『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

61 / 95
今回は一誠さんがアスカロンを手に入れる話です

それでは本編どうぞ


第59話

「・・・・・ここか」

 

三種族会談を三日後に控えた日のこと、俺は朱乃先輩に呼ばれて町内にある神社に訪れていた。本来神社は悪魔にとっては近寄りがたい場所のはずだが・・・・・なぜかこの地に訪れても、頭痛に悩まされることはなかった。

 

「いらっしゃい一誠くん」

 

境内の奥から現れる朱乃先輩。その服装は巫女服だった。

 

「どうも朱乃先輩。その服は・・・・」

 

「私はこの神社で生活していますので。巫女服を着てもおかしくはありませんわ」

 

「神社で?それって大丈夫なんですか?」

 

「ええ。この神社は悪魔でも入れるように特別な約定が交わされていますの。そして昔、無人になっていたこの神社をリアスが確保してくれて、私はここに住まわせてもらってるということよ」

 

なるほど、ちゃんと悪魔が入っても問題ないようにされているのか。まあ、人間だった時でもそこまで信心深いわけでもなかったから特に思うところはないが。

 

「ところで朱乃先輩、今日はいったいどういった用件で?」

 

「それは・・・・・」

 

「私があなたを呼んだのですよ」

 

朱乃さんの声を遮るように聞こえてきたのは聞き覚えのない男性の声であった。声のする方へと視線を向けると、そこには白い翼を持つ美男子が居た。

 

「初めまして赤龍帝、兵藤一誠くん。私はミカエル。天使の長をしています」

 

男性は自らをミカエルと名乗った。感じられるオーラの質からしてただ者ではないことは容易に理解できるため、本人であることは疑いようもない。まさかここでこんな大物に出くわすとはな。

 

「お初にお目にかかりますミカエル様」

 

「そう畏まる必要はありませんよ。ふふふっ、今代の赤龍帝は随分と礼儀正しいのですね」

 

いや、まあ相手が相手だから形だけでも畏まった方がいいと思っただけなんだけどな。別に自分自身礼儀正しいだなんて思ったことはこれっぽっちもないし。

 

「さて、本日あなたを呼んだのはあなたに授けたいものがありましてね」

 

そう言うミカエルに案内されて、神社の境内に案内された俺の目に映るのは一振りの剣であった。それもただの剣ではなく、聖なるオーラを放っている剣・・・・・つまり聖剣だ。

 

「これは・・・・・聖剣ですか?」

 

「ええ。ゲオルギウス・・・・聖ジョージが持っていた聖剣、アスカロンです」

 

「アスカロン?それって確か龍殺しの・・・・・」

 

「おや、知っていましたか。そうです。この剣は聖剣であると同時に龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の性質も併せ持っています」

 

ちょっと待て。聖剣でなおかつ龍殺しって、悪魔でドラゴンの神器(セイクリッド・ギア)を宿している俺にとっては相性最悪じゃないか。そんなものを俺に授けるって、実質俺を滅ぼすってことなんじゃ・・・・

 

「ああ、心配はいりませんよ。この剣には特殊な儀礼が施してありますので悪魔であり、赤龍帝の力を宿すあなたでも扱うことはできます」

 

(・・・・・と、ミカエルは言っているがどうだドライグ?)

 

(信じても大丈夫だろう。事実、これほど近づいても嫌な気配は感じないからな)

 

万が一のことを考え、ドライグに確認を取ったところ問題はないようだ。とりあえず危険がないというのはわかったが・・・・・やはり解せないな。

 

「・・・・・ミカエル様、なぜこのような貴重なものを私に授けてくださるのですか?会談を控えているとはいえ、天使にとって悪魔は敵対すべき相手のはずですが・・・・・」

 

「そうです。我々にとって悪魔は敵対勢力。ですがそれはこれまでの話です」

 

「これまで・・・・・というと、ミカエル様は三種族間の和平をお望みなのですか?」

 

