どうなるかはその目でお確かめを
それでは本編どうぞ!
「お茶をどうぞ」
「ありがとうございます」
朱乃先輩に入れてもらったお茶を口に含む。普段朱乃先輩が淹れるのは紅茶だが、さすがに神社ということもあって今日は緑茶だった。
「うん、いつもの紅茶も美味しいですけど、この緑茶も美味しいですよ」
「あら、一誠くんったらお世辞が上手ですわ」
「いえ、お世辞ではありませんよ」
「ふふっ。ありがとうございます」
口に手を当てて、いつものように上品に笑う朱乃先輩。だが・・・・突然、朱乃先輩は切り出してきた。
「一誠くん・・・・あなたは堕天使をどう思っていますか?」
嫌に神妙な面持ちで、朱乃先輩は尋ねてくる。
「どうしてそんなことを聞くのですか?」
「・・・・・たとえ愛した相手とはいえ、一誠くんはかつて堕天使に殺された。そしてこの町を破壊しようとしたのも堕天使であり、一誠くんの大切な人を傷つけたのも堕天使。そんな堕天使に対して、一誠くんはどんな感情を抱いているのか知りたいの」
「・・・・・別にどうとも。確かに堕天使と・・・・・レイナーレと関わったことで俺の人生は大きく狂ったのは事実です。そしてこの町を破壊しようとしたコカビエルに対しては憎しみさえ抱いている」
・・・・・我ながら、敢えてイリナのことに関して触れないのはあからさますぎるとは思うが、俺は言葉をつづけた。
「ですが、それが堕天使を嫌う理由にはなりません。個人で起こしたことに種族を絡めて考えるつもりはありませんので。ですから、堕天使に対して特別悪感情を抱いているわけではありませんよ」
「そう・・・・・そうですわよね。一誠くんならきっとそう答えてくれると思っていましたわ。それなのにこんなことを尋ねるだなんて・・・・・私は嫌な女ね」
朱乃先輩は自嘲気味な笑みを浮かべながら、巫女服を緩める。そして、露わにした背中から・・・・・2枚の種類の違う翼を生やした。
片方は俺達悪魔を象徴するコウモリのような黒い翼。そしてもう一枚は・・・・・まるでカラスのような羽毛のついた、堕天使の翼であった。
「一誠くん・・・・・私は元々、堕天使と人間の間に生まれた子供なの。母親はとある神社の娘で、父親は・・・・・堕天使の幹部、バラキエルですわ」
バラキエル・・・・・その名前は知っていた。堕天使の中でも屈指の武人。その実力は堕天使総督であるアザゼルにも匹敵するほどだという。
「昔、傷つき倒れていたバラキエルを母が介抱したことが縁で、私を宿したらしいの。そのおかげで私は・・・・・こんなにも汚らわしい翼をもって生まれてしまった」
汚らわしい・・・・・堕天使の翼を、朱乃先輩はそう称した。堕天使を父親に持つにも関わらず、だ。どうやら、朱乃先輩とバラキエルの間には何かしらの事情があるようだ。
「この翼が憎かった。だから私は悪魔になったというのに・・・・・私は悪魔と堕天使の翼を持つ醜い存在になってしまった。ふふふっ・・・・・穢れた血を身に宿す私にはお似合いの姿かもしれませんわね」
「・・・・・自分のことをそんなふうに言わないでください。朱乃先輩は醜くなんてありません」
「ありがとう一誠くん。本当に一誠くんは優しいわね。優しくて・・・・・とても強い。あなたならきっとバラキエルさえ打ち負かすほどの力をその手にすることができるでしょう」
バラキエルを打ち負かす?朱乃先輩何を・・・・・
「やっぱり・・・・・・やっぱり私にはあなたが必要ですわ一誠くん。堕天使の幹部、コカビエルを倒したあの瞬間を見て私は確信しましたわ。私はあなたと寄り添わなければならないと」
服を大きくはだけ、肌を露出させた朱乃先輩は俺にすり寄ってくる。まるで甘えるかのように。
「私にはあなたの優しさが必要。私にはあなたの強さが必要。私に必要なのはあんな男じゃない。私に必要なのはあなたなの一誠くん。だからどうか・・・・・私をあなたの傍に置いてください」
「朱乃先輩・・・・・」
