ただそれまでの話の内容が・・・・
それでは本編どうぞ
「ただいま戻りました」
「お疲れ様、一誠」
部長の眷属となって一週間が経ち、俺は悪魔の仕事に明け暮れていた。初めは悪魔を召喚するためのチラシ配りから始まり、それを数日こなしたら実際に依頼者のもとに趣いて契約を結んでいた。まあ、契約を結ぶといっても全部が全部上手くいったわけではないけど。叶えられなかった願いも結構な数ある・・・・中には無茶振りもあったから仕方がないと言えば仕方がないが。
ただ、驚いたのは召喚者の中にミルたんがいたことだな。筋肉隆々ながっしりした体型に似合わず、魔法少女を夢見る
(ミルたん・・・・・本当に人間なのか?)
(それについては俺も同感だ。あれは人間を超越した何かだとしか思えない)
二天龍であるドライグにここまで言わせるんだもんなぁ・・・・ミルたんおそるべし。
「一誠?」
俺がミルたんのことについて考えていると、部長が声を掛けてきた。
「と、すみません。ちょっと考え事を」
「そう。ところでどうかしら?悪魔の仕事には慣れたかしら?」
「まあ一応。最近は日の光を浴びても辛くなくなってきましたし、自分なりにはそこそこやれていると思いますよ」
「それはなによりだわ。これからも一層励みなさい一誠」
「はい」
俺の頭を撫でながら言う部長。部長は事あるごとに俺の頭を撫でてくる。あんまり撫でてくるものだから、最近は恥ずかしさが薄らいできた。正直結構心地いいし。
(ふっ)
(ドライグ?なんだその意味深な笑みは?)
(いいや、なんでもないさ。ただ、クールを通り越してドライなお前にそう思わせるとはリアス・グレモリーも中々やるものだと思ってな)
こいつ・・・・・俺を弄れると思ってやがるな。愉快そうな声出しやがって。
「一誠?渋い顔してどうかしたかしら?もしかして嫌だった?」
「いえ、そういうわけではありません。ただ、ちょっとドライグが・・・・・」
「ドライグがどうかしたのかしら?」
「部長が気にすることではないですよ」
ドライグに弄られて困ってますだなんて言えるはずないからな。
「そう。ならいいけれど・・・・・それにしても・・・・」
「どうしました部長?」
「いえ、前から思っていたのだけれど『一誠』ってちょっと呼びにくいわよね」
ッ!?
「そ、そうでしょうか?」
「ええ。ちょっとだけ言いにくいわ」
「あ、それ僕も思っていました」
「・・・・私も」
「私もどちらかといいますと・・・・」
部長だけでなく、木場も小猫も朱乃先輩もそう思っているのか、同意してくる。これは・・・・良くない流れだ。
「そうだわ。これからはあなたのことを『イッセー』って・・・・」
「やめろ!」
「「「「!?」」」」
俺はつい部長の言葉を遮るように叫んでしまった。その場にいた全員が目を丸くして俺の方をみてくる。
「声を荒げてしまってすみません。でも、そう呼ばれるのは昔から好きじゃなくて・・・・」
「そうだったのね・・・・・ごめんなさい」
「いえ、こちらこそ。呼びにくいかもしれませんがこれからも『一誠』でお願いします。では、今日はこれで失礼しますね」
居心地が悪くなってしまったので、俺は足早に部室から出て行く。俺のあとを追ってくる者も、引き止める者も誰ひとりとしていなかった。
「・・・・・はあ」
(露骨に落ち込んでいるな。そんなに昨日のことを気にしているのか?)
(ああ・・・・まあな)
公園のベンチで座りながら、昨日のことを思い返して俺は自己嫌悪に陥る。あんな態度を主である部長にとってしまうなんて・・・・・けど、仕方がない。『イッセー』と呼ばれるのは嫌なんだから。
(やはり、『イッセー』と呼ばれるのは嫌か?)
