だけどラストで・・・・?
それでは本編どうぞ
「・・・・・」
「あ、あの・・・なにか?」
数秒、目の前の少女の可憐さに思わず視線が釘付けになってしまった俺に、少女が声をかけてくる。
「いや、ごめん。間近でシスターを見るのが初めてだったからついね」
とりあえずそれっぽい言い訳をしておく。さすがに見惚れてましただなんて本当のことは言えないからな。
「それよりも結構盛大に転んでたけど怪我とかは大丈夫か?」
「はい。大丈夫です・・・・あっ、荷物!」
少女の視線の先には中身が散らばってしまっている鞄があった。少女はあわてて散らばったものを拾い始める。俺も手伝おうと身近にあったものを手に取るが・・・・
「あっ・・・・やべ」
・・・・手にとったものは下着であった。
「はわっ!?」
俺が拾ったものを目にした少女は、ものすごい速さで俺から下着をひったくり、慌てて他の荷物と一緒にカバンの中にしまいこんだ。
「あはは・・・・お見苦しいものをおみせしました」
「いや・・・・・こちらこそすまない」
親切のつもりでやったのだが完全に裏目に出てしまった・・・・・まあ、正直眼福だと思ってしまったが。
(ふっ、相棒も男だな)
(うるせぇ黙れドライグ。というか人のモノローグ勝手に読むな)
俺だって男なんだからそういうことに興味あってもいいだろうがちくしょうめ。
「ところで君、日本人じゃないようだけどこの町には何をしに?」
とりあえず空気を変えようと少女に訪ねてみる。特に観光名所もないような町なので、どうして大荷物を持ってこんなところにいるのか気になったというのもあるが。
「今日からこの町の教会に赴任することになりまして。でも道に迷ってしまって。言葉も通じず困っていたんです」
少女は苦笑いを浮かべながら答える。俺は悪魔になったおかげで便利翻訳機能が内蔵されているようなものだから気にならなかったが、やはり言語の違いというのは結構きついようだ。
にしても教会に赴任か・・・・・悪魔の俺にとっては完全にアウェーだが、これも何かの縁というやつだし仕方がない。
「教会なら多分案内できる。連れて行こうか?」
「本当ですか?これも主のお導きです!」
「ッ!?」
少女が手を組み、祈りを捧げると同時に激しい頭痛に襲われた。少女に気づかれないようには表情は変えずに済んだが・・・・・やはり悪魔はその手のものに弱いらしい。
「じゃあ行こうか」
少女を連れ、教会に向かおうとしたその時・・・・・子供の泣き声が耳に入ってきた。声のする方へと視線を向けると、そこには膝から血を流している男の子がいた。
「あっ」
男の子に気がついた少女は、すぐに駆け寄る。そして一言二言声をかけた後、怪我をしている膝に手をかざす。少女の手からは淡い光が発せられ、男の子傷は瞬く間に治癒していった。
(ドライグ、あれって・・・)
(
やはり神器か・・・・・あの手際からして結構使い慣れているようだ。
「はい。もう大丈夫ですよ」
完全に傷が癒え、少女は男の子に微笑みを浮かべながら言う。その姿は、少女をより一層天使だと思わせた。だが・・・・・誰しもが俺のように思えるわけではない。男の子の母親と思わしき者が近づいてきて、その女性は男の子の手を引いて足早にその場から立ち去ろうとする・・・・・少女に対して蔑みの視線を向けて。
少女のしたことは尊いことだ。間違いなく善行だが・・・・それでも、何も知らない人にとっては気味が悪いもの。だからこそそれがどんなにいいことであろうとも恐れ、蔑む。少女もそのことを分かっている・・・・・いや、慣れているのだろう。表情は悲しげだが、どこか諦めが入り混じっているようにも見える。
だが・・・・
「お姉ちゃん、ありがとう!」
男の子のその一言が、少女から悲しげな表情を消し去った。言葉の意味はわからないだろうが、笑顔でこちらに手を振っている姿を見れば、悪感情を向けられていないということはわかるだろう。
「ありがとう、だってさ」
「・・・・はい」
少女の顔には既に一点の悲しみも映っていなかった。
「すみません。ついおせっかい」
「気にするな。悪いことをしたわけでもないし。俺が君でもそうしてた」
「・・・・・聞かないのですか?」
「何を?」
「・・・・・あの力のことです」
少女は少々表情を暗くしながら言う。あの力を持っていると知られて、これまで苦労したことも多々あったんだろう。だから聞いてしまったのかな。
「んー・・・・よし」
周りを見て、人がいないことを確認する。そして、俺は神器を発動して
「え?これって・・・・」
「聞かなかったのはこういうこと。俺もそうだからな」
少女に見せたあと、すぐに赤龍帝の籠手をしまう。少女の方はそれで納得したのか、それ以上は何も言ってこなかった。
「そんなことよりも、早く教会に行こう。あんまり時間食うと、向こうで君のこと心配してるかもしれないしさ」
「はい。よろしくお願いします」
俺は少女と連れて、教会へと歩み始めた。
案内を初めて10分ほどして教会に着いたのだが・・・・
(大丈夫か相棒?)
