『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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今回は珍しく徹頭徹尾ギャグ展開でお送りします

それでは本編どうぞ


第52話

 

今日は待ちに待っていない授業参観の日だ。正確には中等部の生徒も授業を見に来るため、公開授業ということになっているのだが、まあそんなことはどうでもいいだろう。

 

いい歳した高校生が家族に授業を見られるなど、恥辱以外の何物でもない。この日は一年の学校生活の中で間違いなく最悪な日であると言えるだろう。

 

それだけでも頭が痛いというのに・・・・・・

 

「いいですかー?今日、皆さんには配った紙粘土で好きなものを作ってもらいます。人でも動物でも物でもなんでも構いません。ありのままに思いついたものを表現する・・・・・そういう英会話もある」

 

授業の内容がこれである。そういう英会話もある?ねえよそんな英会話。こんなのよの英語教師が聞いたら目を丸くして驚くわ。

 

だめだ、マジで頭が痛くなってきた・・・・・・・

 

「アーシア、一誠。頑張りなさいよー」

 

「いやぁ、アーシアちゃんは可愛いなぁ」

 

おしてさらに、俺の頭痛に追い打ちをかけるように我が両親の声援が聞こえてくる。そんな教室中に聞こえるような声量とかマジで勘弁してくれよ。恥ずかしくて顔から火が出るわ。そして我が父よ、別に構いやしないがあんたの関心はアーシアにしか向いていないのか。まあ、俺に向けてほしいとも思っちゃいないが。

 

(相棒ならその気になれば口から火ぐらいは吐けそうだがな)

 

(ごめんドライグ、今お前の対応ができそうにないから黙っててくれ)

 

茶化すように言ってくるドライグをひとまず俺は黙らせた。でも口から火ね・・・・・・・今度試してみるか。『赤龍の息吹(ドラゴン・ブレス)』といったところだろうか。

 

いや、そんなことよりも今気にするべきことは・・・・・・・・

 

「ほう、これが日本の学校の授業か。中々破天荒なことやってんだなぁ」

 

なぜか保護者達の中に混ざっている堕天使総督アザゼルについてだ。いやいやいや、マジでなんであんたここにいるの?この学校で三種族会談が行われるからその下見で学校に居るっているのは百歩譲って理解できるけど、授業を見る必要はないだろ?まじあのひと何考えてるんだよ・・・・・・

 

「おーい、兵藤一誠。せいぜい面白いものを作って俺を楽しませてくれよ?」

 

しかも俺を名指ししてくるし。こいつマジでなんなの?

 

「あら?あなたうちの一誠とお知り合いですか?」

 

「ん?ああ、まあ色々世話にはなってるな。もしかしてあいつの・・・・・・」

 

「ええ、母親です」

 

「おお、そうか。いやぁ、なかなかいい息子を持ったな」

 

「そうなのよ。あの子は私の自慢の息子で・・・・・・」

 

待て待て待て待て。なんでアザゼルと会話を弾ませてるんだよ我が母よ。そしてアザゼルもアザゼルでなんで普通に受け答えしてるんだよ。もういい加減俺はキャパオーバーで頭痛どころか意識が飛びそうな勢いだぞ?

 

「おや、一誠くん、手が止まっていますよ?どうしました?」

 

「・・・・・・・いえ、大丈夫です。ちゃんと作ります」

 

あまりの事態に粘土を弄る手が止まってしまい、先生から指摘されてしまった。ひとまず先生に返事を返し、俺は作業に没頭することにした・・・・・・・これ以上後ろの連中のことを考えると気が変になりそうだしな。

 

だが、好きなものを作れと言われても困るんだよなぁ。少しぐらい制約や制限を決めてくれた方がむしろ作りやすいというのに。無難なところでドラゴンでも作ろうかなとも思ったが、そんなもの作ったら中二病認定されかねないし・・・・・・・どうしたものか。

 

まあ、とりあえずは自分の好きなものについて考えてみるか。好きなもの好きなもの・・・・・・

 

『一誠くん』

 

・・・・・・ちょっと待て。なんで今イリナのことを思い浮かべた?なんで好きなもので真っ先にイリナ?ほかに色々とあるだろうが・・・・・・・って、この言い方じゃイリナが好きだって認めてるみたいじゃねえか。

 

