そして今回はあの方が・・・・・
それでは本編どうぞ!
第47話
コカビエルとの戦いから一週間経ったある日、僕は駒王学園近くの人目のない広場で一誠くんと手合わせしていた。
「はっ!」
「ッ!」
僕の剣が一誠くんの魔力で作り出した爪を切り裂く。以前はこんなことはできなかったけれど、
(いける・・・・この力なら僕は一誠くんとも戦える)
僕が自身の力に確かな手応えを感じたその瞬間・・・・・
「・・・・
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!』
「ッ!?」
一誠くんもまた、禁手化してきた。赤い鎧を身に纏った一誠くんから感じる圧力は先程までとは比べ物にならない。ただ向き合っているだけでも膝が震えてしまいそうなほどだ。
「
再び魔力で爪を生成した一誠くんは、その爪を僕に向かって振りかざす。先ほどと同じようにそれを切り裂こうと僕は剣を振るうが・・・・・・切り裂かれたのは僕の剣の方だった。本物には及ばないとは言え、エクスカリバーにさえ打ち勝った聖魔剣だが、禁手化した一誠くんにはまるで通じないらしい。
「ここまでだな」
「・・・・そうだね」
僕の首に爪を添えながら告げる一誠くんのその言葉を僕は素直に受け入れた。これ以上やっても意味がない。たとえ新たな聖魔剣を作り出したところで、また切り裂かれるか折られるかのどちらかだ。
「聖魔剣・・・・相当な力だな。禁手化してない状態では正直厳しい」
「それを言うなら一誠くんの方だよ。禁手同士なのにここまで差があるだなんて・・・・・」
「それはお前自身がまだ禁手の力に馴染めていないからだろう。木場はセンスがある。禁手状態になれればもっともっと強くなれると思うぞ?」
「君にそう言ってもらえると嬉しいよ」
あの一誠くんから認めてもらえた。それは僕にとって嬉しいことだった。圧倒的ともいえるほどの力を有している一誠くんは僕にとっては憧れの対象でもあったから。
「そういえば気になっていたんだけど・・・・・一誠くんはいつごろ禁手に至ったんだい?」
僕は興味本位で一誠くんに尋ねてみた。
「俺は・・・・・初めて
「・・・・え?」
僕は一瞬一誠くんの言っていることの意味が分からずに思わず間の抜けた声が出てしまった。
「え?それって・・・・はじめから禁手に至っていたっていうことかい?」
「それとは少し違うな。禁手ってのは所有者の思いと、劇的な転換点があった時に至るもの。俺にとってのその転換点が赤龍帝の籠手を展開したこと事態がそうだってっていうことだろう」
神器の発動そのものが劇的な転換点・・・・・確かに、人によってはそういうこともあるかもしれない。それこそ一誠くんの赤龍帝の籠手は超常の力を秘めているのだから。けれど、それでも発動するだけで禁手に至ったということは・・・・・そもそもそれだけのものが一誠くんには元々備わっていたのだろう。
「ちなみに初めて赤龍帝の籠手を発動したのはいつ?」
「俺が6歳の頃だ」
うん、もう間違いようもなく一誠くんは天才だよ。こと戦闘に関する才能は僕は愚か、部長たちをも遥かに凌いでいる。
「さて、俺は今日契約入ってるから手合わせはここまでだな。先行くぞ」
「わかった。僕は・・・・もう少しここで一人で剣を振ってるよ」
「そうか。じゃな木場」
軽く手を振って、その場から去っていく一誠くん。
「・・・・・まだまだだな僕も」
僕は魔剣を作り出し、握り締めた。今日はもう聖魔剣を作り出すことはできない。僕はまだ、それほど長く禁手を維持することができなかった。さっき一誠くんが言ったとおり、僕自身がまだ禁手の力に馴染めていないのだろう。
それに引き換え一誠くんは、コカビエルと激闘を繰り広げることができる程に禁手の力を我がものにしている。一誠くんと僕にははっきりとした明確な差がある。
けれど・・・・きっと一誠くんは今の自分の力に微塵も満足していないのだろう。それこそ、僕程度に禁手を使わされたことに苛立ちさえ覚えているかもしれない。
白龍皇との邂逅で、きっと一誠くんは焦りを感じているのだろう。一誠くんは、現時点では宿敵に及ばないと思っているからだ。だからこそ一誠くんはさらなる力を求めている・・・・・そのせいか、一誠くんの表情は以前にも増して険しくなることが多かった。