(大丈夫じゃねぇよ。寒気が半端ない)
正直舐めていた。まさか教会に近づいてこんなにも悪寒が走るとは思わなかった。
「ここです!よかったぁ」
俺の心境とは裏腹に、目的に到着できたことに喜ぶ少女。まあ、この笑顔を見られただけでも良しとするか。
「じゃあ俺はこれで・・・・」
「えっ!?待ってください!」
目的を果たしたので一刻も早くこの場から離れようとする俺を、少女が引き止めた。
「ここまで連れてきてくださったお礼をさせてください!」
「いや、俺急いでるから・・・・」
厚意は嬉しいが、感謝しているというなら早くこの場から立ち去らせてくれ。もうホントマジきつい。
「で、ですが・・・・・」
食い下がってくるな。しょうがない、ここは・・・・・
「なら、お礼はまた縁があって会えたときにってことで」
「それでいいんですか?」
「ああ」
むしろそれがいいです。ここから早く離れたいから。
「でしたらお名前を教えてくださりませんか?」
「ん、わかった。俺は兵藤一誠。一誠って呼んでくれ。イッセーって呼ばれるのは好きじゃないからそれは簡便な」
「わかりました。私はアーシア・アルジェントです」
「アーシアね・・・・・覚えたよ。じゃあまた今度な」
「はい!また必ずお会いしましょう一誠さん!」
満面の笑顔のアーシアに見送られて、俺は教会をあとにした。
(・・・・・お前好みの女だったか?)
(うるさい、黙れドライグ。まあ、可愛くて良い子だとは思ったけどな)
なにせ本当にまた会えたらいいなって思ってしまってるからな・・・・・教会のシスター相手にそんなことを考えてしまうなんて悪魔失格かもな。
「嘘・・・・・どうして?」
教会の窓から外を見ていた私は。ありえないものを目にしてしまった。もう存在しないはずの彼を・・・・・私が殺してしまったはずの彼を。
「一誠くん・・・・」
そう呟きながら、私は胸元のブローチに手を当てる。そのブローチは、付き合っていた時に彼からプレゼントされた・・・・・私の宝物だった。
一誠くんが生きている・・・・・その事実は嬉しい。嬉しいけれど・・・・・
「どうすれば・・・・いいの?」
私の心を埋めるのは喜びだけでなかった。元々私が彼を殺したのは、彼が計画の邪魔になる可能性があるからだ。だけれど彼は生きている。しかも、彼から感じた気配は・・・・・悪魔のものであった。
計画の邪魔になる可能性がある悪魔・・・・・もしも会うことがあれば私は・・・・また彼を・・・・
「なんで・・・・こんな」
私はまた・・・・・愛する男を殺さなければならないのだろうか?
不穏な感じになってまいりました
なお、原作よりも彼女が優遇されておりますがそれは完全に私の趣味です
それでは次回もまたお楽しみに