『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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これにてこの章は終わりになります

それでは本編どうぞ


第46話

 

三種族会談が開かれることを知った日から次の日曜日。かねてからの予定通り俺達は遊びに出かけていた。

 

メンバーは俺、アーシア、小猫、松田、元浜、桐生・・・・そして木場の7人だ。復讐のことも一旦ケリがついたので、木場も誘うことに成功した。

 

ちなみにアーシアは自分といくらか境遇が似通ったゼノヴィアを気遣って誘ったのだがゼノヴィアはこなかった。今回は気分が乗らなかったらしい。まあ、機会があったらまた誘って欲しいと言っていたし、邪険にしていたわけではのでいいが。

 

「一誠、あんたもなにか歌いなさいよ」

 

皆が歌っているのを聞きながら、フライドポテトを摘んでいた俺に、桐生が歌うように促してくる。

 

「いや、俺は聞く専門だから歌うのはな・・・・・」

 

「何言ってんのよ。せっかく来たのに歌わないなんてもったいないじゃない。せっかくなんだから歌いなさい。アーシアと一緒に」

 

「き、桐生さん!?」

 

桐生の突然の提案に、アーシアが動揺した。桐生め・・・・余計な事を。

 

「アーシアもまだ歌ってないでしょ?けどまあ、カラオケ初めてって言うなら一人で歌うのはハードル高いだろうし一誠と一緒に歌えばいいじゃない」

 

「い、一誠さんと一緒に・・・・・・どうしましょう一誠さん。私聖書の暗唱ぐらいしかできないのですが・・・・一緒にやりますか?」

 

「いや、桐生の言ってることを間に受けなくていいから。それとそれはやめておけ」

 

桐生のやつ・・・・・純情なアーシアに何を吹き込んでくれるんだ。真に受けちゃうだろ。それにここで聖書の暗唱なんてされたら、悪魔である俺、木場、小猫がダメージを受けてしまう。もちろん暗唱するアーシア自身もだ。木場も小猫もそれはたまったものではないと思ったのか、手でバツを作って反対している。

 

「仕方がないわね・・・・・じゃああんた一人でもいいからなにか歌いなさいよ」

 

「昔家族とカラオケ行ったとき、俺が歌ったら父さんも母さんも苦笑いしていたたまれない空気になったぐらいには俺は音痴だがそれでもいいのか?」

 

「・・・・・まあ、無理して歌うのはよくないわね」

 

俺の弁を聞き、桐生は引き下がった。さすがに盛り上がっているのにそんな空気になるのは嫌なのだろう。ちなみに今俺が言ったことは事実である。音感がないわけではないが、俺は盛大な音痴なのだ。それこそ某猫型ロボットが出てくる国民的アニメに登場するガキ大将に引けをとらないほどに。

 

・・・・・自分の音痴っぷりに悲しくなってきたな。

 

「意外だな・・・・・お前にも苦手なことがあったんだな」

 

「どう言う意味だよ松田?」

 

「だって・・・・なあ?」

 

「ああ。一誠は器用になんでもこなすタイプだからな。苦手なものがあるとは思わなかった」

 

元浜の発言に、その場にいた俺を除く全員が頷いてみせた。別に俺はそんなに器用ではないんだが・・・・・音痴以外にも芸術センスも壊滅的にないし。高く買ってくれているのは嬉しいが、こいつらは俺をなんだと思っているんだ?

 

「誰にだって苦手なものぐらいあるだろ・・・・・ちょっと手洗い言ってくる」

 

皆にそう言って、俺は一旦部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?どうした木場」

 

用を済ませ、外に出ると木場がソファに腰を下ろしていた。

 

「少し君と話がしたくてね。出てきたんだ」

 

「話?」

 

「うん。まずは・・・・色々と手を貸してくれてありがとう。おかげで助かったよ」

 

そう言いながら、木場は俺に頭を下げてきた。

 

「何を言うかと思えば・・・・別に礼なんていらないさ。俺はただ、俺のしたいようにしただけだからな」

 

正直、決戦の時はコカビエルへの憎悪で頭がいっぱいになってて木場のことはほとんど考えてなかったからな。

 

「それでも、君がいなかったら僕は一人で突き進んで・・・・・戻ってこられなかったかもしれなかった。だからお礼を言うなら当然だと思うよ?」

 

「・・・・・そう思ってるなら小猫にも礼は言っておけよ?俺よりもよほどお前のこと心配してたんだからさ」

 

