内容はまあ・・・・・うん
それでは本編どうぞ!
「ほら頑張れギャスパー。あとラスト5kmだぞ」
「はあ・・・・ひい・・・・な、なにをもって5kmがラストなんですか一誠先輩ぃぃぃ」
早朝4時。俺はギャスパーと共に走り込みをしていた。まだほんの15kmほどしか走っていないのだが、ギャスパーは息も絶え絶えにひいひい言っている。
「も、もうだめ・・・・・死んじゃう・・・・・」
「安心しろ。人はそこまで簡単には死なん」
「ぼ、僕はハーフヴァンパイアで悪魔ですぅ・・・・・」
「と、そうだったな。なら人間よりももっと簡単には死なん。だからファイト」
「一誠先輩の鬼ぃぃ・・・・」
「何を言っているんだギャスパー。俺は鬼じゃなくてお前と同じ悪魔だぞ」
俺に向かって批難の声をあげるギャスパーをあしらいつつ、俺は足を止めずに走り続ける。ギャスパーもまた、なんだかんだ言いながらも必死に食らいついてきた。
頑張れギャスパー。これも必要なことなんだ。
「あ、ギャスパー。走り込みが終わったら今度は筋トレだからな」
「やっぱり一誠先輩は鬼だぁぁ・・・・・」
「おーい、ギャスパー。大丈夫か?」
「・・・・・・・」
走り込みを終え、うちの近くの公園にやってきた俺達だが、着くなりギャスパーは倒れ伏してしまった。どうやらギャスパーの体力では20kmのマラソンは相当きついらしい。
「仕方ない・・・・・とりあえず10分だけ休憩にするから、その間に十分に体力を回復させておけ。短時間で体力を回復させることも修行の一部だと思えよ」
「・・・・・・はい」
蚊の鳴くようなか細い声ではあるが、ギャスパーはきっちりと返事を返してきた。
「これは・・・・・・・・むごいわね」
「あ、部長」
とりあえずギャスパーが休憩している間に、俺は筋トレを始めようかと思っていたら、部長が現れた。部長は倒れ伏すギャスパーに対して憐みの目を向けている。
「一誠・・・・・あなたギャスパーに一体何をさせたの?」
「ただ20kmほど走り込みをしただけですよ?」
「20kmって・・・・・一誠、部屋にこもりきりだったギャスパーにいきなりそれは厳しいと思うわよ?」
「そうですか?これでも結構緩くしたんですけどね・・・・・はじめは10kgの重りをつけて走らせようと思っていましたし。まあ、ギャスパーが本気で拒否していたのでやめましたけど」
「当然よ。そんなことしたらギャスパー死んじゃうわよ」
いやいや、さすがに死ぬは言い過ぎだろう。ただまあ、今よりもはるかに体力を消耗させることになってはいただろうけども。
「でも20kmって・・・・・ギャスパーはともかく、あなたそれで満足できるのかしら?確かあなたいつもは10㎏の重りをつけてその2倍近くは走ってたわよね?」
「ああ、それなら大丈夫ですよ。重りを3倍にしたので」
「それでたいして消耗もしてないのね・・・・・一誠、やっぱりあなたとんでもないわ」
なぜか呆れたような目で、俺を見てくる部長。別にこれぐらい大したことないのに・・・・・・色々と解せないな。
「まあ、それはそうとして一誠。この修行って本当に意味があるのかしら?」
「と言いますと?」
「ギャスパーの一番の問題は
どうやら部長はこの修行に疑問を抱いているらしい。まあぱっと見、神器とは関係なさそうに見えるからそう思われても仕方がないのだが。
「意味ならありますよ。ギャスパーが神器の能力を使いこなせないのはおそらく自分に対する自信のなさが原因の一端だと俺は思っています」
「自分に対する自信のなさ?」
「はい。ギャスパーは自分に対して圧倒的に自信を持てていない。その自信のなさのせいで神器をうまく使いこなせないと思い込む要因になっているんだと思います。だから俺はまずギャスパーに身体的なトレーニングをさせているんですよ。トレーニングで身体的に強くなればそれが自信に繋がるでしょうからね」
