『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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今回はラストでとあるキャラが登場

それが誰なのかは見てのお楽しみ

それでは本編どうぞ


第30話

やってきた球技大会開催日。個人戦では部長とシトリー様が某王子様顔負けなテニス対決を繰り広げ(結果は両者ラケットが壊れてしまい同位優勝でおわった)、部活対抗戦では球技はドッジボールが選ばれ、オカルト研究部はチーム全員が悪魔であるということもあり、圧倒的実力で勝ち進んだ・・・・・決勝までは。決勝の相手は同じ悪魔で構成されたで生徒会チームということでこの試合はかなり苦戦した。特に匙は俺への対抗意識もあってかなかなかいい動きをしていたため仕留めるのに時間がかかってしまった・・・・・最終的には気合が空回りしてか、こけたところを当てて終わったのだが。

 

そんなこんなあって部活対抗戦は俺たちオカルト研究部が制した。球技大会終了後に雨が降りだしてしまったが、ひとまずは滞りなく終わることができた・・・・・・・そう、表向きは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・祐斗、目は覚めたかしら?」

 

球技大会終了後、部長は木場の頬を叩きながら言う。

 

球技大会中、木場はずっと心ここにあらずといった様子でぼんやりしていた。いや、それは球技大会中にかかわらず、ここ最近ずっとそんな調子だったのだが。ともかく、部長は明らかにやる気がなく、非協力的であった木場を咎めていた。

 

「優勝は出来たけれど、皆が団結する必要がある場面であなた一人だけが全く集中していなかったわ。一体何があったのかしら?」

 

「・・・・・」

 

部長が尋ねるが、木場は返答を返さずに沈黙していた。

 

ただ・・・・・俺はわかる。確証があるわけではないが、木場が何を考えているのか・・・・・何にとらわれているのか。

 

「聖剣、憎悪・・・・・・復讐か?」

 

「ッ!?」

 

それを言葉に出すと、木場は血相を変えて俺の方へと振り返ってきた。

 

「・・・・部長に聞いたのかい?」

 

「いいや。ただ、前俺の家に来てアルバムの写真・・・・聖剣の映った写真を目にしたお前を見てなんとなく察したんだよ。お前は聖剣に何らかの憎悪を抱いていて・・・・・それが復讐に繋がるっていうことがな」

 

おそらく、それは俺だからこそわかったことなのだと思う。俺もまた・・・・憎悪につき動かされ、レイナーレをころしたドーナシークに復讐したのだから。

 

「お前の気持ちは理解できる。部長たちがどう思おうが俺は憎悪も復讐も否定しない・・・・いや、俺には否定することはできない。俺も同じだったからな。だが・・・・それでもやはり、今のお前のあり方はリアス・グレモリーの眷属、騎士(ナイト)として正しいとは思わない」

 

「それは・・・・・復讐をやめろってこと?」

 

「違うさ。さっきも言ったがそれを否定することは俺にはできない。だが、その復讐は今すぐどうこうできることでもないだろう?お前が憎む聖剣はすぐ近くにあるわけではない。どんな形で復讐しようとしているのかは知らないが、今どうしようもできないことに囚われてやるべきことを疎かにするのは愚の骨頂以外の何物でもないと思うぞ?」

 

「・・・・・・」

 

俺の言葉に、何も言い返してこない木場。それは納得してしまったたからなのか、それとも・・・・

 

「まあ、最終的にどうするのかはお前が決めることだ。それでもなお復讐にこだわるというなら好きにしろ。ただし・・・・・お前はリアス・グレモリーの眷属だ。それだけは何があっても忘れるな」

 

木場の復讐心は理解できるし否定しない。だが、復讐心を抱くことと部長の眷属であることは矛盾しない。復讐心を抱こうが、眷属としてあることだってできる・・・・・木場ならばな。

 

「・・・・・・」

 

「祐斗!」

 

何も言わずに、木場はその場を去っていく。部長が呼びかけるが、振り返ることもなかった。

 

「部長、今は放っておいたほうがいいと思います。木場なりに考えをまとめたいのだと思いますので」

 

「・・・・・そうね。わかったわ」

 

「それと・・・・・勝手なことを言って申し訳ありませんでした。差し出がましいとは思ったのですが・・・・おそらく、今木場の事を一番理解できるのはこの中では俺だと判断しましたので」

 

「それについてはいいわ。私では祐斗の復讐心を理解してあげることはできないでしょうから・・・・・」

 

表情を暗くして、顔を伏せる部長。眷属である木場の事を理解しきれないことに悔しさを抱いているのかもしれない。

 

「理解できないからこそできることだってあると思います」

 

「え?」

 

