『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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今回はあの原作キャラが登場します

まだ一誠さんとの絡みは少ないですが・・・・・・

それでは本編どうぞ!


第55話

「ここにもう一人の僧侶(ビショップ)が・・・・・」

 

部長とグレモリー眷属の全員で、旧校舎にある部屋の前に訪れた。部屋には『KEEP OUT』と書かれたテープが張られている。このテープは封印の役割を果たしているようで、中からも外からも簡単には出入りできないようになっているらしい。

 

「部長、その僧侶はなぜこの部屋に封印されているのでしょうか?」

 

「ここにいる僧侶の能力、素質があまりにも強すぎるためよ。私では扱いきれないと判断されて封印されているのだけれど、先のコカビエルの一件で私達のことが評価されて、封印を解くことを許可されたの」

 

コカビエルの一件が原因でか。俺にとっては忌まわしい一件だったが、それが原因でここの僧侶の封印が解かれると思うと複雑な気分だ。

 

「封印ということは、自由は完全に奪われているのでしょうか?」

 

「いいえ、そんなことはないわ。封印というよりは、ここに住んでいると言った方が正しいかもしれないわね。あこの部屋の中での動きは何も制限されていないし、夜になれば旧校舎の中なら自由に動き回れるから」

 

「え?ですが旧校舎の中でその僧侶に会ったことはないのですが・・・・・・」

 

「本人がこの部屋から出ることを拒否しているの。強力な力を持ってはいるけれど、臆病な子なの」

 

いわゆる引きこもりというやつなのだろうか?まあ、そのこと自体は本人の問題だから否定するつもりはないが。

 

「ただ、中にいる子は実は眷属の中で一番の稼ぎ頭だったりするのですよ」

 

部屋の中の僧侶について、朱乃先輩が追加で補足説明をし始める。

 

「パソコンを使った特殊な契約でかなりの業績を上げていますの。契約者の中には直接悪魔と会いたくないという者もいて、そういった方を相手にすることを得意としているのですよ」

 

ふむ、パソコンを使ってか。悪魔も最新機器を活用する時代になったということか。まあ、そういう技術を否定してしまえば、悪魔といえど時代の波に取り残されて色々とやりづらくなってしまうのだろう。

 

「さて、それじゃあ扉を開けるわよ」

 

朱乃さんと話をしている間に、封印を解いてテープを剥がした部長が扉に手をかけて開く。

 

その瞬間・・・・・・

 

「イヤァァァァァァァァ!!」

 

部屋の中から甲高い声が聞こえてきた。

 

「ごきげんよう、元気そうで何よりよ」

 

「な、ななななんで封印が解けてるんですか!?何事ですか!?」

 

「ふふふ、封印を解く許可が下りたのですよ。さあ、一緒に外に出ましょう」

 

「嫌ですぅぅぅ!!外になんて出たくありません!人に会いたくありません!」

 

部長と朱乃先輩が声をかけるが、非常にパニクった様子で、それでもはっきりと外に出ることを拒否している。これは何というか・・・・・・筋金入りにもほどがある。

 

「い、一誠さん。大丈夫でしょうか?」

 

「・・・・・・とりあえず入ってみよう」

 

あまりもの拒否っぷりに、少々あっけにとられているアーシアを伴って、俺は部長達に続いて部屋に入る。

 

部屋に入った俺達の目に映るのは、駒王の女子制服を着た、金髪の小柄な美少女であった。

 

「彼女がもう一人の・・・・・・僧侶はアーシアとそろって金髪コンビみたいだな」

 

「はい」

 

「いいえ。一誠、アーシア・・・・・・・この子は紛れもなく男の子よ」

 

「「・・・・・・・え?」」

 

部長の発言に、俺とアーシアは思わず気の抜けた声を出してしまった。

 

どうやら、このそこらの女の子よりもよっぽど可憐で、小猫並に小柄なもう一人の僧侶は男の子・・・・・・・男の娘であったようだ。

 

「・・・・・・なぜ女子の制服を着ているのですか?」

 

「女装趣味があるのですよ」

 

俺の疑問に、朱乃先輩が微笑みを浮かべながら答えた。外見もさることながら、自分からも寄せに行っているのかこいつは。

 

(まあいいや。とりあえず初対面なんだから挨拶を・・・・・)

 

「ひいぃっ!?」

 

・・・・・・挨拶をしようと少し前に出たら、おびえた様子で後ずさりされてしまった。

 

「・・・・・・皆、自覚はあるんだけど俺ってやっぱり目つき悪いのかなぁ?」

 

「い、いえ。そんなことは・・・・・・・」

 

「一誠の目には確かに凄みがあるな。目を見ただけで内に秘めた強さが窺い知れるほどだ」

 

アーシアは否定してくれたが、ゼノヴィアは少しずれているが目つきの悪さを肯定するかのような発言をした。まあ、アーシアもかなり歯切れ悪く言っているから否定になってはいないのだが。

 

「ギャスパー、この3人はあなたがここにいる間に増えた新しい眷属で兵士(ポーン)の一誠、騎士(ナイト)のゼノヴィア、そしてあなたと同じ僧侶のアーシアよ」

 

「新しく人がいっぱい増えてるぅぅぅぅ!?」

 

部長が俺達のことを紹介するが、やはり怯えてしまっている。この様子じゃ、俺たちの名前をちゃんと覚えられていないんじゃないだろうか?

