『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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今回からとうとうあの組織が現れます

それでは本編どうぞ



第63話

(ちっ・・・・厄介なことになったな)

 

俺は窓の外の光景・・・・フード付きのローブを着た集団がこちらに向かって魔術を放つ姿を目にしながら心内で悪態をつく。魔術自体は各勢力のトップたちが張った強固な結界により防がれているが、面倒なことこの上ない。

 

どうやら、これはテロであるらしい。アザゼルが言うには三種族の和平を快く思っていない者達がおり、邪魔をしようとしているようだ。そのために、旧校舎で待機しているギャスパーに接触し、ギャスパー神器(セイクリッド・ギア)を暴走させているというのだからその徹底ぶりには恐れ入る。

 

ちなみに、時間停止から逃れることができたのは各勢力のトップ達とサーゼクス様の女王(クイーン)であるグレイフィアさん、白龍皇であるヴァーリ、あと部長と木場、ゼノヴィア、そして俺だ。木場とゼノヴィアはそれぞれ剣を盾代わりにして、部長は時間停止の直前に俺が引き寄せたことで時間停止から免れた。

 

「たくっ、俺達を止めることはできなかったにせよ、外の三種族の軍勢を含めて大多数を停止させちまうとはあのハーフヴァンパイアの潜在能力は凄まじいな。末恐ろしい」

 

「テロのためにギャスパーを利用されるなんて・・・・・・これ以上の屈辱はないわ」

 

ギャスパーの潜在能力に関心しつつも悪態をつくアザゼルと、激しい怒りをあらわにする部長。二人の気持ち・・・・特に部長の気持ちはよくわかる。ギャスパーが利用されてしまっているだなんて許せない。

 

「ともかく、状況がよろしくないのは確かだ。このままだと『停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)』の力が高まれば、結界を張っている俺達の誰かも止められかねない。そうなれば一網打尽だ。奴ら、相当な戦力を投入しているようだからな。その証拠に・・・・・・」

 

アザゼルは外に光の槍を展開させ、魔術師たちに向けて放つ。魔術師たちは魔術で防御しようとするが、槍はいつも容易く防御を貫き、魔術師たちを絶命させる。

 

だが・・・・・・その直後には絶命した数とほぼ同数の魔術師が姿を現し、またこちらに攻撃を加えてくる。

 

「さっきからこの繰り返しだ。どれだけ倒そうともキリがない。どれだけ犠牲を払おうと、最後には俺達を仕留められれば構わないと言った感じだ」

 

胸糞悪くなるような策ではあるが、この状況においては効果的なのだろう。奴らがこちらを攻撃し続ける限り結界を解くことはできない。だが、時間が建てば時間停止の力が高まり、ここにいる全員が停められかねない。そうなってしまえば一巻の終わりだ。

 

それにしても、随分と攻め込んでくるタイミングがいいな・・・・・まるで図ったかのようだ。まさかとは思うが、この中にリークしている裏切者が・・・・・いや、今はそれを考えている場合ではないな。裏切者の可能性は他にも気づいてる者がいるだろうし、まずやるべきことは・・・・・

 

「お兄様、私にギャスパーの奪還に向かわせてください」

 

どうやら部長は真っ先にやるべきことを理解しているようだ。トップ勢がここを動くことができない以上、誰かがギャスパーを奪還しなければならない。そしてそれが一番適任なのは部長だ。

 

「リアスならそう言うと思っていたよ。しかし、道中には魔術師が控えているがどうやって向かう?」

 

「旧校舎の部室に戦車(ルーク)の駒が保管されています。それを利用すれば・・・・・」

 

「なるほど、キャスリングか」

 

キャスリングは(キング)と戦車の位置を入れ替える、実際のチェスでも存在している技だ。確かにそれを利用すれば大幅なショートカットが可能になる。

 

「確かにキャスリングなら敵の虚をつくことが可能だ。しかし一人で向かわせるのは危険すぎる・・・・・グレイフィア、私の魔力方式で複数人転移させることはできるかな?」

 

「この状況では簡易術式しか展開できませんがもうお一方なら可能かと」

 

「となるともう一人は誰にするか・・・・・・」

 

「俺に行かせてください」

 

俺は迷わずサーゼクス様に進言した。

 

「なるほど・・・・・確かに君なら信頼してリアスを任せられる。頼んだよ一誠くん」

 

「はい」

 

サーゼクス様は俺の部長との同行を認めてくれた。

 

「おい赤龍帝、これを持っていけ」

 

アザゼルが俺に腕輪のようなものを差し出してきた。

 

「これは?」

 

