この章本当にシリアスばっかだなぁ・・・・
それでは本編どうぞ
「一誠さん、お疲れ様です」
「ああ・・・・・ありがとうアーシア」
あのあと、どうにかイリナを泣き止ませることができた俺に、アーシアがねぎらいの言葉をかけてくる。アーシアの笑顔を見ると少しは疲れも取れるが、同情がこもっているように思えて複雑な気分になる。
ちなみにそのイリナはというと・・・・・泣き止みはしたが、むっとした表情で俺の方を見ている。下手に視線を合わせてしまうとまた面倒なことになりそうだったのでとりあえずイリナはスルーしよう。
それよりもだ・・・・木場の方はどうなっているか気になるな。戦いながら横目では見ていたが、あまりちゃんと見れてなかったから把握できていないからな。
「・・・・・はあ、ダメだなあれは」
木場の戦い様を見て、俺は思わず呆れてしまった。今の木場からは普段の冷静さも、巧みなテクニックも一切見られない。激情に駆られ、常の戦いができなくなってしまっている。しまいには破壊力重視の魔剣を想像して斬りかかる始末だ。パワータイプではない木場の力任せな斬撃と破壊力が自慢らしいゼノヴィアの斬撃・・・・どっちが勝つのかなんて火を見るより明らかだ。木場の魔剣はいとも容易く砕け、ゼノヴィアが剣の柄を木場の腹部に叩き込んで木場は膝をついた。柄とはいえ聖剣の一撃だ。あれではもう立ち上がれれないだろう。
「まだだ。まだ僕は・・・・」
既に戦えない状態だというのに、執念で立ち上がろうとする木場。木場の復讐心は理解できるし、それを邪魔するつもりは毛頭ない。だが・・・・・これは流石に見過ごせないな。
「そこまでにしておけ木場」
俺は立ち上がろうとする木場に近づき、肩に手をおいて動きを制した。
「邪魔をしないでくれ一誠くん。君ならわかるはずだ。僕はここで立ち上がらなければならないんだ。立ち上がってエクスカリバーをこの手で破壊しなければ・・・・・」
「確かにその復讐心は理解できる。だが、立ち上がったところで今のお前ではゼノヴィアに勝つことは・・・・聖剣を破壊することは不可能だ。常の戦い方ができないお前ではな」
いつもの木場であったならまだ勝負はわからなかった。武器の性能に差はあれど、それでも俊敏性とテクニックを活かした戦いができれば決して高くはないが勝率はある。だが、そのいつもの戦いができない以上、木場は自分から勝ちの目を捨てているようなものだ。これ以上戦っても時間の無駄だろう。
「そんなことない!僕は・・・・」
「木場祐斗!」
「ッ!?」
俺が威圧すると、木場はびくりと体を震わせてた。
「気持ちはわかる。だがここは諦めろ。ここで退けないようでは、それこそ復讐など無理だ」
復讐心を理解しているとは言え、木場に無駄な戦いをさせて負傷させて部長を悲しませるわけにはいかないからな。まあ、さっきまでイリナと戦っていた俺が言うべきことではないだろうが。
「・・・・・くそっ!」
ようやく諦めたのか、木場は悔しそうに地面に拳を叩きつけた。
「・・・・決闘はこれで終わりだ。お前達はさっさと任務に戻れ」
「君は私と戦わないのか?私はその魔剣使いに勝ち、君はイリナに勝った。ならば次は私達が戦うべきだと思うのだが?」
ゼノヴィアは俺に剣の切っ先を向けながら尋ねてくる。
「イリナとは戦う理由があったから戦ったまでだ。俺があんたと戦う理由はないよ。木場の報復もするつもりはないしね。それとも君はイリナの報復を考えていたのか?」
「・・・・いいや。君に戦うつもりがないのなら私も退くさ」
ゼノヴィアは剣をしまい、ローブを身に纏う。これ以上戦う気は無さそうだ。
「リアス・グレモリー、先程の話はよろしく頼むよ。それと赤龍帝はともかくそこの魔剣使いはもっと鍛えたほうがいい。センスだけ磨いても限界がある」
「・・・・ええ。ご忠告ありがとう」
