『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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今回はギャスパーくんが・・・・・

それでは本編どうぞ


第64話

「「ギャスパー!」」

 

部長と共に、ギャスパーの居る部屋に突入する。部屋の中には数名のローブを着た女魔術師達と拘束されたギャスパーの姿があった。

 

「部長・・・・一誠先輩・・・・・」

 

ギャスパーは力なく俺達の名を口に出しながら顔をあげる。その眼からは涙があふれていた。

 

「よかった。無事だったのね」

 

「部長、一誠先輩・・・・・ごめんなさい。僕は皆に迷惑をかけてばかりだ。僕なんて居ない方がいいんだ。だから・・・・・お願いします。僕を殺してください」

 

殺してください・・・・・だと?

 

「何を言っているのギャスパー。そんなこと・・・・」

 

「甘ったれたこと言ってんじゃねぇ!!」

 

「えっ・・・・?」

 

俺は感情に任せ、部長の言葉を遮ってギャスパーに向かって叫んだ。

 

「殺してくれだと?そんなのお前が楽になりたいだけの甘えだろうが!ここで俺と部長がお前を殺せば確かに事態の打開には繋がる。だがな、それは俺達に仲間殺しの罪を背負わせて、自分一人逃げだすってことなんだよ!お前はそれでいいと思ってるのか!」

 

「それは・・・・・で、でも僕は皆に迷惑かけてばかりで・・・・・」

 

「それがどうした!迷惑だと?そんなの俺の方がよっぽどかけている!部長に忠義を尽くすとか言いながら、勝手なことばかりして部長を困らせてるんだからな!」

 

こんなこと、声高に言うことではないのはわかっている。わかってはいるが・・・・・叫ばずにはいられなかった。

 

「ギャスパー、一誠の言う通りよ。一誠は私に忠義を尽くしてくれているけれど、勝手なことをして私を困らせることもあるわ。けれど、それは迷惑なことではあるけれど、私は決して軽蔑したり切り捨てたりはしないわ。だって私は・・・・・貴方達眷属のことを愛しているもの」

 

「一誠先輩・・・・・部長・・・・・」

 

「だから、殺してくれだなんて言わないで。私は・・・・私達はもっと、あなたと一緒に未来を生きていきたいから。いくらでも迷惑をかけてもいい。その時は一杯叱ってあげるし慰めてあげる。私は決してあなたを手放したりしないわ」

 

部長は優しくギャスパーに語り掛ける。こんないたわり方は俺にはできない・・・・・部長の愛情深さ故のものだ。そしてその愛情は俺達眷属全員に注がれている・・・・・このひとが俺の主でよかったと素直に思える。

 

「ふふっ・・・・・愚かね」

 

ギャスパーを捉えた魔術師の一人が、嘲笑しながら声をあげる。

 

「こんなやつ洗脳でも何でもして神器(セイクリッド・ギア)の能力だけ利用してればいいのに。愛してるだのなんだの・・・・・馬鹿じゃないの?」

 

女魔術師は部長を罵る。なんともまあ・・・・・愚かで滑稽だ。

 

「・・・・・俺に言わせればお前達の方がよほど馬鹿に思えるな」

 

「何ですって?」

 

「お前達に部長の何がわかる?部長はお前達の考えが及ばないほど眷属を大切に思ってくれてるんだよ。それにギャスパーのことだって・・・・・お前達はギャスパーをわかっていない。ギャスパーはお前達が思っているよりも遥かに強いよ」

 

「何を言い出すと思えば・・・・・・簡単に私達に捕まって利用されてるこいつが強い?あり得ないわね。それは何の冗談かしら?」

 

俺の言っていることなど戯言だと思っているのだろう。魔術師達は嘲笑っている。

 

笑いたければ笑えばいい。ただ・・・・・すぐに笑えなくなるだろうからな。

 

「ギャスパー。こんな風に笑われて悔しくないのか?」

 

「・・・・・・彼女達の言っていることは事実です。僕は強くなんて・・・・・」

 

「俺は何度もお前に言ったはずだぞ。お前は強いってな」

 

「けど僕は・・・・・一誠先輩に修行を付けてもらったのに神器の制御さえまともにできなくて。そのせいでこんな・・・・・」

 

たくっ、こいつは・・・・・・仕方がない奴だな。そんなふうに思っているうちは、いつで経っても神器の制御なんてできるはずがないっているのに。

 

「ギャスパー、これがなんだかわかるか?」

 

俺はギャスパーにアザゼルからもらった腕輪を見せた。

 

「こいつは神器の力を制御するものだ。こいつをお前につければ神器の暴走を抑えることができる」

 

「何ですって!?」

 

「暴走を抑える・・・・・そんなことさせない!」

 

「動くな!お前らは黙ってろ!」

 

「「「ッ!?」」」

 

腕輪を奪おうとしてか、魔術師達は俺に襲い掛かって来る。だが俺が一喝すると動きを止めた。この程度で怯むとは・・・・・・やはりギャスパーの方がよほど強い。

 