「神器の力をある程度抑えることができる腕輪だ。ハーフヴァンパイアにつけろ」

 

つまりこの腕輪は制御装置ということか・・・・・正直、これはあまり使いたくない。可能ならこんなものなしで事態を打開したいな。

 

「お嬢様、術式を施しますのでこちらへ」

 

「ええ。お願いグレイフィア」

 

グレイフィアさんが部長へと術式を施す。その間に、アザゼルがヴァーリに近づき声をかけた。

 

「ヴァーリ。外でテロリストの連中の相手をして来い。白龍皇が出てくれば、敵の首謀者も姿を現すかもしれないからな」

 

「俺がここにいることは向こうも承知しているんじゃないか?」

 

「だとしても、赤龍帝がキャスリングで転移してくることは向こうも予想できていない可能性が高い。お前が外に出て注意を引き付けることは十分に効果があるさ」

 

「だったらいっそ吸血鬼ごと旧校舎を吹き飛ばした方が早いと思うが?」

 

ヴァーリのこの一言に、部長が射殺さんばかりの鋭い視線を向ける。かくいう俺も、ヴァーリに思わず殺気を向けそうになってしまう。

 

「和平を結ぼうって時にそれは辞めろ。悪魔側・・・・・特にグレモリーの嬢ちゃんと赤龍帝の怒りを買うぞ?」

 

「怒りにかられた赤龍帝と戦うのも悪くはないが・・・・・まあいいか。禁手化(バランス・ブレイク)

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!』

 

ヴァーリは禁手化して外に出て、敵の魔術師を殲滅し始めた。到底本気ではないだろうが、それでも強い。魔術師たちを苦も無く倒していっている。

 

俺はあれを倒さなければならないのか・・・・・・・やはり一筋縄ではいきそうにないな。

 

「アザゼル、聞きたいことがある」

 

俺がヴァーリの戦いを見ていると、サーゼクス様がアザゼルに声をかけた。

 

「こんな時にか?」

 

「こんな時だからだ。君は研究のために神器使いを集めていたと言っていたが本当にそれだけかな?何かほかに目的があったんじゃないか?」

 

「このテロがその目的だって言いたいのか?確かにうちは魔術師達と繋がりはあるが、テロなんて馬鹿なことは考えねぇよ。むしろその逆だ」

 

「逆・・・・・というと?」

 

「備えていたんだよ。今ここを襲っているであろう集団・・・・・『禍の団(カオス・ブリゲード)』に対してな」

 

禍の団・・・・・アザゼルの口から出たその組織の名は聞き覚えのないものであった。

 

「禍の団・・・・・・聞かない名ですね」

 

「組織名と背景が判明したのはつい最近だからな。お前達が知らないのも無理はない。奴らは三大勢力の危険分子を集めているそうだ。中には∥禁手《バランス・ブレイカー》に至った神器持ちは神滅具(ロンギヌス)持ちさえ居る」

 

「その者達の目的は?」

 

「破壊と混沌。平和な世界が気に入らないたちの悪いテロリストだよ。しかも・・・・・とんでもなく厄介なのをトップに据えてやがる。組織の頭はあの無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)のオーフィスだ」

 

(無限の龍神オーフィス・・・・・ドライグ、オーフィスって・・・・・)

 

(ああ。世界最強のドラゴンの名だ)

 

(ちっ・・・・・わかってはいたけど、やはりちんけなテロリストというわけではないようだな。そんなのをトップに据えてるとは・・・・・・)

 

あまりにも強大な敵組織の頭目に対し内心で驚愕していると・・・・・部屋の中で魔法陣が展開された。

 

魔法陣は悪魔のものだった。しかもただの悪魔ではない・・・・・・旧魔王に連なるものだ。

 

「この紋様、まさか、テロの黒幕は・・・・グレイフィア、転移を急ぐんだ!」

 

「はい。お嬢様、一誠様。ご武運を」

 

「ちょっと、グレイフィア!?お兄様!?」

 

突然のことに戸惑い、声をあげる部長だが、その声に返事は返されることはなく、俺と共に旧校舎の戦車の駒のあった部室へと転移された。

 

「向こうはどうなったのかしら・・・・・?」

 

「部長、気になるはわかりますが今俺達がやるべきことは・・・・・」

 

「わかっているわ。行きましょう一誠。ギャスパーを助けに」

 

「はい」

 

部室を出て、ギャスパーの下へと駆け出す俺と部長。

 

ギャスパー・・・・・すぐに行くからもう少し待ってろよ。

 




今回はほとんど原作通りの流れですが、次回からは少し変わってきます

原作とはどう異なっていくのか・・・・・

それでは次回もまたお楽しみに!
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