「俺は理解できるからこそ木場の復讐心を肯定してしまっている。だけどそれが正しいとは限らない。いざ復讐する機会を木場が手にしたとき俺はどのような結末になるとしても、木場の後押しをしてしまうでしょう。それが木場の破滅に繋がることになろうともです」

 

復讐して悲願を果たしたとしても、あとに待っているものは平穏とは限らない。復讐が破滅に繋がることも十分にあり得る。それでも俺は・・・・・復讐を否定することはできない。俺は復讐の後押しをしてしまうだろう。

 

「木場を大切に思うなら、部長は木場の復讐心を理解しないほうがいいかもしれません。どんなにつらくても・・・・・それが木場を守ることに繋がるかもしれないので」

 

「一誠・・・・私はあの子を・・・・祐斗を守れるかしら?」

 

「守れると思いますよ。誰よりも俺たち眷属の事を思ってくれている部長なら・・・・・きっと」

 

それは俺の偽りのない気持ちだった。少し我侭なところがあり、粗も目立つけれど部長は・・・・誰よりも愛情深く、俺たち眷属を大切に思ってくれている。そんな部長なら・・・・俺が絶対的に持ち得ない強さをもつ部長ならきっと・・・守れるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

家路につく俺とアーシアであったが、少々空気が重たかった。

 

あのあと、部長から木場の抱える憎悪について聞いた。木場は教会の企てた聖剣エクスカリバーを扱えるものを育てる計画・・・・・聖剣計画に携わっていたらしい。しかし、木場は聖剣に適合することができず・・・・同じく適合できなかった者達と共に不良品として処分されてしまった。そして辛くも生き残った木場を部長が眷属として転生させたようだ。

 

聖剣を憎む理由として、至極当然のものだと思った。木場はおそらく自分と同じように処分されてしまった者たちの無念を背負って復讐を望んでいるのだろう。やはり・・・・・木場の憎悪を、復讐心を俺は否定することは出来そうにない。

 

「アーシア、大丈夫か?」

 

「はい、私は大丈夫です・・・・・今の私は悪魔ですから」

 

俺が尋ねると、アーシアは儚げな微笑みを浮かべる・・・・どう見ても無理して笑っているようにしか思えなかった。

 

今は悪魔であるといっても、元々アーシアは教会のシスターだった。今だって神への信仰心は相当に強い。そんなアーシアだからこそ、教会の非道な計画を聞いて心が痛んでしまったのだろう。

 

アーシアのような純粋で優しい子を追放し、聖剣計画のような非道を行う教会・・・・・神やら救済やらを豪語しているが、俺は教会に対して不信感しか抱くことができなかった。もちろん教会の全てが全てそのような悪意に染まっているわけではなく、ごくごく一部なのかもしれないけれど・・・・

 

「教会も所詮は人間の組織・・・・か」

 

「一誠さん?」

 

「ん?ああ、なんでもないよ。気に・・・・ッ!?」

 

アーシアに適当に誤魔化そうとしたその瞬間・・・・全身に悪寒が走った。

 

アーシアに初めて会っとき、教会に案内したときに近い嫌な感覚・・・・それを俺の家の方から感じた。

 

「い、一誠さん。これ・・・・・」

 

どうやらアーシアも感じ取ったようで、声も体も震えていた。

 

間違いない・・・・・今俺の家にいる。天使か堕天使か、教会の関係者なのかはわからないが・・・・悪魔である俺にとって害となる存在が俺の家に・・・・

 

俺の家・・・・今の時間、家には・・・・・

 

「母さん!」

 

俺は玄関を開き、急いで家の中に入った。もしもこの家にいるのがフリードのような異常者だったら・・・・そう思うと不安で不安でたまらなかった。俺は本物の『兵藤一誠』ではないけれど・・・・それでもあの人は大切な母親だから。

 

リビングの方から話し声が聞こえる。確認しようとリビングの扉を開いた俺の目に映るのは・・・・

 

「・・・・・え?」

 

俺の目に真っ先に映るのは・・・・・懐かしい少女だった。

 

最後に会った時よりもずっと女性らしくなっていた。それでも、ひと目で誰なのかわかった。栗色の髪をツインテールにしたその少女は俺の幼馴染の・・・・・紫藤イリナだった、

 

「・・・・・久しぶりだね一誠くん。本当に・・・・久しぶり」

 

俺に向かって笑顔を向けてくるイリナ。

 

その笑顔は・・・・どこか悲しげに見えた。

 

 

 

 




再会した一誠さんとイリナさん

イリナさんはこの物語における最重要人物の一人になりますので・・・・・果てさてどうなるか

それでは次回もまたお楽しみに!
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