『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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特になにも思いつかないので早速本編どうぞ


第39話

 

「まったく、あなたたちは・・・・・」

 

部長達に近くの公園に連れてこられた俺と小猫は、正座を強いられていた。そんな俺たちを見下ろして、部長はため息を吐いている。

 

「匙からお二人がおかしな動きをしていると聞いてもしかしたらと思ってリアスに話したのだけれど、まさかこんな・・・・」

 

同じようにため息を吐くシトリー様。どうやら俺達の行動は匙に見られていたようだ。直接俺達を止めようとせず、先に主に報告するとは・・・・・俺とは違って優秀な眷属だ。

 

ちなみに、俺の腕を捉えたあのロープは匙の神器(セイクリッド・ギア)の能力であったらしい。あの時少し力が抜ける感覚もあったし・・・・中々厄介な神器なようだ。

 

「兵藤・・・・なんでこんなことをした?お前は俺に眷属としてのあり方を説いてくれたお前がどうして?」

 

「・・・・・部長にとっての一番の損失は木場がはぐれになることだと思った。だから俺は木場の復讐を果たさせるために行動した。そうすれば木場は部長のもとに戻ってくるはずだからな」

 

「・・・・・違うでしょう?」

 

「え?」

 

匙に今回の件の理由を話す俺だが、それを部長が否定する。

 

「あなたのことだからその気持ちも・・・・・私への忠義のためというのもきっと嘘ではないでしょうね。けれど・・・・それ以上の理由があったのではないかしら?」

 

「・・・・・・」

 

まるで俺の心の奥底を見透かしたかのように俺を見つめながら言ってくる部長。俺はそんな部長に・・・・・何も反論することができなかった。

 

「沈黙は肯定と取るわ・・・・まあ、あまり深くは詮索しないでおきましょう。小猫、あなたはどうしてこんなことを?」

 

「小猫は強引に俺が誘いました。少しでも戦力が必要だと思って・・・・・」

 

「一誠先輩の言っていることは嘘です。私は・・・・祐斗先輩がいなくなるのが嫌で自分から協力を申し出ました」

 

・・・・・小猫め。俺が強引に誘ったことにしないと協力を断るって言ったのにこれか。

 

「はあ・・・・・一誠、あなた自分で責任を全部背負おうとしたのね?」

 

「俺が動かなければ小猫が動くこともなかったと思います。だったら責任を負うのは俺ひとりで十分です」

 

「あなたという子は・・・・・あまり見くびらないでもらいたいわね。たとえ小猫が言わなくてもそれぐらいのこと私が気がつかないとでも思ったの?」

 

「だとしても・・・・・必要なことだったので」

 

たとえ気づかれたとしても、そういうことにしておいたほうがよかった。いざという時に責任を全部俺が背負うためにも・・・・

 

「・・・・馬鹿な子ね。一誠も小猫も・・・・・心配かけさせて」

 

俺と小猫の頭を手で抱え、そのまま自身の胸に抱き寄せてくる部長。その行為からいかに部長に心配をかけさせてしまったのかが伺い知れる。

 

だけれど・・・・・そんな部長の思いを俺は心地いいと感じることはできなかった。ましてや心中が罪悪感で埋め尽くされているわけでもない。俺の頭の中は・・・・・フリードを追っていった3人の動向をひたすらに気にしてしまっていた。

 

「・・・・・ごめんなさい部長」

 

「申し訳ありませんでした」

 

「過ぎたことよ。もういいわ」

 

俺と小猫は部長に謝罪する。小猫とは違い、俺のそれは心がこもっていないと悟られてしまっているかもしれないが・・・・それでも部長は、おそらく気がついていながらも言及せずに受け止めてくれた。

 

「ソーナも匙くんも付き合わせてしまってごめんなさいね」

 

「いえ、気にしなくてもいいわリアス」

 

「俺もただ、会長に同行しただけですので・・・・まあ、兵藤のことが気になったっていうのもありましたけど」

 

「・・・・・男にそういう感情を抱かれるのはさすがに勘弁なんだが?」

 

「そいう意味じゃねえよ!?」

 

「いや、まあ普通に冗談だから気にするな」

 

一応・・・・俺のせいで空気が悪くなったって自覚はあるから和ませようと思ったのだが、匙が思った以上にオーバーにリアクションしてくれて助かったな。部長もシトリー様も微笑み浮かべてくれてるし。

 