口では感謝の言葉を述べているが、部長の表情は複雑そうだった。まあ、敵対する相手から言われてしまったのだから素直には受け取れないということだろう。
「行こうイリナ。任務に戻るぞ」
「・・・・・」
ゼノヴィアに促されるイリナであったが、イリナは動こうとはしなかった。動かずに・・・・俺の方に視線を向けている。
「相棒が呼んでいるぞ。決闘に負けた以上、俺にはもう用は無いはずだ」
「・・・・・わかってるわ。またね一誠くん」
俺に言われると、イリナは渋々といった様子で踵を返してゼノヴィアの下へ向かった。
にしても『またね』か・・・・・立場もあるし、個人的にはもう二度と会わない方がいいと思うんだがな。
「赤龍帝。最後に一つだけ君に言っておく。白い龍・・・・白龍皇は既に目覚め、力を備えている」
「・・・・・なに?」
白龍皇・・・・俺の宿敵が力を・・・・
「君も相当な実力者であるようだが、せいぜい警戒はしておくんだな」
それだけ伝えると、ゼノヴィアはその場から去っていく。イリナもまた。最後に俺を一瞥した後にゼノヴィアのあとを追っていった。
(・・・・・俺達の宿敵は既に目覚めているそうだぞ)
(そのようだな。さっきの女の口ぶりからして、今代の白龍皇は相当な実力者のようだ。用心しておけ相棒)
(わかってるさ)
白龍皇には負けない。この手で打ち倒してみせる。それが俺の・・・・・生きる目的の一つなのだから。
「待ちなさい祐斗!」
俺が白龍皇の打倒を心に誓っていると、部長の声が聞こえてきた。声のする方を見ると、どこかに行こうとする木場とそれを引き止める部長の姿があった。
おそらく、木場は聖剣を破壊するために動こうとしているのだろうが・・・・
「あなたは私の眷属、『
部長は木場の腕を掴む。だが、木場は部長の腕を振り払って歩みを進める。
「僕は同志たちのおかげで逃げられた。逃げて悪魔になって復讐の機会を得られた。皆の恨みを晴らすためにも・・・・・僕は魔剣に恨みを込めないといけないんだ」
木場・・・・・こいつは自分だけじゃない。犠牲になった他の者達の無念さえ晴らそうとしている。それを犠牲者達が望む望まないにかかわらず・・・・木場は復讐に駆られている。
「・・・・木場、さっきのような戦いしかできないのなら復讐は果たせないぞ?」
俺は木場の前に立ち、告げた。
「・・・・一誠くん。君が羨ましいよ」
「なに?」
「僕も・・・・・君のような全てをねじ伏せるほどの力が欲しかった。そうすれば復讐だってもっと簡単に・・・・・」
「・・・・・」
「アドバイスありがとう一誠くん。今度はちゃんといつもどおりに戦うよ」
「祐斗・・・・」
俺の横を通り、木場は去っていく。部長は木場の名を呟くが、先程のように腕を掴んでまで無止めようとはしなかった。それは木場の意を汲んだからではなく・・・・・止めても無駄だとわかっているからだろう。
(いいのか相棒?あの男、あのままでは復讐で身を焦がし・・・・破滅するぞ?)
(かもしれないな。だけど・・・・復讐に手を染めた俺が無理に木場を止めることなんてできないさ)
さっきはやっても無駄だとわかっていたから止めた。だが、今度は止める理由がない。復讐そのものを止めることなど・・・・・できるはずがない。
だが、止められないというなら・・・・・それならそれでできることはある。復讐を止められないなら俺は木場の手助けをするだけ・・・
『一誠くん・・・・』
「ッ!?」
なんだ?なんで今・・・・・イリナのことを?イリナは何も関係ないのに・・・・ああ、くそっ・・・・イリナと会ってから調子が狂う。
何なんだよこれ・・・・・一体どうして?
最後のあれは・・・・まあ、一誠さんが木場さんに協力しようとしているのは木場さんのためだけではないということです
むしろ木場さんのためというよりはイリナさんの・・・・
それでは次回もまたお楽しみに!