 

ともかくこのままでは埒があきそうにない。やっぱりこっちから歩み寄ってみた方がよさそうだな。

 

「落ち着け。別に取って食おうってわけじゃないんだ。ただ同じ部長の眷属として、話をさせてほしくて・・・・・」

 

「こ、来ないでくださいぃぃぃ!!」

 

「ッ!?」

 

『BOOST!!』

 

彼が激しく拒絶した瞬間、妙な悪寒を感じた俺は反射的に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を発動してしまった。

 

「な、なんだ?今の・・・・・・?」

 

「ひいぃっ!?な、なんで動けるんですかぁぁ!?」

 

「え?」

 

なぜか俺を見て、酷く動揺していた。

 

なんで動けるか・・・・・その言葉の意味が気になり、ひとまず周囲を見渡して俺は気が付いた。部長達が、まるで

()()()()()()かのように微動だにしないからだ。

 

(ドライグ、これって・・・・・・)

 

(おそらくこの者の神器(セイクリッド・ギア)の力だろうな。お前が動けるのは、赤龍帝の籠手()の力で打ち消したからだろう)

 

ドライグに確認を取った後、俺は女装僧侶の方へと視線を向ける。

 

「ううっ・・・・・ご、ごめんなさい」

 

怯えた目で俺を見ながら謝罪してくる女装僧侶。この目は・・・・・・なるほど。どうやらこいつは、自分の力を恐れているようだ。

 

「謝罪はいらない。それよりも、皆を動けるようにしてやってくれ」

 

「え?あ、それは・・・・・・・たぶん、時間がたてば・・・・・・」

 

(たぶん・・・・・か。こいつ、自分の力を制御できていないのか)

 

数秒後、あいつの言う通り、部長達は動けるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)。それがあの子の神器の名前よ」

 

あのままではまともに話もできないからと俺達はひとまず部室に戻り、そして部長からあの僧侶の神器のことを聞かされた。

 

「視界に入った全ての物体の時間を一定の間止めてしまう神器。あの子はその所有者なのだけど・・・・・」

 

「力をうまく制御できていないと?」

 

「ええ。興奮すると本人の意思を無視して発動してしまうみたいなの。しかも、その効果は急速に高まっている。一誠はどうにか打ち消すことができたようだけれど、主の私でさえも容易に止めてしまうわ」

 

なるほど、部長でさえ止められてしまうから、扱いきれないだろうと封印されていたというわけか。まあ、そもそも本人が外に出たがっていないようだが。

 

「ギャスパー・ヴラディ。それがあの子の名前。私の僧侶で一応駒王学園の一年で、人間と吸血鬼(ヴァンパイア)のハーフよ」

 

吸血鬼・・・・・・どうやらあいつは元から純粋な人間ではなかったようだ。まあ、人間の血が入ってるから神器を宿しているのだけれど。

 

それにしても・・・・・・

 

「あれだけ強力な力を持った者を、僧侶の駒一つで眷属にできるものなんですか?」

 

ギャスパーの能力はあまりにも強力だ。対象の時を止めるなど、戦闘でうまく使えば勝利が確定するのと同義だからな。だからこそ、そんな能力を持ったあいつを駒一つで眷属にできたとは思えない。俺に兵士の駒8つ使ったように、ギャスパーにだって複数駒を使われて然るべきだ。

 

「ギャスパーの駒は変異の駒(ミューテーション・ピース)という特殊な駒なのよ」

 

「変異の駒?」

 

聞いたことのない言葉に、俺は首を傾げた。

 

「通常の駒とは違って、明らかに複数駒を必要とする相手でも一つの駒で悪魔への転生を可能とする特殊な駒よ。私は僧侶の変異の駒を持っていて、ギャスパーにはそれを使ったの」

 

「なるほど・・・・・・そういう駒もあるんですね」

 

「ええ・・・・・それほどまでにギャスパーの才能は凄まじいの。神器の力は日々高まって将来的には禁手(バランス・ブレイカー)に至ると言われている。それ以外にも吸血鬼の能力を有していて、魔術にも秀でているから潜在能力で言えば一誠にも引けを取らないと言って過言ではないと私は思っているわ。ただ、本人があの調子では・・・・・・どうしたものかしらね」

 

秘められた能力とは裏腹に、臆病な性格ゆえに引きこもりがちなギャスパーに対して、部長は頭を悩ませているようだ。

 

だが・・・・・俺はむしろ少し安心していた。あれほどの力を有していながら、臆病である・・・・・自らの能力に恐れを抱いているギャスパーに。

 

だからこそ、部長への忠義を尽くすためにも・・・・・・ここは俺が出張ってみよう。

 

「部長・・・・・・ギャスパーのことは俺に任せてもらえませんか?」

 

 




何気に目つきが悪い子をと気にしている一誠さん。彼も人並みにそういうことを気にしたりしています

そして次回は原作にはなかった一誠さんとギャスパーさんの一対一のお話しになります

はてさてどうなるか・・・・・・

それでは次回もまたお楽しみに!
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