「その代わり、あなたのためなら私はなんでもやるわ。あなたの慰み者にもはけ口にもなります。だから一誠くん、どうか私を・・・・・」
俺の頬に手を当て、顔を近づけてくる朱乃先輩。だが・・・・・
「何をやっているの朱乃?」
そこから先は、酷く怒気を含んだ部長の一声によって遮られてしまった。
「・・・・・あらリアス部長。今日はサーゼクス様との打ち合わせがあったのではありませんか?」
「それはさっき終わったわ。だから一誠の様子を見に来たのだけれど・・・・・・一誠、もう剣は受け取ったのよね?」
「え?あ、はい・・・・・」
「だったら帰りなさい。もうここには用はないでしょう?」
「ですが・・・・・」
「帰りなさい」
有無を言わさぬほどきっぱりと俺に突きつける部長。これはもはや命令と言っても過言ではないだろう。
「・・・・・わかりました失礼します」
部長の命に従い、俺は部長と朱乃先輩のことを気がかりにしながらも神社をあとにした。
「朱乃、いったいどういうつもりなの?」
一誠が去ったあと、私は朱乃から先ほどの行為について問いただした。
「どう、とは?」
「とぼけないで。なんであんな風に一誠に迫ったのかって聞いてるのよ」
朱乃の一誠へのあの態度・・・・・あれは明らかに一誠を誘惑しているように見えた。なぜそんなことをしたのか・・・・・おおよその察しがつきながら、私は聞かずにはいられなかった。
「それは・・・・・好きだからですわ。一誠くんのことが。だからああしてアプローチをかけただけですわ」
一誠のことが好きだから・・・・・朱乃はそう答える。だけれど違う、そうじゃない。朱乃が一誠に迫ったのは恋愛感情によるものではない。朱乃は一誠に依存し、一誠を
「朱乃・・・・・私ではあなたの想いを理解しきることはできないわ。だから、あなたのこと・・・・・否定したくない」
「あら?でしたら私のことを応援してくださるのかしら?」
「いいえ、それはできないわ。朱乃のことは大切だけれど・・・・・一誠のことも大切なの」
朱乃の想いを否定したくはない。けれど、それでも一誠はダメ。一誠に対しては・・・・・ダメなの。
「あなたも知っているはずよ。一誠の心に生じた深い傷も、そして・・・・一誠の気持ちが誰に向かっているのかも。そんな一誠にあなたが寄り添おうとしたらダメよ。そんなことしたらあなたも一誠も・・・・・」
「そんなこと、私だって理解してるわ!」
「ッ!?」
激情を露わにし、強い口調で朱乃は言い返してきた。
「そんなこと、リアスに言われなくたって理解している!けど・・・・・だからって諦めろと言うの?一誠くんは私がずっと求めてやまなかった、私の支えになってくれるかもしれないひとなのに・・・・リアスは、私に一誠くんを諦めろと言うの?」
「朱乃・・・・・」
「リアスは一誠くんのこと、諦めることができたのよね。それは立派なことだと思うわ。けれど・・・・私には無理よ。一誠くんのことを諦めることは私にはできない。諦めることなんて・・・・・・できないのよ」
朱乃の頬に涙が伝う。その涙を見て、私は理解してしまった。もう手遅れなのだと。私ではもう朱乃を止めることはできないと。
もっと早くに、朱乃に強く言い聞かせるべきだった。そうすれば、ここまで朱乃が一誠に囚われることもなかったかもしれないのに・・・・・・もう、私にはどうすることもできない。
「お願いリアス。もう何も言わないで。私の・・・・・・好きなようにさせて」
「・・・・・」
朱乃のその懇願に、私は返事を返すことができなかった。だが、もう私が朱乃を阻むことはできないだろう。そんな資格も権利も・・・・・・私にはないのだから。
私にできることは・・・・・・ただ、成り行きを見守り、不幸な未来が訪れないことを願うことだけだった。
ある意味では原作以上に一誠さんに依存してしまった朱乃さん・・・・・コカビエルを倒してしまった弊害がここでも出てきてしまっています
今後どうなっていくのか・・・・・
それでは次回もまたお楽しみに!