳を疑った。木場と噂って・・・・・・今現在恋愛ごとに興味がないとは言え、それは勘弁願いたい。

 

「だったらもう少し自分から青春を謳歌しに行けよな。お前だったら相手を見つけるのもそうそう苦労することもないだろうし。それとも心に決めた相手でもいるのか?」

 

「心に決めた相手・・・・・・」

 

そう、俺には心に決めた相手がいた。俺の最愛は俺のせいで死んでしまったレイナーレ・・・・・

 

『大人になったら私と結婚してくれる?』

 

「ッ!?」

 

なんでだ?なんで今あの子のことを思い出す?あれは違う。あの子とのあの約束はただの子供の戯言だっていうのに・・・・・・

 

「どうした一誠?」

 

「い、いやなんでもない。心に決めた相手もいないさ。今はあんまり恋愛のことは考えてないだけだ」

 

「そうか?まあお前がそう言うならいいけど・・・・・」

 

「余計なお世話かもしれないが、少しは考えたほうがいいぞ?そのほうが人生楽しいぞ?」

 

「ああ、検討しておくよ。それじゃあ俺部活の集まりがあるから抜けるな」

 

二人との談笑を切り上げ、空になった弁当箱を片付けた俺はアーシアのもとへ向かう。

 

「そろそろ部室に行こうアーシア。ご飯は食べ終えたか?」

 

「アーシア。彼氏が呼んでるわよ」

 

アーシアに声をかけると、アーシアと一緒に昼食を摂っていた桐生が茶化すように言ってきた。

 

「桐生、俺とアーシアはそういう関係じゃない。変に茶化さないでくれ」

 

「予想はしていたけれど全然慌てないのねあんたは・・・・・」

 

「一緒に暮らしてはいるけど別にやましいことは何もないからな。慌てる理由がない」

 

「いや、だとしてもよ・・・・・一誠、あんた枯れてるんじゃない?」

 

松田と元浜もそんなようなこと言ってたな・・・・・別にそんなことないのに。ただ今は・・・・・というより今後そういうことを考えられないかもしれないが。

 

「アーシア、あんたも大変ね」

 

「いいんです桐生さん。一誠さんが私の彼氏になることは・・・・・きっとありませんから」

 

「アーシア?」

 

どこか悲しげに言うアーシアを見て、桐生は不思議そうにしていた。

 

アーシアはあの日の夜・・・・・・俺がレイナーレを失ったとき、その場に居合わせていた。レイナーレの件はアーシアになんの責任もないが、それでもアーシアは優しい子だから・・・・・自分の気持ちを押し込めて俺のためにあろうとしてくれている。

 

そんなアーシアに報いるためにも・・・・・アーシアを守らなければならない。俺はそれしかできないから。

 

「一誠さん。部室に行きましょう」

 

ニコリと俺に微笑みを向け、アーシアは部室に向かおうと歩み始める。俺もそのあとに続こうとしたが・・・・桐生に肩を掴まれて止められてしまった。

 

「なんだ桐生?」

 

「・・・・・あんたに何かあったんだっていうことはなんとなくだけど気がついてた。松田も元浜も気づいてるだろうし・・・・・・だからあの二人なりにあんたに気を遣ってると思う」

 

確証とまで行かなくても、俺に何かあったんだっていうことは3人は気がついていたということか・・・・友人としては嬉しくも思わないことはないが複雑な気分だな。

 

「何が起きたのかは聞かないわ。聞いてもあんたのことだから教えてくれないだろうし。けど・・・・それでも・・・・・これだけは言わせてもらうわ。何があったとしてもアーシアを傷つけるようなことはしないで。あんないい子そうそういないんだから」

 

「何を言うかと思えば・・・・・言われるまでもなくわかってるさ。アーシアは・・・・・俺が守ってみせる」

 

「・・・・・そう。わかってるならいいわ」

 

俺の返答にとりあえずは満足したのか、桐生は手を離した。

 

「話は終わったわ。早くアーシアのところに行きなさい」

 

「ああ・・・・・桐生、ありがとな」

 

アーシアを気にかけてくれていることに対して桐生に礼を言った後、俺はアーシアのあとを追った。

 

 




松田さんも元浜さんも桐生さんもいい人になった・・・・・・一誠さんにはこういう友人が必要だと切実に思う

それでは次回もまたお楽しみに!
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