僕は一誠くんに憧れている。そんな一誠くんに報いるには・・・・・僕自身がもっと強くなって、一誠くんの修行相手にふさわしい力を手にしなければならない。
「もっと・・・・・もっともっと強くならないと」
僕は魔剣を握り締め、その場で強く振り下ろした。
「よう、よく来たな。今日もよろしく頼む」
「はい。こちらこそ」
木場との手合わせを終えて、俺は契約のため依頼者の下へやってきた。赤い髪に髭をはやしている男性だ。一目見て、
「今日はゲームでもやろうぜ。レースゲームを買ったんだが相手がいないと寂しくてな」
「わかりました」
このひとはいつもこんな何でもないような頼みをしてくる。まあ要求以上の対価をもらっているから文句はないけども。
「日本ってのはいい国だな。娯楽がそこらに転がってて飽きない。ほら、コントローラー」
「どうも。一応言っておきますけど、俺結構ゲームは強いですよ?」
「ほう、そいつは楽しみだ。こっちは初心者だからお手柔らかに頼むぜ」
こうして俺は契約者とレースゲームをすることになった。はじめは俺の圧勝だったが、回数を重ねるごとにどんどんせるようになっていき、30分もしたら互角になってしまった。
「上達するの早いですね・・・・・もう互角とは恐れ入りました」
「そいつはどうも。赤龍帝に褒めてもらえるとは嬉しい限りだな」
「別にそこまで喜ぶようなことでもないと思いますけど」
あ、負けた。本当に上達が早いなこのひと・・・・今日中に俺勝てなくなるかもなぁ。
「・・・・動じないんだな。赤龍帝って呼ばれたのに」
「ええ。それぐらいのことは知っているとは思っていましたから。堕天使総督アザゼル様」
「・・・・ほう、気づいてたか」
契約者・・・・・アザゼルは背中に黒い翼を広げる。コカビエルのものよりも深い黒の翼だった。
「初めて会った時から只者ではないとは思ってました。だからドライグに聞いてみたんだが・・・・・思った以上に大物だったからさすがに驚きましたよ」
「初めて会った時か・・・・それから何度かこうして呼び出してるってのになんで普通に来てるんだ?俺はお前のような悪魔にとって敵対勢力の総統だぞ?契約にかこつけてお前を殺すって可能性もあったんだぜ?」
「その時はその時で抵抗はするつもりでしたよ。だけどあなたからは殺気を感じなかった。それに・・・・自分でも不思議なくらい、敵対心が湧いてこなかったんですよ」
そう、これは自分でも腑に落ちなかった。相手は堕天使の総督だというのに、不思議と疑おうと思えなかった。何故か自然と受け入れることができた。
本当に・・・・・どうしちまったんだ俺は?
「そうか・・・・・まあ実際手を出すつもりはなかったからな。特に今は三種族会談も控えてるしな。下手なことをして悪魔から目をつけられるのはごめんだ」
「目をつけられることに関してはコカビエルの件で手遅れだと思いますけど?」
「それは言うなって」
苦笑いを浮かべるアザゼル。そんなアザゼルを見て、何故か俺はどこか安心していた。
「さて、それじゃあ正式に俺の正体も明かしたわけだし、お前には聞きたいことがある」
俺に聞きたいこと?それはやはり今代の赤龍帝である俺に対して興味があるということか?白龍皇は堕天使の側にいるし・・・・・
「なんですか?あなたは今俺の契約者なので答えられる範囲なら答えますけど?」
「そうか。じゃあまあ・・・・・なんだ?その・・・・最近どうだ?学校とか楽しいか?」
「なんですかその子供と微妙に距離のある父親みたいな質問は?」
わけがわからない・・・・・なんでわざわざそんなこと聞くんだ?
「まあ、お前ぐらいの年頃だとやんちゃとかもしたいんだろうが・・・・・まあ人様にあまり迷惑かけない程度にほどほどにな?」
「いや、だからなんですかそれは?」
その後も、俺とアザゼルの訳のわからないやりとりは続いていった・・・・・本当になんだったのだろうか?
アザゼル先生の様子がおかしいのには理由があります
それに関してはいずれ明かされますが・・・・今は秘密です
それでは位階もまたお楽しみに!