『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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今回はサーゼクスさんとのお話

わりとシリアスになるかな?

それでは本編どうぞ


第49話

「リアスの幼少時はそれはもう可愛かったですよ。何かあるたびにお兄様お兄様と言って私のあとをついてきまして」

 

「それは確かに可愛らしい。うちの一誠なんて昔から無愛想でしたからね。まあ、私達夫婦の手伝いを自ら買って出るほどいい子でしたが」

 

「それはそれは」

 

「「・・・・・はあ」」

 

俺と部長は目の前の光景に思わずため息を吐いてしまった。うちで泊まってもらおうとサーゼクス様とグレイフィアさんを連れてきたのだが・・・・・サーゼクス様が父さん意気投合して、酒を飲みながら俺達の幼少期の話をし始めてしまったのだ。それも俺と部長を目の前にしてだ。

 

「なんというか部長・・・・・すみません」

 

「いえ、いいのよ・・・・・こうなることは覚悟していたから」

 

サーゼクス様を連れてきた手前、部長に対して非常に申し訳ない気持ちに陥った俺は部長に謝罪する。部長はそれを受け取るが、やはり恥ずかしいのか顔はほんのり赤かった。かくいう俺も頭が痛い。

 

なお、母さんとグレイフィアさんも二人で何やら話をしている。話の中で俺と部長の名前が何度も出てきていたが・・・・・詳しい内容を知ってしまえばさらに頭痛が増しそうな気がしたから、こっちの方は可能な限り聞かないようにした。

 

「えっと・・・・・お二人共大丈夫ですか?」

 

「ああ・・・・・大丈夫だよアーシア」

 

「ええ。心配してくれてありがとう」

 

あまりにもいたたまれなく見えるのか、アーシアが心配そうに尋ねてくる。返事を返す俺と部長だが、それは自分でもわかる程に力のないものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ。君のお父さんは実にいい方だ。ここまで話が弾んだのは久しぶりだよ」

 

「はあ・・・・それは何よりです」

 

父さんとの酒宴を終えたサーゼクス様を、俺は自分の部屋に連れてきた。なんでも俺と話がしたいとかで俺の部屋で一夜を越すことになったのだ。ちなみにグレイフィアさんは部長とともにアーシアの部屋で過ごすことになっている。

 

「それはそうと・・・・・一誠くん、アザゼルにあったそうだね」

 

サーゼクス様は神妙な面持ちで俺に尋ねてきた。ここからは真剣な話だということか。

 

「ええ。といっても危害を加えられたということはありませんが」

 

「そうか・・・・彼は神器(セイクリッド・ギア)への関心が強い。君に接触したのも君の神器、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)に興味を示しているからだろう」

 

「・・・・・本当にそうなんでしょうか?」

 

「え?」

 

「・・・・・いえ、なんでもありません」

 

サーゼクス様には誤魔化したが、俺にはアザゼルの興味が俺の赤龍帝の籠手に向けられているとは思えなかった。あのひとの目は俺に真っ直ぐに向けられていた。しかもあの目は・・・・・身内に向けるような目だ。どうしてそんな目を俺に向けてくるのかはわからない。だが・・・・なぜかそれ自体は悪い気はしないし、俺もまた、なぜかアザゼルのことが少し気になってしまっていた。

 

「まあ、彼は神器への関心が強いだけで危険な男ではないのは確かだよ。なにせ過去の大戦では最初に戦から手を引いたのは堕天使だったぐらいだからね」

 

「・・・・だからこそそんなアザゼルに反発してコカビエルは独断で戦争を始めようとしたんでしょうね」

 

「そうだろうね・・・・・一誠くん、君は堕天使のことをどう思っている?」

 

「どう・・・・といいますと?」

 

「コカビエルの名を出したとき、君からは憎悪を感じたからね。コカビエルのことだけじゃない。君は堕天使に殺されて悪魔になった。君の人生は堕天使によって狂わされたといっても過言ではない。だから、聞くべきではないとわかってはいるが、気になってしまってね」

 

俺の人生は堕天使によって狂わされたか・・・・・傍から見るとそう思えるんだろうな。だが・・・・・

 

「・・・・別に、俺は堕天使に人生を狂わされただなんて思ってはいませんよ。結果として悪魔に転生してしまいましたが、それでも俺はあの時殺されたことに対して怒りや憎しみを抱いていません。コカビエルにしても、あれは俺が個人的にコカビエルに対して憎しみを抱いただけです。現状敵対関係にあるとはいえ、堕天使という種族に対して悪感情を抱いてはいませんよ」