(ああ。嫌だよ)
『イッセー』と呼ばれる度に、俺はいつも酷い罪悪感に苛まれる。だから俺はそう呼ばれるのが嫌で嫌で仕方がなかった。
その理由にはおおよそ検討はついている。おそらく『イッセー』というのは元々、本来の『兵藤一誠』が呼ばれるはずだったあだ名。本来ここにいるはずだった本物の『兵藤一誠』がそう呼ばれているからだろう。
だからこそ、俺は罪悪感に苛まれるのだと思う。なんで俺がここにいるんだと。なぜ本物の『兵藤一誠』を押しのけて俺のような偽物が存在してしまっているのか・・・・と。
偽物である俺がここにいて何ができるというのか?
偽物である俺が本物の代わりになるというのか?
そもそも偽物である俺がここにいていいのか?
なんで俺が・・・・・俺なんかが・・・・・
(随分とまた馬鹿なことを難しく考えているようだな。お前の苦悩、俺にもヒシヒシと伝わってくるぞ)
(馬鹿なことだと?)
(ああそうだ。本物も偽物もない。お前はここに居る一個の生命だ。この場にいてはならない理由など一切ないはずだ)
ドライグはおそらく俺のことを思って言ってくれているのだろう。だが、それでも俺にはその言葉は響かない。
(それはお前の理屈だよドライグ。俺の理屈は違う。俺は本物の『兵藤一誠』を押しのけて生まれてきてしまった偽物の『兵藤一誠』だ。存在していい理由はない)
(お前の家族や友人が聞いたら悲しむな)
(悲しまないさ。どうせ戯言だと呆れられる。誰も信じやしない)
俺は自分が偽物だと自覚している。だが、それを証明する術はない。誰に言っても戯言と思われるに決まっている。
(お前は変わらないな。俺がなんといおうと、自分を偽物としか扱わない。いつも疎外感と孤独感に苛まれている。今でこそリアス・グレモリーの眷属であるおかげでマシになってはいるが、自分を平気でないがしろにする。それこそ頼まれたからという理由であの堕天使に望んで殺されたのがいい証拠だ)
(悪いなドライグ。こればっかりは変えることはできないよ。俺は自分の罪を忘れる訳にはいかないからな。それと、夕麻に殺されたのは自分をないがしろにしているからじゃない。夕麻の頼みだったからだ)
いくら自分をないがしろにしているといっても、誰に頼まれても潔く殺されるというわけではない。夕麻の頼みだったから・・・・・だから俺は殺されたんだ。
(あの女のこと・・・・・本気で好きだったのか?)
(ああ、好きだったよ。夕麻といると、疎外感や孤独感が薄まるような気がした。あいつといると楽しくて、心が暖かくなって・・・・・この世界にいて良かった、この世界で生きていきたいと思えたんだ)
そう思わせるほど夕麻のことが好きだった。人間じゃないってわかっていたけど、それでも好きだった。たとえ俺を殺す目的で近づいてきたとしても、それでも好きだった。夕麻は俺を殺した。それでも好きだった。
いや・・・・『だった』ではない。俺は今もあいつを・・・・・夕麻のことを・・・・・
(相棒・・・・お前は・・・)
「はうっ!?」
ドライグが何か言おうとしたその瞬間、俺の耳に可愛らしい少女の悲鳴が聞こえてきた。声のした方に視線を向けると、金髪の少女が派手にすっ転んでいた。
「・・・・大丈夫か?」
あまりにも盛大な転びっぷりだったので、見過ごすことができずについ近づいて手を差し出してしまう。近づいてみてようやく気がついたが・・・・少女はシスターの格好をしていた。
「あ、はい。ありがとうございます」
俺の手をとり、立ち上がった少女は微笑みを浮かべながら俺に礼を言ってくる。
少女の微笑みは、まるで天使のように愛らしいものだった。
主人公である一誠さんの性格がかなり面倒くさい・・・・・
この一誠さんは原作イッセーさんのことは知りませんが、それでも違和感や疎外感、孤独感、罪悪感等を感じるという理由で『イッセー』という呼び名は自分のものではないと思っています
他にも変なところで本来の『兵藤一誠』と比べていますので・・・・・今後もこんな面倒くさい感じが随所で見られますのでご注意を
それでは次回もまたお楽しみに