「ええ。先の大戦で我々は神を失い、悪魔は魔王を失った。堕天使もまた、少なくない犠牲を背負ってしまったのです。三種族は例外なく疲弊しており、このような状態で小競り合いとはいえ争いが続けば、種の存続さえ危ぶまれてしまう。ですから、今回の会談は三種族が手を取り合う大きな機会だと私は思っています」

 

なるほど、確かにミカエルの言う通りだろう。悪魔になって日が浅い俺でも、現在の三種族の先行きの危うさは理解できる。ましてや他の神話体系の勢力だって、このまま衰退していく三種族を黙って見ているとは限らないんだ。

 

今回の三種族会談・・・・・どうやら想像以上に大きな意味を持ちそうだ。

 

「つまり、このアスカロンは和平のための布石ということですか?」

 

「その通りです。アスカロンは私達天使側から悪魔への贈り物。同様に堕天使にも送りました。悪魔側からも聖魔剣が送られてきましたしね」

 

「そうですか・・・・ですが、なぜわざわざ俺に?贈り物というならもっと権力のあるものに捧げるべきなのではありませんか?」

 

「それはあなたが今代の赤龍帝だからです。赤龍帝が悪魔になった・・・・・これは非常に大きな意味を持ちます。あなたが望もうが望むまいが、あなたは大きな躍動の中心になってしまうでしょう。だからこそあなたには力を持ってもらう必要があるのです」

 

つまり、三種族にとっても俺の存在は貴重になるから、弱いと困るっていうことか。なんというか、俺の意思はほとんど無視な気がするな・・・・・でもまあ、そういうことならもらえるものはもらっておこう。俺としても力はいくらあっても足りないなんてことはないしな。

 

「・・・・・朱乃先輩、一応確認しますが本当にこの剣は俺が触れても大丈夫なんですよね?」

 

「ええ。剣の術式はこの神社で施しました。悪魔でもドラゴンの力を宿している一誠くんなら触れられますわ」

 

ミカエルには失礼だとは思いながらも、俺は念のため朱乃先輩にも確認を取った。仲間である朱乃先輩がこういっているのなら安全は保障されているとみて間違いなさそうだな。

 

(やるぞドライグ)

 

(ああ。俺がフォローするから相棒は神器に意識を集中させろ)

 

俺は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を出現させてアスカロンの柄に触れた。確かに、聖なるオーラをしっかりと感じはするが、俺に害はないようだ。

 

(剣を神器の波動に合わせろ)

 

ドライグの言う通りに、剣と籠手の波動を合わせる。すると剣は激しく輝きだし・・・・・籠手と一体化した。籠手の甲の部分から、アスカロンの刃が突きだしている。

 

(ひとまず成功か。だけど・・・・・使いにくそう)

 

同化に成功したはいいが、正直言ってこのままでは扱いづらそうというのが俺の感想であった。もともと肉弾戦特化の俺にとって、この刃は殴打の邪魔になりかねない。かといってせっかくのアスカロンを無駄にするわけにはいかないし・・・・・これは扱うために一考する必要がありそうだ。

 

「無事同化は完了したようで何よりです。では私はそろそろ行かなくてはなりませんので」

 

赤龍帝の籠手とアスカロンの同化を見届けたミカエルだが、どうやらあまり長居はできないようだ。

 

「ミカエル様、どうもありがとうございました」

 

「はい。それではまた会談の席で」

 

軽く挨拶を交わした後、ミカエルは神社をあとにした。

 

「一誠くん、少し時間を貰ってもいいかしら?」

 

「え?」

 

ミカエルに続いて俺も神社から出ようと思ったが、朱乃先輩に止められてしまった。

 

「・・・・ダメ、かしら?」

 

「いえ、大丈夫ですよ」

 

特に急ぐようもないので、俺は朱乃先輩の申し出を受け入れた。すると、朱乃先輩は嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

「では奥の座敷にいきましょう」

 

朱乃先輩に連れられ、俺は神社の奥へと向かう。

 

何か用があるから俺を引き留めたのだろうが・・・・・いったいどんな用なのだろうか?

 

 




大まかな流れは、原作とほぼ同じとなりました

ただこの次が・・・・・・

次回もまたお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。