「さて、そろそろ帰るわよ。祐斗のことは私の使い魔が見つけ次第皆で迎えに行きましょう」

 

「はい」

 

なるほど、木場達は部長の使い魔が探しているのか・・・・・できればそれより先に俺が・・・・

 

「それと一誠、私は今日はあなたの家に泊まらせてもらうわ」

 

「・・・・・え?なぜですか?」

 

「あなたのことだから、ちょっとでも目を離すと祐斗達を探しに行こうとするでしょうから監視させてもらうわ」

 

どうやら俺の思惑など部長にはお見通しであったようだ。

 

「えっと・・・・こんなこと言うのもなんですが急に来たら父さんも母さんも驚いてしまうので・・・・」

 

「大丈夫よ。事前に連絡して許可はもらってあるわ」

 

手回しはしてあるということか・・・・・我が主ながら抜け目のないことだ。

 

(諦めろ相棒。こうなってしまっては素直に従うしかないぞ?)

 

(みたいだな・・・・仕方ない)

 

俺は致し方なく、部長と共に家に帰ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むぅ・・・・」

 

(こ、これは・・・・・きついな)

 

部長と共に家に帰り、夕食を食べ終えた俺は自室でまたしても正座していた。そして俺の目の前には、正座を強いたアーシアがいかにも怒ってますといった表情を浮かべたアーシアがいる。

 

どうしてこうなっているかといえば・・・・・木場の復讐の手助けをしていることをアーシアに黙っていたからだ。それでアーシアは怒っているのだろう。

 

「一誠さん・・・・どうして私に何も言ってくれなかったんですか?」

 

「それはその・・・・・アーシアを巻き込みたくなくて」

 

「私は一誠さんにとって足で纏でしかないということですか?」

 

「いや、そういうことじゃなくて・・・・・危ないし・・・・・」

 

なんだろう。別に特に強い口調でもないのにすごく追い詰められてる気がする。というかなんか怖い。普段大人しい奴ほど怒ると怖いというが、その理由をまさに体験しているといった感じだ。

 

「一誠さん・・・・・私だって一誠さんの力になりたいんです」

 

「そう言ってくれるのは嬉しいが、これは俺のためじゃなくて木場、ひいては部長の・・・」

 

「・・・・・違いますよね?」

 

「え?」

 

「その気持ちも確かにあると思います。だけど本当の理由は・・・・・・違うんですよね?」

 

部長と同じように、全て見透かしているかのように言ってくるアーシア。

 

なんで・・・・・なんでドライグも部長もアーシアも見透かすんだ。どうして・・・・・わかってしまうんだ?

 

「一誠、あなた・・・・自分のその気持ちから目を背けるつもりなのかしら?」

 

俺とアーシアの様子を黙って見ていた部長だったが、俺に尋ねてきた。

 

「・・・・・何を言っているのかわかりません」

 

「嘘です。一誠さんはわかっているはずです。わかっていながら一誠さんは・・・・」

 

「違う!」

 

「「ッ!?」」

 

俺が思わず声を荒げてしまうと、二人はビクリと肩を震わせた。前にドライグと話した時も声を荒げてしまったし・・・・俺は俺が思っている以上に嘘が下手なのかもしれない。

 

「・・・・ごめん、だけど・・・・・もうやめてくれ。俺は・・・・受け入れるわけにはいかないんだ」

 

俺にはその資格がない。その感情を抱くことは許されない。だからこそ、滑稽でも、無様でも、あからさまでも俺はそれを否定しなければならないんだ。

 

忘れてはならない。俺が愛した女が、俺を愛した女が俺のせいで死んでしまったことを。俺が・・・・俺さえいなければ今も生きていたはずだったのに。

 

もしもこの感情を受け入れてしまったら・・・・あいつも・・・・イリナも・・・・・

 

「一誠さん・・・・・ごめんなさい。私、一誠さんを追い詰めて・・・・」

 

「ッ!?アーシア・・・・・話はここまでだ」

 

俺に謝罪するアーシアだが、それを聞いていられる状況では無くなってしまった。

 

「部長」

 

「ええ」

 

部長は俺の部屋の窓を開ける。窓の外を見ると・・・・・塀の上に立つフリードの姿があった。

 

「あいつ・・・・!」

 

俺と部長、そしてアーシアは急いで外へと駆け出していった。

 

 




次回、とうとうコカビエルと邂逅

そして・・・・・

次回もまたお楽しみに!
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