「なるほど・・・・・まあ、わからないでもないわね」
一応今の俺の説明で部長は納得してくれたようだ。
「それとまあ、ギャスパーを外に出すことに慣れさせるのも目的の一つです。いきなり白昼の町中に出したら戸惑うでしょうけど、深夜なら人気はほとんどありませんから、慣れさせるのにはちょうどいいと思いまして」
「そうね・・・・・人の多い昼間に町に出したら下手したらパニックを起こしかねなかったでしょうし、深夜ならちょうどいいかもしれないわね。安心したわ。一誠、思ったよりもギャスパーのこと考えてくれていたのね」
「思ったよりって・・・・・・部長、俺のこと薄情だと思ってたんですか?」
「あっ、いや、違うのよ。ただ、一誠ってあまり面倒見がよさそうじゃないというか、我が道突き進むタイプに見えるというか・・・・・」
部長・・・・まったくフォローになってないよ。目が泳ぎまくってるし冷や汗だって流れてるし。だがまあ・・・・・実際そういうふうに思われても仕方ないなとは思うけどさ。
それよりも、そろそろ10分経つ頃だな。
「ギャスパー、起きろ。休憩終わりだ」
「・・・・・・はい」
まだしんどそうだが、それでも幾分か体力は回復したようで、ギャスパーは立ち上がる。
「まずはとりあえず腕立て100回からだな。時間かかってもいいからきっちりこなせ」
「腕立て・・・・・・苦手だけど頑張ります」
ギャスパーはその場で伏せて腕立てを始める。どうやら腕力はあまりないらしく、一回やるだけでもしんどそうだ。
「ギャスパー、大丈夫かしら?」
「心配する必要ならありませんよ部長」
「え?」
「確かにギャスパーは現状、体力も腕力もからっきしで、すぐにひいひい言って弱音を吐きますが、それでも一度も『辞めたい』とは言ってないんですよ。どんなに死にそうな顔をしてても・・・・・・その一言だけは何があってもあいつは口にしていません」
そう、ギャスパーはただの一度も『辞めたい』とは言わなかった。俺からすれば軽いトレーニングではあるが、ずっと部屋に籠っていたギャスパーにとっては過酷なトレーニング。俺も何度かは辞めたいって言いだすのではないかと思っていたのだが・・・・・それでもあいつはその一言だけは絶対に言わなかった。その一言だけは言わずに・・・・・・食らいついていた。
「やっぱりギャスパーは強い奴ですよ。か弱く見えるけど、結構根性がある。能力を完全に使いこなせるようになって、肉体的にも強くなれば・・・・・・あるいは俺よりもずっと頼りになるかもしれませんね」
「一誠よりも頼りに・・・・・・」
まあ、俺もそう簡単に抜かれるつもりはないけどな。確かにギャスパーは俺よりもずっと素質も才能もあるだろうが・・・・・・俺も今よりもっと強くなってみせる何もかも守れるようになるように。全ての敵を倒せるようになるように。
「い、一誠先輩・・・・・なんか腕からパキパキって変な音が聞こえます」
「気のせいだ」
「絶対に気のせいじゃない・・・・・・」
「いいから頑張れ。あとラスト70回だ」
「だからそのラストが何をもってラストなのかわからないですよぉぉぉ!」
力のないギャスパーの叫び声がこだま・・・・・しないな特に。そこまで大きな声じゃないし。
「さて、いい加減俺も始めないとな」
いくら付き合ってる立場とはいえ、俺だってトレーニングを欠かすわけにはいかない。
今よりも少しでも強くなるために・・・・・俺もきっちり鍛えないとな。
「う、腕が・・・・・・腕がもげそうです」
「安心しろ。腕立てごときで腕はもげん」
「ひぃぃぃぃ・・・・・」
体育会系な修行にひいひい言ってるギャスパーくん。それでも辞めたいとは言わないので、このギャスパーくんは根性あります
一誠さんもそんなギャスパーくんのこと結構気に入ってますしね
それでは次回もまたお楽しみに!