「うん。もちろんそのつもりだよ」

 

「わかってるならいい。それじゃあ戻るぞ」

 

「ちょっと待って。まだ話したいことがあるんだ」

 

部屋に戻ろうとしたところを木場に引き止められてしまった。

 

「なんだ?」

 

「君は・・・・・本気であの白龍皇を倒そうと思っているのかい?」

 

木場はいやに神妙な面持ちで尋ねてくる。

 

「当然だ。俺は赤龍帝だからな。奴を倒すことが俺の目的の一つだ」

 

「・・・・一人で戦うのかい?」

 

「ああ。こればっかりは誰にも邪魔されたくないからな。たとえ誰であっても・・・・・部長やアーシアであっても手を出すことは許さない」

 

赤龍帝として白龍皇を倒す・・・・・これは俺の、俺だけの宿命だ。誰にも邪魔をされてたまるか。

 

「実際に戦っているところを見たわけではないけれど、それでも白龍皇はコカビエル以上の威圧感を感じた。間違いなくコカビエルよりも強いと思う・・・・・それでも君は一人で挑むのかい?」

 

木場の言いたいことはわかる。俺はコカビエルを倒したとはいえ、それでもコカビエルよりも絶対的に強いとは言い切れない。あの戦いはギリギリで勝ったようなものだからな。つまり・・・・・現時点で俺は白龍皇に劣るということだ。そんな状態で本当に一人で白龍皇と戦うのか、と木場は言いたいのだろう。

 

「くどい。どんな状況であれ、どれほど実力差があろうとも俺は一人で戦う」

 

「そうか・・・・・まあ、それも君らしさではあるんだろうね」

 

木場は俺の言い分に苦笑いを浮かべる。

 

「けど・・・・・だったらなおさら、僕にそれを手伝わせて欲しい」

 

「・・・・・は?」

 

木場のその申し出の意味が分からず、俺は呆けた声を出してしまった。ついさっき一人で戦うと言ったばかりなのに手伝うとは・・・・・わけがわからない。

 

「さっきも言ったとおり、俺は誰にも手を出させるつもりはないぞ?」

 

「わかってる。だから僕の言う手伝いっていうのは君が強くなるための手伝いだよ」

 

「なに?」

 

「君のことだから、白龍皇に勝つために修行するんだろう?だったら僕がそれに付き合うよ。禁手(バランス・ブレイカー)双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』・・・・・これを習得した僕は自分でも自覚できるほどにかなり強くなることができた。それでも君には及ばないだろうけど・・・・君の修行相手ぐらいにはなる」

 

修行相手・・・・・なるほど、そういうことか。

 

「確かに一人で鍛えるよりよほど質のいい修行ができそうだ。だがそれはお前が本気で・・・・俺を殺す気で相手をしてくれた場合だ。本気の殺気、本気の闘気・・・・・それが込められていない相手と戦ったとしても修行の質は上がらない。お前にその覚悟があるのか?」

 

「ああ・・・・あるよ。僕は君を殺すつもりで修行の相手を務めるつもりだ」

 

木場の目は本気だった。そして真っ直ぐに俺を見ている。

 

禁手に至った木場を相手に修行・・・・・確かに俺にとっては好都合だ。木場が覚悟をもって相手をしてくれるというなら無下にするわけにもいかないだろう。

 

「・・・・・修行相手になるって言うならお前も大怪我をする可能性もある。ときには俺も殺す気で戦うことにもなるかもしれない。それでもいいのか?」

 

「構わない。それぐらいしないと僕程度じゃ君を強くすることなんてできないだろうからね。それに・・・・・それだけやってもらえば、僕にとっても修行になる」

 

こいつ、俺の修行相手とか言っておきながら自分が強くなることも画策してやがる・・・・・抜け目のないやつだ。だがまあ、その分信用もできるか。

 

「それじゃあ・・・・・頼むぞ木場。今度から俺の修行に付き合ってもらうからな」

 

「ああ。望むところだよ」

 

互いに拳を付き合わせる俺と木場。

 

木場が本気で相手をしてくれるというのなら、きっと俺は強くなれる。

 

強く・・・・強く

 

もっともっと強くなるんだ・・・・・

 

白龍皇を・・・・・ねじ伏せる程に

 

 




まさかお音痴な一誠さん

ま、まあこの世界線の一誠さんはおっぱいドラゴンの歌を歌わないからいいよね

そして相変わらず白龍皇への戦闘意識が・・・・・

それでは次回もまたお楽しみに!
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