 

俺が堕天使に対して憎しみを抱くなんてことはありえない。堕天使に憎しみを抱くということは・・・・・レイナーレに憎しみを抱くことと同義なのだから。

 

それにしても・・・・・

 

「わざわざそんなことを俺に聞くのは、レイナーレの件があるからですか?」

 

「・・・・やはり見透かされてしまっていたか」

 

サーゼクス様の返答は、肯定を示すものだった。

 

「すまないね。触れてはいけないとは思ったのだけれど、それでも私はどうしても気になってしまったんだ。君はリアスの眷属だからね」

 

「魔王としてではなく部長の兄として部長のために俺と気にかけているということですか?」

 

「まあそうなるね。私は自分でも自覚できるほどにシスコンというやつだからね」

 

自らシスコンを自称するとは・・・・・サーゼクス様は随分と妹思いな方のようだ。

 

「正直に答えてくれ一誠くん。君はリアスのことをどう思っている?」

 

部長のことをどう思っている・・・・か。

 

「仕えるべき・・・・忠義を尽くすべき我が主。そう思っています」

 

「なるほど。その忠義は疑いようのないものだろう。だからこそ聞こう・・・・・君はリアスに敬意を抱いているかい?」

 

「それは・・・・・」

 

答えられなかった。きっとサーゼクス様はわかった上で聞いているのだろう。俺が部長に・・・・・敬意を抱いていない、敬意を抱くことができずにいることを。

 

別に部長に原因があるわけではない。これはきっと俺の問題だ。俺自身が、部長に対して一定以上の感情を抱くことを自ら避けてしまっているからだ。部長は・・・・・俺にとって身近な女性の一人だから。

 

「リアスは君に特別な感情を抱いている。きっかけはライザーくんとのレーティング・ゲームだろう」

 

「・・・・・・ええ。知っています」

 

部長から向けられている感情・・・・・それがどういったのものなのかは理解している。理解していながら俺は気づかないふりをしている。その感情は決して受けいれられるものではない・・・・・気づかないことにしておいたほうがいいと思ったからだ。

 

そしてそれは部長に限った話ではない。アーシアもそうなのだと思うし・・・・・そしてあいつも・・・・イリナも・・・・・

 

「知っていながらそれから目を背けていることに対しては何も言わないよ。その辛さは私では想像もつかないほどのものだろうからね。だが・・・・・・それでも忠告はさせてもらうよ。今のままではいずれ君とリアスの間で亀裂が生じてしまうかもしれない。それは君とリアスに破滅をもたらす可能性さえある」

 

「・・・・そうならないように気をつけろと言いたいのですか?」

 

「まあ、そうなるね。責めるつもりはないけれど、問題は君にある。これは兄としてリアスをかばっているわけではなく、客観的な見解だ。君のあり方、考え方は異常性を孕んでいると言わざるを得ないからね。君が何を抱えているかまでは聞き出すつもりはないけれど・・・・・・・リアスを苦しめるのなら私は君を許すことができない。たとえ君がリアスが愛する眷属だとしてもだ」

 

真っ直ぐに俺を見てくるサーゼクス様。その瞳からは凄みさえ感じ・・・・・思わず恐怖心を抱きそうにもなる。

 

「君は今代の赤竜帝だ。我々悪魔としては伝説のドラゴンの力を持つ君のことは優遇させてもらう。だが、それとさっき言ったことは別問題だ。どうか君に・・・・・私の怒りの矛先が向かないことを願っているよ」

 

「・・・・はい。お心遣いありがとうございますサーゼクス様」

 

妹を思う兄の忠告を、俺は受け入れた。

 

本当に部長は愛されているな・・・・・・果たして俺は、サーゼクス様の怒りを買うことなく眷属としてやっていけるだろうか?

 

・・・・いや、関係ないな。俺は部長の眷属。部長への忠義を尽くすのは俺の生きる目的の一つ。

 

だったら俺は・・・・・ただこの忠義を抱き続けるだけだ。

 

たとえ何があろうとも・・・・・この忠義を




一応言っておきますがサーゼクスさん別に一誠さんに対して抱いている感情は心配が主です。だからこそ、ああいう忠告をしたわけですので

まあ、一誠さんの方が色々と異常で不安定なので問題山積みなのですが・・・・

それでは次回もまたお楽しみに!
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