確かにあいつの活発なところは嫌いではない。昔はやんちゃばかりしていたが、そんなあいつと一緒にいるのがなんだかんだ楽しいと思っていたからこそよく遊んでいたわけだしな。だからこそ、あいつが引っ越すときは少し寂しいと感じてしまったが・・・・・・

 

『大人になったら私と結婚してくれる?』

 

待て待て待て待て。なんでここでそのことを思い出す?関係ないだろマジで。

 

いや、まあ・・・・・確かにあいつは、イリナは可愛くなった。容姿関しては昔と比べてかなり女っぽくなったと言えるだろう。すらっとしてるし胸もいい具合に大きくなっているし。昔のやんちゃさや思い込みの激しいところはあまり変わっていないように思えるが、それでもまあ、元々イリナのそういうところは好ましいと思っていたところだったから別に嫌ではない。

 

「お、おお。これは・・・・・・・」

 

「ん?」

 

イリナについていろいろと考えを巡らせている俺の耳に、なぜか先生の関心したかのような声が聞こえてきた。

 

「す、素晴らしい・・・・・・・どうやら私は一人の生徒の秘めたる才能を開花させてしまったようだ」

 

「先生?いったい何を・・・・って、なにこれ?」

 

そこで俺はようやく気が付くことができた。俺の机の上にある・・・・・・これ以上ないと思えるほどに精巧に作られたイリナの像に。

 

「ちょ、待って。え?これ俺が作ったのか・・・・・・・?」

 

マ、マジか?まさかイリナのことを考えていて無意識に手が動いてしまったというのか?だとしたら正直自分で自分に引くのだが・・・・・・・

 

「い、一誠。まさかお前にこんな趣味があったとは・・・・・いや、そんなことより一誠、この美少女はいったい誰だ?俺の知る限りこんなアイドルやアニメのキャラはいないのだが・・・・・・」

 

「けど本当に可愛いな・・・・・・・まさか一誠、お前こんなに可愛い知り合いがいるのか?」

 

なんか元浜と松田が食いついてきたし。二人とも女に飢えているのは知っているが、できれば触れてほしくなかった。どうにか適当にはぐらかせないものか・・・・・

 

「ほう?これはイリナか。上手くできているな」

 

・・・・・・適当にはぐらかそうと思っていたのに、ゼノヴィアが余計なことを言ってしまった。元相棒のこととはいえ、そんな食いついてこなくてもいいのに・・・・・・

 

「やっぱりこの子は実在するのか!?くそっ、一誠め・・・・・・なんでお前の周りには美女美少女が集まるんだ!」

 

「元浜の言う通りだ!お前ばっかりずるいぞ!」

 

いや、そんなこと言われても困るんだが・・・・・ぶっちゃけ知ったことじゃないし。

 

「くそぉ、本当に羨ましい・・・・・・・五千円」

 

「あ?」

 

「五千円だす!だからこれを俺に譲ってくれ!」

 

「待て元浜!こいつは俺がもらう!俺は六千だすぞ!」

 

「なら俺は七千だ!」

 

「八千!」

 

なぜかいきなりオークションが始まってしまった。こいつら、金を出してまでこれが欲しいのかよ・・・・・・・なんかここまで飢えてるの見ると哀れすぎてこっちが悲しくなってくる。

 

だが・・・・・・

 

「お前ら一応聞くが、これを買ってどうするつもりなんだ?」

 

「「そんなの夜のお共にするにきまってるだろ!」」

 

「・・・・・・・あ?」

 

その時、俺の中で何かが『ブチッ』と音を立ててちぎれた気がした。そして・・・・・・俺は自らの感情に従い、松田と元浜の頭を鷲掴みにして思い切り指に力を込めた。

 

「「いだだだだだだだだっ!?」」

 

「松田、元浜・・・・・・・あんまりふざけたこと言うと頭握りつぶして脳髄まき散らすぞ?」

 

「いつも以上に超辛辣ぅぅぅぅ!?」

 

「わ、わかった!もうあの像のことは諦めるから手を放してくれぇぇぇぇぇ!?」

 

よほどの痛みなようで、涙目になりながら絶叫する松田と元浜。

 

こうして、英語という名の工作の授業は、混沌とした空気の中で終わりを迎えた。

 

 




こんな展開になったのは私(作者)の責任だ・・・・・・・・だが私は謝らない

ここまでポンコツというか、はっちゃける一誠さんも珍しい・・・・・・・まあイリナさんが関わってるからしょうがないね

それでは次回もまたお楽しみに!

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