「一誠先輩・・・・・早くそれを僕に・・・・」

 

「つけないよ」

 

「え?」

 

「こいつをつけるのはあくまでも最終手段だ。神器の制御はお前が自分でやれ。そのために修行してきたんだろうが」

 

「そ、そんなこと言ってる場合じゃありません!今は・・・・・」

 

「甘ったれるな・・・・俺はさっきそう言うったはずだぞ?死に逃げるのも甘えだが、できることから逃げるのも甘えだ。そんな甘え、ここで捨てちまえ」

 

厳しいことを言っているというのはわかっている。ギャスパーの言っている通り、一刻を争うこの状況で悠長なことを言っているという自覚はある。だが・・・・・・それでも俺は、ギャスパーの強さを信じたかった。

 

「けど僕なんかに今この場で神器を制御するなんて・・・・・」

 

「少なくとも俺はできると思っている。なにせお前は俺が到底無理だって思いながら組んだ修行メニューをクリアしちまったんだからな」

 

俺がギャスパーに課した修行メニューは、部屋に閉じこもっていたギャスパーでは到底無理だろうと思いながら組んだものであった。限界まで鍛え上げようと思ってそうしたのだが・・・・・ギャスパーはそれをクリアしてしまっていた。歯を食いしばりながら、どんなに辛くても苦しくても、一言も辞めたいと言わずに成し遂げたのだ。

 

間違いなくギャスパーの心の強さは本物だ。あと足りないのは・・・・・自信だけ。だったら、その自信を持たせるために・・・・・背中を押そう。

 

「ギャスパー、一度だけ言う。しっかりと聞いておけ・・・・・俺は、俺達はお前を信じている。お前の強さを信じている。だから・・・・・こんなやつらに負けるな!その力を自分のものにしてみせろ!」

 

「一誠先輩・・・・・はい!」

 

ギャスパーは力強く返事を返した。その後、自ら姿をコウモリへと変化させて拘束を振り解く。

 

「なっ!?しま・・・・・」

 

「停まれ」

 

拘束が解かれてしまって動揺する魔術師達に、コウモリになったギャスパーが視線を向ける。すると、魔術師達は微動だにしなくなった。

 

ギャスパーは・・・・・この場で自身の神器を制御してみせた。

 

「一誠先輩、今です!」

 

「上出来だギャスパー!赤龍の尾(ドラゴン・テイル)!」

 

動きを停めた魔術師達を魔力で造った尾で薙ぎ払い、壁にたたきつける。本当は停まってる間に武装解除して拘束すれば事足りるのだろうが・・・・・・大事な後輩をいたぶってくれた礼だ。これぐらいはさせてもらう。

 

「やっぱり・・・・・こいつは要らなかったな」

 

アザゼルから受け取った腕輪を握りしめる。腕輪はすぐに圧力に耐えきれず、砕けてしまった・・・・・って、しまったな。このまま残しておけば何かに使えたかもしれなかったのに。勿体ないことをしてしまった。

 

「一誠先輩・・・・・」

 

「ん?どうしたギャスパー?」

 

「その・・・・・僕なんかを信じてくれてありがとうございます」

 

「別に礼なんていらないんだが・・・・・感謝してるっていうなら、一つ約束しろ」

 

「約束?」

 

「ああ。もう僕『なんか』って言うな。それはお前の自信の妨げになる。何度も言うが、お前は強いんだからな」

 

「・・・・・はい!わかりました!」

 

笑顔で返事を返すギャスパー。俺は思わず、そんなギャスパーの頭を髪がぐしゃぐしゃになるほど撫でまわしてやった。

 

「ふふふっ・・・・・」

 

「部長?どうしました?」

 

「いえ、なんだか貴方達、まるで兄弟みたいだって思ってね」

 

兄弟?俺とギャスパーが?

 

「僕が一誠先輩の弟・・・・・えへへ」

 

なぜか兄弟のようだと言われて嬉しそうにするギャスパー。そんなに俺の弟っていうのがいいのだろうか?すっごい修行でいたぶったっていうのに・・・・・まあ思うだけなら自由だから、好きにさせてやるか。

 

俺としても・・・・・・悪い気はしないしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そういえば一誠先輩から借りた魔法少女ミルキースパイラルのDVD、途中までしか見れなかったけどすごく面白かったです!ミルキー可愛かったです!」

 

「だろ?よし、落ち着いたら一緒に続き見るか」

 

「是非!」

 

「・・・・・・台無しだわ」




ギャスパーくん覚醒。原作と違い、腕輪も一誠さんの血も使わずに神器の能力を制御してしまいました。まあ、一誠さんの言ってたことはほぼほぼ根性論ではあったのですが・・・・・・

そして最後で色々と台無しに。最近堅苦しい話ばっかりだったので・・・・・ね?

それでは次回もまたお楽しみに!
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